中古車購入チェックポイント
更新日:2018.02.27 / 掲載日:2018.02.27

今どき自動車安全装備徹底ガイドその1

 世界の自動車業界のトレンドのひとつが「自動化」だ。ドライバーの代わりに、クルマが自ら目的地まで走ってくれる。もしも、そんな完全自動運転が実現すれば、世界は一変するだろう。ドライバーが楽チンなだけでなく、交通事故も激減する。また、渋滞も苦にならなくなるし、移動中の時間が自由に使えるようになる。寝ていてもいいし、仕事をしても、映画を見て楽しんでもいい。「食事に行こう。どれどれ、今日はどこが割引しているのかな? おお、新しい中華料理店が安い! そこに自動運転車で連れて行ってもらおう」という広告連動でレストランに連れてゆくという新サービスができるかもしれない。完璧な自動運転技術が完成すれば、クルマは所有するものではなく、必要なときに呼んで使うサービスに変化する可能性もある。そんな具合に、クルマの自動化は、未来を切り開くカギとなる。そのため、世界中の自動車メーカーやサプライヤーは、必死になって自動化の技術を開発しているのが現状だ。
 しかし、技術は一足飛びに完成するわけではない。少しずつ、少しずつ進化する。最初は簡単なものから。アクセルを人の代わりにクルマが操作するクルーズコントロールも立派な自動化。さらに前走車を追尾するACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)も、アクセルとブレーキが自動で操作されているから、これも立派な自動化。一方、最先端の開発中のモデルは、ステアリングとアクセル&ブレーキのすべてをクルマが操作し、高速道路のコーナーや合流などをこなしながら走る。これも自動化だ。
 これらはすべて、運転を自動化する「運転自動化システム」と呼べる。だが、これら全部を「自動運転車」や「自動運転システム」とまとめてしまうと、「このクルマは、どこまでできるの?」がわからなくなってしまう。宣伝などで、「自動運転車!」と言っていても、実情は、それほどすごくないというケースも生まれてしまう。

  • 2016年に発売された日産セレナから搭載された「プロパイロット」。前走車と車線の白線をモニターしながらアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動制御。

  • 日産の「プロパイロット」は自動運転レベル2に属する技術だ。現在、リーフ、エクストレイルへと採用を広げている。

 そこで、自動車業界内部では、どこまでできるのかを理解するためのレベルを用意した。レベル0からレベル5までの6段階だ。これを使えば、「自動化自動化といっているアナタは、業界スタンダードでは、これくらいだよ」という目安になる。以下に、その内容を説明しよう。
 レベル0は「運転自動化なし」。運転はすべて人間のドライバーが行うものを指す。
 レベル1は「運転支援」。クルマの縦方向、もしくは横方向の操作をクルマ側が行う。たとえば、クルーズコントロール。もしくは車線逸脱防止のためのステアリング操作をクルマ側が行うもの。もちろん、ドライバーは常にステアリングを保持し、走行そのものを監視していなければならない。
 レベル2は「部分的運転自動化」。縦方向と横方向の両方をクルマ側が操作する。量産化されているものでいえば、車線逸脱防止ステアリング・アシスト付きのACCが該当する。このとき、ドライバーはステアリングを保持し、走行のすべてを監視。問題があれば、ドライバーは、すぐさまクルマから運転を引き継がなければならない。
 レベル3は「条件付き運転自動化」。アクセル&ブレーキとステアリングだけでなく、ウインカーなど、運転に必要なすべてをクルマ側が担当。ただし、場所は決められたところだけ。そして、クルマ側が「これ以上の走行は無理」と判断したときは人間のドライバーに運転交代を要求する。ドライバーは、運転を代わる用意ができていないといけない。ただし、クルマ側で問題なく走行できているときは、ステアリングから手を離してもいいし、走行を監視する必要もない。
 レベル4は「高度運転自動化」。レベル3同様に、運転すべてをクルマ側が担当。しかし、問題があったときに人間にドライバー交代を求めない。自動で停車などが可能となる。だが、どこの道でもOKではなく、限られた場所だけでしか使えない。
 レベル5は「完全運転自動化」だ。これは文字通りに、最初から最後まで、しかも道を選ばずに、クルマがすべての運転を担当。乗員はなにもする必要がない。
 こうしてレベル0からレベル5までが定義されており、市販化されたシステムや、開発中のシステムを、このレベルに当てはめれば、システムの実力化が見えてくる。ちなみに、現状では、どんなに進んだシステムでも量産車に許されるのはレベル2の「部分的運転自動化」だ。これは技術の問題もあるが、法制度/保険制度の不備という理由がある。レベル3で万一交通事故が発生した場合、誰がどのように責任を取るのかが決まっていないのだ。そのため技術があっても使えないというのが現状。それが解消されるまで、あと数年が必要なのではないだろうか。つまり、量産車の自動化の進化は、レベル2で足踏み状態になる。
 とはいえ、逆に言えば、レベル2までの技術が熟成されているのが現状。そして技術が高まればコストも下がるもの。そうなればレベル1と2の技術が、より広い車種に普及する。つまり、自動化が裾野に広がり、身近になるのが、2018年なのではないだろうか。

  • スバルのアイサイトも現在ではレベル2に機能が到達している。レヴォーグなどに搭載される最新のアイサイトは、カラー画像によるステレオカメラを搭載。

  • 高速道路走行におけるアクセル、ブレーキ、ステアリング制御を行う「ツーリングアシスト」を搭載している。

  • 電気自動車メーカーのテスラが採用する自動運転技術は、8台のサラウンドカメラで、360度の視界と最長250m先までを視認。

  • 超音波センサーを搭載し、物体を高い精度で検知する。ソフトウェアのアップデートや仕向地毎の法規制に合わせ、自動運転レベルを上げるという。

Audi AIトラフィックジャムパイロットを2018年発売のフラッグシップセダンA8への搭載を発表したアウディ。

時速60km以下という条件ながら、渋滞中の高速道路をレベル3の条件付き自動運転を行えるという。

ただし、国内では法規制があるため、使用するには法改正を待たなくてはならない。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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