輸入車
更新日:2021.01.29 / 掲載日:2020.12.09

【試乗レポート ルノー ルーテシア新型】フランス車の魅力はそのまま、装備は世界トップレベル

ルノー ルーテシア

ルノー ルーテシア

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 東京モーターショー2019に参考出品された新型ルーテシア。展示車はスポーティなRSラインであったことに気を取られたが、良く見ていると質感の高まりが感じられ、新型は大きな進化を遂げていることを予感させた。あれから約1年を経て、いよいよ正式導入が開始された。ルノー・ジャポンの説明では、Cセグイーターとして開発されたという。想像以上の強気振りである。新型ルーテシアとはどんなクルマへと仕上げられているのだろうか。

ひとクラス上のクルマにも匹敵する見た目品質

全長と全幅がダウンサイジングされた新型だが、ルックスはスタイリッシュ

全長と全幅がダウンサイジングされた新型だが、ルックスはスタイリッシュ

 先代ルーテシアは、良く言えばカジュアルで若々しさに溢れていた。そのため、ホットモデルであるR.S.は、ボーイズレーサー的な雰囲気が強くカッコ良かった。その一方、スッピンといえる標準車だと、正直に言えば少々安っぽく映ったのも確か。フレンチシックと受け取ることもできるが、その役目ならトゥインゴもある。しかしながら、新型では、そんな従来の価値と決別。ひとクラス上のCセグにも引けを取らない洗練された雰囲気を放つ。もちろん、全体的にシャープさも強調されているので、スポーティでもある。その風格はボディサイズアップの賜物かと思いきや、全長が-20mmの4075mm、全幅-25mmの1725mmとダウンサイズ。ホイールベースも-15mmの2585mmに。唯一、全高だけが25mm高められているだけなのだ。この点は、本当に意外であった。とはいえ、ハイトにも見せないのは、最新ルノーが採用するコの字型のフロントマスクと全体的にシャープな直線でボディラインの抑揚を強調したスタイリングの妙だろう。

無駄を削ぎ落とした室内は広さも十分

インテリアは見た目と質感にもこだわられている

インテリアは見た目と質感にもこだわられている

 サイズダウンは取りまわしも良くする。しかし、それで室内が狭くなったのではつまらない。そこで乗り込んでみると、不思議なことに従来型と比べ、むしろ広くなったように思える。その秘密は、ダイエットにある。限られる車内空間を広げるために、ダッシュボードやシートなどの無駄な部分を徹底的にそぎ落としたという。体型だけでなく、内臓脂肪にも気を配ったという訳だ。だから、後席に収まっても、足元や頭上にゆとりがある。そして何よりも質感が高い。決して高価な素材を使っているわけではなく、色合いやシボ加工、そして触れる部品の質感とデザインに力を入れ、良いものに仕上げているのだ。Bセグなんて、お手頃なだけとは言わせないルノーのエンジニアたちの意気込みが伝わってくる。また良い意味で奇抜さも無いので、長く愛用できる雰囲気も好印象。結構真面目ちゃんなのだ。ただアンビエントライトが装備されているので、華やかな雰囲気も演出できる。ラゲッジのことも忘れておらず、先代よりも大きな391Lを確保している。

  • ルーテシア フロントシート

    ルーテシア フロントシート

  • ルーテシア リヤシート

    ルーテシア リヤシート

  • ルーテシア ラゲッジ

    ルーテシア ラゲッジ

スマホ対応インフォテインメントを標準装備。オーディオも高音質

最新式のスマホ対応インフォテインメントを装備

最新式のスマホ対応インフォテインメントを装備

 装備類は、インフォテインメントシステムが最新式となり、操作性も向上。今や必須といえるスマートフォンリンクも装備。Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応するので、高価なオプションナビは必要に応じて選べばよい。Bセグ越えの意外な装備がオーディオだ。Boseサラウンドシステムをエントリーグレード「ゼン」を除き、標準化。8スピーカーとサブウーファーと贅沢なシステムで、スピーカーには世界初の機能が使われている。このサウンドが素晴らしい。昔のBoseのようなドンシャリな感じではなく、パワフルかつクリアな音質なのだ。スピーカーが良くとも、内装が共振してしまい、質感を落とすケースもみられるが、共同開発だけあり、その点も抜かりはない。ボリュームを上げても、無粋な響きは、起こらなかった。

  • 必要に応じてカーナビを装備することも可能

    必要に応じてカーナビを装備することも可能

  • メーターもデジタル式となった

    メーターもデジタル式となった

乗り心地はしっとりとしていながらしっかり感もある

パワートレインは、1.3L直4ターボ+7速DCT

パワートレインは、1.3L直4ターボ+7速DCT

 贅沢といえば、パワートレインにも当てはまる。日本導入モデルは、全車に1.3L4気筒直噴ターボエンジンに7速DCTが組み合わせされるが、これは協業によりダイムラーから提供されるもの。端的にいえば、ひとクラス上のA180のものと同じパワートレインなのだ。スペックは、最高出力131馬力、最大トルク24.5kgmとBセグならスポーティモデルに適合できるもの。事実、R.S.シャシーカップと最大トルクが一致するが、より低い回転域で発生するため、加速性能も期待できる。

 その走りは、かなり上品だ。静粛性が高く、何よりも落ち着いた動きを見せる。乗り心地も良いが、しっかりとしており、フランス車よりもドイツ車的かもしれない。狙いは、欧州車のど真ん中。同じくフランスのプジョー308が、ゴルフを意識して生まれ変わったことと重なる。これはフランスらしさが失われた訳ではなく、欧州Bセグで本気で勝負するためなのだろう。DCTも、先代の6速乾式から7速湿式に変更されたことで、緩い変速からDCTらしい俊敏なシフトチェンジに。高回転域まで引っ張ってもぎくしゃくした感じはなく、好感触であった。

従来苦手としていた先進安全装備も最新レベルのものを採用

ルノーと日産が将来のコンパクトカー向けに開発した「CMF-B」を採用

ルノーと日産が将来のコンパクトカー向けに開発した「CMF-B」を採用

 全面刷新されたルーテシアの良さの秘密は、新プラットフォームにある。ルノーと日産が将来のコンパクトカー向けに開発した「CMF-B」を採用している。このプラットフォームでSUVなども設計され、何よりも将来的な衝突安全基準のクリアも前提とするので、しっかりとしているのだ。しかも最新式となったことで、フランス車の弱点のひとつであったADAS機能も全車に標準化されている。まさに向かうところ敵なしといったところか。

 グレード構成は、受注生産のエントリー「ゼン」、充実装備の標準車「インテンス」、レザーシートに加え、360°カメラとステアリングアシストのADAS装備、ワイヤレスチャージャーなどを追加した「インテンステックパック」の3タイプだ。個人的には、バックカメラやACC、衝突被害軽減ブレーキなどが全車に標準なので、インテンスでも十分だと思う。それだけ新型ルーテシアは装備が充実している。このセグメントでは、プジョー208やシトロエンC3も人気を集め、競争が生まれているが、それぞれ個性が異なるのも面白い。今後は、フランスチームとして上手く共存していく可能性もある。そうなると一番、ウカウカしていられないのは、大定番のVW ポロかもしれない。

ルノー ルーテシア インテンス

■全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm
■ホイールベース:2585mm
■トレッド前/後:1505/1495mm
■車両重量:1200kg
■エンジン:直4DOHCターボ
■総排気量:1333cc
■最高出力:131ps/5000rpm
■最大トルク:24.5kgm/1600rpm
■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
■ブレーキ前後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前後:205/45R17

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グーネットマガジン編集部

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