中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.21 / 掲載日:2008.05.13
トヨタ セルシオ 中古車購入チェックポイント(2008年05月)
トヨタ セルシオ 中古車購入チェックポイント
参考車両:C仕様
初年度登録:2005年1月
■全体のチェックポイント
外観はもちろん、内装の状態もしっかりチェックして、全体の傷みに年式相応のバランスが取れていることを見極めるといいだろう。新車価格が高い高級車なので、丁寧に扱われて整備状態が良好な車両も比較的多いといえるが、整備記録を必ず確認しよう。仕様グレードによっては、走り好きが乗っていたり、過剰な改造車があることも、注意ポイントだろう。
1.全体の雰囲気から探る
1.全体の雰囲気から探る
やや離れた位置から、全体の様子を観察してみよう。
車両の周囲をひと回りして、立て付けや塗装面など、外観各部に異常はないかを確認。
前面は、ボンネット/グリル/ヘッドライト/バンパーなどが並んでいる位置バランスと、それぞれの水平線が狂っていないか。左右対称になっているかをチェック。
左右ヘッドライトを見比べて、片方だけ新しい場合は、交換の疑いがある。交換している場合は、単なるライトの破損や不具合などだけか、周辺部の修理に伴う処置なのか、交換した理由を詳しく探る必要がある。
2.斜めから透かして見る
2.斜めから透かして見る
車体まわりの傷や凹みを探る時は、見る角度を変えながら観察しよう。
斜め方向から透かして見ると、波跡(波打って見える板金修理跡)や見落としやすい広くて浅い凹みなども見つけやすい。
また、艶や色調が違うとか、ザラザラした肌荒れ状態になっているなど、塗装面が部分的に不自然に見える箇所も、板金修理跡かもしれない。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
ゴム部品の劣化など、消耗部品を中心にエンジンと周辺の部品をチェック。エンジンオイルの滲みや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
セルシオのエンジンルームは、大半の部分がカバーで覆われているために、細部まで見ることは難しい。定期点検整備記録簿をを詳しく調べて、確かめよう。
4.内側のパネルが重要
エンジンルーム内は、左右フェンダー側のインナーパネルや室内側のダッシュパネルなどに修理/交換跡などがないかを必ず調べるが、樹脂カバーがあるのでチェックできない。
カバーが新品と交換されている、あるいは周辺に修理跡があるなど、車体前部に異常がある場合は、カバーを外して内部にもダメージが及んでいないかを確かめる必要がある。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面の傷や凹みなどだけでなく、開けて、裏側に修理跡などがないか、確認しよう。
ヒンジ部の固定ネジを脱着した形跡がないかもチェック。ボンネットを外して修理、あるいは交換していれば、大きなダメージを受けて車体前部を修理している可能性も大きい。
6.車体前部の必須チェック
6.車体前部の必須チェック
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートをチェック。車体前部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、修理あるいは交換する確率が高い。
車両の外観がきれいでも、ラジエターサポートの状態を見ることで、車体にダメージを受けていたり、修理している手がかりを掴むこともできる。
7.取り付け状態を調べる
7.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、ボンネットを開けると見える、固定ネジを確かめよう。脱着した形跡があれば、外して修理、あるいは交換している可能性がある。
フロントフェンダーは重要な車体補強部材ではないので、傷や凹みの補修や、修理/交換しても、修復歴車にはならない。しかし、外して修理/交換するほどなら、大きな衝撃を受けていることも考えられるので、インナーパネルをはじめ、周辺も修理していないか、探る必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けは、例えば車体側面では、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス左右の柱)などが隣合わせになっている。それぞれの隙間の幅を見て、均等になっていなければ、いずれかを修理している可能性が高い。
