新車試乗レポート
更新日:2026.06.26 / 掲載日:2026.06.26
BEVの本格レジャーSUV! bZ4Xツーリング実走テスト
BEVに本格レジャーSUVが登場
TOYOTA bZ4Xツーリング試乗レポート
2025年下半期BEV販売台数No.1に輝いた「bZ4X」シリーズに、新たな選択肢としてbZ4Xツーリングが登場した。都会的な洗練を追求したbZ4Xに対して、力強さを鮮明にしたこのモデルには、これまでのBEVとは違ったアプローチがなされているのだろうか。その見どころをお伝えしよう。
●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久
走りも使い勝手も想像以上に秀逸!

広大なラゲッジ&後席は実用面で大きな恩恵あり
トヨタのBEV第二弾モデルとして登場したbZ4Xツーリングは、アーバンな雰囲気が似合うbZ4Xに対して、リヤオーバーハングを140㎜延長することで、荷室や後席の使い勝手を大幅に強化。ルーフレールも標準とするなど、アウトドアレジャーや車中泊への適応力を高めていることが特徴になる。
エクステリアデザインもアクティブ感を意識した仕立て。フロントマスクこそ、大型のハンマーヘッドとLEDランプを分割した、bZ4Xシリーズらしいアーバンな雰囲気が残っているが、サイドまわりはプロテクターなどでタフなギア感をプラス。アンダーカバー風のバンパーメイクも相まって、アウトドアテイストがより強調されている。
インテリアの基本デザインはbZ4Xのイメージを踏襲しつつも、キャラクターにふさわしい装飾やカラーコーディネートが採用された。内装色は「ブラック」と「カーキ」を選択することが可能。ラギッドさと上質さを兼ね備えたウォームグレーの加飾を組み合わせ、落ち着いた雰囲気の中にも大人っぽい遊び心を併せ持つ「ブラック」に対して、「カーキ」はアースカラーを用いることで、自然や大地を想起させるイメージが強まっている。bZ4Xでは幾何学調だったシボはウッド調に変更されるなど、トータルでアウトドアの世界観が演出されている。
効率とパワーを両立させた最新システムの恩恵は大きい
パワートレーンなどのメカニズムは、基本的に改良後のbZ4Xから受け継いでおり、バッテリーはセルを従来の96個から104個に増やしたもので、総電力量は74.7㎾hを達成。eAxleも改良によりエネルギーロスを約40%削減した。総電力量を上げつつ、電力を最大限効率よく使うことも追求したユニットだ。
最大システム出力は、FWD車は224PS相当の165㎾でbZ4Xと同等だが、4WD車はリヤモーターをbZ4X比で79㎾アップの167㎾とした。これによりシステム全体では380PS相当となる280㎾にまで強化されている。開発の初期段階では、前後の出力を揃えるのが理想的と考えられ、リヤモーターを強化する計画はなかったそうだが、キャラクターをより際立たせるためには、さらなる出力向上が必要という結論になり、eAxleをコンパクト&高出力化して搭載したという。
この性能向上に合わせ、高速コーナーなどでの安定感を高める新たな4WD制御も採用。前輪左右の回転差を駆動力配分にフィードバックし、狙い通りのラインをトレースできるこのシステムは、今回試乗したZグレードの4WDモデルに標準装備されている。
走りのシーンを選ばない頼もしきフィーリングに好感
試乗は都心から千葉方面を目指してスタートした。地下駐車場のタイトなスロープでは小回り性能が少し気になったが、最小回転半径はbZ4Xと同等の5.6mを保持しており、思っていた以上にスムーズにクリア。オーバーハングが長くなっているため、外輪差や車庫入れの際には後方に注意が必要そうだが、運転席から車両感覚がつかみやすいため、すぐに慣れることができるだろう。
一般道で速度を50㎞/hほどまで上げていくと、ボディ全体のしっかりとしたカタマリ感が伝わってくる。床下にバッテリーを敷き詰め、車体フレームと一体化させて剛性を高めたほか、足回りにも減衰性の高い接着剤を使うことで、不快な振動を抑えているという。
高速道路で速度を上げてもその印象は変わらなかった。ビシッとした上質感が際立つbZ4Xに対し、ツーリングはどこかカジュアルでおおらかな印象。ラフロードも得意そうに感じた。一方で、合流や追い越しで見せる加速の力強さは、システム出力の向上の恩恵が大きく、bZ4Xを凌駕する。合流や追い越しなど”ここぞ“の場面で見せる加速や瞬発力は、選び分けで大きな違いになってきそうだ。
静粛性に関しては、bZ4Xとは少々方向性が異なる印象を受けたが、最新のBEVとして申し分のない静けさが保たれている。これはラゲッジスペースに入念に防音材を敷き詰めた効果だろう。
日常から休日までを存分に楽しみたいユーザーにとって、できることの幅が広がっているbZ4Xツーリングは、非常に魅力的な一台に映るはずだ。
TOYOTA bZ4Xツーリング
Z(4WD) 車両本体価格:640万円
■主要諸元 ●全長×全幅×全高:4830×1860×1675㎜ ●ホイールベース:2850㎜ ●車両重量:1920㎏ ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:前後モーター(フロント:167㎾/268Nm、リヤ:167㎾/268Nm) ●駆動方式:4WD ●一充電走行距離:690㎞ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストレット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:235/60R18














