カーライフ
更新日:2026.03.13 / 掲載日:2026.03.12
気になるEV、1週間徹底試乗レポート![ マツダ MX-30 Rotary-EV]

文と写真⚫︎ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
自身も「ホンダe」オーナーである編集部 大塚が、さまざまな電気自動車に乗って何を感じるのか? 今回はユニークなメカを搭載するPHEVをシチュエーション別にテストしていきます。テーマはもちろん「徹底的にユーザー目線」で!
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復活のロータリーエンジンが発電するEVは、最強のエコカーか!?

今回試乗したのは、マツダのMX-30 Rotary-EV。MX-30は、マツダの電動化ラインアップの中核を担うコンパクトSUVとして登場したモデルです。これまではマイルドハイブリッド仕様のほか、純EVの「MX-30 EV MODEL」も設定されていましたが、現在はEVモデルがラインアップから外れ、発電用ロータリーエンジンを搭載したMX-30 Rotary-EVがラインアップの中心となっています。

MX-30 Rotary-EVはモーターのみで走行するEVの構造を採用しながら、発電専用のロータリーエンジンを組み合わせたシリーズ式プラグインハイブリッド車です。日常の移動ではEVとして静かで滑らかな走りを常時楽しむことができ、バッテリー残量が減少した際にはロータリーエンジンが発電を行うことで電力を補う仕組みとなっています。これにより、航続距離や充電環境への不安を抑えながらロングドライブにも対応するのが特徴です。

そして、このクルマで大きな注目を集めているのがロータリーエンジンの存在。マツダの象徴ともいえるこのエンジンを、駆動用ではなく発電専用ユニットとして採用しているのです。コンパクトで振動が少ないというロータリーの特性を活かし、EVらしい静かで滑らかな走行フィーリングを維持しながら実用性を高めています。
EVらしい走りの質感とエンジン車の使い勝手を両立させたMX-30 Rotary-EVは、電動化の真っただ中にある今日、これまでにない優れた選択肢のひとつといえるでしょう。今回は通勤や買い物、ロングドライブなど実際の生活シーンを想定しながら、1週間の試乗でその実力を確かめます。
【通勤テスト】自宅~勤務先の片道約25km(往復約50km)をテスト! 普段使いの電費や乗りやすさをここでチェック! ~まずは引き渡しで第一印象を~

自宅から都内の勤務先まで、片道約25km(往復約50km)の通勤ルートを想定してテストを実施。都市部の一般道と高速道路が半々という実走環境で、MX-30 Rotary-EVが日常の“移動道具”としてどれほど使えるかを検証しました。
編集部 大塚「まずコンパクトでまとまり感のあるスタイリングは、機能性の高さを感じさせますね。観音開きという個性的なドアを採用したオリジナリティの高いカタチは、愛着を感じさせるデザインだと感じます。そして通勤の足としてですが、ロータリーエンジンで発電するという独創的なEVの登場に少々驚いています。ロータリーというだけでも十分にレアですが、それを純粋な発電用エンジンにしてしまうというのはマツダのこだわりを感じさせますね」

ロータリーエンジンは2012年の量産終了から11年の時を経て、電動化の時代に発電機としての新たなカタチで復活を遂げました。ロータリーはマツダのスピリットを象徴する存在ともいえ、胸が熱くなるファンも多いでしょう。今回、おにぎり型のローターの3つの頂点に取り付けるアペックスシールの耐久性や耐摩耗性を高めたり、燃料の直噴化や冷却機能の強化など、低燃費化と低エミッション化のための改良も多く施されています。

編集部 大塚「満充電の状態で100km以上のEV走行ができるので、日常の通勤では発電されることはまずありません。帰宅してから充電しさえすれば、通常のEVのように使えます」

