車検・点検・メンテナンス
更新日:2025.11.20 / 掲載日:2017.01.19
ウォッシャー液が出ない原因と対処法|故障判断と修理費用の目安も解説

ウォッシャー液が出なくなると、視界不良を招き、走行中の安全性に大きく影響します。その原因は、ウォッシャー液の不足や詰まり、液の凍結、ポンプの故障など多岐にわたります。
ウォッシャー液が出ないトラブルは自分で簡単に解決できる場合もあれば、整備工場での修理が必要になるケースもあります。そのため、まずは原因を正しく見極めることが大切です。
この記事では、ウォッシャー液が出ない主な原因や自分でできる点検と対処方法、修理が必要なケースと費用の目安、再発を防ぐメンテナンスのポイントまで解説します。
1. ウォッシャー液が出ない原因一覧
ウォッシャー液は、水に洗浄成分や、凍結防止剤などを配合した液体で、フロントガラスに付着した汚れを安全かつ効率的に除去するために使われます。このウォッシャー液をフロントガラスに霧状に吹き付け、ワイパーを動かすことで泥や虫の死骸、油膜などの汚れを効果的に落とし、視界をクリアに保ちます。視界が悪いまま運転すると、事故のリスクにもつながるため、ウォッシャー液が出なくなった場合は早急に対処しましょう。
ウォッシャー液が出ない原因は大きく分けて5つあります。
(1) ウォッシャー液不足
ウォッシャー液が出ないもっとも多い原因は、ウォッシャータンク内の液不足です。残量が極端に少なくなるとポンプが空回りし、ノズルまで液が送られなくなります。
(2) ノズルやホースの詰まり・破損
ウォッシャー液がまったく噴射されない場合は、ノズルやホースの詰まり・破損が原因として考えられます。走行中に付着した砂ぼこりや洗車時のワックス成分がノズルに詰まったり、ホースが抜けたり劣化によって裂けたりすることで、ウォッシャー液が正常に噴射されなくなります。
(3) 凍結による噴射不能
ウォッシャー液には凍結を防ぐ成分が含まれていますが、水道水で薄めすぎると気温が氷点下のときに凍ってしまい、スムーズに噴射されないことがあります。この状態で無理に噴射すると、ホースが破損する恐れがあるため注意が必要です。
(4) モーター音がしない場合の電装系トラブル
ウォッシャー液の噴射時に液が出ないだけでなく、「ウィーン」という作動音がまったく聞こえない場合は、ウォッシャーポンプやヒューズ、配線、あるいはワイパースイッチの不具合が考えられます。電気系統のトラブルによってポンプに電気が供給されず、作動していない可能性があります。
(5) 片側だけ出ない・リアだけ出ないケース
フロントのウォッシャー液は出るのにリアは出ない、またはその逆といった場合は、それぞれのホースやポンプが別系統で制御されていることが原因として考えられます。多くの車では、フロントとリアでホースやノズルなどが独立して設けられており、どちらか一方の部品に不具合が生じると、片側のノズルからウォッシャー液が出なくなることがあります。
とくにリア側は使用頻度が少ないため、ホース内の液が蒸発して空気が混入しやすく、その結果、詰まりや噴射不良が発生しやすくなります。さらにホースが長いため、液が先端まで届くのに時間がかかり、噴射が遅れることもあります。
2. ウォッシャー液が出ないときに自分でできる対応

ウォッシャー液が出なくなる原因はさまざまですが、自分で対処できるケースも多くあります。ここでは、特別な道具や知識がなくてもできる基本の対処法を3つに分けて紹介します。
(1) ウォッシャー液を補充
ウォッシャー液が出ないとき、まずは液が切れていないかを確認することが重要です。タンク内の液が少ない状態では、ポンプが空回りしてノズルまで液が送られません。
補充する際は、エンジンを停止してからボンネットを開け、「ウォッシャーマーク」がついたキャップを見つけてください。タンクが半透明であれば外側から液量を確認できますが、見えにくい場合はキャップを外して直接チェックしましょう。
液が不足していれば、市販のウォッシャー液を補充します。カー用品店、ホームセンター、ガソリンスタンド、ネット通販、ディスカウントストア、ドラッグストアなどで購入できます。
ウォッシャー液を選ぶとき、冬場は凍結温度が低いものを選ぶのがおすすめです。希釈タイプと原液タイプがあるので、製品表示にしたがって正しく使用してください。
また、使用環境や季節に合った性能を持つタイプを選ぶことも大切です。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| ノーマルタイプ | 洗浄力重視中心。日常使いに最適 |
