中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.05

世界初試乗 牙を剥いた445馬力! レクサスLS600h驚異の世界

高速道路を走行するよりも、一般道のほうがライバルに対し優れた燃費性能をマークするLS600h。特に渋滞の激しい都内の一般道などを走行した場合、燃費は1.4倍というから驚き

高速道路を走行するよりも、一般道のほうがライバルに対し優れた燃費性能をマークするLS600h。特に渋滞の激しい都内の一般道などを走行した場合、燃費は1.4倍というから驚き

【本記事は2007年5月にベストカーに掲載された記事となります。】去年9月21日のLS460の衝撃のデビューから約8カ月、5月17日の発表まであとわずかに迫ったLS600h。すでに去年のニューヨークショー、パリサロンで外観やスペックなどが公開されているが、4月上旬にマスコミ向け試乗会がドイツで開催された。試乗したのはBCでもおなじみ、ハイブリッド親方こと、国沢光宏氏。LS600hは日本では970万~1510万円と超高額車のため、一般庶民には無縁のクルマだが、システム出力445馬力のハイブリッドパワーによる動力性能はどんな感じなのか、ベンツS600をはじめとするライバルに対し性能面でどうなのか? 1000万円オーバーの価値はあるのかなどなど、知りたいことは山ほどある。世界が注目するクルマを親方が世界初試乗! お楽しみ!

6Lクラス以上の加速性能と3Lクラスの燃費

LS600hは最高速250km/h(リミッター作動)、0~100km/hが6.3秒、ゼロヨンは14.3秒

LS600hは最高速250km/h(リミッター作動)、0~100km/hが6.3秒、ゼロヨンは14.3秒

いろんな意味でLS600hに驚いてしまっている。ヨーロッパ車の足もとにも及ばなかった時代の日本車を知っている世代だけに「こんな時代がくるなんて予想もしなかったなぁ」と、試乗中、昇天しちゃったほど。書きたいことがたくさんあって、どれから取り上げたらいいか困るなんてクルマ、ホントに久しぶりであります。ありがたいことに今回はページも多いので、LS600hについて深く紹介してみたいと思う。最後までおつき合いください。まずお約束の動力性能から。今回試乗したのはアウトバーンだからなんの遠慮もなく書く。100km/h巡航からアクセルを床までベッタリ踏んだ、と考えてほしい。すると224馬力の強力なモーターがすぐ反応。瞬時に加速態勢となる。1秒後くらいにエンジンも加わり、システム出力445馬力という本格的な加速を開始! シートバックに体重を感じるくらいのイキオイでスピードが乗っていく! 100km/hから200km/hまでの加速、ピュアスポーツカーと真正面から勝負できる感じ。NSXがデビューした時、アウトバーンを走り、持てる性能をフルに引き出す、という取材を行なった。その際、けっこうなペースだったにもかかわらずベンツのSクラスに(抜かれた時に当時最速のセダンと評された410馬力のV12を搭載するベンツS600だと判明)、ジワジワと追いつかれてしまう。道を譲って追走するも、悔しいことに届かず! アウトバーンといえども遅いクルマに引っかかり130km/hくらいまで落ちるのだけれど、そこからの全開加速でジワジワ引き離されたのだ。LS600hは当時のS600を凌ぐパワーユニットを搭載している。全開加速中、メーターパネルに表示されるシステム出力計(モーター+エンジンの合計)を見ると、踏んだ瞬間から250馬力くらい発生。エンジン回転の上昇とともに400馬力を超え、6L、W12エンジンを搭載するアウディA8の450馬力に近い445馬力近くをず~っとキープし続ける。これだけ幅広い速度域で強烈な出力を出し続けるパワーユニットって、今まで存在せず。

常に最高のポテンシャルを発揮する珠玉のユニット 5L、V8+高出力モーターにより445馬力のシステムパワーをマークする珠玉のユニットは、ハイブリッド特有のパワーバンドの広さにより異次元のフィーリング

常に最高のポテンシャルを発揮する珠玉のユニット 5L、V8+高出力モーターにより445馬力のシステムパワーをマークする珠玉のユニットは、ハイブリッド特有のパワーバンドの広さにより異次元のフィーリング

