BMWの水素自動車「BMW iX5 Hydrogen」ミュンヘンモーターショーにて公開予定

　BMW X5をベースに開発されたBMW iX5 Hydrogenのスモール・シリーズは、来年末からデモンストレーションとテストのために使用される。将来的には、BMW i3、BMW iX3、BMW iX、BMW i4などのバッテリー・モデルに加えて、水素燃料電池ドライブトレイン搭載車両を提供することが可能になるとみられる。この技術はBMWグループの電動化において、充電インフラを自分で用意できない顧客や、頻繁に長距離を運転する、高度な柔軟性を求める顧客のニーズに応えるものになると期待を寄せる。

　BMW iX5 Hydrogenは、燃料電池技術と第5世代のBMW eDriveを組み合わせたモデル。このドライブ・システムは、水素を燃料として使用し、燃料電池で電気に変換することで、最大125 kW/170 hpの電気出力を実現し、唯一の排出物は水蒸気となる。この駆動力により、長距離でも常に高い速度を維持することが可能だという。この電気モーターは、BMW iXにも採用されている第5世代のBMW eDriveテクノロジーから開発された。惰性走行時のオーバーランやブレーキ時には発電機として機能し、パワー・バッテリーにエネルギーを供給。このパワー・バッテリーに蓄えられたエネルギーは、特にスポーティな運転操作にも利用され、275kW/374psのシステム出力を実現し、BMWらしいドライブ体験を提供する。

　燃料電池に供給する水素は、炭素繊維強化プラスチック（CFRP）製の2つの700気圧タンクに貯蔵されており、合計で約6kgの水素を保持する。「水素タンクへの充填には3～4分しかかかりません。そのため、BMW iX5 Hydrogenを長距離で使用しても、その間にわずかな停車をするだけで制限はありません」とこのプロジェクトの責任者であるユルゲン・グルドナー氏は説明する。

　BMW iX5 Hydrogenは、新しい駆動技術とBMW Xモデルのプロポーション、利便性、多用途性を組み合わせた現代のラグジュアリー・スポーツ・アクティビティ・ビークル（SAV）。個性的なエクステリアとインテリアのデザイン要素は、BMW iブランドとのつながりと、この車特有のテクノロジーを強調している。

　BMWキドニー・グリルの内側のエッジング、22インチのエアロダイナミック・ホイールのインサート、リア・エプロンの外側のアタッチメントなどは、すべてBMW iブルーで統一。また、随所に「Hydrogen Fuel Cell」のバッジがあしらわれる。BMWキドニー・グリルを覆うオーナメント・グリル、下部および外側の2つのエア・インレット、リア・エンド・トリム下部のボディ・エレメントは、すべて3Dプリントを使用してプロトタイプおよび標準部品が製造されている。

　また、BMW iX5 Hydrogenのエアロダイナミック・ホイールには、天然ゴムとレーヨンを使用したサステイナブル・プロダクション・タイヤが装着されている。これは、独立した組織であるFSC（Forest Stewardship Council：森林管理協議会）の基準に準拠して採取された原材料を使用していることを示すものだ。