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更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.09.10
トヨタ センチュリー【ニュースキャッチアップ】
文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌 2018年9月掲載の内容です)
日本を代表するショーファードリブンであるセンチュリーがフルモデルチェンジ。主にVIPの送迎に使われる超高級車には、一般的な乗用車とは違った使命が課せられていた。
技術の継承としてほとんど手作業で組み立てられる
自動車は、馬車の流れを汲む乗り物で、その文化から派生している慣例や言葉も数多いが、「ショーファードリブン」もそのひとつ。フランス語の「おかかえ運転手」を意味する「ショーファー(chauffeur)」から生まれたこのタイプのクルマは、特等席は後席であり、オーナー自らがハンドルを握ることは基本的にない。
2018年6月、日本車では数少ない本格的なショーファードリブンであるトヨタ センチュリーが21年ぶりのフルモデルチェンジを受け、新型となって登場した。
開発テーマは「継承と進化」。ハイブリッド化による高い環境性能と先進安全装備の採用など、時代に合わせた改良が行われているが、一方その生産体制は、現代の常識からするとまさしく異例づくしだ。
センチュリーは通常のようなライン式ではなく、少人数のグループにより、手作りに近い感覚で組み立てられる。たとえば塗装は仕上げの磨きに40時間もの手間をかけ、静粛性を高める防音材の組み付けも手作業。もちろん、生産効率は非常に低い。少量生産という都合もあるが、それ以上にクルマづくりの技術を継承していくためだとトヨタは語る。
そんな新型センチュリーの価格は1960万円。販売目標もわずか月間50台だという。すべてが特別かつ異例。それがセンチュリーなのだ。
【CLOSE UP】主役の座となる後席は、伝統と革新がひしめき合う
ショーファードリブンらしく、明確に「上座」として設計されているリヤシート。使われるウッドパネルはもちろん本杢で、まっすぐに木目が走る柾目(まさめ)とすることで端正さを表現。ウール織りのジャガードモケットを使ったシートは肌触りが格別だ。一方で快適装備にはハイテクも活用。タッチ操作により電動シートやオーディオが操作できる。
運転手の仕事場となるコックピットも上品な仕立て。そして、フロントコンソールには運転席から後席関連の装備をコントロールできるスイッチが並ぶ。ここもショーファーらしさだ。
ハイブリッド用バッテリーを隔壁の奥に搭載するため荷室容量は484Lとなるが、ゴルフバッグは4つ収納可能。荷物よりも乗員の快適さを優先した設計ゆえ。
ボディカラーのインスピレーションも日本の伝統文化から得られたもの。左から「神威(かむい)」、「摩周(ましゅう)」、「飛鳥(あすか)」、「精華(せいか)」と名付けられている。
伝統のV12からハイブリッドに変更
5LV8エンジン(2UR-FSE)にハイブリッドシステムの組み合わせで、システム最高出力は431馬力を発生。トランスミッションには2段変速式リダクション機構を採用することで、低速時の力強さと高速走行時のなめらかな走りを両立した。