モータースポーツ
更新日:2022.11.21 / 掲載日:2022.11.21
【WRC フォーラムエイト・ラリージャパン2022】12年ぶり開催の世界選手権を目撃!

文と写真●ユニット・コンパス
ついに日本でWRC「ラリージャパン」が開催された! WRCとは、世界ラリー選手権のことで、ラリー競技の最高峰。主にサーキットで行われるF1などに対して、一般車と同じ公道を舞台に行われるのが特徴だ。「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」は、11月10〜13日の期間で愛知県、岐阜県をまたいで開催された。

WRCは世界各国を舞台に行われていて、もっとも上位のカテゴリーである「ラリー1」は自動車メーカーによるプライドをかけた戦い。日本勢としては現在トヨタが参戦していて、2022年シーズンは2年連続でのチャンピオンをすでに決定している。日本でもWRCは過去12年前に北海道で開催された実績があり、日本勢の活躍もあって長く復活を望まれていた。だが、新型コロナなどの影響でなかなか実現が難しく、今回悲願の開催となった。







ラリー競技は公道を使って行われるが、タイムを競う「SS」はクローズされたコースで実施され、その間の移動(リエゾン区間)も含めた競技となる。サーキットイベントではピットで修理やメンテナンスを行うが、ラリーでは定められたサービス基地以外では、基本的にトラブルはドライバー(運転役)とコ・ドライバー(案内役)が自力でなんとかするしかない。つまり、タイムを出すには攻める必要があるが、それでぶつけるなどトラブルが起きても次のサービスまで走り切らなければ棄権になってしまうのだ。ちなみに、移動区間であるリエゾンでは一般車と同じ道を同じルールで走るため、トラブルで次の出走時間までに間に合わないとペナルティを受けてしまう。こういうサバイバル要素も見どころのひとつだ。
ラリージャパンは、愛知県豊田市の豊田スタジアムを拠点に実施され、スタジアム内には各チームのサービス拠点が設けられた。観客は近くまでよってその作業を見ることもできる。メカニックたちが寄ってたかってマシンの状態整えているのを見るだけでも面白い。とくにトップカテゴリーのチーム(トヨタ、ヒョンデ、フォード)のテントは規模も大きく、設備も整っており、メカニックたちの統率のとれた動きは無駄ひとつなく洗練されている。まさにプロの仕事場だ。
ラリージャパンは日本の道路事情を反映して道幅が狭く、初開催のコースということもあって各ドライバーはインタビューでしきりに「難しい」というコメントを繰り返していた。結果としてはヒョンデが1位2位を占めることになったが、トヨタのサブチームから「トヨタGRヤリス Rally1」で参戦する日本人ドライバーの勝田貴元選手が3位表彰台に上がったのはうれしいニュース。勝田選手は来シーズントヨタのトップチームへの昇格も発表され、今後ますますの活躍が期待される。

観戦できたのは岡崎市の名鉄永谷本線東岡崎駅から歩いてすぐの河川敷に設けられた「SS13 岡崎SSS」。約1.3kmのショートコースで、観客席は川をまたいだ反対側で約5000人の観衆が詰めかけた。
岡崎城を望む街中にラリーカーのサウンドが轟くのはまさに非日常的で、観客たちは選手たちの巧みなドライビングテクニックとマシンの性能を堪能した。初開催ということもあり、必ずしもすべてがスムーズに進行したわけではなく、当初予定されていた同じ地点を走る「SS14」がキャンセルになるなど残念なこともあったが、観客たちはマシンが通るたびに大きな歓声と暖かい拍手で応援していたのが印象的だった。すでに来年のラリージャパン開催も決定しており、今回の経験を生かしてさらなるイベントとしての成熟が期待される。
同時にたくさんのマシンがコース上を走るサーキット競技と違い、ラリーは1台1台がタイムアタックを行うなど見る側にもある程度の知識が必要となるWRC。だが、一般公道を最高峰のマシンが走るという面白さは唯一無二。トヨタや日本人選手の活躍もあり、ネットを通じて世界中のレースを気軽に楽しめるWRC。今回初めてラリーを知ったというひとは、来シーズンはぜひシーズンを通じてWRCを追いかけてもらいたい。次回のラリージャパンを最高に楽しめるはずだ。



