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更新日:2026.01.27 / 掲載日:2026.01.27
【MINI JCW E】気分はレーシングカー!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
ご存知のように世界市場でのBEV(バッテリーEV)のシェアはそれほど伸びていない。そこで2030年までにラインアップの全てをBEVにする目標を取り下げるなど、各メーカーは困惑しているのが現状だ。とはいえ、インフラを整えるなど来るべき未来は着々と進んでいる。
MINIのトップモデルが電気自動車になって登場

今回ステアリングを握ったMINIもそうで、BEVをしっかりラインナップする。3ドアハッチバックとエースマン、それとカントリーマンがそれだ。しかも、それにJCWが加わるのだから、メーカーは本気。BEVになっても個性をしっかりアピールしている。
結果MINIの2025年の世界販売台数28万8920台のうちBEVは10万5535台とシェア約37%にのぼった。これはBMWグループ全体では群を抜いている。グループ全体の販売台数は246万3715台で、BEVは44万2072台だったからだ。つまりこちらのBEVシェアは約18%。MINIの方が圧倒的に高いのは言わずもがなである。

電気自動車専用メカが可能にした視界のよさ

では、MINI JCW Eについて話を進めよう。このモデルは3ドアハッチバックのBEVをベースにJCWにしたものだ。走りのパフォーマンスはもちろん、エクステリアとインテリアにJCWの手が入っている。外観ではJCWのバッジと専用のホイールデザイン、それとボンネットストライプが目に付く。レーシーな装いだ。
ただ間違えていけないのは、このクルマは内燃機関を積んだ3ドアハッチバックとは別物だということ。実はプラットフォームから異なるBEV専用構造で成り立っている。床下にリチウムイオンバッテリーを敷きしめることを可能にしたプラットフォームだ。共有するのはエースマンのみとなる。
なので、一見してその違いを汲み取るのは難しいが、ドライバーズシートに座るとよくわかる。BEVは前にエンジンを積まないことでボンネットを低く作れるため、同じシートポジションでも視界が若干広くなる。上下の幅を効率的に活用できるのが特徴なのだ。



常にレーシーな走行フィール

では走りだが、正直かなりレーシーに振っている。足回りは固められピッチングなど上下の運動を激しくする。ダンパーの減衰圧、バネレート、ブッシュ類は明らかにスタンダードモデルとは異なる手応えだ。
そのためドライブモードの役目をする7つのエクスペリエンスをフル活用しても快適さはさほど感じない。エコモードを意味する「EFFICIENT」ではアクセルレスポンスこそ変わるものの、クルマの挙動が鈍く感じることはない。このクルマはあくまでもJCWであり、レーシーなテイストを常時ドライバーに提供する。
よって、「GO-KART」が真骨頂であることは明らか。雄叫びと共に各操作系パーツの反応はクイックになり、まさにゴーカートを動かしているような感覚を得る。クルマ好きであればこの楽しさを理解できるだろう。意のままに動くクルマとの一体感はJCW特有である。
それじゃ常にピッチングが発生しているのかといえばそうではない。極端にそれを感じるのは低速域で、街中でもある程度速度が乗ってくればタイヤは路面にピタッと張り付き、挙動は安定する。路面からの入力で生じる周波数がマッチするといった印象だ。つまり、このクルマの魅力は中速域から高速へと上がっていくことで、どんどん増していく。この辺の割り切りはさすがJCWと言いたい。
小型電気自動車のなかでも唯一無二の個性派

といったのが3ドアハッチバックのMINI JCW Eを動かした感想。スタートと中間加速にBEVならではの加速を取り入れてはいるが、総合的にデジタルフィールは薄く感じられるのがグッド。アクセル操作に微妙は加減ができるのは嬉しい。内燃機関に通じるドライバーへのフィードバックが得られる。ここはクルマを動かす楽しみを知るカーガイなら絶賛するポイントだ。
それと、このクルマにはもうひとつ異なる目線での魅力があることを忘れてはならない。それは大人が乗れる小さなプレミアムコンパクトモデルであるということ。このサイズでこれだけのパフォーマンスとオーラを備えていてくれれば、大人のクルマ好きは納得する。やはりMINIはサイズでヒエラルキーを感じさせない唯一無二の存在であり、JCWはその最たるものとなる。