車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2015.01.23
NISSAN ELGRAND 移動の時間がエンターテイメントに変わるプレステージミニバン
日産 エルグランドはこんなクルマ!
新車価格帯 321万3000円~777万6000円 (※全グレード)
堂々としたルックスとゆとりに満ちたキャビンが存在を主張する、高級ミニバンを代表する1台。V6の豪快な加速フィールに惚れ込むファンも多い。
絶対的な人気を誇る元祖・高級ミニバン
「高級ミニバン」は、日本で生まれ育ったジャンルと言えるが、そのパイオニアは平成9年デビューのエルグランド。「キャラバン・エルグランド」、「ホーミー・エルグランド」という当時の正式車名から、その成り立ちが分かるひともいるだろう。90年代にピープルムーバーの世界で起こった大変革は、ワンボックスワゴンからミニバンという流れ。そこで、「高級」の方向から独自のミニバンを発想し、エルグランドとして世に送り出した日産は、新たなトレンドセッターとなった。
当時のライバルはグランビア。だが、日産がミニバン専用モデルとしてエルグランドを開発したのに対して、トヨタは海外向けハイエースの高級ワゴン版をグランビアとして国内市場に投入したのだから、そもそもの質や高級感がまるで違っていた。ファンが支持したのは言うまでもなく、本物であるエルグランドだ。
これがE50型。そして、2代目のE51型ではリヤマルチリンク式サスや、一段とパワフルな3.5L V6の心臓を導入し、エルグランドはプレミアム路線をより確固たるものとした。また、スポーティなルックスを特徴とするハイウェイスターが、シリーズを代表する存在へと成長したのも、このE51型の時代だった。
そして平成22年に、エルグランドは3代目のE52型へと移行。大胆な変身ぶりに、ファンはアッと驚いた。サプライズとなったのは、FRからFFへの駆動レイアウトの変更と、一気に全高を95mmも低くしたパッケージの大改革。3代目が手に入れたものは、安定性を大幅に進化させた走りと、低床フロアが実現した優れた乗降性、そして飛躍的に向上した燃費など、多岐にわたる。
そうした大改革を実践しながら、押し出し感の強いフロントマスクに象徴される「エルグランドらしさ」はきちんと踏襲したのがフルチェンジの要点。エルグランドはいまも、独自の高級路線をひた走っている。
RIVAL ライバル
トヨタ アルファード
新車価格帯 308万5714円~612万円(※全グレード)
エルグランドと人気をわかつ最大のライバル
市場で火花を散らすのはアルファード。ひと足早くFF化を果たし、現在は兄弟車のヴェルファイアとともに人気車街道を邁進する。際立つポイントは、背高ボディを活かした開放感抜群のキャビンと、時流に乗ったハイブリッドの設定だ。
HISTORY ヒストリー
PAST MODEL | |
平成9年5月 | 初代エルグランドが登場 |
平成14年5月 | 2代目エルグランドが登場 |
NEW MODEL | |
平成22年8月 | 3代目エルグランドが登場 |
平成23年11月 | 一部改良 |
平成24年12月 | 一部改良 |
平成26年1月 | マイナーチェンジ |
世代別中古車物件比率
平成14年から平成22年までの8年間にわたり生産された2代目は中古車市場の中心となる。ちなみに現行型は3割弱とやや少なめである。なお初代は1割程度存在するが、状態のよいものは少ないようだ。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データは、Goo-net 2014年12月調べ
3rd 快適で力強い走りを身につけた日産が誇るキング・オブ・ミニバン
3代目のエルグランドは、先代からの正常進化。ルックスはより押し出し感の強いものとなり、室内も豪華に。また、後輪駆動だった先代から前輪駆動へとメカニズム面では大きく変わり、その恩恵で室内はさらに広くなった。
中古車参考価格帯 170万~510万円 (平成22年~平成26年 ※全グレード)
日産 エルグランド
350ハイウェイスタープレミアム(CVT)
平成22年式
全長×全幅×全高:4915×1850×1815mm
車両重量:2080kg
排気量:3498cc
エンジン:V6 DOHC
最高出力:280ps
最大トルク:35.1kg m