トヨタの社内データによれば、追い越し加速タイムもライバルの6Lエンジン搭載車を凌ぐそうな。そのままアクセル踏み続けてみたら、メーター読み260km/hくらいで穏やかな速度リミッターが稼働(実測値で250km/h以上出ないようにしましょうというヨーロッパでの紳士協定)。さすがに220km/hくらいから上の加速感は、6L級のライバルに負け。何回かアクセル全開しているうち、バッテリーがなくなってしまうからだ。まぁ、そこまでベタ踏みが続くケースは、ほとんどないと思われるが。ただ今や世界的に200km/h以上の速度域って不要となりつつある。スピード違反に比較的甘いフランスやイタリアでも、見逃してくれるのは200km/hくらいまで。アウトバーンだって全体の70%程度がなんらかの速度規制をかけられてしまった。ガソリンをガブ飲みする恐竜の時代は終わりつつあるのかもしれない。トヨタの経営陣にそういった認識があるのかわからないけれど、LS600hに乗ると、いろんな意味で「恐竜の絶滅を横目に生き残った哺乳類だな」と思う。大きさじゃ敵わないが、優れた適用能力や敏捷性を持つのだ。車両説明の時に呈示された「天の川グラフ」(表を参照してください)を見ても、LS600hだけぜんぜん違う場所にいるのがわかると思う。実用燃費は3L、V6エンジン搭載車と同じくらい。けれど追い越し加速が6L、12気筒以上といった具合。いや、絶対的な燃費などどうでもいい。このクラスのクルマを買うユーザー層にとっちゃガソリン代などタイしたもんじゃありません。ガソリン代って経費だろうし。「環境にやさしい」というイメージだけで充分。こう書くとトヨタの開発陣から「燃費も頑張りました!」と怒られそうだが、現在のレベルで100点をつけておく。ちなみに東京都内の渋滞モードだと、6Lエンジン車より40%程度いいそうな。しかもこの手のクルマ、わがままなリアシートの客の意向により、エアコンをビシッと効かせた状態にしておくことを要求される。LS600hなら、エンジン停止状態でもエアコンの稼働が可能。

超高級車は直進安定性がキモです!

スタート時/低速走行時:エンジンは低速走行時に燃焼効率が悪いがそれをモーターが補う。発進時はモーターのみとなり、静粛性と燃費向上に貢献

スタート時/低速走行時:エンジンは低速走行時に燃焼効率が悪いがそれをモーターが補う。発進時はモーターのみとなり、静粛性と燃費向上に貢献

足回りはどうか? 1台目に乗って「う~ん! こら厳しいでしょう!」。アクティブスタビ仕様だったのだけれど、4WD特有のドッシリ感がない。高速巡航中、絶えずステアリングで修正してやらないと真っ直ぐ走ってくれないのだ。GS430の時からアクティブスタビの印象はイマイチです。2台目に乗ったロングボディは普通のサスペンションだったため、まったく問題のない直進安定性を確保できてました。メーター読み260km/hでも問題なし!ラグジュアリークラスのクルマは、1に直進安定性。2に直進安定性。3、4なくて5に直進安定性である。リアシートに座っていると、とにかく左右にチョロチョロ動いてほしくない。ハンドル修正=横方向のGとなってしまう。アクティブスタビ仕様のリアシート、座っていたら酔いました。このクルマを買う人の多くは運転席にゃ座らないでしょう。よって「なし」を推奨しておく。参考までに書いておくと、アクティブスタビが付いていなくてもキッチリ曲がります。

LS600hLのリアの居住性は世界一! これは断言!

贅を尽くしたインテリアは基本的にLS460と同じデザインだが、日本仕様では600hのバージョンU Iパッケージ、600hLの標準、リアセパレートパッケージの3グレードにはインパネ、ダッシュボードの表面が本革となる。これが超手のかかるもので、すべて手作業で作られる。本革の供給量が少なく納期が非常に長くなる

贅を尽くしたインテリアは基本的にLS460と同じデザインだが、日本仕様では600hのバージョンU Iパッケージ、600hLの標準、リアセパレートパッケージの3グレードにはインパネ、ダッシュボードの表面が本革となる。これが超手のかかるもので、すべて手作業で作られる。本革の供給量が少なく納期が非常に長くなる

難しい話はこのあたりにして、LS600hL最大の魅力であるリアシートの居住性について紹介しておく。私が昇天しちゃったの、アウトバーンであります。カーグラ編集部の高平さんに運転してもらい、リアシートに座った、と思ってほしい。リクライニングさせ(寝かした時に効果を発揮する専用エアバッグが付く!)、その分野じゃ高い評価を得ているパナソニック製のマッサージのスイッチ入れた。液晶画面を出しDVD映画など見る。するとどうよ! こらもう最高であります! LS600hLのリアシート、間違いなく世界一快適! と断言しておく。センチュリーからロールスロイス・ファントム、はたまたキャデラックのストレッチリムジンに至るまでリアシートを味見してきたけれど、LS600hは別格。というか、こんな快適なクルマってなかったかも。もちろん見た感じの豪華さや乗り心地ならファントムが圧倒的。広さじゃリムジンに勝てません。

