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更新日:2025.07.11 / 掲載日:2025.07.11
【ルノー メガーヌ R.S.】の歴史といま買いの中古車 モータースポーツの情熱を継ぐモデル

ルノー メガーヌ R.S.|語り継がれる名車の系譜 vol.55|
文●ユニット・コンパス 写真●ルノー
※中古車参考価格はすべてグーネット2025年6月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年8月号の内容です)
ルノースポールとして最後のモデルとなったメガーヌ R.S.には、フランスのモータースポーツへの情熱が込められている。
フランスのプライドを受け継ぐスポーツモデル
モータースポーツ発祥の国としての誇りを胸に
じつはフランスこそモータースポーツの原点である。世界で初めてのレースが行われたのも、F1の起源であるグランプリの第1回が実施されたのも、FIA(国際自動車連盟)の本部があるのもフランス。だからこそ、フランス人のモータースポーツへの情熱は熱いし、プライドも高い。そんなフランス人の期待を一心に背負うのがルノーだ。
1900年代からモータースポーツを通じて技術を磨き続けてきたルノー。戦後もゴルディーニやアルピーヌを傘下に納めることで、フランスのレース技術や人材を守り続けてきた歴史がある。F1やWRC、世界耐久選手権といったトップカテゴリーで世界と戦い続けてきた。
2001年からはその血筋を市販車にも継承。アルピーヌ時代から歴史あるディエップ工場を使い、市販車ベースのスポーツモデルを開発、製造するようになった。
特に成功作となったのが、3代目メガーヌから設定されたメガーヌR.S.だ。走行性能を大幅に引き上げながらも快適性を確保したキャラクターは評判を呼び、メガーヌ自体の人気を押し上げることに成功した。
メガーヌR.S.はモデルチェンジを重ね、ルノーを代表するスポーツモデルへと成長。2021年からルノーはモータースポーツ部門の名称をアルピーヌへと変更したが、最後のRSモデルもメガーヌであった。
ルノー メガーヌ R.S.はこんなクルマ

ノーマルモデルのメガーヌに対してフェンダーを広げ、ワイドなタイヤを装着。F1からインスピレーションを受けたインテークブレードなど、モータースポーツとの関連性を強く表現したスタイル。

特別にチューニングされた1.8L直4ターボ。ターボチャージャーは、セラミックボールベアリングを採用した高レスポンス仕様。

19インチの超軽量アルミから覗くのは、ブレンボ製レッドキャリパー。足まわりはサーキット走行を重視したシャシーカップを採用。

カーボン調素材とレッド&グレーステッチで彩られたインテリア。シートやステアリングの一部はホールド性に優れるアルカンターラを使用。
[ルノー メガーヌ R.S.が名車になった理由]モータースポーツの名門が市販車をチューニング
1970年代からルノーのモータースポーツ部門として活躍

1976年に設立されたルノーのモータースポーツであるルノー・スポール。1978年にはル・マン24時間レースで勝利し、1979年にはF1でも初優勝。世界にルノーの存在を知らしめた。
モータースポーツの血統を強く受け継ぐ市販車を開発

ルノースポールが初めて手がけた市販車が写真右側のスピダー(1995年、写真右)。ワンメイクレースでも使うことを想定した純粋なスポーツカー。2000年には、V6エンジンをミッドシップしたクリオV6を発表している。
F1チームの名前を冠した特別モデルも存在した

モータースポーツ部門の花形であり、頂点でもあるF1での活動は、1977年から現代まで途切れず続いている(現在はアルピーヌとして参戦)。レッドブルと活動していた時期には、メガーヌR.S.ベースの限定車も販売された。
市販車の高性能モデルを手がけ活躍を広げた

ルノースポールは2001年からは体制を刷新し、市販車をベースにした限定車やスポーツモデルの開発及び生産を手がける。メガーヌやクリオといった身近なモデルも、ルノースポールが手がけるとスポーツカーに変身した。
ニュル最速の名をかけたライバルとの熾烈なバトル

ドイツのニュルブルクリンクでのタイムは、高性能モデルの実力を示す重要な指標。ルノーは歴代メガーヌR.S.を使い、市販車FF最速を目指したプロジェクトを行う。ホンダ シビックタイプRとの名勝負は大きな話題となった。
サーキットでの本格的なスポーツ走行が可能な辛口モデルも用意

ベーシックなメガーヌR.S.は、走行性能と日常での快適性のハイバランスが魅力。しかし、ときに、ポテンシャルを走行性能に振り切った辛口モデルもリリース。R.S.モデルの世界をさらに広げた。
新車といま買いの中古車たち
ルノー メガーヌ ルノー・スポール ウルティム

すでに標準モデルは生産を終了。現在新車で購入できるのがシリーズで最も辛口な「ウルティム」。世界限定1976台、ルノースポールの名を冠する最後となるコレクションアイテム。
新車価格:659万円(メガーヌ R.S. ウルティム)
ルノー メガーヌ ルノー・スポール

5ドアハッチバックと6速AT(EDC)の組み合わせにより、ファン層を大きく広げた現行モデル。モデル末期となり、中古車価格も買いやすい価格帯となってきた。いまが狙い目。
中古車参考価格帯:250万円~530万円(17年〜25年 メガーヌ R.S. 全グレード)
ルノー メガーヌ ルノー・スポール(先代)

2ドアのスタイリッシュなエクステリアは今見ても魅力的。FF最速を競っていたモデルだけあって、パフォーマンス面でも十分に速いクルマ。その実力もあり、中古車価格は高め安定。
中古車参考価格帯:150万円~340万円(11年〜17年 メガーヌ R.S. 全グレード)