徹底分析中古車相場
更新日:2020.10.07 / 掲載日:2020.10.07
【日産 フェアレディZ】次期型が見えてきたいま、現行型の中古車相場を探ってみた

※ナンバープレートはハメ込み合成です
先日、次期型フェアレディZのプロトタイプがお披露目された。初代S30型のイメージを受け継ぐその姿に心ときめいたファンは多く、Twitterでも車名がトレンド入りするほど盛り上がった。生産型の発表は先になりそうだが、生産終了が危ぶまれがちなジャパニーズスポーツが次世代に繋がるだけでも、ホッと胸を撫で下ろしたくなる。ところで、現行型フェアレディZが発表されたのは2008年12月だから、すでに12年もの月日が経過した。中古車も十分な数が流通しているから、新型に手が届かなくとも現行型なら買えるのでは?と考える人は少なくない。そこで今回は、現行型フェアレディZの相場動向を探り、狙い目の年式やグレードをお伝えしようと思う。
日産 フェアレディZってどんなクルマ?
国産スポーツカー黎明期の1960年代に生まれた「ダットサン フェアレディ」の後継として、1969年に登場した初代フェアレディZ(S30型)。世界的名車ジャガーEタイプを思わせるロングノーズ・ショートデッキスタイルの後輪駆動という、スポーツカーの雛形とも言えるプロポーションは世界中のファンを魅了。日本はもちろん、北米でも大ヒットした。この初代Zは、当時のスカイラインGT-Rに積まれたS20型エンジンを積む「432」など、硬派な走りのモデルも大きな魅力である。
1978年には2代目(S130型)、1983年には3代目(Z31型)が登場。初代のプロポーションを受け継ぎつつ、より豪華なGTとしての性格も強めていった。とくに2代目で登場したオープン仕様のTバールーフは、4代目まで設定されている。1989年には4代目(Z32型)がデビュー。V6ターボの最高出力は280馬力に達し、以降に登場する国産車は、その後10年以上に渡りこの馬力が自主規制の上限となったというエピソードもある。ハイパフォーマンスな性能とグラマラスなボディの4代目は、2000年まで生産が続けられた。
2000年に生産を終了したフェアレディZだが、新しい日産ブランドの象徴として21世紀に生まれ変わることになる。2002年7月、5代目(Z33型)が登場したのだ。スカイラインのシャシーを短縮し、運動性を追求。従来までは後部座席を持つグレードも選べたが、この5代目以降は全車2シーターのみとなり、リアルスポーツカーとしての資質を高めた。また、度重なる年次改良により、最高出力はかつての自主規制値を破り、最終的に313馬力にまで達したことも注目のポイントだ。
そして2008年12月、現行型となる6代目(Z34型)が登場。ホイールベースは先代からさらに100mm短縮された2550mmとなり、スポーツカーとしての純度をさらにアップ。エンジンは336馬力の3.7L V6 DOHCを搭載し、動力性能も高められた。さらに、NISMO仕様を追加し、サーキットをメインに使うユーザーにも訴求。その後も改良が続けられ、2019年4月には50周年記念車をリリースしたことも話題となった。
日産 フェアレディZの年式別平均価格から見た狙い目の年式は?