セルシオは、側面を通っているモールの線に曲がりやずれなどがないかを見るのもポイント。
また、外板パネルの隙間を境に、隣り合う塗装の色調も比べてみよう。修理や交換をすると、色艶が違って見えることがある。
9.側面のドアをチェック
ドアに大きな損傷を負うと、外して板金修理することもあれば、交換することも多い。ドアヒンジのネジをチェック。ネジ脱着の痕跡があれば、ドアを修理/交換している疑いがある。
ただし、ドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけでは証拠にならない。周辺の状態を調べて判断する必要がある。
ピラー(柱)とドアキャッチ、ルーフ、サイドシル(ドア下の梁)などもチェックしよう。
10.リアフェンダーを探る
リアドアを開けて開口部を見てみよう。リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理した車両には、マスキング跡が残っていることもある。
また、フューエルリッド(給油口の蓋)を開けて、内部に修理跡などがないか、チェック。リッドや内部のカバーの交換にも注意。
また、リッドの色調がフェンダー部と違っていれば、フェンダーを修理していると考えられる。
11.トランクリッドから推察
後部も前部と同様に、バンパー、トランクリッド、コンビネーションランプ(テールライト)などが並んでいる線がずれていないか、チェック。
トランクリッドの立て付けが全体に狂っていれば、リッドがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。左右の片方だけ隙間がずれていれば、その側の車体部を修理していると判断して間違いない。
また、トランクリッドを開閉して、スムーズにロックできない場合も、リッドのずれか、車体の歪みかを確かめよう。
12.後部のチェックポイント
12.後部のチェックポイント
トランクリッドは、裏面に修理跡などがないか。交換の形跡がないかを確認。ヒンジのフェンダー側のネジを脱着していれば、フェンダー部を修理している疑いもある。
また、トランクルームの開口部は、左右両側共にリアフェンダーとトランクルーム内の鉄板とが接合されている。通常なら、溶接やシーラー、塗装などの状態を確かめるが、セルシオはカバーがあって十分にチェックできない。周辺の様子を念入りに調べよう。コンビネーションランプの交換など、特に後部の角周辺に異常がないかがポイントだ。さらに、スペアタイヤ収納部の床底に歪みや修理跡などがないかも確かめたい。
13.縁の部分も確かめる
フェンダーは、ホイールアーチ(縁の部分)にマスキング跡や修理跡などがないかをチェック。
フェンダーライナー(タイヤハウス内に設置している泥よけカバー)やサイドガーニッシュ(車体側面のカバー)などの取り付けに違和感がないか。外したり、交換していないかも確かめよう。
14.床下を覗いてチェック
14.床下を覗いてチェック
外観はきれいに修理しても、見えない部分などは手を付けない(補修や修理をしない)ことがある。鉄板部をはじめ、部品やカバー類など、細部まで探ろう。
サスペンション部品に損傷や歪みがあれば、走行に問題がないか、見極める必要がある。マフラーなどに錆が発生している場合は、浮き錆程度なら心配はないが、錆の進行状態を把握しておく。油汚れ(オイルやグリスなどの漏れ)にも注意しよう。
15.エンジンをかけてみる
15.エンジンをかけてみる
始動時の様子とアイドリング回転、排気ガスの色などを確認。
エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易に始動しない場合は、バッテリーや充電系統の他、さまざまな不調要因が考えられる。
セルシオの8気筒エンジンは、正常なら極めて振動が少ない。アイドリングの波打(回転が安定しない)や異音などに注意しよう。
16.不具合を察知する
16.不具合を察知する
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRなどにセレクトレバーを操作して、切り替え時に大きなショックがあるなどの異常がないか、試してみよう。できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激しい、あるいは繋がるタイミングが長すぎなるなど、故障の症状が出ていないかも確かめたい。同時に、マニュアルモードの作動状態もチェックしたい。
17.操作して機能を確認
電装機器や電動機構などは、正常に機能しているか、すべて操作して確かめよう。
ライト類やウインカー、ハザード、ワイパーなどの保安機器類の作動は、必ずチェック。
