新型車比較・ライバル車対決[2019.10.30 UP]

目新しさより完成度!? 熟成新型車のすすめ

新車情報を追い続ける月刊自家用車が、ここでは趣向を変えてデビューから時を経たモデルの魅力に迫る。MC(マイナーチェンジ)を経たからこその良さ、そして最新でないことのネガとは!?

この記事の目次

MAZDA マツダ2
LEXUS RX
VOLVO V40

関連情報

ボディタイプ:コンパクトカー ボディタイプ:ステーションワゴン ボディタイプ:SUV・クロカン 国産車 新車 輸入車

MAZDA マツダ2

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

車格を超えるプレミアム感でダウンサイザーも満足させる

XD Lパッケージ(4WD)

乗り心地や装備でも進化を実感できる
15S Lパッケージ(FF)

 マツダのクルマ造りには二本の太い柱がある。「魂動デザイン」と「人馬一体」だ。しかも、どちらも概念や哲学ではなく具体的な指針を伴う。結果、改良時にも大きな飛躍はなく、マツダセオリーに従う傾向になるが、新旧の著しい変化がないのは、気に入っているユーザーには信頼感そのものだ。デミオ改めマツダ2はそんなマツダらしいMCが施されていた。
 コンパクトカーではプレミアム感が売りのモデルだったが、このMCではマツダ上級クラスと共通した印象を与えるフロントマスク、合成皮革を用いたノーブルなシートや運転席パワーシートを設定。それらが装備されたLパッケージのコックピット周りは、車格を忘れるほどのプレミアム感がある。
 変わったのは見た目だけではない。走りも洗練感が増している。例 えばパワーフィールでは踏み込み直後の加速立ち上げが印象的。反応遅れを取り返す深踏みも減少し、自然とゆったりとした穏やかなペダルコントロールになる。これはトルクに余裕のないガソリン車のほうが効果的であり、余力感が高まったと換言してもいい。
 だが、走りの改良で恩恵が大きいのは乗り心地の改善だ。従来車では段差乗り越え等の小さな突き上げや車軸周りの揺れが目立ったが、それが綺麗に消えている。パッチ路等の荒れた路面での滑らかさが加わって、乗り味全体が穏やかになっていた。
 もうひとつ見逃せないのはLKAの採用だ。従来は車線逸脱警報だけだったが、マツダ上級クラス同様の半自動操舵型LKAを設定。合わせてACCも全車速型となっている。LKAの走行ライン制御の甘さやACCに停車保持機能がないことなど、最新の運転支援機能と比較すると性能的に見劣りするが、あるとないとでは大違い。全車速型ACCと半自動操舵LKAはマツダ2の長距離適性をさらに向上させる必須アイテムである。ただし、標準装着はXD・Lパッケージのみ。他は15Sを除いてオプション設定である。
 MCなのでキャビンスペースは従来と同じ。ユーティリティ面の改良はない。同サイズ車では後席の居住性が劣るなど、実用性を基準に評価すると相変わらず魅力薄なのも変わっていない。しかし、内外装の変更や走りの洗練感を高めた結果、他の同サイズ車では得難いプレミアム感を得ている。
 価格も相応に高いのだが、上級クラスに比べれば手頃な価格で長距離ツーリングも得意となれば、ユーティリティにこだわらないプレミアム派にはぴったり。正にダウンサイザー向けである。

MAZDA マツダ2
●価格:157万3000~266万7500円

内外装&走りの質感が向上、運転支援機能も一歩前進

内外装&走りの質感が向上、運転支援機能も一歩前進  マツダのエントリーモデルであるデミオが、名称変更とともにマイナーチェンジ。マツダが掲げるデザイン哲学/設計思想の浸透を進めた。プレミアム路線のブランド戦略を投影し、デザインに代表される静的質感と走行してわかる動的質感をともに高めたほか、全車速追従クルコン(ACC)をはじめとする運転支援も一歩前進した。