燃費:9.0km/L(JC08 モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:マルチリンク
ブレーキ前後:Vディスク
タイヤ前後:225/55R18
メカニズムを一新して生まれ変わった3代目
2代目エスティマのプラットフォームからアルファードを生み出したのはトヨタ。対してエルグランドのFF化を決意した日産は、まったく異なるプランを実践した。それは、北米で販売するクエストとのプラットフォームなどの共用化。低く、ワイドに生まれ変わった理由が、これで理解できることと思う。
でも、3代目のE52型も、日本市場向けの高級ミニバンであることに変わりはない。事実、クエストと比べてみれば、はるかに高級なテイストで仕立てられていることが明白になる。加えて3.5L・V6の心臓も、よりパワフルな仕様としている。
そんなE52型は、14年1月のマイチェンでさらに進化。ラゲッジの改良や頭上高(前席&2列目)の拡大は、ユーザーの声を真摯に受け止めてメスを入れたところ。さらに、ハイテク安全メカの充実も、商品力を高めるポイントとなっている。
EXTERIOR エクステリア
ひきしまったフェイスで洗練度をさらにアップ
ロー&ワイドのプロポーションとロングホイールベースを特徴とするE52型は、見た目の安定感をグッと向上させたのがカギ。上下2段構成のヘッドライトと大型メッキグリル、横一文字のテールランプは、先代から継承したデザインDNAだ。
マイナーチェンジでここが変わった!
右の新型は、メッキグリルをより大型化し、目ヂカラを強くしたことで、マスクの存在感をより高めた。
INTERIOR インテリア
さらに広大なインテリアを実現 贅沢かつ豪華なリビングに
インパネデザイン、アイポイント設定ともにセダンライクなもので、E52型はドライバーズカーの色合いを濃くした。荷室については不満もあったが、14年1月の改良で3列目スライド機構を新採用。使い勝手を大幅に改善した。同時に頭上高の拡大も行い、居住性も向上させている。
開放感を高めるツインサンルーフは人気アイテムのひとつ。ロールサンシェードは全車標準の設定だ。前期型には、いかにも高級ミニバンらしい電動格納&復帰のサードシートも設定されていた。
MECHANISM メカニズム
FF化でパッケージを変更 足まわりもリニューアル
FF化に伴い、ミッションは5速ATからCVTに、2.5LユニットはV6から直4に変更された。燃費改善のカギはそこにもある。また、人気の4駆については、2WDモードやLOCKモードも選択できるFF版の「オールモード4×4」を採用。3.5Lと2.5Lの両方に設定する。
ベースはムラーノやティアナにも使われるDプラットフォーム。アル/ヴェルのリヤサスがトーションビーム式なのに対して、エルグランドはマルチリンク式を採用する。
前席フロア高はE51型と比べて130mmほども低い。乗降性の改善がFF化の大きな利点のひとつだ。で、2&3列目はシアターレイアウトとしている。
踏み間違い衝突防止アシストを世界初採用
アラウンドビューモニターに加えて、E52後期型ではソナーを使う踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付き)も設定。「より安心」を実現。
RIDER
人気のドレスアップ車「ライダー」も設定
オーテックジャパンが手がける特別なエルグランド。クールに決めた内外装と、専用ローダウンサスが生む冴えたハンドリングがウリだ。300馬力の強心臓を搭載する「ハイパフォーマンススペック」は、マニア垂涎の的と言っていい。
MARKET REPORT 市場レポート
価格が落ち着いており手が届きやすくなった3代目
高価なイメージがあるエルグランドもデビュー6年目を迎えて、リーズナブルな価格の中古車が流通してきている。もっとも人気の「250ハイウェイスター」では、平成25年式で299万円、平成22年式まで下がると248万円と、200万円台前半~中盤ゾーンで買える。低走行距離の車両も豊富で、コストに見合ったよい物件が揃っている。
グレード間の価格を見ると、かなり開きがあることがわかる。ベーシックな「250XG」であれば相場は200万円を下まわるなど、かなりお買い得。しかし、物件数の豊富さや人気の度合いから考えると選ぶべきはハイウェイスター系。充実の装備は満足度が高いだろう。
