レクサス、「LS」をマイナーチェンジ

同車の原点とも言える上質な走りを追求するにあたり、「人の感性」を大切にしつつ、タイヤの内側の構造やシートに座った時の質感、日常走行域での加速レスポンスなど、静粛性や乗り心地をはじめとする走行性能に関係する部分とその制御を、細部まで徹底的につくり込んだという。
まず減衰力可変ダンパーのAVSは、新設計した油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大。これにより減衰力を低減し、さらに上質な乗り心地を目指した。減衰力の可変幅が拡大することで、より優れた操舵応答性と安定性に寄与する。
さらにタイヤ（ランフラット）の縦バネ剛性、スタビライザーバーのばね定数、バウンドストッパーの先端部の剛性を最適化。エンジンマウント内のオリフィスまでを変更し、減衰特性を変更。クルマの室内に伝わる振動や衝撃を、低減させている。
2WD車のフロントサスペンションは高強度アルミ鍛造アームへチェンジ。タイヤは質量を低減することで「ばね下質量」を約3.5kg軽量化。路面からの入力をボディへ伝わりにくくすることで、乗り心地を向上。
3.5LのV型6気筒ツインターボエンジンでは、使用頻度の多い走行領域でのエンジントルクの立ち上がりを向上。さらなる走りの余力感を実現。過給圧を制御するウェイストゲートバルブのバルブ開度をより緻密に制御。アクセル操作に対して発生するトルク精度を高めて、加速レスポンスを向上させている。トランスミッションはシフトスケジュールを変えることで、段を維持したまま加速できる領域を拡大。シフトダウン頻度を低減させることに成功。
さらに同エンジン車においては、燃焼室形状を最適化。燃焼効率を向上させ、出力＆燃費性能＆静粛性を向上。コンロッドの形状も最適化させつつ、クランクシャフトのクランクピン径を拡大。軽量化と、剛性アップによる優れた静粛性を両立。可変バルブタイミング機構は油圧制御化し軽量化。オイルコントロールバルブを内部に配置するセンタースプール構造とすることで油路を短縮、応答性の向上を図った。
さらなる乗り心地向上のため、シートにもメスを入れている。表皮の縫い位置を、より深い位置に変更しつつ、新開発した低反発ウレタンパッドを採用。振動吸収と柔らかさを向上させ、さらに快適性を向上させた。

レクサスのデザインの思想のひとつ、日本ならではの美意識を表した考え方「Time in Design」を追求。この新型LSでは「月の道」をモチーフとして、内外装を改良した。
まずフロントフェイスでは、フロントバンパーのコーナー部に縦基調のキャラクターラインを配置。よりオーバーハングが短く見えるデザインとすることで、上質な走りを表現している。フロントバンパー下端のメッキモールは、サイドまで回り込む造形にチェンジ。伸びやかなプロポーションを目指した。
ヘッドランプは新デザインの小型3眼ランプユニット。L字を際立たせたクリアランスランプの下に、「ブレードスキャンAHS（Adaptive High-beam System）」を搭載。ヘッドランプの厚みを持たせることで、どっしりした風格を与えた。ほかにはサブラジエーターグリルをスクエアな形状にし、外側に配置。スピンドルグリルのメッシュカラーもダークメタリックに変更し、フラッグシップらしい上品さを表現。
リヤコンビネーションランプでは、メッキモールをピアノブラックに変更。形状も厚みを感じるものとすることで、ヘッドランプとの調和を図った。
とくにFスポーツではサブラジエーターグリルのガーニッシュをより回り込ませることで、ワイドプロポーションを強調。専用色のスピンドルグリル、20インチホイールなどのアイテムも採用し、スポーティなキャラクターを際立たせている。
ボディカラーでは銀影（ぎんえい）ラスターを新規開発。同色はレクサスの最新のシルバーとして、光輝材（アルミフレーク）を含んだ塗料を凝縮させる「ソニック工法」を応用。蒸着アルミを高密度で敷き詰めるという、最新の塗装技術だ。まるで鏡面のように粒子感をほとんど感じさせない滑らかな質感を実現させており、周囲の僅かな光も繊細にキャッチ。時の移ろいや変化に応じて様々な表情を見せる特別なシルバーだ。

インテリアではハンドルとセンターコンソールのスイッチ類を黒で統一。視認性を向上させるとともに精悍な印象を高めた。シートヒーターとステアリングヒーターの操作画面を表示させるスイッチを、センターコンソールに追加。操作性を向上。
マルチメディアシステムには、新たにタッチディスプレイを採用。またSmartDeviceLink、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応。iPhoneやAndroidのスマートフォンを12.3インチタッチワイドディスプレイに連携させられ、画面操作や音声操作が可能に。
注目はオーナメントの新規設定色、プラチナ箔＆西陣。西陣織の銀糸やプラチナ箔の輝きによって、月明りに照らされた波の揺らぎ、「月の道」を表現しているという。

新型ではLexus Safety System +Aを全車に標準設定としつつ、各機能を拡充／進化させている。
例えばプリクラッシュセーフティは対応領域を拡大。交差点右折時に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能とした。また低速時の衝突回避もしくは被害軽減をサポートする、低速時加速抑制機能が追加されている。
カメラで主要な道路標識を読み取り、メーター内に表示する「ロードサインアシスト」においては、最高速度120km/hまで表示するように。
アドバンストパーク機能は駐車場で、ドライバー監視のもと、カメラと超音波センサーにて全周囲を検知。ハンドル操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジの全操作を車両が支援しつつ、俯瞰映像に車両周辺の死角や目標駐車位置などを表示。安全／安心でスムーズな駐車を実現する機能。
’19年8月にマイナーチェンジしたRXにおいて、世界初採用したブレードスキャンアダプティブハイビームシステムを採用。光源LEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射。反射した光が、レンズを介して高速移動しながら前方を照らすという機構。残像効果で光は動いているようには見えず、適切なタイミングで点灯／消灯することで、配光をより細かく制御することができるのだ。
またデジタルインナーミラーには高解像度でより大きな9.6インチディスプレイを採用。
最後に前述のAdvanced Driveについて。最新の高度運転支援技術で、高速道路などの自動車専用道路での運転において（ドライバー監視のもと）実際の交通状況に応じ車載システムが適切に認知、判断、操作を支援するもの。クルマ側での車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを実現する。運転操作を安心して任せられるようクルマの基本性能を磨き上げ、常に安全を最優先に判断し「信頼される」運転操作を追求。ドライバーはアクセル、ブレーキ、ハンドル操作から解放され、長時間運転の疲労の軽減が可能に。

「LSは、LEXUSブランド創設以来、フラッグシップとして静粛性と乗り心地、精密なつくりこみによって、多くのお客様に驚きと感動をお届けしてまいりました。常に最高の体験をお求めになられるお客様の期待に応えるため、新型LSは自らの原点に立ち返り、静粛性と乗り心地をさらに進化させています。そして、その磨き上げた基本性能の上でこそ実現することが出来た高度運転支援技術『Lexus Teammate』を採用。LEXUSの世界観をよりアーティスティックに表現するデザイン開発にも取り組み、お客様の想像を超える新たな移動体験の提供を目指しました。」