基本料0円のトヨタの充電サービス「TEEMO」が本格稼働へ
BEVを日常的に利用するとなると、やはり一番気になるのは外出先での充電環境ではないだろうか。トヨタが進める充電サービス「TEEMO(ティーモ)」は、そんな悩みに応えてくれるはずだ。

外部充電網の充実をトヨタも本気でバックアップ
トヨタが充電サービス「TEEMO(ティーモ)」をスタートした背景には、最初にbZ4Xが登場した際に販売の現場に届けられた、充電に対する不安の声があった。担当者によれば、BEV購入のネックとなっていた大きな理由は、「航続距離」「充電時間」「充電スポット」の3つ。そのうちの充電に関する不安を解決するため、販売店と連携した取り組みとして高出力な急速充電器の設置を進め、利用者には月額基本利用料が0円という驚愕のサービスが誕生した。
充電には「基礎充電」と言われる自宅やオフィスなどでの充電のみならず、「経路充電」と言われる出かけた先や途中での充電を便利にしていく必要がある。TEEMOはその経路充電の部分を補うためのサービスだ。
トヨタの販売店は、全国に約4300店舗あるが、2026年度末までにまずは650店舗へのTEEMOサービスを展開する予定で、その後も順次、増やしていくという。これには、販売店をただクルマを売るだけの場所ではなく、地域の人たちが気軽に利用でき、災害時などには支援拠点として活用していきたい狙いもある。そのため一部店舗ではV2Hを設置している。
また月額基本利用料を0円とした理由は、すでに自宅に充電器を設置済みのユーザーにとって、「外で充電する機会があるかどうかわからないのに、月額利用料を支払ってまで会員になるのは抵抗がある」といったケースを考慮したことがひとつ。
さらに、自宅への充電器設置を迷っているユーザーにとっては、「ひとまずTEEMOを使ってみて足りなかったら自宅に設置しよう」といったお試し期間として利用しやすいという理由がある。
そして店舗側としては、多くの人が初めてBEVを購入するため、充電器を利用するのも初めてで使い方がわからない、という不安を持つ人に対し、店舗に設置した実物でスタッフが手本を見せながら説明しやすいメリットがある。また、トヨタ車はもちろん他ブランドのユーザーも含めて会員数を増やしていくことで、少しでも充電器の稼働率を上げて利益に繋げていきたいという事情もありそうだ。充電中は、店舗の営業時間であれば店舗内のテーブルで待つことも可能だという。
ちなみにTEEMOのサービスは、今後もアップデートされ、大手商業施設などとの連携も視野に、さらに魅力的なものにしていく予定だというから、楽しみだ。




TEEMOとは?
トヨタの販売店に150㎾の高出力な急速充電器をメインに設置が進められている、月額基本利用料0円の充電サービス。bZ4XとbZ4Xツーリング、新型RAV4のPHEVオーナーが加入できる「TEEMO会員」と、それ以外のトヨタ車や他メーカーも加入できる「TEEMOライト会員」の2プランがあり、会員登録をしないビジター利用も可能。ただし使用する急速充電器の出力に応じて変わる1分あたりの充電料金がTEEMO会員よりも割高となる。
TEEMO会員だけの特典としてスマホアプリによる60分間の充電器予約と、全国に約28000口を持つ充電サービス「e-Mobikity Power」の利用もOK。店舗の充電器は基本的に24時間・365日利用可能だ。

