カーライフ
更新日:2021.10.22 / 掲載日:2021.10.22
【大人の自動車遊び】名車で遊ぶ、ラリーイベントの魅力【九島辰也】

文と写真●九島辰也
クルマで遊ぶ。そんな機運が高まっている気がします。コロナで工場が正常に機能しなかったり、半導体不足で新車は減産を強いられていますが、いろんなイベントがじわじわと始まりました。例えば、オーナーズクラブ的なオフ会もそうですし、メーカーやインポーター主催のオーナー向けイベントがそうです。同じ趣味趣向の仲間が集まるのですから楽しくないわけがありません。先日もそんなイベントを取材しましたが、みなさんはいい笑顔でした。
まるで動く博物館! クラシックカーが中心のラリーイベントに参加

プライベートなイベントといえば、クラシックカーが中心となるラリーもそうです。イタリアのミッレミリアの日本版や日本にある世界遺産や文化遺産をクラシックカーで旅するようなものがあります。個人的にもそんな催しにこれまで何度か参加してきましたが、どれも楽しかったです。不思議なんですよね、ヨーロッパのクラシックカーが日本の神社仏閣とマッチするなんて。とても荘厳で趣のある写真をたくさん撮りました。
実は先日、そんなクルマを走らせるラリーイベントに参加してきました。名前は“サクララリー・マリンGT”。開催は愛知県でした。前述したクラシックカーラリーとは違い一日だけとなります。しかも、カテゴリーが3つに分けられていて、気軽に参加できるようになっていました。いわゆるクラシックカー部門の他に、90年代のクルマも参加できるヤングタイマー部門、それとスーパーカー部門です。
友人が主催するとあって、今回はベントレージャパンから広報車をお借りして、スーパーカー部門に参加しました。イベントに華を添える目的で。え、ベントレーはスーパーカーか?ですって。6リッター12気筒エンジンで最高出力635馬力ですからね。数字の上では立派なスーパーカーです。
お借りしたのはコンチネンタルGTコンバーチブル。ファブリックのトップを開けると、エレガントなインテリアが目に飛び込みます。まるでパッと花が咲いたように。なので、スタート前の準備の段階で、色々な方に声をかけてもらいました。「ベントレーのインテリアってこうなっているんですね。いいもの見せてもらいました」と。確かに、磨き上げられたウッドパネルと、キレイにパイピングされたツートンのレザーは、一般的なクルマとはかけ離れています。まさに英国王室御用達って感じ。エレガントさが滲み出ます。
それだけ上品なのにレーシーな走りを兼ね備えているのもベントレーならでは。なんたってそもそもはレース業界で名を馳せたブランドです。そのスピリットは今もしっかり引き継がれています。大排気量&大パワーエンジンもそうですし、軽快なハンドリングと身のこなしもそうです。ワインディングでこれだけのボディを軽快に駆け抜けるのだから素晴らしい。このブランドの真骨頂ですね。しかも、ドライビングモードを“スポーツ”にするとやんちゃそのもの。エキゾーストバルブが開いて爆音を奏でます。ここはサーキットか?て感じ。
もちろん、参加したサクララリーでスピードは関係ありません。走るのは一般道で、助手席に座るコドライバーがコマ図を読んでドライバーに伝え、目的地に向かいます。今回は名古屋市役所スタートでゴールは常滑市のNTPマリーナりんくうでした。関東の人間にとって知多半島はなかなか行く機会がないので興味津々。綺麗なところですね。海沿いの道をとても気分よく走りました。なんたってオープントップですから、海風がいい感じです。
ゴールまでの間には何ヵ所かでPC競技というのが行われます。それは決まった距離を決まった秒数で走るというものです。例えば15mを5秒とか、30mを12秒とか。それを100分の1秒単位で競うのですから至難の技です。こうしたクラシックカーラリーの常連チームはタイムキーパーという機械を駆使して挑みます。もう敵いませんよ。

なんて感じで、一日クルマで遊ばせていただきました。競技もそうですし、参加しているクルマを眺めるだけでもワクワクします。ポルシェ356やランチア・ストラトス、ガルウィングのメルセデス・ベンツSLにトヨタ2000GTと、まるで博物館ですね。いやはや楽しい。
ゴール後は表彰式やセレモニーで幕を閉じます。残念ながらPC競技でいい成績を残せませんでしたが、走り切った達成感はあります。これが気持ちいいんですよね。ラリーの醍醐味。それにマリーナの雰囲気がバッチリとベントレーに似合っていました。
というのが今回参加した“サクララリー・マリンGT”のレポートですが、こういったイベントは今後も開催されることでしょう。皆さんも参加したり、見に行ってください。大人になるとこんなワクワクする機会そんなに多くありませんから。童心に戻って楽しんじゃってもいいのでは。
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。