中古車購入ガイド
更新日:2026.03.20 / 掲載日:2026.02.28
クルマ通を虜にする名車のセレクトショップ「arj」|気になる中古車店探訪

東京は世田谷の閑静な住宅街を多摩川に向かって歩いていくと、少し奥まったショールームを構える店舗、arj(エーアールジェイ)が目に入る。
清潔感に溢れたショールームには1980年代から90年代のメルセデスをはじめとしたクルマ達が飾られている。そして一方の壁には創刊から最新号までのカーグラフィックがぎっしりと並んでいた。そこだけを取り上げるともしかしたら敷居が高いと感じられるかもしれない。
しかし、もし貴方が輸入車の中古車に興味があり、でも、維持費や故障が懸念で1歩踏み出せないとしたらぜひそのショールームに入ってみることをお勧めする。20年以上お店を営んできたその知見を存分に発揮した1台に巡り合えるはずだ。
人気店がたどり着いた結論。それは「新車のようなコンディション」を目指すこと

arjの代表取締役である馬渕仁之さんは、23年ほど前に勤めていた自動車パーツメーカーから脱サラをしてarjをオープン。もともと子供のころから父親の影響を受けカーグラフィックを読んでいたほどのクルマ好きだったという。
当初は様々なクルマを扱っていたそうだが、「ある時、W124と呼ばれるメルセデスEクラス、しかも8000kmほどしか走っていない、もう工場から出て来たばかりのようなクルマが手に入ったんです。そこでネットオークションに出してみたところ、ものすごい反響でした。そこでこういう新車時に近いクルマを探しているお客様がいることに気付いたんです。それがきっかけでいまのショップの方向性が決まっていきました」と語る。
もうひとつ馬渕さんは気付いたことがあった。それは、「クルマだけでなくモノを販売するとき、アラがあると売れないんですね。例えば傷があったりするとやめようとか、たばこ臭いからやめようとか。そういうものを全部消していくと、結果として新車のようなコンディションになるんです」。


ファンを虜にする「arjクオリティ」の秘密に迫る

そういったクルマに仕上げるためには、その個体そのものの素性も重要だ。馬渕さんはそれを見極めるのは「これまで培ってきた勘です」というが、それでも重要視するポイントを挙げてもらった。
それは、「内装が生きているクルマです。つまり使用感がない。例えば日焼けしていなかったり、やれ感がなかったり。また、外観も同様で塗装やモール類などがやれていないことですね。そういったところをチェックするとクルマ全体の程度の良さが見えてくるんです」と教えてくれた。

さらにarjではそうしたクルマをもとに、基本的な整備をしたうえでさらに独自の判断で手を入れていく。「例えば低走行車は、様々な対策部品などが使われていないことが多いんです。そういったところを一つ一つチェックして必要に応じて交換します」。
さらに23年間蓄えたの経験値から、「このくらいの年式や走行距離だと、ここがダメになってくるということがわかっていますので、予防的な整備もお客様と相談しながら進めていきます」という。当然その部品を交換すると、バランスが崩れてほかの部位に影響を及ぼすこともある。arjではそこまで考えて整備するという。

そのうえで馬渕さんは、「それでも機械なので壊れてしまうこともあるんです。その時に対応ができるように、社内に2名いる専門のスタッフが、自社の積載車で、保険会社と提携してクルマをお預かりし、代車をお貸しするようにしています。また、工場との体制もしっかり構築しています」と、アフターサポートも万全のようだ。

「買われた後に何か起こってしまうと、特に少し古いクルマに初めてお乗りの方だと不安が大きくなり困ってしまいますよね。そういったことを含めてバックアップできるようにしているんです」とコメント。
そのうえで、「壊れるものは壊れますとはっきり申し上げるようにしていますし、クルマによっては癖がありますので、それを伝えるようにしていますし、中には日常使いにはちょっと厳しいクルマもありますので、そういうこともきちんとお伝えします」と語る。これは、クルマを介して人とのつながりを大切にするarjの大切な考え方にもつながっている。