グレード×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
250XG | 197万円 | 191万円 | 233万円 | 286万円 | – |
250ハイウェイスター | 248万円 | 266万円 | 284万円 | 299万円 | 354万円 |
350ハイウェイスター | 273万円 | 275万円 | 301万円 | 322万円 | 404万円 |
走行距離×年式別相場
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
---|---|---|---|---|---|
1万km未満 | 322万円 | 316万円 | 310万円 | 322万円 | 379万円 |
1万km~3万km | 284万円 | 288万円 | 304万円 | 309万円 | 293万円 |
3万~5万km | 273万円 | 273万円 | 275万円 | 280万円 | 264万円 |
5万km以上 | 230万円 | 211万円 | 271万円 | 249万円 | – |
年式
もっとも多いのがデビュー翌年の32%で、その後は年を経るごとに物件数は減っていく。しかし、平成26年のマイナーチェンジのタイミングで再び物件数が多くなっているようだ。走行距離
1万km未満が21%、3万km未満まで範囲を広げて行くとおよそ6割にものぼる。このように、まだまだ低走行車はかなり多い状況である。5万km以上の物件は全体の17%となっている。
グレード
もっともベーシックな「250XG」は11%と少ない。やはり人気があるのはハイウェイスターで、2.5Lモデルは69%、3.5Lモデルは20%となる。より低燃費な前者が多い結果となった。
2nd 洗練されたルックスとFRシャシーの走りは 上級ミニバンの世界に革命をもたらした
平成14年にフルモデルチェンジしたエルグランド。2代目からは乗用ミニバンとしてのポジションを明確化。3.5Lエンジン+FRプラットフォームによる洗練された走りも高く評価され、高級ミニバンブームを築き上げた。
中古車参考価格帯 30万~270万円 (平成14年~平成22年 ※全グレード)
日産 エルグランド 350ハイウェイスター
ブラックレザーエディション(5速AT)
平成19年式
全長×全幅×全高:4835×1815×1910mm
車両重量:2160kg
排気量:3498cc
エンジン:V6 DOHC
最高出力:240ps
最大トルク:36.0kg m
燃費:8.0km/L(10・15モード)
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:マルチリンク
ブレーキ前後:Vディスク
タイヤ前後:215/60R17
高級志向の進化はクラストップの内容
成功作のE50型の後を継いだ2代目E51型は、「プレミアム」の方向性を確立したモデル。堂々とした風貌や、ゴージャス感を漂わせるインテリアを見れば、エルグランドの進化は明らかなものだ。加えて、右スライドドアの採用も見逃せない。
でも、それ以上の注目は中身の進化や高級化だ。V6の心臓は3.3LのVG33E型から3.5L・DOHCのVQ35DE型にスイッチされ、リヤにはマルチリンク式の独立サスがおごられた。加速のパワフルさ、乗り心地の上質感は群を抜くレベルにあり、高級ミニバンの新基準をつくりあげたと言っても過言ではない。
ちなみに、後期型でレギュラーガソリン仕様の2.5L車を追加したが、重量級のエルグランドに対して実用トルクは不足気味。つい、エンジンをまわし気味の運転となるため、燃費のメリットは期待ほどではない。E51型に似合う心臓はやはり3.5Lだ。
EXTERIOR エクステリア
シンプルながらも力強い日産デザインの力作
迫力あるビッグフェイスに加えて、1.9m級の高い全高も、周囲を威圧するような存在感を生み出すポイントになっている。大人気のハイウェイスターは、専用のエアロバンパーやサイドシルプロテクター、17インチアルミホイールなどを標準装備する。
INTERIOR インテリア
ラグジュアリーな雰囲気はエルグランドの大きな魅力
この世代までのエルグランドの特徴は、周囲のクルマを見下ろす高いアイポイント設定。抜群の開放感とドライビングの優越感が、「ミニバンの王者」らしい魅力となっている。シート、ステップとも高めの設定のため乗降性は良好とは言い難いが、シートに座れば格の違いは明らか。
