徹底分析中古車相場
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2018.02.16
【日産 リーフ】買うなら新型or旧型? 相場分析で見えた答えとは

いまからおよそ7年前の2010年12月、電気自動車(EV)のリーフが発売された。その少し前に三菱からアイミーヴという軽規格のEVが登場しており、ちょうどこの時期は量産EVの黎明期と言われている。ただし両者は真っ向からぶつかるライバルではなく、軽自動車「アイ」をベースとしていたアイミーヴに対し、リーフはデザインからプラットフォームまで完全専用設計されている。デビュー当時のリーフの新車価格帯が376万4250円~406万350円と、コンパクトなクルマとしては高額だったが、国から最大78万円の補助金が出たため、新しいモノ好きなユーザーや、エコ意識の高いひとから大いに注目を集めた。
そんな初代リーフの中古車が、ここ数年大幅に安くなっている。先日フルモデルチェンジを受けて新型が出たが、価格の下落はもっと前から始まっていた。理由を探ってみると、デビュー時に購入してみたものの、内燃機関車のような長距離走行ができず、ライフスタイルに合わない…と感じて手放したひとが多いようだ。また、リーフは7年間のモデルライフのあいだ、幾度かの改良でバッテリーを強化していった。EVをスマホやPCのようなガジェット的に捉えているユーザーは、バッテリー容量が少ない「旧型」をわざわざ買うという心理にならないことも、理由のひとつとして挙げられそうだ。中古車市場では供給が需要を上まわる状態になり、初期型なら低走行な物件でも50万円前後で購入できるほど、価格が下がってしまったのである。
でも、ここ最近は充電スポットなどのインフラが、近所のスーパーや道の駅でも見かけるほど増えている。これからのクルマ社会は確実にEVが増えるはずで、いまよりも普遍的かつ身近なものになるに違いない。そんな時代を先取りするためにも、今回は新型リーフと比較しつつ、先代リーフの中古車相場を探ってみたいと思う。
年式別の相場を徹底比較!

ここで初代リーフのモデルヒストリーをおさらいしてみよう。デビューは2010年12月で、24kWhのリチウムイオン電池を搭載し、JC08モードの航続可能距離は200kmを実現していた。2012年11月のマイナーチェンジでは、EVシステム全体をサイズダウンして重量軽減を達成。さらに新設計モーターの採用や省電力化を推し進めた結果、航続可能距離は228kmへとアップしている。また、廉価グレード「S」に加え、本革シート、アラウンドビューモニターなどの便利機能も充実させたから、クルマとしての魅力が一段と増した。
そして、初代の最大のターニングポイントと言えるのが2015年11月のマイナーチェンジである。従来の24kWhのバッテリーに加え、さらなる大容量を誇る30kWh仕様が登場した。大きさは従来型とほぼ同じながら、航続可能距離は280kmへと大幅に伸びたのが特徴。リーフは、登場時から一充電あたりの航続距離の短さがネックだったから、この30kWh仕様に注目したひとは多い。また、このタイミングでエマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)や車線逸脱警報など、最近では当たり前の安全装備も全車標準装備されている。

