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更新日:2026.06.16 / 掲載日:2026.06.16
動くガジェット? Sクラスが示した近未来のメルセデス【九島辰也】

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツSクラスがビッグマイナーチェンジを行いました。現行型はW223型と呼ばれる7世代目で、2020年に21年型として登場したものです。なので、今回はスケジュール通りのマイチェン。外観はフェイスリフトレベルにとどまりますが、中身を大きく進化させました。

注目ポイントは第四世代に進化したMBUXとMB.OSと呼ばれるソフトウェアです。MBUXナビゲーションは、Google Mapsをベースにしたもので、Googleとメルセデスが共同開発したそうです。また、MBUXバーチャルアシスタントは生成AIを取り入れたもの。ChatGPTとMicrosoft Bing、Google Geminiを統合し、会話するように話しかけると質問に答えてくれるそうです。生成AIを取り入れるとはまさに時代ですよね。
ちなみに、MBUXの歴史を振り返ると導入は2018年でした。まだぎこちなかったですが、エアコンの調整やラジオの選局云々を会話風な指示でコントロールすることを可能にします。で、2022年には第二世代としてハイパースクリーンを導入、2024年には第三世代としてサードパーティ製アプリが利用可能になりました。これだけで短期間にどんどん進化しているのがわかります。
ただ、こうなるとどのタイミングでクルマを買ったらいいのか難しくなります。パソコンやケータイのように早いペースで新機種が投入されると辛い。金額が金額ですから、ケータイの機種変更のように頻繁には取り替えられないでしょう。

なんて思っていたら新型S クラスはクラウドとの接続でソフトウェアのアップデートが容易にできるとか。確かにそこはそうしてもらわないと困ります。テスラはすでに自動アップデートを導入していますからさほど難しいことではないでしょう。今後クルマのインターフェイスは各社そうなるに違いありません。
こうしたデジタル化はMB.DRIVEと名付けられた運転支援システムにも見えます。高度な処理能力を持つ高性能コンピューターに加え、10台の外部カメラ、5台のレーダーセンサー、12台の超音波センサーが運転と駐車をサポートします。これだけセンサー類があれば手厚くアシストしてくれそうですね。その先の自動運転への道が見え隠れします。
メルセデスはこうした最新の技術をSクラスを起点に各モデルに波及させます。なので、今回のような生成AIを取り入れたシステムは今後どんどん浸透していくでしょう。GLSとかにはすぐに付きそう。それにメルセデスAMGやメルセデスマイバッハのラインナップあたりは早そうですね。今後デジタルネイティブ世代が増えてくれば、クルマの購入動機はこのあたりが注目されるかもしれません。

ただ、Sクラスは法人需要が多いので、こういった最新テクノロジーをドライバーが使いこなせるのか疑問が残ります。若い方はまだしも、昔気質の方にとっては宝の持ち腐れになるような気がします。まぁ、ナビの音声入力の精度が上がったと考えればそれだけでメリットはありますが、チャッピーの出番は多くないかも。
それを鑑みると、こういった技術が本当に発揮されるのはGLCやGLB、GLAにまで波及してからでしょう。Sクラスよりも値段が手頃でマーケットの広いモデルです。というか、現実に販売台数が多いことからも20代、30代の方々がサラッと使いこなす絵が浮かびます。そうなるとクルマは“動くガジェット”。快適で実用的なガジェットとして今よりも若者に広く行き渡るかもしれません。毎日出社しなくていい方には、オンライン用のオフィスにもなったりして。う~ん、そうなるとパソコンもいらなくなる。

そんな新型Sクラスの日本仕様はS580 4MATIC longとS450d 4MATICの2つで、パワーソースはそれぞれV8ガソリンエンジンのマイルドハイブリッドと3リッター直6ディーゼルターボとなります。クルマ好きの方はご安心を、BEVではなく内燃機関を搭載します。考えると、これって良い組み合わせかもしれません。パワーソースは内燃機関で、インターフェイスは生成AIを用いた最新テクノロジーでドライバーを楽しませてくれます。もしかしたらBEVの鈍化でしばらくの間こんな組み合わせが増えるかもですね。近未来、チャッピーと会話しながらクルマを運転している方を見かけるシーンが増えそうです。