インタビュー
更新日:2026.06.29 / 掲載日:2026.06.29
売り手も買い手も納得できる健全な市場を目指して|業界人インタビュー

「公平・公正」な取引環境の構築と、市場の「健全化」がもたらす未来
国内最大のBtoBオートオークションを展開するユー・エス・エス(USS)と、「グーネット」やDX推進でBtoC市場を支えるプロトコーポレーション。自動車流通を牽引する両グループの中心人物4人が集結。コンプライアンスの強化や消費者意識の変化など、業界が大きな転換期を迎える今、これからの時代に求められる市場のあり方や持続可能な成長に向けた戦略、そして連携の未来について熱く語り合いました。
創業の原点と、市場におけるそれぞれの「存在意義」とは

安藤 当社の原点は年に1980年に始めた会員制オートオークションにあります。当時の中古車取引は極めて不透明で、価格や状態の基準が曖昧な「暗黙の了解」の世界でした。そこに私たちが持ち込んだのが「公平・公正」という概念です。売り手にも買い手にも偏らない中立な立場を貫くこと。すべての会員様が同じルールのもとで、いつでも安心して適正価格で取引できる場を創る。これが、USSの創業時からシェア45%近くまで積み上げた現在に至るまで、一貫して変わらないコアの考え方です。
白木 USS様が「BtoB」の公平な取引インフラを構築されたのに対し、当社は1977年創刊の『月刊グー』を象徴に、「BtoC」の接点において情報の非対称性を解消することからスタートしました。それまで生活者にとって中古車の価格や状態は非常にわかりづらいものでした。だからこそ私たちは一貫して「情報の開示と透明性」にこだわり続けてきました。業界が持続的に発展するためには消費者が安心して中古車を選べる環境、つまり市場の「健全化」が不可欠であり、これこそが当社の使命だと考えています。
「公平・公正」を具現化する評価基準とテクノロジーの進化

安藤 「公平・公正」の実現に向け、私たちが最も注力してきたのが「車両評価基準の標準化」と「テクノロジーの導入」です。まだ手作業が主流だった時代から、当社はいち早く独自の検査制度を設けました。検査員の主観を排除し、車のキズや修復歴を厳格に数値化・記号化して公開したのです。さらにサテライトTVやインターネットを活用したオークションへと拡大。遠方の会員様でも画面上の検査票を見るだけで安心して応札できる、情報の信頼性を可視化し続けることがUSSの歴史です。
瀬田 安藤会長が築いた強固な土台を、時代に合わせて高度化していくのが私の役割と考えています。現在、全国19会場を展開していますが、どこで取引しても「全く同じクオリティの評価と安心感」が得られる体制を追求しています。具体的には、検査精度平準化のためにAI技術を導入し、微細な修復歴の検知や外装の評価補助を行う実証を進めています。設備投資も継続しており、デジタルにシフトしてもプラットフォームの底流にある「すべての会員様を公平に扱う」という精神は決してブレません。
業界の「健全化」に向けた、情報開示と現場のDXの進捗

白木 私たちが考える「健全化」とは、単なる不正の取り締まりではありません。販売店様が正しい情報を開示し、それによって消費者からの信頼を獲得して適正利益を得て成長していく「信頼の好循環」を生み出すことです。健全な市場とは、売り手と買い手の間に「納得感」がある市場です。その最大の具体例が、第三者機関の専門鑑定士が中古車を鑑定し、結果を公開する「ID車両(グー鑑定)」の仕組みです。当社独自の基準ではなく、日本自動車鑑定協会(JAAA)という完全な第三者に入ってもらうことで評価の信頼性を高めました。走行距離や隠れた修復歴を厳しくチェックした車両を「グーネット」上に「ID車両」として公開することで、ユーザーは「プロの目が担保した安心」を基準に車を選べるようになりました。
松沢 白木社長の言う「グー鑑定」をベースにしつつ、私たちはさらに一歩踏み込み、販売店様の販売プロセスそのもののDXを通じた健全化を進めています。近年、自動車業界では「支払総額表示」の義務化などコンプライアンスの強化が進んでいます。私たちは販売店様が日常業務の中で自然と法令を遵守し、正しい見積もりを出せるよう、営業支援システムのアップデートを重ねてきました。不当な諸費用やオプションの強制追記を防ぎ、最初から総額を提示できるシステムを提供しています。テクノロジーの力で不透明さを排除した環境を作ることが、販売店様を守り、市場の健全化を定着させる近道です。
(掲載されている内容は「プロト総研 / カーライフ」2026年6月掲載記事【中古車市場の活性化と業界の健全化を目指して/対談企画④】を転載したものです)