カーライフ
更新日:2026.08.10 / 掲載日:2026.08.10
【ボルボに学ぶ安全の最前線】安全のプロが日本のドライバーに伝えたいこと

クルマに関する気になる話題を掘り下げたり、ニューモデルの試乗記事を紹介するコーナー。最新トレンドをわかりやすく、詳しく解説します。
死傷者が一人でもいればその数は多すぎる
安全に人生を捧げた人がいる。ボルボのロッタ・ヤコブソン博士だ。
チャルマース工科大学で交通安全に関する機械工学の博士号を取得、以来140本以上の論文・学術発表を行ってきた交通安全研究の世界的権威だ。1989年のボルボ入社からも、数多くの安全技術の確立にその手腕を発揮している。この度、約10年ぶりに来日しセミナーを行った。

「安全はすべてに優先する」という社是を掲げるボルボ。特に3点式シートベルトの発明(1959年)と特許の開放は、社会に多大なる貢献を果たした偉大なものだ。
しかしその3点式シートベルトも、世間からなかなか認められなかったという。メーカーにとってはコストがかかり、ユーザーにとってもわずらわしく感じるからだ。安全というのは日常において実感しにくい。
そこでボルボはデータを収集し、その有効性を数値で証明。同時に卵を使った実験装置を持って世界中を行脚し、人々に有効性を説いた。

ヤコブソン博士によれば、現在でもその構図は変わらないという。一般的な自動車メーカーは第三者機関による安全テストの点数をゴールとするが、ボルボは「クルマにまつわる死傷者が一人でもいれば、それは多すぎる」と考える。だからこそボルボは、リアルなデータにこだわり独自の事故調査隊で情報を収集、それを自社の研究施設で再現、分析し開発に役立てている。
安全にこだわるボルボが強調するのがシートベルトを正しく使うこと。背もたれの角度は、シートベルトが身体から離れない位置が目安だという。そして子どもの安全は大人が守るべきだと強調する。現実の事故データを知るその言葉は重たい。
[CLOSE-UP]現地調査とデータで積み重ねた安全技術の進化

ボルボは実際の事故を検証し、開発に役立てている。彼らは積極的に情報を開示し、業界全体のレベルアップに貢献している。「安全技術は広く普及してこそ。わたしたちはその技術を世界で最も早く搭載することにこだわりたい」とロッタ・ヤコブソン博士は語る。
今後、自動運転が発展していく社会に対しては、「ドライバーがどれだけシステムに信頼を寄せられるかが大切」という。運転中のリスクに対して、どれだけ適切に介入し、ドライバーに伝わるようアナウンスできるか。そのバランスが非常に難しいという。
新型90シリーズでは、研究の成果として「ドライバー・アンダースタンディング・システム」の第1世代を搭載している。

絶対に知っておきたい正しい子どもの守り方

解剖学的に子どもと大人では身体の作りが異なる。ボルボは少なくとも4歳まではチャイルドシートを後ろ向きに装着してほしいと力説する。前向きだと、衝突時に首の骨が折れるからだ。これは、実際の事故データを検証してきたボルボだからこその提言。ぜひ実施したい。

クルマの性能を過信せず安全運転を

現在の新型車の安全性は高いレベルにあり、それはデータでも裏付けられている。一方で、自動運転など従来存在しなかったシステムが、新たなるリスクにつながる可能性も出てきた。クルマを過信せず、運転中は運転に集中する。その基本を守りたい。

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、ボルボ
(掲載されている内容はグー本誌2026年8月発売号「噂のクルマNEWS ニュースキャッチアップ/ボルボに学ぶ安全の最前線【安全のプロフェッショナルが日本のドライバーに伝えたいこと】」記事の内容です)