車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.12 / 掲載日:2016.02.25
【気になる中古車試乗判定】メルセデス・ベンツEクラス

2009 Mercedes-Benz E-Class
GooWORLDの掲載物件のなかでも、とくに人気の高い中古車をモータージャーナリストとともに試乗チェック!注目モデルは本当にお買い得なのか!?リアルなレポートをお届けしたいと思います!
文●森野恭行、竹岡圭、GooWORLD 写真●GooWORLD
今月の中古車は メルセデス・ベンツ Eクラス(W212)
かつてミディアムクラスと呼ばれていた頃まで含めると、半世紀もの歴史を誇る高級乗用車。メルセデスにおいても中核を占めるモデルであり、その内容には世界中から注目が集まる。今回登場するのは4代目にあたる。
伝統的な操作レイアウトを 電子制御でリファインした
伝統的な操作レイアウトを 電子制御でリファインした
電子制御シフトレバーをステアリング周辺に備えるため、センターコンソール周辺がすっきりとしたインパネ。ナビやバックモニターは標準装備で、その操作はコンソールのコマンドコントローラーで行う現代的な仕組み。後期型ではダッシュボードの形状まで変更され質感も大きく引き上げられた。
快適な室内にゴルフバッグ 4つを収納する大型トランク
快適な室内にゴルフバッグ 4つを収納する大型トランク
居住空間はボディサイズを存分に生かした快適なもので、大柄な男性でも後席でリラックスできる。また、トランクスルーが備わるラゲッジは531Lと大容量で、日本仕様では形状を工夫してゴルフバック4つが納まるようになっている。荷室側のレバー操作で後席背もたれを倒すことも可能だ。
ライフスタイルに合わせて 選べる多彩なエンジン
ライフスタイルに合わせて 選べる多彩なエンジン
エンジンは直4ターボからV6、そしてV8やディーゼルと多彩に取り揃えられている。ダウンサイジング的発想の直4ターボは経済性も魅力だが、前期型ではとくに低回転域で力不足を感じさせる側面があり、マッチングのよさではV6に一歩譲る。3.0L V6を搭載する「E300」が高バランスでオススメ。
どんな状況でも使いやすい 懐の深さがメルセデス流
どんな状況でも使いやすい 懐の深さがメルセデス流
オーソドックスなデザインのメーターは中央に液晶がビルトインされ、各種情報を表示する多機能型。左に大きな時計が備わるのが印象的だ。アバンギャルド仕様はスポーティな味付けだが、後期型に比べるとゆったり系。ハンドルの切れ角が大きく小まわりが利くのは歴代から受け継ぐ美点。
メルセデス・ベンツEクラス 試乗判定レビュー

最近のメルセデス車はマイチェンで劇的に変化
編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はいよいよ輸入車の花形、メルセデス・ベンツから高級セダンの王道Eクラスの登場です。
竹岡●やっぱりEクラスとなると迫力があるね。あれ、このクルマって先代モデルだっけ?
編集部●いえいえ、マイナーチェンジ前の前期型ですが、立派な現行モデルですよ。
竹岡●後期型の印象が強すぎて、なんだか古く感じちゃう。
森野●たしかにマイナーチェンジとは言えないくらいガラッと変わったからね。これは「E350アバンギャルド」か、何年式なんだい?
編集部●2009年の登録で走行距離は約5.6万km。個人所有のクルマをお借りしたものですが、中古車を想定して考えるとオーソドックスな個体と言えますね。
森野●これまで取材したのが中古車というには綺麗なクルマばかりだったから、リアルではあるな。
竹岡●Eクラスって高級車として一般的には最上級じゃない。Sクラスはちょっと気後れしちゃうし。興味あるひとは多いと思うよ。
森野●メルセデスとしても大切にしているモデルなのは間違いない。
編集部●そんなW212こと現行型Eクラスが登場したのは2009年5月。当初は、3L V6、3.5L V6、5.5L V8というエンジンラインアップ。同年10月には1.8L直4ターボの「E250CGI」が634万円で追加され、エントリー価格が100万円も安くなったことも話題になりました。今回取材したモデルはこの世代ですね。翌年にはディーゼルモデルを追加。2011年11月にはガソリンV6を新世代エンジンにアップデートし、550は4.7L V8ターボに置きかわりました。

