輸入車
更新日:2021.06.04 / 掲載日:2021.06.04

ジャガー Eペイス/気になる中古車【試乗判定】

気になる中古車【試乗判定】のメインカット

2018年モデル ジャガー Eペイス S 250PS

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年7月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年5月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

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  • 竹岡 圭さんのプロフィールカット

    自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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    自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

ジャガーが送り出すスポーティなコンパクトSUV

歴史的にもジャガーはスポーティなブランド

竹岡 圭さんと九島辰也さんとEペイス

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はジャガーから人気のコンパクトSUVであるEペイスが登場です。お借りした車両は2018年モデル、グレードは「S 250PS」、走行距離は1万8000kmとなります。
竹岡●コンパクトという割には大きいけどね(笑)。
九島●そうなんだよ。新車が出たときの試乗会でも思ったより存在感があって驚いた。このクルマのボディサイズ教えてもらっていい?
編集部●全長が4410mm、全幅が1900mm、全高が1650mmです。
竹岡●幅と高さはお兄さん格のFペイス(全長4740mm、全幅1935mm、全高1665mm)とほとんど変わらないじゃん。
九島●そうでしょ! 全幅が大きいんだよねこのクルマ。というか、全長と全幅の比率でいったら、スポーツカーのFタイプ(全長4470mm、全幅1925mm、全高1315mm)とほとんど同じだ。そこにこのクルマのキャラクターを見極めるカギがありそうだね。
竹岡●ジャガーのキャッチフレーズは「THE ART OF PERFORMANCE」だっけ。スポーティなブランドだっていうのはわかってるんだけど、どうしてなの?
九島●話は1920年代までさかのぼるんだけど(笑)、もともとバイクのサイドカーからジャガーのビジネスはスタートしたんだ。当時からそのデザインが評判を集めていたんだけど、四輪に参入してコーチビルダーとして腕をふるったのね。
竹岡●馬車の名残でボディを専門のコーチビルダーが作ってた時代だ。
九島●そうそう。で、1934年にはついに独自モデルを開発。36年には名車SS100を送り出して、一流メーカーの仲間入りをしたんだ。で、戦後レースにも積極的に参加して、ジャガーは高性能で美しいクルマっていうイメージが定着する。
竹岡●欧州の高級ブランドってだいたいレースで活躍した歴史があるね。私のジャガーのイメージは、渋い紳士が乗っているクルマだったから。
九島●日本だとXJシリーズの人気が高いからそうなのかもしれない。
編集部●そんな歴史があるからこそ、SUVのEペイスもスポーティな仕立てになっているということですね。
九島●そういうこと。
竹岡●言われてみると、エクステリアもインテリアもFタイプによく似ているよね。なるほど。
九島●コンパクトSUVはライバルが多いから、ジャガーはあえてキャラクター性を強調したんだろうな。
編集部●そんなEペイスが日本に導入されたのは2018年で、全車2L直4ターボの4輪駆動で、ガソリンとディーゼルが存在します。通常モデルとスポーティ版の「Rダイナミック」それぞれに装備の異なるグレード「S」、「SE」、「HSE」が用意されていて、最後の数字が最高出力を表します。
竹岡●じゃあ今日のクルマは、ベーシックタイプ、ベーシックグレードの250馬力版ってことだ。
九島●一度理解できればシンプルな命名ルールだな。わかりやすい。
編集部●では、そろそろ試乗のほうをよろしくお願いします。


九島「ジャガーらしい走りのスポーツカー的SUV」

竹岡「全幅が広いのが女性にはちょっと扱いづらいかも」

九島辰也さんがEペイスを試乗

DETAIL CHECK

Eペイスの外観

クラス随一のスポーティなキャラが用途に合うか合わないかを見極めたい

編集部●試乗から戻ってきましたので、お二人から感想を伺います。
九島●相変わらずSUVの皮をかぶったスポーツカーだった(笑)。
竹岡●ほんとそう。ハンドリングもグイグイ鼻先が動くシャープな感じで、FペイスがゆったりとSUVらしい動きをするのとは対照的。アクセルの反応も鋭くて、ダイレクト感がすごくある。
九島●SUVにいわゆる「ヨンク」的なイメージを持っていると、ちょっとびっくりするかも。
竹岡●家族で共用するコンパクトなSUVを探しているっていう人だとちょっとミスマッチかも。足も硬いし、全幅が1900mmと幅広いから、誰にでも運転しやすいというタイプじゃないと思う。
九島●そうだね。このクルマはあくまでもSUVのルックスをしたスポーツカーとして考えたほうがいい。中古車市場はどんな感じなの?
編集部●物件の数はあまり多くありません。平均価格でいえば400万円の半ばなのですが、認定中古車で走行距離1万km程度の上質なものが400万円以下で販売されていたりするので、そのあたりねらい目かと。
九島●そんな価格で認定中古車買えちゃうんだ。だったら悪くないよ。
竹岡●まだ新車がデビューしてから3年くらいでしょ。それでジャガーのSUVに乗れるならいいね。
編集部●今後さらに下がるとは考えにくいので、欲しい人には今はチャンスかと思います。
九島●中古車はそういうところがおもしろいよね。赤とか青のちょっと派手な色で、ホイールは黒だな。
竹岡●気になってるねぇ(笑)。