ゆとりあるボディサイズを活かして、3列8人乗りのシート(7人乗りも設定)をゆったりと配置。アームレストやオットマンなど、快適度をより高める装備も充実する。
豊富なシートアレンジはあらゆるシーンで活躍
ワンボックスワゴンをルーツに持つ初代の名残か、シートはフルフラットや2列目回転対座などのアクションにも対応する。セカンドマルチセンターシートが豊富なアレンジのカギを握る。ちなみに、3列目は左右はね上げ式だ。
MECHANISM メカニズム
アラウンドビューモニターで初心者でも楽々駐車
上質な走り味を生み出すカギは、なんと言っても「V6+FR」のパワートレーン。洗練されたステアフィールと挙動が魅力だ。また、駐車を容易にするアラウンドビューモニターも自慢のアイテム。E51後期型が、世界初の採用例だった。
4駆メカはアテーサE-TSを母体とするオールモード4×4。LOCKモードの走破性はSUVの存在を脅かすほど。
MARKET REPORT 市場レポート
100万円以下の予算でも十分にねらえる
先代エルグランドは、新型の登場以降大きく価格を下げて非常にリーズナブルな価格帯となっている。一部のグレードや低走行で高年式の車両はまだ高いものの、平成18年~平成20年式あたりの物件は100万円台前半、初期型はさらに安い価格で販売されている。ただし低走行車は少なくなってきたようだ。程度重視のクルマ選びをしたい。
グレード展開は非常に豊富だが、エンジン別に分けると2.5Lと3.5Lの2タイプ。ただし、中古車では両者の価格差はそれほど大きくない。走行距離別に見ると、5万km以上の車両が大半。8万km以上のものも少なくないので、予算と相談したクルマ選びが必要である。
グレード×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2.5L車 | – | – | 78万円 | 98万円 | 108万円 | 133万円 | 153万円 | 177万円 |
3.5L車 | 51万円 | 53万円 | 73万円 | 101万円 | 109万円 | 142万円 | 166万円 | 174万円 |
走行距離×年式別相場
平成14年 | 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | |
---|---|---|---|---|
3万km未満 | 74万円 | 80万円 | 106万円 | 133万円 |
3万~5万km | 60万円 | 85万円 | 95万円 | 123万円 |
5万~8万km | 57万円 | 57万円 | 80万円 | 107万円 |
8万km以上 | 47万円 | 45万円 | 61万円 | 82万円 |
平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | |
---|---|---|---|---|
3万km未満 | 150万円 | 168万円 | 199万円 | 199万円 |
3万~5万km | 126万円 | 159万円 | 192万円 | 191万円 |
5万~8万km | 122万円 | 141万円 | 156万円 | 171万円 |
8万km以上 | 87万円 | 106万円 | 119万円 | 117万円 |
IMPRESSION
森野恭行の歴代モデルインプレッション
3rd 走行性能はさらに進化2.5Lでも十分な性能
先代の重厚なドライブフィールを継承しながら、ハンドリングや高速安定性を大きく向上させたのがE52型の見どころ。低重心化が大きく貢献している。だが、強めのステアリングキックバックなど、荒さを残す面もある。心臓に関しては、2.5Lでも合格レベルにあり、3.5Lは豪快な走りを楽しませてくれる。
2nd 上質さを感じさせる走りオススメは3.5Lモデル
2WDでも車重は2トン超だけに、走りの印象はハイウェイスターでも重厚そのもの。重心が高めのため、コーナーを速く走ることは得意としない。光るのは滑らかな操舵フィールと自然な挙動で、ドライビングの上質感においてE51型はいまも独自の存在感を主張する。3.5Lモデルは動力性能や静粛性のレベルも高い。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データは、Goo-net 2014年12月調べ