エアコンは、スイッチを入れるだけでなく、温度調節や風量も試してみる。オーディオは選曲や音量だけでなく、すべてのスピーカーが鳴っていることも確認。電動シート調整やシートヒーター、パワーウインドウの開閉、室内ランプ点灯なども忘れずに。
仕様グレードによって異なる装備などにも注意しよう。
18.車両の扱い方を推察する
18.車両の扱い方を推察する
前席周辺だけでなく、後部シートまわりも念入りに探ろう。シートや内装材に汚れや傷などがあれば、クリーニングできれいになるか、補修や交換が必要かの判断も必要だ。また、レザーシートの場合は、表皮のヒビ割れに注意。いずれにしても、日頃の手入れがポイントになる。
19.タイヤのチェック
19.タイヤのチェック
減り具合(残り溝の深さ)を、まず点検。傷や異物の刺さりなどがないかも確かめよう。
減り方も調べよう。一部が極端に減っている「偏摩耗」が起こっていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけか、あるいは車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
偏摩耗は、車体前部のインナーパネルの変形などによって起こることがあるので、タイヤを見ることでも車体の状態を推察できる。
20.ホイールのチェック
20.ホイールのチェック
参考車両のように、リム(タイヤと接している外周部)に傷を付けることも多い。軽い擦り傷程度なら見栄えが悪いだけで、走行には支障がないが、エア漏れの原因にもなる凹みや歪みを伴っていないかを必ず確かめよう。
大きな衝撃を受けていると、ホイールが変形したり、サスペンションまで損傷するなどのダメージにも注意する必要がある。
21.車両の情報をチェック
21.車両の情報をチェック
備え付けの書類は、車検証や車両取扱説明書の他、装備機器類の説明書が揃っていることを確かめよう。
車両のチェックには、定期点検整備記録簿が欠かせない。必ず記載内容を調べよう。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
いちばん新しい記載日が現状を表しているが、定期点検整備を受けて、詳細な記録が残っている車両は、走行距離が伸びていても、エンジンや走行系に大きな問題を抱えていないと考えられる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●セルシオは、北米などでは「レクサスLS」として販売され、現レクサスの前身となっていた高級セダン。1989年10月初代10型~1994年10月2代目20型~2000年8月3代目30型(UA-UCF30/31)が発売された後、2006年5月に販売終了している。
●参考車両は、30型が2003年8月にマイナーチェンジ(CBA-UCF30/31)した「30系後期型」と呼ばれるモデルで、2004年7月に一部改良(DBA-UCF30/31)した後のタイプ。マイナーチェンジでは、フロント/リアのエクステリアデザインが変更され、新開発シーケンシャルシフトマチック付き6速AT(6 Super ECT)、モノチューブ型ショックアブソーバーや18インチタイヤ(R仕様)、17インチタイヤ(eR仕様を除く全車)などを採用。室内は、ニーエアバッグ(運転席/助手席)や後席コンフォタブルエアシート/足元照明/バニティミラーが新設定された他、エアコンに脱臭/抗菌機能+湿度センサーを追加、オーディオはDVDチェンジャー(インダッシュ6連奏)一体タイプを装着。また、一部改良時に、排出ガスのクリーン化で平成17年基準排出ガス75%低減レベルを達成し、平成22年度燃費基準達成と合わせてグリーン税制対象車となっている。
●基本グレードは、標準「A仕様」、スポーティ「eR仕様」、上級「C仕様」の3タイプ。C仕様には、サンルーフを装着して内装に上質なセミアニリンレザーを使った「インテリアセレクション」や、後席シートにバイブレーター機能が付いた「Fパッケージ」、両方を組み合わせた「Fパッケージ インテリアセレクション」などの設定もある。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
A仕様 | DBA-UCF30 | 6AT | FR |
eR仕様 | DBA-UCF30 | 6AT | FR |
C仕様 | DBA-UCF31 | 6AT | FR |
C仕様 インテリアセレクション | DBA-UCF31 | 6AT | FR |
C仕様 Fパッケージ | DBA-UCF31 | 6AT | FR |
C仕様 Fパッケージ インテリアセレクション | DBA-UCF31 | 6AT | FR |