常時EV走行ができるため忘れられてしまいがちですが、走行中に効率よく回生を行い、発電を抑えています。モーターとブレーキの協調制御によって減速時の回生エネルギーが効率よく回収されます。さらにステアリングホイールのパドルで回生ブレーキの強さを調整できます。標準の「D」を基準に、強弱それぞれ2段ずつの計5段階で回生減速度を調整でき、左パドルを操作すると回生減速度が強まり、下り坂などで車速を抑えやすくなります。右パドルを操作すると回生減速度が弱まり、上り坂や高速巡航などで速度を維持しやすくなります。これにより、走行シーンに応じた回生をコントロールできます。

編集部 大塚「加えてサイズがコンパクトで狭めの車庫に収まるのはうれしいですね。また想像以上にハンドルが切れて小まわりが利くので、狭い路地や街中でもストレスなく走行できます。後席の居住性もなかなかで、ラゲッジスペースもゆとりがあります。このボディサイズにしては優秀だと思いました」
【寄り道テスト】会社からの帰り道、買い物やちょっとした寄り道での、使い勝手やワクワク感をチェック!

編集部 大塚「環境的な意識やランニングコストでエコカーを選ぶ人が増えていると思いますが、自分としてはEVのモーターによる初動からの力強い加速感や安定した走りのフィーリングに魅力を感じています。ですので常時100%モーターで駆動するというのは、非常に魅力的ですね」

MX-30 Rotary-EVは走行中、必要に応じて発電を行います(ノーマルモード)。ですがロータリーエンジンは発電のみに使用され、バッテリー残量にかかわらず、走行のすべてがモーターのみで駆動されます。
編集部 大塚「ポジショニングは人馬一体を標榜するマツダらしく、このクルマでも自然な姿勢で運転できるので、長めの時間運転していても疲れません。観音開きのドアは見た目にスタイリッシュで開放感もあって楽しいです。ただ、リア部分を開けるためにはフロント部分を開けなければならないので、子供など後席乗車が頻繁なユーザーには少々面倒かもしれません。インテリアも機能的なうえに、質感とデザインもなかなか個性的で気に入りました」

マツダは、ドライバーがまっすぐな姿勢でシートに座り、自然に足を伸ばした位置にペダルが配置されるレイアウトを理想としています。そのため、前輪の位置を前方に配置するなど車両設計を見直し、自然な運転姿勢を実現しています。さらに、アクセルペダルには足の動きに合わせやすいオルガン式ペダルを採用。これにより、自然な姿勢でペダル操作ができるドライビング環境を目指しています。ドアが前後で逆方向に開く「フリースタイルドア」は、たしかにユニークですね。センターオープン式構造で、大きな開口部により乗り降りや荷物の出し入れがしやすいのが特徴です。ドアを開けると、外と室内がつながるような開放感が生まれ、クルマの使い方やライフスタイルの幅を広げる独創的な設計となっています。
【お出かけテスト】ロングドライブでの電費や、快適性などを同乗者の意見も交えてチェック!

編集部 大塚「しばらく乗っていて気づいたのが、走行中に車内で聞こえてくるメカニカルサウンドがとても自然で、落ち着いた気持ちでドライビングに集中できたことです。ロータリーエンジンが発電する時の音も大きすぎず、気になりません」
MX-30 Rotary-EVでは、ドライバーがより正確に車速をコントロールできるようにサウンドのつくり込みが行われています。EVならではの必要な音をつくり出すことにより、人間にとって心地よいと感じる独自の音が開発されました。モータートルクと完全に同期したこのサウンドは、ドライバーが走行状態を正確に感知するのに役立ちます。モーターの力を音で伝えることにより、クルマとの一体感が高められます。また、発電機としてのロータリーエンジンは静かなうえに振動も少ないというのが特徴です。

編集部 大塚「ロングドライブでも充電の心配がなくなったのはとても安心ですが、キャンプ場など目的地を前にバッテリーをキープしておけるのも便利ですね」
MX-30 Rotary-EVには、走行シーンや用途に応じて選択できる3つのモードが用意されています。通常の「ノーマルモード」は、基本的にEV走行を行いながら、加速時など大きな出力が必要な場合にロータリーエンジンが発電し、バッテリーに電力を供給します。一方、「EVモード」は、できるだけ長くEV走行を続けたいときのモードで、バッテリーがなくなるまでEV走行をします。ただし、アクセルを深く踏み込んだ場合にはエンジンも始動して電力を供給し、最大ポテンシャルを発揮します。そして「チャージモード」は、あらかじめバッテリー残量を確保しておきたいときに使用するモードで、残量を10%単位で設定できます。設定値を下回ると発電を行い、設定したバッテリー残量を維持します。ですので、レジャーの帰り道に明日の通勤用に備えて充電しながら走るといったことも可能です。

