車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2018.04.26

【気になる中古車試乗判定】メルセデス・ベンツ CLA

メルセデス・ベンツ CLA

2017年モデル メルセデス・ベンツ CLA180 AMGスタイル

一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション!果たしてその結果やいかに!?

文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド
写真●グーワールド

今月の中古車は メルセデス・ベンツ CLA

DETAIL CHECK 1

  • SLS AMGのテイストを受け継ぐスポーティな室内

    メルセデス・ベンツ CLA コックピット

  • SLS AMGのテイストを受け継ぐスポーティな室内

     SLS AMGの流れを組む丸型のエアアウトレットや2眼式メーターなど、スポーティなテイストでまとめられたインテリア。レーダー型衝突警告システム「CPA」、居眠り運転を防ぐために、ドライバーの運転を解析し、警告する「アテンションアシスト」などの安全装備を全車に標準装備。

DETAIL CHECK 2

  • ヘッドレスト一体式のスポーティなシートを採用

    メルセデス・ベンツ CLA 内装

  • ヘッドレスト一体式のスポーティなシートを採用

     シートバックとヘッドレストが一体化されたスポーツシートを採用。表皮は通気性と吸湿性に優れる素材で、長時間ドライブでの疲労を軽減する。車検証上の乗車定員は5名となるが、リヤシートの頭上空間から考えると、後席に快適に座れるのは小柄な大人または子供。

DETAIL CHECK 3

  • ラゲッジ容量は470Lと優秀トランクスルーも装備

    メルセデス・ベンツ CLA ラゲッジスペース

  • ラゲッジ容量は470Lと優秀トランクスルーも装備

     ラゲッジ容量は470L(シューティングブレークは495L)。リヤシートは2対1の分割可倒式で、用途に合わせたシートアレンジにも対応する。「フットトランクオープナー」装着車は、リヤバンパー下側に足を近づけることで、トランクリッドを自動解錠可能となっている。

DETAIL CHECK 4

  • 第3世代直噴ターボエンジンにデュアルクラッチ式ATを搭載

    メルセデス・ベンツ CLA エンジン

  • 第3世代直噴ターボエンジンにデュアルクラッチ式ATを搭載

     1.6Lまたは2Lの直4ターボエンジンを搭載。第3世代直噴システム「BlueDIRECTテクノロジー」、アイドリングストップ機能を搭載する。組み合わせるトランスミッションは、7速デュアルクラッチトランスミッション「7G-DCT」で、滑らかなドライブフィールを提供する。

新たなる市場を開拓したコンパクトな4ドアクーペ

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

九島 メルセデスはCLAによって新しいファンを増やしたね

竹岡 高級感のある室内はメルセデスらしくて好印象

ダウンサイジングの流行を作った立役者

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、メルセデス・ベンツからコンパクトな4ドアクーペ、CLAが登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「CLA180 AMGスタイル」、走行距離は6000kmとなっています。

竹岡●一時期すごく流行ったよね、輸入車のコンパクトセダンって。

九島●なんか凄く盛り上がったよね。

竹岡●昔からのメルセデスファンにとっては、AクラスやBクラスにちょっと違和感があったなかで、CLAは昔の190Eの現代版というか、「小さくて使いやすそう。これに乗ってる方が賢いんじゃないか」、みたいな気持ちにさせてくれた。世のなかのダウンサイジング的な流れに乗ったんじゃないかな。

編集部●CLAはメルセデスがNGCC(ニュー・ジェネレーション・コンパクト・カー)の一環として開発したモデルで、2012年のコンセプトカー「コンセプトスタイルクーペ」をベースにした4ドアクーペということになっています。

九島●宇宙船みたいな斬新なデザインだけど、僕はこの絞り込まれたテールランプとか嫌いじゃないよ。

竹岡●外観に比べると内装は思い切りメルセデステイストだよね。インテリアは運転している間ずっと目に入るものだから、すごくメルセデスに乗っているんだって実感がある。この手法は上手だと思う。

九島●CLAの使命は顧客年齢の若返り。これはどのブランドもそうだけど、メルセデスは相当危機感があったんだろうね。社内でもかなり議論があったんじゃないかな。横置きエンジンの前輪駆動というメカや斬新なデザインは、頑固なドイツ人ジャーナリストたちからのブーイングを承知の上での決断だったと思う。