| 油膜除去タイプ | ガラスに付着した油膜を落とす効果 |
| 撥水タイプ | 雨を弾くコーティング効果あり |
| 解氷タイプ | 氷や霜をすばやく溶かす。寒冷地向け |
| 虫・鳥汚れタイプ | 頑固な汚れに対応。アウトドア利用にも◎ |
専門業者に相談すれば、車の使用環境や状態に合わせて車の状態に合わせた最適なウォッシャー液の種類や、補充・点検のタイミングについて的確なアドバイスを受けられます。
なお、補充後にワイパースイッチの操作で正常に噴射できるようになれば、単なる液切れが原因だったと判断できます。
(2) ノズルやホースの目詰まり除去
ウォッシャー液の残量が十分にあるのに噴射されない場合は、ノズルやホースが詰まっている可能性があります。ノズルの穴は非常に小さく、砂ぼこりやワックス成分が固着しやすいため、目詰まりを起こしやすい箇所です。
ノズルの清掃には、安全ピンや細い針などで軽く先端を突く方法が一般的です。ただし、力を入れすぎると穴が変形したり、噴射角度がずれたりする恐れがあるため、慎重に作業しましょう。不安な場合は、市販の専用ノズルクリーナーを使用するのもおすすめです。
ホースについては、途中で外れや破損、緩みがないかを確認しましょう。差し込みが甘くなっている場合は、しっかり差し直すことで改善することもあります。
こうした詰まりや緩みは、自宅の駐車場などでも簡単にチェックできるため、整備工場に持ち込む前に確認しておくと安心です。
(3) 凍結時の安全な解凍方法とNG行動
寒冷地や冬の早朝など、気温が氷点下近くになると、ウォッシャー液が凍結して噴射できなくなることがあります。このときに無理にワイパースイッチを動かし続けたり、熱湯をかけたりするのはNGです。ホースやノズルが急激な温度変化で破損する恐れがあるため、絶対に避けましょう。
安全に解凍するには、まずエンジンをかけて10分程度アイドリングを続け、車全体をゆっくり温めるのが基本です。それでも噴射しない場合は、ぬるま湯を含ませた布でノズル周辺を温めます。無理に噴射操作を繰り返さず、自然解凍を心がけましょう。
3. ウォッシャー液が出ないときに業者に相談するべきケース
ウォッシャー液が出ないとき、自分でできる点検や対処を一通り試しても改善しないときは、電気系統の故障が疑われます。ここでは、モーターや配線といった電装系のトラブルについて紹介します。
(1) ポンプやワイパースイッチの故障兆候
ワイパースイッチでウォッシャー液を噴射させようとしても「ウィーン」という作動音がしないときは、ウォッシャーポンプが作動していない可能性があります。このポンプは内部にモーターを内蔵しており、故障するとウォッシャー液をノズルまで送り出せなくなります。一方で、作動音がするのに噴射が弱い場合は、モーターの回転力低下や内部インペラーの劣化が考えられます。
また、ワイパースイッチ側の接点不良や内部断線が原因で、ポンプに電気が送られていないケースもあります。
ポンプやワイパースイッチの交換は、配線の確認や部品の取り外しを伴うため、専門知識が求められます。症状が続くようであれば、無理に自分で対処せず整備工場へ相談しましょう。
(2) ヒューズ切れ・配線不良の見分け方
ウォッシャー液が出ない原因がモーターではなく、ヒューズや配線の接触不良による場合もあります。
ヒューズは、車の電装品を保護するための部品で、ほとんどの車はエンジンルームや運転席足元の付近にヒューズボックスが設置されています。ヒューズボックスのカバーを外し、裏側に記載された表示を参考に、ワイパー関連のヒューズを確認しましょう。ヒューズのガラス部分が黒く焼けていたり、内部の金属線が切れている場合は、交換が必要です。
ただし、ヒューズが切れるのは結果であり、根本的な原因が別にあります。たとえば、モーター内部や配線のショート、コネクタ部の腐食などによって過電流が流れると、ヒューズを交換しても再び切れてしまうことがあります。そのため、ヒューズ交換だけで終わらせず、原因となる箇所を特定・修理することが重要です。
また、近年の車ではECU(電子制御ユニット)を通じてモーターが動作するため、コンピュータの不具合でもウォッシャー液が出なくなることがあります。
こうした電気的なトラブルの診断には専用機材が必要なため、無理に自己判断で修理はせずに、整備士の判断を仰ぐのが安全です。
4. ウォッシャー液の補充や修理を依頼するときの費用の目安と業者の選び方