編集部 大塚「今回は充電する必要性を感じませんでした。気になる電費は5.8kWhで、寒い季節としては相当優秀でした」
MX-30 Rotary-EVは、容量17.8kWhのバッテリーを搭載し、普通充電と急速充電の両方に対応しています。普通充電では、6kWの充電設備を使用した場合、20%から80%まで約1時間50分で充電可能です。急速充電(40kW以上)では、20%から80%まで約25分で充電できます。使い勝手は十分優秀といえます。

編集部 大塚「今回はキャンプに行けませんでしたが、キャンプ場などに着いてからの給電機能はとても便利で、EVの魅力のひとつだと思っています」
MX-30 Rotary-EVは、外部給電機能「V2L(Vehicle to Load)」に加え、車両から住宅へ電力を供給できる「V2H(Vehicle to Home)」にも対応しています。荷室に備えた電源コンセントから最大1500Wまでの電化製品を使用できます。またV2H機器を接続すると、車両から住宅へ電力を供給することも可能です。満充電で一般家庭の約1.2日分の電力をまかなえます。さらに満タン状態でロータリーエンジンの発電を組み合わせると、約9.1日分の電力供給が可能です。AC電源は、走行中に使える150Wのものがフロントコンソールに、1500Wのものがラゲッジルームに設置されています。
~試乗を終えて~

編集部 大塚「現在、Honda eをセカンドカーとして乗っていて、かなり気に入っているのですが、絶対的な航続距離が短いことと、荷室が狭くてキャンプには使いにくいといった2つが弱点です。しかし、MX-30 Rotary-EVではそれらが完全に解消されています。購入候補として真剣に検討してしまいそうです」
このクルマならば、例えば郊外の自然豊かな環境で子育てをしながら都心へ通勤したい、逆に都心で生活をしながら週末は遠出して家族や友人とアウトドアを楽しみたい、といったユーザーにもぴったりフィットするでしょう。しかも、レンジエクステンダーではなく、すべての走行をEVで行えるというのは独自の魅力といえます。
今回のまとめ

〇ロータリー発電が生み出すロングドライブの安心感
〇発電時であっても常時EVで走行
〇一体感のある自然なドライビング感
〇ラゲッジスペースは意外に広い
△機能性、快適性も高いが、車両価格は高め
△4WDの設定があるとさらに魅力的
△フリースタイルドアは後席のアクセスがやや不便
今回の充電データ
| 貸与期間中走行距離 | 300km |
| 電費 | 5.8kWh |
【今回のテストモデル】マツダ MX-30 Rotary-EV
| 全長 | 4395mm |
| 全幅 | 1795mm |
| 全高 | 1595mm |
| ホイールベース | 2655mm |
| 車両重量 | 1780kg |
| 乗車定員 | 5名 |
| 駆動方式 | 2WD(FF) |
| バッテリー総電力量 | 17.8kWh |
| バッテリー種類 | リチウムイオン電池 |
| モーター最高出力 | 125kW(170ps) |
| モーター最大トルク | 260N・m(26.5kgf・m) |
| 一充電走行距離(モーター) | 107km(WLTCモード) |
| 発電用エンジン | 830cc 水冷1ローター |
| 発電用エンジン最高出力 | 53kW(72ps) |
| タイヤサイズ 前後 | 215/55R18 |
車両本体価格(標準): 501万6000円(消費税込み)
※特別塗装色(ソウルレッドプレミアムメタリック)11万円(税込)を含む

リポータープロフィール:自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます! プロトコーポレーション 執行役員/2026-2027 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