竹岡●それにしても最近の輸入車はグレードが多彩だよね。Eクラスはほかにもワゴンやクーペ、カブリオレ、AMGまであるんだから!
編集部●そうなんです。モデルの概要を理解するだけでも大変です(笑)。さて、毎年のように新技術が投入されてきたEクラスですが、なんといっても2013年のマイナーチェンジが大きな転換点です。2000箇所以上に及ぶ変更を受け、運動性能や環境性能に加えて、安全面も飛躍的にレベルアップしました。
森野●正直、そこまでやらないとライバルに勝てなかったという側面もあったんだよ。モデルチェンジの手法がやや保守的だったため、BMW、アウディに肉薄された。危機感を覚えていたんじゃないかな。
竹岡●なるほどね~。マイナーチェンジ後のモデルと比べると、このクルマはちょっと安っぽく感じない?
森野●実際、内装のあつらえなんかはコストを意識しすぎているところがあるな。シルバー加飾のところもクラスを考えると本来ならアルミを使ってほしいところだし。
竹岡●装備も現行モデルが安全装備を中心にすごく進化しているから、なんだか物足りなさがあるのかも。
編集部●ちょっと厳しいご意見が出てしまいましたが、クルマは走って見なければわかりません! ということで、お二方にはこれから試乗をお願いします。
微妙な印象の二人だが判定は意外な結果に・・・

編集部●試乗してみた感想はいかがですか?
竹岡●ちょっと昔のメルセデスを思わせるというか、いい意味でゆったりした乗り味だった。現行型がすごくスポーティさを強調するようになったから余計にそう感じるのかな。
森野●長距離を走っても疲れない、高級車らしい味付けだね。あらためて、EクラスはV6エンジンモデルがオススメだよ。直4ターボは価格は安いこともあって人気があるようだけど、高級車に求めるゆとりがあるのはこっち。どうしても直4というなら排気量が2Lになったモデルから。初期の1.8L仕様はどうしても低速トルクが足りないんだ。
竹岡●それで、中古車の相場的にはいくらくらいなの?
編集部●今回取材した前期型なら安いもので200万円前半で、認定中古車でも250万円から400万円で見つけることができます。
竹岡●現行型だよね!それなのに200万円台から買えるんだ。
森野●後期型になるとどうなの?
編集部●さすがにこちらはまだ高くて、直4モデルでも400万円前半から、V6ですと400万円後半からってところですね。
竹岡●だったら大いにアリだと思う。メルセデスの上級モデルにこの価格で乗れちゃうなんて中古車は凄い!
森野●たしかにそこまで価格差があると魅力がある。このクルマに憧れていたというひとにとっては、オススメできるんじゃないかな。
編集部●逆転ホームラン的な展開ですが、これぞ中古車のおもしろさ!
Eクラス レビュー評価

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるメルセデス・ベンツEクラス レビュー評価をまとめます。
※各項目に対して10点満点評価。
自動車ジャーナリスト 森野 恭行のコメント

後期型との差は小さくはないが、もともとの素養の高さは疑いないところだし、前期ならではのゆったりとしたフットワークは高級車らしく好印象だ。
自動車ジャーナリスト 森野 恭行
●関東版創刊時より健筆をふるう自動車ジャーナリスト。スポーツカーに目がなく、タイプ964のポルシェ911を新車から23年所有している。
ポジショニング 9点
装備 7点
快適装備、安全装備の充実度は高く、高級セダンとしての素養は申し分ない。加えてアバンギャルドの場合は、スポーティな仕立てのルックスやインテリアも大きな魅力になっている。ただしW212に関しては、フェイスリフトに合わせて内装の高級感の向上と安全装備のアップデートが図られた。後期型との差は大きめなので、そこが注意点。
走り 8点
手が届きやすいのは4気筒ターボのE250だが、前期型は1.8Lで、初期のATは5速。ゆとりは大きくない。ベストバランスはV6で、3.5Lはスポーティ、3.0Lはジェントルな味わい。経済的でトルクフルなディーゼルの魅力も高い。アバンギャルドの足は15mmローダウンのスポーティな設定で、18インチタイヤとのコンビではハートめの乗り味となる。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