まずは現行型フェアレディZの改良遍歴を振り返ってみたい。発表されたのは2008年12月1日で、同日に発売がスタート。エンジンは従来の3.5Lから3.7Lに拡大されたが、グレード構成はベースグレードに加え、「バージョンT」、「バージョンS」、「バージョンST」の4タイプと、先代モデルに準ずるもの。新車時価格帯は362万2500円~446万2500円。2009年には、専用の内外装とチューニングシャシーを与えた「バージョンNISMO」が登場した。同年10月には、ソフトトップを備えたオープンモデルのフェアレディZロードスターを追加。2010年11月には、AT車にシフトアップインジゲーターを採用するなど、一部改良が行われた。
2012年7月にはマイナーチェンジを実施。フロントまわりのデザインが改良されたほか、「バージョンS」と「バージョンST」に、ユーロチューンドサスペンションを採用。また、ブレーキパッドに新開発の摩擦材を用いることで、耐フェード性能も高められた。2013年6月には、後期型がベースとなった「NISMO」が登場。2014年7月には、そんな「NISMO」がマイナーチェンジでフロントデザインを中心にデザインがリニューアル。専用のレカロ社製シートも与えられた。
2015年7月には力強いエンジンサウンドを演出する「アクティブサウンドコントロール」、不快なこもり音を低減する「アクティブノイズコントロール」を採用。2016年8月、「プレミアムアルティメイトイエロー」という過去に人気のボディカラーが復活。同時に「バージョンST」や「NISMO」には、BOSEサウンドシステムが標準装備となっている。2017年7月、前後ランプをブラックハウジングで強調したほか、19インチアルミホイールが新デザインになるなど、一部改良を実施。また高効率クラッチペダルも導入され、ペダル踏力が軽くなった。これらを踏まえ、年式別中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2009年式 | 191万円 |
2010年式 | 213万円 |
2011年式 | 223万円 |
2012年式 | 221万円 |
2013年式 | 241万円 |
2014年式 | 288万円 |
2015年式 | 315万円 |
2016年式 | 325万円 |
2017年式 | 381万円 |
2018年式 | 372万円 |
2019年式 | 415万円 |
物件豊富な前期型(2012年式以前)が狙い目
人気スポーツカーゆえ、登場から12年近く経過しても値崩れはしていない。2009年式の平均価格が191万円だから、まだまだ高値が続く。ちなみに2018年1月にも現行型フェアレディZの相場を調査したが、その際は2009年式の平均価格は207万円。3年半以上経過しても、18万円しか下がっていない。しかし高年式は値下がりの幅が大きく、例えば2015年式は今回315万円だが、2018年1月の調査では365万円と50万円も下がっている。
物件数に注目すると、ボリュームがあるのは2012年式以前の前期型。特に2009年式が最も豊富である。価格重視ならば低年式、コンディション重視ならば高年式がターゲットなのは定石だが、フェアレディZの場合、単純に多走行&高年式だから安いというわけでもなさそう。個々の物件をじっくり検討した探し方が必要だ。
日産 フェアレディZのグレード別平均価格から見た狙い目のグレードは?

フェアレディZのグレードは、ベースグレード、本革シートを備えた豪華な「バージョンT」、強化ブレーキなどスポーティな装備を盛り込んだ「バージョンS」、そして両グレードの長所を兼ね備えた「バージョンST」が基本。これに、専用チューニングシャシーと専用内外装を持つ「NISMO」が加わる。今回は物件数の多いクーペ各グレードの平均価格をチェックしてみたい。
グレード | 中古車平均価格 |
ベースグレード | 217万円 |
バージョンT | 203万円 |
バージョンS | 255万円 |
バージョンST | 218万円 |
バージョンNISMO/NISMO | 379万円 |
※クーペのみ
最上級グレード「バージョンST」を積極的に選ぼう
グレード別平均価格は、NISMOを除けば各グレードに極端な差はない。このデータでは「バージョンS」がほかよりも高めだが、物件数が少ないため、たまたま高額な個体が平均価格を引き上げているのが理由と推察される。ベースグレードと「バージョンT」の物件は同程度で、「バージョンS」の2倍以上流通。そして物件が最も多いのは「バージョンST」で、平均価格も手頃。中古車として探すなら、最上級モデルを積極的に狙いたい。なお、MT車の比率は全体の25%程度と少なめだ。
日産フェアレディZの中古車価格相場のまとめ

それなりのコンディションならば200万円の予算を確保したい現行型フェアレディZ。デビューは古いが、まだ現役のスポーツカーとなれば、相場としては適正といえよう。さらに手頃な予算で探すなら、先代(Z33型)はいかがだろうか。物件数は現行型よりも多く、全体の平均価格は94万円と100万円を切る。走行距離は伸びたものが多いが、探せば100万円前後の予算で3万~5万kmの物件も見つかる。次世代Zが盛り上げてくれそうなスポーツカーブームに乗り、過去のフェアレディZに目を向けてみるのも楽しいかもしれない。