エアコンの超性能にぶっ飛び。これぞおもてなし

エアコンは世界最先端いたれりつくせり! リアのエアコンには最先端の制御技術が盛り込まれている。矢印が空気の流れ

エアコンは世界最先端いたれりつくせり! リアのエアコンには最先端の制御技術が盛り込まれている。矢印が空気の流れ

LS600hLのスゴさは、カユいトコロに手が届いていること。エアコンからして驚いてしまう。ルーフ部分に付いている8つの赤外線センサーにより、乗り込んできた人の体表面の温度を測定(上半身と下半身それぞれ!)。暑い日、涼しい場所に居た人が左後席に。炎天下を歩いてきた人が右後席に座った場合、それに合わせた心地よい温度を別個に調整し、しかも柔らかい革張りのシートの中からリクエストに応じた温度の空気を出す。パナソニックのマッサージ機は、指圧モードとストレッチモード付き。アウトバーンを疾走中に使ってみたら、いやいや予想をはるかに凌ぐキモチよさ。家庭用より若干効きは弱いが、だからこそ疲れない。普通、シートをリクライニングさせると衝突時の安全性に問題出てくるが、前述のとおり太ももの下にエアバッグを装着。シートベルトをくぐりぬけてしまわないようになっている。衝突を回避するための機能もテンコ盛りであります(LS460と同じ)。安心感という点でもLS600hLに匹敵するクルマは存在しない。日本の交通環境なら、多重の安全デバイスによってドライバーのミスもカバー。避けきれず衝突するという事態になったら、11個(!)付いているエアバッグが展開。マッサージ機にかかりながら映画を見て脱力してる乗員(ただしシートベルト着装のこと)も守ってくれる。「苦しゅうないぞよ!」という言葉を、LS600hLのリアシートの評価に変えさせていただく。

アクティブスタビライザーなしがお薦めです!

リアシートの快適性はあのロールスロイスファントム以上これは世界一! リアシートの快適性、安全性は世界一!リアシートを写真のように倒しても安心

リアシートの快適性はあのロールスロイスファントム以上これは世界一! リアシートの快適性、安全性は世界一!リアシートを写真のように倒しても安心

最後にLS600hのバイヤーズガイドを。まだ日本仕様の装備内容が発表されていないため、推奨アイテムをつらつら並べておく。ボディはロングの4人乗りがいい(ロングだとアクティブスタビなしになる)。マッサージ機能付きリアシートと、DVD映画を楽しめるAVシステムも絶対欲しいアイテム。安全性の向上に役立つ電子デバイスもLS600hを買うならぜひ! これで1400万円くらいか。内容を考えればお買い得だと思います。

LS600h&LS600hL さらにマニアックに知りたい人への情報

主要諸元

主要諸元

ブレーキ制御も相当気合いが入っている。LS600hの駆動方式は、雪道のヘビーユーザーも納得のトルセンLSD付きセンターデフを使う本格的な機械式フルタイム4WD。普通に走っているとフロント40%。リア60%という駆動力配分だ。当然エンジンブレーキ時も同じ駆動力配分で電力を回生し、バッテリーに溜める。ブレーキ踏むとどうなるか? これが複雑怪奇、すげぇぜ! なのだ。ハイブリッドだからフロント40%、リア60%の割合で基本的な回生制動を行なう。緩いブレーキングなら、この配分のまま回生制動のみ強める。いっぽう、理想的な前後ブレーキ配分は、フロント70%。リア30%程度だ。ブレーキペダル踏み込んでいくと、まずフロント側のディスクにだけ油圧を与える。さらに踏力を強めたなら、理想的なブレーキバランスになるべくリアにも適切な油圧をかけていく。状況によって(タイヤの空気圧の差や、減り具合を車軸の回転数で絶えず感知)4つの車輪すべてのブレーキ油圧が違うということもあるそうな。エンジンの制御についておさらいしておく。停車状態では基本的にエンジンも停止。アクセル踏んで走り出すと、普通15~20km/hくらいからエンジン始動。運転していればエンジンがかかったのがわかるものの、リアシートだと“ほぼ”体感できず。さすがV8といった感じ。40km/hくらいまでの走行域だとエンジンをかけて走る時もあれば、止まったままの時も。走行中アクセルを戻すと、エンジンは止まってタコメーターはゼロに落ちるから面白い。トヨタのハイブリッドでタコメーターを装着してるのは、LS600hが初めて。なぜかというと、タコメーターの針が落ち着かないからだという。なるほどエンジンがかかっている間、回転数はめまぐるしく変化している。モーターの出力とエンジン回転はシーソーのような関係にあるからだ。バッテリー容量によっても違うのだけれど、100km/h巡航時の回転数を見たら1200回転程度。『EV』モードも使ってみたが、40km/hくらいまでをカバー。早朝や深夜にガレージから出る程度の使い方をイメージしていただければよかろう。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