竹岡●実際、若いひとたちにも売れたみたいだから、そのチャレンジは成功だったということだね。

編集部●では、改めてCLAの概要を説明します。日本での発売は2013年7月から。1.6L直4ターボの「180(122馬力)」、2L直4ターボの「250(211馬力)」、そして4WDモデルの「250 4MATIC」というラインアップで登場しました。2014年にはAMGパーツを取り入れた「AMGスタイル」を追加。2015年にはバリエーションモデルとして、荷室部分が広がった「CLAシューティングブレーク」も登場しました。

九島●シューティングブレークは、クーペをベースにしたワゴンボディで、もともとはイギリスの貴族が狩猟用にクーペを改造したところから始まったもの。だから、商用車の流れを組むバンとは一線を画すんだけど、上手なネーミングだよね。

編集部●2016年にはマイナーチェンジが行われました。外装がリフレッシュされ、ディスプレイも8インチに大型化しています。また、2017年には「220 4MATIC(184馬力)」も加わっています。

竹岡●今回お借りしてきたクルマは、そのマイナーチェンジ後のモデルってことね。ベースグレードでもAMGルックなのはいい感じ。

編集部●それでは、お二人には試乗をお願いします。

自動車ジャーナリスト(竹岡 圭・九島 辰也)

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を伺いましょう。いかがでしたか?

九島●よくできたコンパクトカーだね。たおやかなメルセデスらしい乗り味ではないけど、機敏な感じでパワーだって十分。

竹岡●AMGのホイールを履いていることもあってタイヤが薄いから、ちょっと乗り心地が硬い印象があるけど、出始めの頃から比べると、走りの質感は上がってると思うの。

九島●そうだね。前はもう少し発進でギクシャクした感じがあったけど、今日乗ったクルマは自然だったよ。

竹岡●あとね、上手だなって思ったのが、内装の質感が高いところ。ドアの内張りってコンパクトカーだとコストダウンを感じてしまうケースが多いんだけど、ステッチなんかも豪華で、メルセデスなんだなってことをちゃんと感じさせてくれるよね。

九島●CLAっていくらくらいなんだっけ?

編集部●新車価格が404万円から545万円なのに対して、中古車相場は200万円から460万円で、中心価格は300万円弱といったところでしょうか。年式からすると、強気のプライスだと思います。

竹岡●けっこうするんだね。ということは中古車の人気は高いんだね。

九島●メーカーがクルマの価値を買い支えてくれているっていう側面もある。いいことだと思うよ。

竹岡●シートに座った瞬間からメルセデスらしさをアピールしてくるし、小さい高級車としてアリだよね。女性が似合うクルマだと思う。いわゆるセクレタリーカー的な。

九島●後席はあるけど、クーペとして2人乗りで使うのがカッコいいね。

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

メルセデス・ベンツ CLA レビュー評価

メルセデス・ベンツ CLA

人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)によるメルセデス・ベンツ CLAの評価をまとめます。

※各項目に対して10点満点評価。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭のコメント

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭

クルマに乗り込むなり、ドアの内張りを触ってそのクオリティの高さに驚いていた竹岡さん。コンパクトカーであってもメルセデスらしい品質感に納得でした。

自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
●人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

ポジショニング 9点

 一世風靡しましたよね、このモデル。改めて考えるとこの手のモデルって、意外なほどに地味で選ばれにくい感じのせいか、車種も本当にかぎられているんですよね。でも実際のところは、ヤンチャすぎないけれど、落ち着きすぎてもいないから、幅広い年齢層の方が使いやすいサイズの高級車として、ピピッと反応されたんだと思います。たしかに便利な1台。

装備 10点

 思った以上にしっかりメルセデスしてるんですよね。ドアトリムなんかを見ても、きっちりダブルステッチが入っていたりして、まったく手抜きがないんです。樹脂部分もいわゆるプラスチッキーな感じはまるでないから、安っぽさが見当たらないんですよ。おかげでしっかり寛げます。ただ、エアコンはやっぱりこのクラスならオートタイプがいいな。