2017年9月にはフルモデルチェンジが行われて2代目が登場。デザインがよりモダンになり、初代よりも一段とスポーティな印象になった。なにより注目すべきはバッテリー容量が拡大され、全車40kWhとなったこと。そのおかげでJC08モードの航続可能距離は400kmと、従来の280kmから大幅にアップしている。これは初代リーフ登場時と比べると2倍の距離だから、ちょっとくらいの遠出なら、充電なしで往復できるようになったのは大きい進化と言えそうだ。
それらを踏まえ、年式別の中古車平均価格を見ていこう。
年式 | 中古車平均価格 |
2011年式 | 68万円 |
2012年式 | 77万円 |
2013年式 | 95万円 |
2014年式 | 117万円 |
2015年式 | 150万円 |
2016年式 | 168万円 |
2017年式 | 217万円 |
上の表を見ると、初期型はいま驚くほど安くなっている。そして物件数も豊富で、50万円程度の予算があれば、とりあえず車体の購入はできる。2015年式以降のモデルは相場が高くなっているが、これはマイナーチェンジの影響によるものだろう。また改良直後の2016年式は、全年式の半数近くを占めるほど物件が多い。ところが意外なことに、最終型の目玉とも言える30kWh仕様の割合が全体の1割ほどしか存在しないのである。新車当時の価格差はおよそ40万円ほどだったが、多くのユーザーはスタンダードな24kWhを選んだと推察できる。
ちなみに現行型リーフは、2018年2月現在、中古車としてほとんど流通していない。現行型がほしければ、新車の購入以外に手段はないようだ。となるとリーフ購入の選択肢は、おおまかに言えば激安の先代初期の24kWh、ちょっと高めで数が少ない先代の30kWh、そして新車の3パターンに分けられそうだ。性能が飛躍的にアップした現行型が買えるなら、もちろんそれがベストチョイス。日進月歩なEVの世界において、新旧の差は価格を補って余りあるほど大きく、今後長く乗ることを考えると新車をオススメしておきたい。
でも、かぎられた予算のなかで選ぶとなると、旧型を視野に入れるケースも多いだろう。その際選ぶ基準は「リーフに乗ってどこに行くか」で考えよう。セカンドカー、または近所のお買い物クルマとしての用途がメインなら激安な初期型がオススメ。普段は通勤や買い物用途がメインであるものの、しばしば長距離ドライブにも使いたいなら、航続距離が長い30kWh仕様を選ぶと考えてみてはどうだろうか。
EVのあるカーライフってどんな感じ?

最後に、リーフ購入後の話をしておきたい。内燃機関のクルマ(エンジンを積んだクルマ)は100年以上の歴史があるのに対し、EVが量産化され、日々使われるようになったのは、ほんの数年前のこと。だから、内燃機関のクルマに馴染んでいる我々は、EVならではの特性にやや戸惑うことがあるかもしれない。
まず知っておきたいのは、エンジンと比べてバッテリーの劣化は、目に見えて速いと言われていること。バッテリーの劣化=航続距離の短縮であり、すなわち一充電あたりの行動半径が狭くなることに等しい。リーフには、メーター横にバッテリー容量のメモリが刻まれている。バッテリーが劣化すると、このメモリが少しずつ減っていく。これは一般的に「セグ欠け」と言われる現象。中古車を購入する際は、フル充電時のセグ欠けがどの程度なのかしっかりと確認する必要がある。これは、クルマの走行距離などよりもずっと大切だ。
ちなみに日産では、新車登録から最大9年までの「バッテリー保証」を用意している。こちらは有償になるが、容量計が7セグメント以下になった場合、対応してくれることも覚えておきたい。ちなみに保証メニューに加入していなくとも、バッテリーそのものを交換することもできる。その費用はおよそ60万円程度だから、あえてセグ欠けありの激安リーフを買って、バッテリーを新調するというやり方もなくはない。車体+バッテリー代込みで考えても、新車のリーフよりずいぶん安く乗れる。ただし、初期型の24kWh仕様の個体には30kWhのバッテリーを載せることはできないようだ。
また購入後は、充電スポットをしっかりと確認しておくことも大切。ナビで検索できるから、都市部を走っているあいだは急な電欠にも困ることはなさそうだが、一部ではまだ少ないエリアもある。行動圏内の充電スポットは、ある程度頭に入れておきたい。それさえ理解しておけば、内燃機関のクルマとなんら変わることなく乗れる。自宅で充電すれば、近所を走るかぎり給油の必要もなく、維持費も安い。リーフは静粛性も高く、クルマとしての完成度はかなり高いと言っていい。近い将来確実に到来するEV時代に備え、リーフで今から予習してみるのもいいかもしれない。