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更新日:2025.11.19 / 掲載日:2025.11.19
新型クロスビーの魅力、全チェック!
カドマル四角が可愛くてカッコいい!!
スズキのコンパクトクロスオーバー「クロスビー」が待望のフルモデルチェンジを実施した。新型は親しみやすい個性の魅力に加え、スイフト世代の最新ハイブリッド&安全装備がプラスされることで、その魅力を大きく向上。コンパクトSUV選びの新しい選択肢として見逃せない存在になりそうだ。
文:川島茂夫 写真:澤田和久
《新型クロスビー》魅力総チェック


愛らしさからタフネスへ、新たなイメージを注入
SUVには高い全高を活かして室内高に余裕を持たせたハイトワゴンの側面があり、その傾向は車体寸法が小さなクラスほど強くなる。クロスビーのカテゴリーは、ひと昔前ならリッターカーと呼ばれていた登録車としては最小クラスで、コンパクトSUVの中でもかなりハイトワゴン志向の強いモデルになる。
ハイトワゴン志向の強さはパッケージングを見れば一目瞭然だ。全高はハイトワゴンのソリオと40㎜しか変わらない。ライバルと目されるヤリスクロスよりも100㎜以上高く、このクラスのSUVとしては異例と言っていいほど高全高設計だ。ただ、ハイトワゴンほどキャビン実用性を求めておらず、スライドドアなどは採用されていない。
クロスビーの開発コンセプトでも重要なポイントになっているのはデザインだ。SUVを意識させる外観はレジャーユースも視野に入れたもので、新型は先代のイメージを踏襲しつつも、SUVらしい力強さがより感じられるようになった。丸みを少なくし、角張ったイメージをプラスすることで、愛らしさとタフネスのバランスがタフネス寄りになっている。
SUVらしさを強めたキャラクターは、パッケージ面からも伺うことができる。本格SUVとまでは言えないものの、最低地上高は180㎜を確保。ヤリスクロスの4WD車は170㎜、ロッキー/ライズは185㎜であり、ハードクロカンはともかくとして、カテゴリーの基準にはしっかりとクリアしている。
悪路対応力については別項で述べるが、4WDシステムはあまりハードな悪路走行には適さないタイプ。SUVらしい悪路走行前提の用途には難しいものの、一般的なアウトドアレジャー用途への対応力は十分確保されている。新型は、先代以上に見た目も内容も上手にまとめられている。

パワーユニットは最新仕様運転支援機能も充実
車体外寸はホイールベースも含めて先代と同じで、サス周辺を含めた基本構造も継承。ただ、減衰接着剤を新たに採用した車体回りなど、各部まで細かく見直されている。
走行ハード面で最も大きく変わったのはパワートレーンだ。先代もマイルドハイブリッドだったが、エンジンは1ℓの3気筒ターボから、ソリオ/スイフト系に搭載されている最新の1.2ℓNAエンジンに変更されている。パワースペックは先代に及ばないが、WLTCモード燃費は大幅に改善され、新型のFF車は22.8㎞/ℓに向上。ストロングハイブリッドを除いたモデルでは、トップクラスの燃費性能が与えられている。
ミッションはCVTのみの設定で、FF車よりも4WD車のほうが約15%低いレシオ設定となるが、FF車と4WD車の重量差は4%程度。車重差の補正というよりも、低速でのコントロール性と発進トルクの改善を意図したものになる。
4WDシステムは、主駆動輪との回転数差に応じて副駆動輪にトルクを発生させるビスカス(VCU)式を採用。軽量小型かつ安価であり、軽自動車の4WDとしては標準的なシステムだ。いわゆる生活四駆に分類されるが、クロスビーには発進時にスリップする車輪にブレーキを掛けて空転を抑制するグリップコントロールや、エンジンとの総合制御で雪路の発進性などを高めるスノーモード、降坂時速度抑制のヒルディセントなどが組み合わされる。これらの走破支援は先代から採用していたが、新型はFF車の上級グレードにも設定されている。
ほかにも操安性向上のためにアクティブコーナリングサポートを全車に標準採用。前輪スリップ率増加によりコーナリングラインがはらむ時に、内輪側ブレーキを作動させて舵角相応のラインに復帰させるシステムだが、長距離走行が多いユーザーには頼もしい機能だ。

