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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.02
モデリスタマークX+Mスーパーチャージャー 走りのパフォーマンス
走りのパフォーマンスがすこぶる高いスポーツセダンに進化

写真右の黒いボディと真ん中の白いボディが350S(右は19インチタイヤ装着車)で、左端がプレミアム。350Sにはアクティブステアリングなどスポーティな装備が追加されている
【本記事は2010年4月にベストカーに掲載された記事となります。】ハイブリッドやらEVやら、時代がエコカーであるのは認めるものの、クルマ本来の楽しさはなんといっても走りである。それもチューニングカーとなればクルマ好きのハートに火がつくってもんだ。昨年10月19日にデビューしたモデリスタのマークX“+Mスーパーチャージャー”。ワシがコレに興味をいだかないわけはない。モデリスタはいうまでもないがトヨタ直系のカスタマイズメーカーであり、開発にはトヨタの技術部も関与しており、信頼性の高さは折り紙つき。しかも現行のマークXはスカイラインとがっぷり四つに組むスポーツセダンに進化し、走りのパフォーマンスはすこぶる高い。これにスーパーチャージャーで武装したのだから、いったいどんな走りを見せるか……。いやいや、胸が高鳴るではないか。試乗場所は千葉県に新設されたサーキット「袖ヶ浦フォレストウェイ」で、ハイパフォーマンスカーには絶好の舞台。

“+Mスーパーチャージャー”には専用のエンジンカバーが装着される。このユニットにより、318馬力から360馬力までアップ。トルクも50.8kgmと、3.5Lにして5L並みのトルクを得た。この加速は病みつきになる。+150万3000円なら買い!
さて、気になるスーパーチャージャーだが、モデリスタではこれまでにマジェスタ、クラウンで開発しており、200台ほど販売実績がある。その経験を生かしてこのマークXを開発したとのこと。「本体は日本で一番実績のあるオグラクラッチ製(ルーツ式)です。難しかったのはコンピュータチューンですが、トヨタ車のエンジンECU解析能力が日本で一番のチームとタッグを組むことで解決できました」とは、開発責任者である長谷川専務の話。
「秘めた力を蓄えた」コックピット

内装やシートに変更はなし。もともとマークXの内装はスポーティで使い勝手が高いと定評があった。ステアリングは本革巻き
「とにかく乗ってください。マークXにふさわしい仕上がりです」さっそく、フロントグリルにあったノーマルの「X」マークを外して何やらあやしい雰囲気(迫力あるゾ)になったコックピットへ。当然だが、エンジン始動性、アイドリングのスムーズさはノーマルとまったく変わらず。アイドリング音も若干メカサウンドが大きいもののノイジーさはなく、むしろ「秘めた力を蓄えた」ような、力強いもの。それでは、ピットアウトだ。「グォォォォン!」
強烈な低中速域での加速G

マフラーはノーマル仕様のままでもスポーティなデザインのマークX。サーキットで聞くとエキゾーストもグォォォとかなり雰囲気あり
オオ~!! これはナイスではないか。ワシの期待どおりのパワー感、そしてフィールも実にごきげんなのだ。アクセルを踏み込めばごく低回転からでも瞬時にトルクが盛り上がり、そのままグイグイ加速するパワー感はスーパーチャージャーならでは。特に低中速域での加速Gは強烈で、体がシートに貼り付けられるかのようだ。
高回転の伸びも不足なしですばらしいパフォーマンス
スーパーチャージャーは高回転が不得手、といわれるが、このマークXにかぎっては高回転の伸びも不足なしですばらしいパフォーマンスぶりを発揮してみせた。スペックをチェックしてみてもそれは大いに納得。ノーマルの318ps/38.7kgmに対し、360ps/50.8kgmを発生する。出力はともかく、トルクがすごい。これはNAなら5L級のパワーだ。それならどれほどの加速力なのか。「すばらしい!」ではピンとこないと思う。ワシの感覚ではレクサスIS Fなみ、いや車重は100kgほどマークXのほうが軽いから0~100km/h加速ならリードし、0~400mでは互角の勝負。0~100km/hのほうはGT-Rと好勝負かもしれんぞ。それにしてもなんとも豪快な加速フィールだったが、サウンドもこれまでのスーパーチャージャーモデルより濁りの少ない、スポーティ感の高いもの。ワシにも充分刺激的で気持ちよかった。
コーナリング、ブレーキ性能とも一枚うわて

専用19インチタイヤ&アルミホイールは40万1110円のオプション設定 →専用ローダウンスプリングは装着すると約20mm車高が下がり、迫力とスポーティ感が上昇
ところでこれまでのスーパーチャージャーの多くは過給器をクラッチでオン/オフさせていたためにパワーの過激な立ち上がりやクラッチの作動音が気分を損ねていたが、マークXではそうしたネガなフィールがなく、とてもスムーズ。このあたりもアピールポイントとのことだ。またスーパーチャージャーは燃費が悪いというイメージがあったが、日常の走りならノーマルとさほど変わらない、とのこと。専用のスポーツサスの仕上がりもよかった。350Sとプレミアムをベースとする2種のデモカーがあったが、サーキットでごきげんだったのはやはり350Sのほう。こちらにはモデリスタオプションの19インチホイール&タイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツPS2)も装着されており、コーナリング、ブレーキ性能とも一枚うわて。
満足度高いハンドリングと乗り心地のバランス

さらに350SにはAVS(電制可変ダンパーシステム)が標準装備で、モデリスタのスポーツサスもAVSに対応してあるため、サーキットでは大いに威力発揮。スポーツモードで走らせるとこれまた350Sで標準装備のVDIM(アクティブステアリング総合制御)もあっていちだんとダイナミックな走りが楽しめた。いっぽうのプレミアムベースはサーキットではややもの足りない。サスの能力にタイヤが負け気味。ただし、公道で走りを楽しむレベル(ワインディングも)ならハンドリングと乗り心地のバランスという点で満足度高しだろう。

さてさて完成度のすばらしいマークX“+Mスーパーチャージャー”だったが、トヨタのディーラーなら全国どこでも購入できる。「3台だけですが試乗車も用意しています。ぜひ試乗して、楽しさを味わってほしい」とはモデリスタ担当者。気になる価格はスーパーチャージャーのほかに専用エンジンカバー、スポーツサス(20mmローダウン)、専用エンブレム(“+M”および“SUPER・CHARGER”)を装備したコンプリートモデルが350Sベースで502万8000円(税込み)、プレミアムベースで487万3000円、これはイケるぞ。