ホンダ新型ステップワゴン開発の裏側【ニュースキャッチアップ】

文と写真●ユニット・コンパス
（掲載されている内容はグー本誌 2022年2月発売号掲載の内容です）

令和の時代に合わせて人気ミニバンがアップデート！　ホンダがこの春に発売する新型ステップワゴンをお披露目した。シンプルかつクリーンなデザインが特徴的な新型にはどのような特徴があるのか。開発リーダーに直撃インタビュー。

新型ステップワゴンジャパンプレミア

家族のみんなが使いやすい優れた道具として開発

　ミニバン原点回帰。この春に発売予定となっている新型ステップワゴンの実車をひと足先に見ることができて、実感したのがこの言葉だった。
　1996年に登場して以来、ホンダを代表するモデルに成長したステップワゴンは、ミニバン市場の熟成とライバルとの切磋琢磨を背景に高機能化を進めてきた。当然、それは市場の要求に応えるための努力の結果ではあったが、一方で「変化の変化」、「差別化のための新機能」という側面があったことも事実。　
　開発を取りまとめた蟻坂篤史氏は新型について次のように語った。
　「新型ではとにかくミニバン本来の価値を徹底的に見直しました。デザインもシンプルに、新型が目指した『安心』と『自由』というコンセプトが見ただけでお客様に伝わるようにしています。私は現場主義者なので、ミニバンが使われている場所を調査して、お客様がどのように使っておられるのか、どういうクルマが役に立つのかを徹底して考えました。ステップワゴンは子育て世代のためのクルマでもありますが、開発チームにはまさに子育て中のスタッフもいるため、自分たちが買いたくなるようなクルマを目指しました」
　新型ステップワゴンは、家族が主人公になれるような、頼れる相棒のようなクルマに仕上がったと蟻坂氏は笑顔でまとめてくれた。

［CLOSE UP］ミニバンとしての価値を原点回帰して見直す

　新型の開発にあたっては、カタログで売りとなるようなキャッチーな新機能や装備よりも、ミニバンとしての基本的な価値や使い勝手を徹底的に見直した。その価値観を最も表現しているのが外装デザインで、まるで２代目のようなシンプルなボックスシェイプを採用している。一方で、安っぽく見えないように面構成を三次元的にするなど、品質感には強くこだわったという。

見晴らしと酔いにくさにこだわったインテリア

　先進安全機能の進化はもちろんのこと、新型で気を配ったのは３列すべての席で快適であること。見晴らしよく、なおかつ酔いにくくするために、目線の基準となる水平なラインを作り込んだ。どこまでも乗る人目線なのが新型だ。

使う人のことを徹底的に研究したシートアレンジ

　２列目シートは前後だけでなく左右にもスライド可能で、上の写真左下のように広大な足もと空間ができるアレンジも。３列目は床下に収納可能。

シンプルだからといって廉価版ではない

　ラインアップについては、車格に上下のあるグレードではなく、好みで違うデザインが選べるスタイルという考え方に方向性を変えた。それを装備面でもユーザーにわかってもらうように、「AIR」にもフォグランプを標準装備している。

令和の時代にマッチする新しい価値観

　今回の情報解禁では詳細なスペックや価格は明らかにならなかった。まずは新型が登場したライバルに対しての牽制といったところだろう。新型でユニークなのが２つのスタイルを同格として扱っていること。多様性の時代にふさわしいアップデートされた価値観で作られている。