「九州や北海道のお客様も多いのですが、そういう方はお店の雰囲気やどういう人が売っているのかも気になりますので来店されます。『クルマもキレイです』といっても人それぞれ基準が違います。しかし、次にお買いいただく場合は見に来ないことが多いんです。クルマは同じコンディションで売るようにしていますので、その程度が共通の認識になるので、お電話だけでお話を進めさせていただくことが多いですね」と続けた。これは顧客との信頼関係が構築されているからこそ可能になる話だろう。

前述の通り自社のスタッフが納車や引き取りも行うのも、「納車時や修理の内容をきちんと説明するとともに、クルマの取り扱い方などについてもお話するようにして、1台1台丁寧に販売をしています。確かにコストはかかりますが、お客様との信頼関係を築くことを一番やらなければいけないと信じているからです」と述べた。
arjがクルマ通たちから支持されているのは、ただ高品質な車両を集めているからだけではない。1台1台コンディションの異なる中古車という特性を把握したうえで、ユーザーと真摯に向き合うのだ。そうした誠実な姿勢に触れるからこそ、ユーザーはarjのファンとなってしまうのだろう。
【お店のイチオシ中古車】走行距離4万kmの1990年式「メルセデス・ベンツ 300 SE」
ここまでarjというお店やその人気の秘密に迫ってきたが、ここではお店イチオシの中古車を紹介。つぶぞろいの展示車両のなかで、いまarjが推すのは1990年モデルのメルセデス・ベンツ 300 SEだ。
「メルセデス・ベンツ 300SE」は、1980年から販売された2代目Sクラス。フラッグシップモデルとして当時最先端の装備と技術が搭載されている。「300SE」は3Lエンジンを搭載するグレードで、全長5020mm、全幅1820mm、全高1435mmの堂々としたボディサイズ。さらにホイールベースを延長したSELも存在した。

なぜこのクルマをオススメするのか、セールスマネージャーの郡山さんはこう説明する。
「お店に入ってきたのは2回目です。最初は名古屋で会社を経営されていた方が新車からお乗りになっていて、そこから譲っていただきました。その後、山口の方に買っていただいたのですが、先日、別のクルマを購入していただいた際に再度入庫しました」と説明。


「SクラスはVIPの方々を速く快適に安全に目的地までお運びするクルマで、フラットでしっとりとした走り味が魅力です。搭載されている直列6気筒エンジンもとてもスムーズで、走行中の車内はとても静かで快適です。取り回しについては、ロングホイールベースのSELと比較して軽快感があり、ドライバーズカーとしても魅力的です。また、整備面でもリアサスペンションにレベライザー(車高調整)がないタイプなので、部品面でも安心です」と郡山さん。
また、この車両は前オーナーの頃からarjが販売し管理してきた車両だということで、そのあたりも安心してオススメできる理由だという。


実車を見るとショールームコンディションといっても過言ではないくらいの状態で、塗装の引けはもちろんなく、純正のシートレースカバーはまるで新品で、シートの日焼けもない素晴らしいコンディションであることから、本当に大切に扱われてきたことが伺える魅力的な1台といえる。
名車を有し日の姿のまま、次のオーナーへと受け継ぐお店

個人的にも古いルノーなどを乗り継いできた経験から、ショップなどで購入時はもちろんその後の修理に不安を感じたことは数えきれない。
その多くが「こんなもんです」という一言に尽きる。確かにこんなものかもしれないが、それであればなぜこんなものなのか、明確な説明があれば安心感は増すだろう。馬渕さんや郡山さんとお話をしていて、ユーザーの要望や不安に対して真摯に耳を傾け、的確な説明はもちろん、その先まで見越したアドバイスをもらえることを強く感じた。
初めて輸入車の中古を購入しようと思っている方はもちろん、これまで様々なショップで不安を感じたことのある方は一度arjを訪れてみることをお勧めする。購入後の整備に関しても23年間の経験をもとに価格も含めて正直に説明してくれるはずだ。
結局、arjでクルマを買うということは、素晴らしい状態のクルマが手元に来るというだけでなく、将来の不安感も払拭できる、お店との信頼関係を結べるということに尽きるのである。
arj(エーアールジェイ)
・住所:東京都世田谷区玉堤1-20-7
・電話番号:03-3704-7177
・営業時間:9:00~18:00
・定休日:月曜日
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文/内田俊一 写真/ユニット・コンパス