新型車比較・ライバル車対決
更新日:2026.08.20 / 掲載日:2026.08.20
新型キックス vs カローラクロス他ライバルモデル
熾烈な競争が続くコンパクトSUV、買うべきなのはどれ?
コンパクトSUV市場で根強い人気を誇るカローラクロスとヴェゼル、そして独自のキャラで存在感を持つクロストレック。この強力なライバルたちに真っ向勝負を挑むのが、満を持して登場した新型キックスだ。ここではそれぞれの強みを再確認することで、「買い」の一台をお教えしよう。
●文:川島茂夫
※本記事の内容は月刊自家用車2026年9月号制作時点(2026年7月中旬)のものです。

新型キックス vs ライバルモデル(カローラクロス/ヴェゼル/クロストレック)
いずれも実力は十分。キャラの違いの選び分け
新型キックスが属するコンパクトSUVにおいて、最大の有力ライバルとなるのが「カローラクロス」と「ヴェゼル」の2モデルだ。カローラクロスはカローラ、ヴェゼルはフィットという人気モデルの基本骨格をベースに開発されており、どちらもベース車以上に室内の広さや使い勝手を高め、ミニバンのような実用的な要素を盛り込んでいるのが特徴だ。
ここではもう一台、ライバルとしてスバルの「クロストレック」も取り上げたい。見た目のデザインやシルエットはキックスとは全く異なるが、実は「こだわりや趣味性を重視する」というキャラクターにおいて、最もキックスに近い存在と言えるからだ。
クロストレックは、ハッチバックのインプレッサから発展したSUVで、全高は低め。だが、最低地上高は今回比較する中で最も高い200㎜を確保している。悪路を突き進むタフさを除けばSUVらしさは控えめだが、どんな天候や路面でも快適に長距離を走破できる全天候型のグランドツアラーという独自の立ち位置を持っている。
対するキックスは、しっかりと背の高さを確保したSUVらしい設計でありながら、前後のタイヤからバンパーの端までの距離を短く見せる小気味よいプロポーションを採用している。これにより、実用車っぽさを抑えた、スタイリッシュでスポーティな個性が際立っている。
もし、キャンプ場の凸凹道や雪道といった悪路での走りやすさを最優先するなら、クロストレックが間違いなくナンバーワンだ。今回の比較車両の中でも、悪路を乗り越える実力は頭一つ抜けている。
ただその半面、運転席からの視界や見晴らしの良さという点では、あまりSUVらしさは感じられない。良くも悪くも、ベースとなったインプレッサと変わらない、乗用車的な運転感覚や取り回し感だ。
カローラ&ヴェゼルは王道を追求した正統派
一方、カローラクロスとヴェゼルの2台は、まさに家族やレジャーで使うための王道SUVというコンセプトに忠実なモデル。メーカーの味付けとしては、ともにスポーティ感やスペシャリティをアピールしているものの、キックスが持つ独特なオシャレさと見比べると、この2台は、実用性や使いやすさを重視した「真面目なクルマ」という印象が強い。
実際の室内の使い勝手を比較してみると、カローラクロスはワゴンボディのカローラツーリングの室内空間を、そのまま上方向へ高く広げたような設計になっている。シートアレンジなどに目新しい仕掛けや工夫があるわけではないが、乗員が座るスペースと荷物を載せるスペースのバランスが非常に良く、誰にとっても扱いやすくて馴染みやすい。
ヴェゼルは、今回比較する4台の中で最も全長が短いが、低床設計やシート格納の工夫により、コンパクトなボディからは想像もつかないほど多彩で広いキャビン空間を実現。幅広い状況で便利に使い倒すことができる。
ホンダはヴェゼルのスタイリングを「クーペのような美しいデザイン」とアピールしているが、実際にクーペっぽさを感じるのはリヤウインドウが少し前へ傾いている部分くらいだ。デザインをよく見ると、車体の後ろ側をスタイリッシュに絞り込むようなことはせず、屋根のラインも後ろまで比較的まっすぐ水平に保たれている。要するに、見栄えのカッコよさよりも、後ろの席の頭上空間や荷室の容量をしっかりと確保することを最優先した、極めて合理的な設計になっている。
日々の買い物やレジャーで重視される、室内の広さや荷物の積みやすさで比べると、優れている順にヴェゼル、カローラクロス、クロストレックとなり、キックスは4WDだと荷室床面も一段高い。
ただし、どのモデルを選ぶにしても、大人4人が乗った状態でさらに大きなレジャー用品を積み込むとなると、コンパクトSUVの荷室ではどれも少々厳しいのが現実だ。4名乗車での大荷物レジャーを重視するならば、このクラスにこだわらず、ワンサイズ上のミドルSUVも選択肢に加えるべきだろう。
一方で、これが2人乗車を前提にしているのであれば、ヴェゼルの使い勝手の良さは相変わらず光るものの、キックスの凝縮されたサイズ感こそが、手頃でちょうどいい。
クラス上の走りを披露するキックス4WDが魅力大
この有力ライバル4台の比較において、キックスが圧倒的なアドバンテージを誇るのは、快適性の高さだ。特に4WD車の出来栄えが素晴らしい。
走りの質感やフットワークの良さという点では、キックスとクロストレックの2台がライバルたちを一歩リードしている。両車ともにボディの骨太な剛性感としなやかな乗り心地のバランスが絶妙だが、なかでもキックスの4WD車は、リヤサスを巧みに動かし、ワンランク上の上質な走りを演出してくれる。乗り手の好みもあるだろうが、上級モデルからの移行を検討しているダウンサイザーにとっては、キックスの上質な仕上がりは相当魅力的に映るはずだ。
車内の静かさ、静粛性については、設計年次が新しいキックスに一日の長がある。
今回比較した4台は、いずれも最新技術を投入した本格的なハイブリッドシステムを採用している。その仕組みは4車それぞれで全く異なるが、アクセルを踏み込んで加減速したときのエンジン音の急な高まりや、タイヤが路面を叩くロードノイズの不快な響きなど、乗員に伝わる耳障りな刺激を最も小さく抑え込んでいるのがキックスなのだ。
とはいえ、ライバルたちと比べて圧倒的な大差がついているわけではない。しかしキックスは、他の3車に比べると、クラスの違いを意識させられるような、騒がしい場面がとにかく少ない。その静かで上質な仕上がりを考えると、プレミアム感や趣味性を最優先したいユーザーにとって、キックスは間違いなく最有力候補となるだろう。
NISSAN 新型キックス

