車の歴史
更新日:2024.10.08 / 掲載日:2024.10.07
輸入車の“乗り味”が国ごとに違うワケとは?走りの個性を育む各国の環境&ユーザーニーズ

輸入車の乗り味が個性的なワケ[COLUMN]
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、フィアット、ボルボ、フォルクスワーゲン、ジープ、シトロエン、DSオートモビル
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年11月号「ステアリングを握ればわかる! 輸入車らしい走りの魅力とは?」記事の内容です)
乗り比べるとたしかに何かが違う輸入車たち。その背景にあるのが、ブランドが生まれ育ってきた環境、そしてクルマを愛用するユーザーたちのニーズだ。
環境とユーザーニーズがクルマの性格を左右する
クルマが国際的な商品となり、生産地がブランドの本拠地と必ずしも一致しない時代になった。それでも、いや、だからこそブランドは自らのアイデンティティを強調し、個性のあるクルマづくりをしている。
では、乗り味におけるブランドの個性とはどうやって生まれるのか。最も影響が大きいのはブランドが備えるキャラクター性。次に大きいのが、そのブランドが生まれ育った土地の環境だろう。
日本はストップ&ゴーが多く、平均速度が低い。だから日本車は加速に優れ、乗り心地のいいクルマが好まれてきた。一方、北米のように、まっすぐの道を淡々と走る道が多い環境では、リラックスできるおおらかな乗り味が好まれてきた。
欧州ブランドは、まさに街のありようによって個性が変化した。市街地に石畳の道があるフランスでは乗り心地を重視。イタリアは道が狭く、峠道も多いためハンドリングに優れたクルマが人気を集めてきた。イギリスは日本に似た環境だが、市街地は低速で高速はハイスピードと走りにメリハリがあるのが特徴。
そしてドイツ。言うまでもなく、欧州車のイメージを牽引してきたスピードの国だ。クルマによる移動がスムーズかつスマートになる環境となっており、ドライバーのスキルも平均して高い。まさに、人と道がドイツ車を育てたことを実感する。
スウェーデン

北欧の国スウェーデン生まれのボルボの特徴は、雪道でも安心して走れること。ハンドルへの反応はいい意味で穏やか。居住性のよさにも伝統が生きる。
アメリカ

比較的平坦な道が延々と続くアメリカ。信号のない道を長時間淡々と走ることが多いため、快適性やゆったりとした乗り味が伝統的に好まれる。
ドイツ

ドイツは、国内に速度無制限区間のある高速道路の存在が、クルマの足腰を鍛え上げた。モータースポーツへの関心も高く、運動性能を重視する傾向。
フランス

定評ある乗り心地のよさを鍛えたのが道路事情。西欧最大の農業国で、農道でも快適に走れるクルマが求められた。シートにもこだわりが強い。