■主要諸元(クロスビー HYBRID MZ 4WD) ●全長×全幅×全高(㎜):3760×1670×1705㎜ ●ホイールベース:2435㎜ ●車両重量:1030㎏ ●乗車定員:5名 ●パワーユニット:1197cc直3DOHC(80PS/11.0㎏・m)+モーター(2.3㎾/60N・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:21.0㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/I.T.L式(R) ●タイヤ:175/60R16






先代クロスビー
ソリオをベースとした車体設計やデザインテイストは同じだが、精悍さが強まった新型に比べると、ポップで可愛らしさが前面に出ている。


キャビンの洗練度がアップ。優れた居住性も健在
3.8m弱の全長ながら1.3m近い室内高を活かしたキャビンスペースや、見晴らし感や居住性は先代と大差なし。2列シートのミニバンとも言えるゆとりの室内空間を実現している。
後席は5:5分割のシングルフォールディング式で、独立したスライド&リクライニング機構を備える。スライドを最前方にセットすると、4名乗車の小旅行に対応できるくらいの荷室スペースも確保される。撥水シート表皮や防汚タイプのラゲッジボードが採用されるなど、レジャーを意識した設計も健在だ。
新旧の違いを感じさせるのは、インパネまわり。機能的な印象のデザインという点では先代と共通するが、進化したセンターディスプレイやフル液晶のメーターパネルなどを採用したことで、世代の違いを強く実感することができる。
ADAS関連も大きくアップデート。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたデュアルセンサーブレーキⅡを採用するほか、ACCが停車保持機能付き(MZ)となり、カーブでの車速制御機能を追加したLKA、BSMなどの最新モデルらしい機能を備えている。また、MZで選べるアップグレードパッケージだと、ヘッドアップディスプレイもプラス。上級クラスにも引けを取らない運転支援機能も選択可能となる。
オーディオ関連は、全車OP設定で、全方位モニター付メモリーナビやスズキコネクト、TVチューナー、スマホ連携機能などが用意される。車載ITのスズキコネクトにはエアバッグ展開と連動したSOSコール発信機能やオペレーターによるトラブルサポート、エアコン操作、駐車位置確認などのサービスが用意される。
最先端というほどではないがナビにメモリーマップ式を採用するなど、クルマを乗り継いできたドライバーにも違和感少なく使える手堅い設計は好感が持てる。












先代クロスビー
先代のキャビンは、新型と比べるとカジュアル感覚が強め。アナログメーターやセンターディスプレイなどに設計年次の古さを感じてしまう。



《新型クロスビー》結論

より安心して選べるクロスオーバーに正常進化
SUVルックのハイトワゴンなのか? キャビン機能優先のSUVなのか? 答えに窮してしまうキャラだが、先代は前者、新型は後者と言えるだろう。。また新型は、パワートレーンも含めた技術進化や、市場状況の変化を織り込んだアップデートモデルという言い方も可能だ。いずれにせよキープコンセプトであり、ターゲット層も変わっていない。
変化を求める向きには、少々物足りないかもしれないが、だからこそ安心できる。SUVとしての性能を求めるならスズキには本格クロカンのジムニー系があり、5ドアモデルのノマドもあるが、オフロード性能以外の快適性や使い勝手などはライバルに劣ってしまう。
クロスビーはその対極、一般ユーザーのためのモデルであり、日常用途の使い勝手や経済性まで含めた多用途性の高さが魅力。実用重視というユーザーにはソリオという選択もあるが、そこまでファミリー色には振りたくないと考えるユーザーにとって、新型クロスビーのバランス感覚の良さは魅力的だろう。
《新型クロスビー》おすすめグレード
HYBRID MZ(4WD) 価格:250万300円

コスパ優先なら標準仕様のMXだが、上級仕様のMZは価格アップに見合う装備が備わり、ダウンサイザーにも魅力的な内容。どちらのグレードにしても、レジャーまで視野に入るなら4WDを選ぶべき。
《新型クロスビー》主要諸元&装備比較