ウォッシャー液が出ない原因がわかっても、自力での対応が難しいケースもあります。ここでは、補充や修理を業者に依頼する場合の費用の目安や依頼先の選び方を解説します。あわせて、使用環境に合ったウォッシャー液の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
(1) ウォッシャー液の補充を依頼する場合
ウォッシャー液の補充は、ディーラーやカー用品店、整備工場、ガソリンスタンドでも対応してもらえます。費用の目安は、500〜1,000円程度が一般的です。
(2) 修理を依頼する場合
ウォッシャー液を補充しても改善しない場合や、モーター音がまったく聞こえない場合は、ポンプや電気系統に故障が発生している可能性があります。その際は、ディーラーやカー用品店、整備工場、または整備士が常駐するガソリンスタンドに相談しましょう。
主な故障内容ごとの修理費用の目安は以下の表のとおりです。
| 故障箇所 | 修理内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| ノズルの詰まり | 清掃・交換 | 数百〜5,000円程度 |
| ホースの破損 | ホース交換 | 3,000〜6,000円前後 |
| ポンプの故障 | 部品交換+工賃 | 5,000〜15,000円程度 |
| 配線不良 | 点検+修理 | 5,000〜10,000円 |
電装系の修理になると、ヒューズや配線の点検など専門的な作業が必要なため、必ず専門家に依頼しましょう。
5. 再発を防ぐためのメンテナンスと予防法
ウォッシャー液が出ないトラブルは、日頃のメンテナンスで十分に防げます。突然の視界不良や車検の不適合を避けるためにも、日頃の点検や予防策を習慣化しておきましょう。ここでは、誰でも簡単にできる対策を紹介します。
(1) 定期的な補充と点検を習慣化する
ウォッシャー液のタンクはエンジンルーム内にあるため、つい忘れがちですが、半年に1回を目安に残量を確認し、必要に応じて補充しておくことで、液切れを防いだりウォッシャータンクの異常に早く気づいたりできます。
また、車によってはメーターにウォッシャー液の残量が少なくなると警告灯が表示されるタイプもあります。この警告灯が点灯したらウォッシャー液を補充するサインと覚えておきましょう。
(2) 凍結防止タイプのウォッシャー液を選ぶ
寒冷地や冬季には、凍結防止成分を含んだウォッシャー液を使用するのがおすすめです。とくに気温が氷点下まで下がる地域では、一般的な希釈タイプではノズルやホース内の液が凍ってしまう恐れがあります。
市販されている凍結防止タイプの中には、-30℃から-40℃まで対応した製品もあり、寒冷地仕様車との相性も良好です。寒さが厳しい時期に備えて、早めに切り替えておくとよいでしょう。
ただし、異なる種類のウォッシャー液を混ぜると凍結防止効果が薄れたり、成分が固まってノズル詰まりを引き起こしたりする原因になります。そのため、新しいウォッシャー液を入れる前には、必ず古い液を抜いてから補充するようにしましょう。
(3) 出にくくなったら早めに確認する
ウォッシャー液の噴射が弱くなったと感じたら、早めに点検しましょう。放置するとノズルやホースの詰まりが進行し、最終的にまったく噴射できなくなる恐れがあります。
とくに注意したいのが、タンク内に残ったウォッシャー液の結晶化です。補充せずに少量の液だけが残った状態で放置すると、タンク内の液が乾いて固まり、白い結晶状の沈殿物が残ることがあります。これらの結晶がノズルやホースに流れ込むと、噴射不良の原因になります。
さらに、結晶が残ったまま新しい液を補充すると、液と一緒に異物が循環し、ホースやノズルの目詰まりを引き起こす可能性が高くなります。一度詰まりが発生すると、タンクや配管の清掃、場合によっては部品の交換が必要になり、手間や費用がかさみます。
6. ウォッシャー液に関する相談をしたいときはグーネットピットをご活用ください
ウォッシャー液が出ないトラブルには、液不足やノズルの詰まり、ポンプやワイパースイッチの故障など、さまざまな原因が考えられます。原因によっては、自分で簡単に対処できるケースもありますが、電装系や配線まわりの不具合は専門的な判断が必要です。
とくに、電気系統の故障が疑われる場合、自己判断で分解や修理を行うと、かえって状態を悪化させるおそれがあります。無理に作業を進めず、原因がわからないときや修理に不安があるときは、整備工場などの専門業者に相談しましょう。グーネットピットでは、ウォッシャー液が出ない原因を的確に診断し、安全かつ確実な修理を行える整備工場を簡単に検索できます。