TOYOTA カローラクロス

幅広いニーズをこなせる高い総合力を持つ王道SUV
カローラシリーズのプラットフォームをベースに開発されたコンパクトSUV。以前は純内燃機モデル(ガソリン)も選ぶことができたが、現在は1.8ℓハイブリッドと2ℓハイブリッド車のみになっている。“カローラ”を名乗ることもあって、キャビン&荷室は実用性を強く意識した設計。目新しいギミックはないものの、キャビンスペースと荷室容量のバランスに優れる。車載ITや安全装備の主要機能は、全グレードに標準装備されるなど、装備水準もクラストップレベル。全方位にバランスよく優れている。





HONDA ヴェゼル

小さな車体に使いやすさを凝縮した実用派
フィット系の基本骨格をベースに、優れた空間効率を追求したコンパクトSUV。燃料タンクを前席下に配置するホンダ独自のセンタータンクレイアウトや、座面を跳ね上げられる後席格納の工夫により、多彩かつ多用な積載性を実現。街乗りからアウトドアまでの使い勝手はトップクラスだ。
ガソリン車も選択できるが、販売の主力はハイブリッド車。走行状況に応じてエンジン直動までこなす2モーター式ハイブリッド「e:HEV」を搭載することで、燃費と動力性能のバランスの良さも高く評価されている。





SUBARU クロストレック

悪路をものともしない全天候型ツアラー
ハッチバックのインプレッサから発展したクロスオーバーSUV。全高は低めに抑えられており、運転感覚は乗用車に近い。最低地上高はライバルの中で最も高い200㎜が確保され、4WD車にはシンメトリカルAWDが採用されるなど、オフロードに強いスバル車らしい美点も受け継いでいる。
パワーユニットは、2ℓエンジンのマイルドハイブリッド車と2.5ℓエンジンのストロングハイブリッド(S:HEV)を選べるが、マイルドハイブリッド車は生産終了が告知されている。




