新車試乗レポート
更新日:2026.03.19 / 掲載日:2026.03.19
スズキ流はBEVも現実的! 新型eビターラ公道試乗リポート
『イメージよりも“今の現実”』がスズキ流!
スズキが満を持してリリースするBEV世界戦略車第一弾がeビターラだ。プラットフォームは新開発のBEV専用「HEARTECT-e」、パワートレーンはコンパクトな一体型「eAxle」を採用。公道試乗でその本質に迫る。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
無理に背伸びしない実用的なコンパクトSUVだ

最高性能にこだわらず現実的な解を提示する
クルマの未来がBEVを筆頭とした電気自動車になるのは確実と思われるが、いつになるかはまだ見当が付かない。そんな中で登場したeビターラは未来というイメージよりも今あるクルマの現実を軸にしているのが印象的だった。高額な車両価格などBEVの弱点が解消したわけではないが、内燃機車を乗り継いできたユーザーが自然に馴染める運転感覚や使い勝手が現実的かつ良質である。
車体サイズはコンパクトSUV相応で、ヤリスクロスより僅かに大きいくらい。大径タイヤを履くが最小回転半径は5.2mと車両感覚もつかみやすい。走り出しや極低速の扱いが容易な駆動力制御もあり、駐車場や右左折時のアクセル操作性も良好。極低速時の扱いやすさは走行モードによらず安心感がある。身構える必要もなく、内燃機車の平均以上に洗練された扱いやすさを得られる。つまりタウンユースに適したモデルだ。
一充電航続距離は520㎞(2WD)。短中距離向けと誤解されそうだが、そうではない。良質なドライバビリティは高速ツーリング志向でまとめられている。
全長4.3m弱ながら2WD車でも約1.8tで、ヤリスクロスのHEVより600㎏以上重い。低重心や長いホイールベースという利点はあるが、サイズに対し重い車重は高速操安性には厳しい条件だ。しかし、eビターラはそれを感じさせない安定感がある。
最大の特徴はBEVであることだが、シャシーも見所。専用プラットフォームに加え、リヤサスにマルチリンク式独立懸架を採用。接地性と対地ジオメトリーの制御性を高め、走りのポテンシャルアップを図っている。同クラス他車よりタイヤサイズにも余裕がある。
サスチューンはスポーツモデルほど硬くはないが、揺れ返しを抑制した減衰の利いた味わい。段差乗り越えでも嫌な衝撃はなく、しっかりした安定感を得られる乗り心地だ。重めの車重の効果か、乗車人数による変化も少ない。
ハンドリングは落ち着きや収束性を主とするタイプで、軽快さよりは重質な味わい。操舵に対して緩みなく反応するが唐突な変化はなく、操作に神経質になる必要もない。腰の据わった操縦感覚は安心感を高め、運転ストレスの軽減に繋がっている。
2WDと4WDの差は一般的状況では小さい。4WDがより重質だが、しなやかさは共通している。どちらが良質かと問われれば4WDだが、価格ほどの差ではない。
運転支援機能も充実しており、ナビは10.1インチDAとともに全車標準となっている。HUDの設定がないのは残念だが、各装備は直感的に使えるタイプだ。
安全面では劣化耐性と難燃性に優れたリン酸鉄リチウムバッテリーを採用。長い所有を前提にBEVのリスクを最小としたいユーザーには魅力的な選択だろう。
要するに即戦力型であり、長く付き合える力も備えている。ただしコスパはやはり厳しい。ベーシックなX(2WD)が400万円弱。上級のZは約50万円高、4WD車はさらに約45万円高。コスパだけでHEVに太刀打ちするのは難しい金額だ。ただしCEV補助金の対象車でもあり、長く乗り続けるならコスト面で内燃機車やHEVを逆転する可能性もある。短中距離用途が主体のダウンサイザーなら一考する価値があるだろう。




SUZUKI 新型eビターラ
●価格:399万3000円〜492万8000円 ●発表日:’25年9月16日









新型eビターラ 主要諸元