走り 9点

 よくできたコンパクトカーという表現がピッタリというところでしょうか。メルセデスと考えてしまうと、たおやかな乗り心地等々の面でもの足りなさが残るけれど、コンパクトサイズのセダンと考えると、かなりの高レベルで、よくできているといったところなんです。発売当初よりもかなりブラッシュアップされて、しっかり進化しているのはさすがです。

自動車ジャーナリスト 九島 辰也のコメント

自動車ジャーナリスト 九島 辰也

流線型のフォルム、とくにリヤスタイルがお気に入りという九島さん。従来のファン以外にもユーザー層を広げたCLAの商品企画も高く評価していました。

自動車ジャーナリスト 九島辰也
●長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

ポジショニング 9点

 新しいユーザー層を取り込むべく企画された新時代メルセデス。まるで宇宙船のようなスタイリングは大胆で、登場当時賛否両論だったが、その後の成功からも、メルセデスの挑戦が正しかったことがわかる。NGCCに共通するFFを基本とするメカニズムを搭載しているが、実際のユーザーにとっては、FFかFRかどうかは、あまり関係がなかったわけだ。

装備 9点

 太くてしっかりとした形状のステアリングホイールや丸型エアアウトレットなど、まるでスポーツカーのように演出されたインテリアからもわかるように、コンパクトではあるが、路線とするのは高級クーペ。実際、安全装備のレベルは、クラスのなかでも上級と言える水準にある。試乗車はマイナーチェンジ後のモデルで、ナビ画面も大きく印象がよかった。

走り 9点

 ルックスや装備がメルセデスらしさにあふれているのに対して、走りのフィーリングはコンパクトカーとして一般的なものに近い。もちろん、リヤサスにマルチリンクを採用するなど、手抜きはなしで、「普通によくできたコンパクトカー」と言い添えておこう。登場当初は各部の動きが渋いようなフィーリングだったが、今回の試乗車では改善されていた。

グーワールド編集部

中古車市場でも高評価なCLAは、低年式でもまだまだ高値。いっそ、高年式のクルマを購入する方が、最終的な費用対効果は高いかもしれません。

ポジショニング 10点

 多様化するユーザーニーズやライフスタイルに合わせるべく、メルセデス・ベンツが作り上げたのがNGCCと呼ばれるコンパクトカーたち。そのなかでもCLAは、小さくても高級感とスタイリッシュさを備えた4ドアクーペという独特のポジションにいるモデル。そんな個性派だけに中古車市場ではまだ高値安定。少々割高ですが、それも人気の裏返しです。

装備 10点

 デザインに凝ったコンパクトカーは最近いろいろなメーカーから登場していますが、CLAの場合は用意されている装備や質感のレベルが高いのが特徴。そんなところは、コンパクトカーであってもメルセデス流です。ベーシックな「180」でも標準装備は充実していますが、「250」となればさらにハイレベル。レジャーにも活用したいひと向けに4MATICも存在します。

走り 9点

 今回試乗したモデルがマイナーチェンジ後の「180 AMGスタイル」だったこともあり、少々乗り心地は引き締まった印象。もちろん、不快な振動や騒音ではないものの、思ったよりスポーティ。一方、パワートレーンは年次改良による熟成を感じさせる滑らかで上質な仕上がりでした。まさにクーペらしく、街中をキビキビと走らせるのが似合う1台です。

コンパクトカーでありながら高級車としての風格を持つ

メルセデス・ベンツ CLA

モデル主要変遷(メルセデス・ベンツ CLA)

2013.07ニューモデル「CLA」発売
2015.02一部改良
2015.06「CLA シューティングブレーク」発売
2016.08マイナーチェンジ
2017.07「180AMGスタイル」、「220 4MATIC」を設定 ←今回の中古車

2017年 CLA 180 AMGスタイル(7速AT・7G-DCT)

全長×全幅×全高4670×1780×1430mm
ホイールベース2700mm
車両重量1480kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1595cc
最高出力122ps/5000rpm
最大トルク20.4kg m/1250-4000rpm
サスペンション前/後ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク

中古車参考価格帯
200万円~460万円(2017年~ 2018年 ※AMGを除く)

※ナンバープレートはハメ込み合成です。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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