Eペイスについて語り合う竹岡 圭さんと九島辰也さん

先進安全装備を含めて装備はベースグレードでも充実

Eペイスのインテリア

 全車にインフォテインメントシステム「InControl Touch Pro」を搭載。10インチのタッチ式スクリーンには、カスタマイズ可能なホーム画面とボイスコントロール機能も備えている。先進安全装備としては、自動緊急ブレーキやレーンキープアシスト、ブラインドスポットアシストを装備。

ジャガーらしい上質さを感じさせるインテリア

Eペイスのシート

 ジャガーらしい仕立てのよさを感じさせるインテリア。収納スペースも充実していて、センターコンソールには取り外し式のカップホルダーを搭載。このカップホルダーにはスマートフォン収納用のスペースも用意。取り外せば小型タブレットや750mlのペットボトルが収納できる。

ディーゼルを含めて4種類のパワーバリエーションを用意

Eペイスのエンジンルーム

 エンジンは、パワーの異なる3種類の2L直4ターボエンジン(200馬力、250馬力、300馬力)と2L直4ディーゼルターボを用意。全車4WDで、通常時は前輪駆動として効率を高め、スリップしやすい状況では電子制御マルチプレートクラッチにより駆動力を効率的に配分する。

想像以上に広く、使い勝手にも優れたラゲッジルーム

Eペイスのラゲッジルーム

 ラゲッジ容量は、標準状態の577Lから最大で1234Lと十分なスペースを確保。6対4分割の後席を倒すことで、最長で約1570mmの長さの荷物が収納できる。また、オプションのアクティビティキーは耐水性で、車内に通常のキーを置いたまま、スポーツやレジャーが楽しめる便利なアイテム。

試乗判定レビュー

Eペイスの走行イメージ

※各項目に対して5点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • ジャガー初のSUV、FペイスをかなりスポーティにしたのがEペイスですが、どちらかと言えば背の高い4ドアクーペくらいに思ってもらうといいかも。それくらい個性際立つタイプ。「美しく速いクルマ」がジャガーの永遠のテーマのひとつですが、それをそのまんまSUVに落とし込んで具現化した感じ。とにかくスタイリッシュで速いクルマです。

  • インテリアもSUVとは思えないほどコックピット感満点。ドライバーは包まれ感があって自分の世界に浸れそうだけれど、そうなると助手席はちょっと寂しいかも……。とはいえ、ジャガークオリティの上質感で、居心地のよい空間になっているのは間違いナシです。安全装備系統も必要最低限+αは装備されているので、安心感も問題ナシ。

  • パワフルなのはもちろんですが、パワーの出し方がアピール度満点&乗り心地カタメなので、街中のチョコチョコ乗りは少々気を使うかも。ズバリ言っちゃうと、ママのお買い物&家族の送迎用のセカンドカーとして選ぶタイプのクルマではありません。でもその分、フィールドによってはハンドリングを含め、グイグイとした機敏な走りが楽しめますヨ。

竹岡 圭の試乗判定(1件)
平均点 4.8
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 5.0
  • 走り 4.5

九島辰也

  • かつて、セダン派生のスポーツカーを作るときにホイールベースを短くするのが運動性能を引き上げる定番手法だった。EペイスはFペイスのコンパクト版ではあるが、よりスポーツ感を高めたモデルというとらえ方が正確なのかもしれない。それくらいデザインもクルマの仕立ても、同社のスポーツモデルであるFタイプによく似ている。

  • 運転席に座ると包まれ感があり、まさにコックピット感覚。3スポークのステアリングもそうだし、ドライブモードセレクトのスイッチも、いかにも使いやすそうな位置に配置されている。デビューが最近なだけあって、インフォテインメントもタッチ操作対応だし、先進安全装備も充実している。オプションの電動テールゲートはぜひ欲しいアイテム。

  • ジャガーはその歴史からして、スポーティなクルマを作るブランド。だからコンパクトSUVのEペイスであっても、まるでスポーツカーのような切れ味鋭いハンドリングを実現させてしまう。個人的にはちょっとやりすぎと思う部分もあるが、ありきたいのSUVではものたりない人にとっては、Eペイスはほかにない選択肢になるだろう。

九島辰也の試乗判定(1件)
平均点 4.3
  • ポジショニング 4.5
  • 装備 4.5
  • 走り 4.0

グーワールド 編集部

  • 歴史ある英国ブランドのジャガーが人気のコンパクトSUVクラスに投入したのがEペイスです。同ブランドのアイコンであるFタイプをイメージさせる内外装はスポーティでなおかつ気品があふれ、上質な世界観を提供してくれます。全モデルが4WDで、道や天候を選ばない頼もしさも。中古車物件は少ないですが価格もこなれていて魅力的です。

  • 装備によって3つのグレードが用意されているEペイスですが、ベーシックな「S」である試乗車でも、プレミアムカーとして十分な装備が揃っています。また、ブランドによってはオプション装備となっている先進安全装備が基本的に標準装備となっているのはうれしいところ。インフォテインメントシステムも先進的で、十分満足できる内容です。

  • 通常のSUVは操作を行ってからクルマが反応するまでに若干のタイムラグがありますが、Eペイスはそれがほぼゼロ。ステアリングを指一本切っただけでクルマが機敏に反応します。そのキャラクター性をプラスと捉えるか、運転しにくいと考えるかで好みがわかれると思います。試乗車は250馬力バージョンで、その加速はまさに爽快そのものでした。

グーワールド 編集部の試乗判定(1件)
平均点 4.7
  • ポジショニング 5.0
  • 装備 4.5
  • 走り 4.5

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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