取材開始当初はちょっと難しい評価だったものの、中古車価格を聞いてそのコストパフォーマンスの高さにビックリ!そうなると話は違いますよね。
自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポジショニング 9点
誤解を恐れずに言っちゃうと、メルセデスはCかSだよねと、ひと昔前まで思っていました。でもパーソナルユースのトップエンドは、やっぱりEが現実的。だからこそメルセデスクオリティの最高のものがほしい!となるんですけど、最近はマイナーチェンジで変わりすぎで・・・。でもだからこそ、コスパを考えたら前期型はナイスチョイスです!
装備 7点
これって現行モデルだったよね?と、失礼ながら思わず念のため確認してしまいました。というのも、例のマイチェンで、イメージがガラリと変わりすぎちゃって、なんとなく時を経た感じがしちゃうんですよ。装備内容的には快適装備などはまあヨシとして、安全装備は日々進化しているので、そこは自分にとって何が必要なのか確認したいですね。
走り 8点
最近のメルセデスは、どちらかといえばスポーツドライビング方向に、ベクトルが向いていますが、こちらはまだゆったりおっとりという味わいが色濃くて、メルセデスらしいドッシリ感とともに、優雅にクルージングするのがお似合い。そして、これがまたイイ!その極上の雰囲気を楽しむためにも、やはりV6エンジンをチョイスしたいところですね。
GooWORLD編集部
かつてW124という伝説的なモデルが多くの神話とファンを作ったEクラス。高級車の代名詞的な存在だけに、購入したときの満足感は高いと思います!
ポジショニング 9点
クルマ好きなら一度は乗ってみたいと考える高級乗用車のスタンダード、しかも現行モデル。詳しくないひとだったら何百万円もすると想像するところが、200万円代で手に入るとなると、大いに興味が湧いてくるのではないでしょうか。大きくレベルアップした後期モデルに注目が集まっていますが、前期型だって高級車としての実力は十分に高いです。
装備 8点
2013年のマイナーチェンジでガラリと変わったコックピットと比べてしまうと、とくに質感面ではちょっと古さは否めません。しかし、それはあくまで最新モデルとの比較。基本性能はもちろん高級車として十分なものを備えています。ただし、自動ブレーキのような先進的な安全装備は採用されていない世代なので、そこのところは要注意です。
走り 8点
プレミアムブランドが総じてスポーティな走行フィーリングに舵を切っている現在、今回取材したEクラスのような、鷹揚でゆったりとした高級車らしい乗り味はある意味で希少。疲れているときや天候が悪いときなどは、この癒し系の乗り味が心にしみます。高速道路を長距離・長時間ドライブするのはまさに大得意。いいクルマに乗っている実感が味わえます。
メルセデス・ベンツEクラス DETAIL CHECK

メルセデス・ベンツE350アバンギャルド(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4870×1855×1455mm |
---|---|
ホイールベース | 2875mm |
車両重量 | 1710kg |
エンジン | V6DOHC |
総排気量 | 3497cc |
最高出力 | 272ps/6000rpm |
最大トルク | 35.7kg m/2400-5000rpm |
サスペンション前/後 | 4リンク/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
中古車参考価格帯
200万円~920万円(2009年~ ※セダン全グレード) |
モデル主要変遷
2009.05 | Eクラスをフルモデルチェンジ ←今回の中古車 |
---|---|
2009.08 | 「E63 AMG」を追加 |
2009.10 | 「E250 CGI ブルーエフィシェンシー」「E350 4MATIC アバンギャルド」を追加 |
2010.02 | 「E350 ブルーテック アバンギャルド」を追加 |
2010.08 | 一部改良(LEDドライビングライトを装備など) |
2011.11 | 一部改良(新エンジン搭載など) |
2012.05 | 一部改良(一部グレードの装備見直し) |
2013.05 | マイナーチェンジ |
2014.04 | 一部改良(一部グレードの装備見直し) |
2015.02 | 「E400 アバンギャルド」を追加 |
2015.03 | 「E220ブルーテック」「E220 ブルーテック アバンギャルド」を追加 |
2015.04 | 価格改定 |
※ナンバープレートはハメ込み合成です。