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更新日:2021.08.13 / 掲載日:2021.08.13
発表直前!新型フェアレディZはここに注目【自動車ジャーナリスト九島辰也が解説】

フェアレディZ プロトタイプ
文●九島辰也 写真●日産
2020年9月16日にオンラインで世界に向けて発信された新型フェアレディZのコンセプトモデルは多くの反響を呼びました。その前の時点でティーザー広告で“チラ見”させていたんですから、かなり気合が入っています。
発表されたプロトタイプは、よく出来ていると思います。それは誰もがそう思ったように“Zらしさ”があるからです。初代S30を21世紀に蘇らせるとこんな感じでしょう。全体のフォルムもそれを強調しています。ロングノーズ&ショートデッキがこのモデルのアイデンティティですからね。コルベットがミッドシップになってもこいつはFRを死守するはずです。
ディテールもいい感じに仕上がっています。ヘッドライトは真円ではありませんが、LEDライトユニットで丸みを帯びたように見せています。現行のZ34型が個性的なライトのカタチをしていますから、そこはシンプルになりました。シンプルなのがいいですよね。個人的にはまさに真円にして欲しいくらいです。その方がS30っぽいですが、それだとノスタルジック過ぎちゃうかもですね。なるほどさじ加減がムズイ。
でもリアコンビネーションランプはコンセプトモデルのまま進めて欲しい気がします。Z32にも似ていますし、個人的に大好きなZ31の後期型風にも見えます。暗闇で浮かぶ一本線がクールです。
こうしたデザインは日産専務執行役員グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アンバイザ氏が最終的なジャッジをしていると思われます。長年北米におけるインフィニティを手がけていた人物です。何度かデトロイトモーターショーでインタビューさせていただいたことがありますし、かなりフランクに話をしたこともあります。インフィニティQ60なんか彼っぽい作品かなと。日本では販売されていないのでわかりづらいですが、言ってしまえばスカイラインクーペです。あの妖艶で2枚目風な佇まいが、彼のデザインの真骨頂と言えるでしょう。つまり、新型Zも“2枚目”になるのは明らかです。

日産専務執行役員グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アンバイザ氏
まずは北米で8月17日に市販モデルを公開

フェアレディZ プロトタイプ
ボディサイズは全長4382mm、全幅1850mm、全高1310mm。最近は全幅がやたらと広がっていますから、このくらいに納めてもらえると助かります。普段使いできそう。ほぼ毎年のように厳しくなる衝突要件の話を聞くと開発陣は頑張ったんだと思います。
パワースペックはV6ツインターボで6速MTが組み合わされることがアナウンスされました。いったいどんなパフォーマンスとドライブフィーリングなのか気になります。そこで、オンライン発表会でのチーフプロダクトスペシャリスト田村氏の言葉を振り返ると、なんとなく掴めるような気になります。それは、日産GT-Rは「モビルスーツのようにマシンのパワーを電子制御を使って、人間の叡智をかけいかにドライバーとコネクトするか」というキャラなのに対し、新型Zは「ダンスパートナーのように、踊る相手とシンクロナイズすることが大事」と口にしました。なんかいい感じだと思いませんか?
想像するに、V6ツインターボのハイパワーでいながらハンドリングマシンってところでしょうか。日本のメーカーにはあまりないキャラですね。英国車あたりをイメージします。でもピーキーな走りにはならないと思います。NISMOがありますから。言うなればハンドリングはGR86よりBRZより。でもNISMOの技術ってすごいんですよね。ただパワーを引き出すだけでなく、扱いやすかったりもします。トータルでのバランスがいいんですよね、きっと。なんてすでにNISMOバージョンを思い浮かべてますが、気が早すぎでした。
さて、そんな新型フェアレディZがいよいよ8月17日にアンベールされます。場所はニューヨーク。Z登場以前のSRL311の時代からフェアレディはアメリカで大人気ですからわからなくもないです。とはいえ、その後に控えていたニューヨークオートショーがコロナ禍の影響でキャンセルになりました。1900年から続く歴史あるショーで今年は春から夏にずらしての開催だったのに残念です。これまで何度か足を運んでいますが、マンハッタンを彩るショーとして大好きでした。
とはいうものの、17日に新型Zは我々の前にオンラインでお披露目されます。期待していいかと。電動化が叫ばれる中、日産にとっては最後のピュアガソリンスポーツカーかもですね。マイナーチェンジで電動化もあったりして。このクルマでe-POWERってどうなんだろう? 初めからそんなシャシーなのか? 可変圧縮比システムのVCターボなんか積んだりして。
なんて話はアンベール後昨年のオンラインで活躍した田村さんにいつかお話ししていただくとして、まずは純粋に17日を楽しみましょう! でも17日って日本時間なのかな?
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

自動車ジャーナリストの九島辰也氏
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。