■主要諸元(XD Lパッケージ・4WD)
●全長×全幅×全高(mm):4065×1695×1550●ホイールベース(mm):2570●車両重量(kg):1250●パワートレーン:1498cc直4DOHC直噴ディーゼルターボ(105PS/25.5kg・m)●トランスミッション:6速AT●WLTCモード燃費(km/L):19.4●燃料タンク(L):44(軽油)●最小回転半径(m):4.9●タイヤサイズ:185/60R16

ディーゼルならではの豊かなトルクと経済性が魅力のスカイアクティブ-D1.5。

スカイアクティブ-G1.5にはディーゼルと同様のエネルギー回生システム仕様も設定。

「人馬一体」に基づき、情報レイアウトを認知しやすくシンプルにまとめる。マツダコネクト対応によりスマホ連携機能も強化された。

フロントシートを新設計。骨盤の角度を適正化して人車一体感を高めるとともに、乗り心地の向上も果たしている。

キャビンは大柄な男性の4名乗車には余裕がない。後席は視角的な圧迫感が強く、乗降時の頭抜けや脚さばきもちょっと窮屈。2名乗車を基準とする用途でないとちょっと厳しい。

6:4分割可倒シートを採用。荷室容量は車格を超えず、後席を倒すと段差も生じる。

停止保持機能こそないがACCは全車速型となり、自動配光のアダプティブライトも設定。そのほか、車線キープの操舵アシストも。

熟成の妙味!

掲げる理想に進路を定め、“マツダ濃度”がより高まった

 マツダの考えるプレミアム要素をコンパクトな車体に盛り込んだのがマツダ2。それはMC前と変わっていないが、内装やサス周り、あるいはパワートレーン制御に改良を加えて最新バージョンにアップグレード。言い方を換えるならマツダ濃度が高まったわけだ。

アップデート希望…

先進安全機能だけでなく、運転支援機能にも積極性を

 それも「人馬一体」思想なのか分からないが、運転支援機能の向上には消極的に見える。全車速ACCや半自動操舵LKAが採用されたが、ほとんどはOP設定で、機能的にも一世代前。マツダ2に限らず、先進運転支援機能は早急なテコ入れが望まれる。

LEXUS RX

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

現時点の“最新のレクサス”を走りでも装備でも実感できる

高速操安を高めながら乗り心地もしなやか

 車体剛性向上やサスの設計変更などプラットフォーム周りの改良点の多くは高速操安性に向けたものだが、試乗で印象的なのは乗り心地。確かに高速コーナリングの安定性や落ち着いたラインコントロール性など、高性能SUVらしいポテンシャルを示す。ただし、サスの硬さで無理に抑え込んでいる印象はなく、しなやかなストローク使いでいなす。この感覚が低速域での乗り心地から感じられる。フリクションコントロールダンパーの追加やピストン速度制御が可能なナビ連動AVSも効果的に作用しているのだろうが、挙動には重質な味わいがあり、刺激を少なくしただけでなく、車体の振る舞いに車格が表れている。
 もうひとつMCの大きな変化はリヤオーバーハングを延長したロングキャビン3列シート仕様車の改良だ。サードシートの位置を後方に移し、居住性を改善している。それでも大人の長時間乗車には厳しく、サードシート乗員の体格や使用時間の制限が多少緩くなった程度。適応用途は従来同様だ。
 ただ、新たに追加されたセカンドキャプテンシート仕様はプレミアム感を重視するユーザーには見逃せない。セカンドシート(後席)乗員の居心地の向上だけでなく、車内の雰囲気もグレードアップ。ロングキャビンの伸びやかな外観とともに、RXの最上級仕様をインテリアからも実感できる。
 機能装備では高速回転する反射鏡を用いたブレードスキャン式AHSが三眼フルLEDヘッドランプにオプション設定された。高速スキャン中に車両がある部分のみ消灯するため、多灯式に比べて際立つ分解能を持つのが特徴。オプション価格もRXの車両価格からすれば手頃であり、夜間走行の機会が多いユーザーにはオススメ。走行メカも装備設定もまさにレクサスの最新仕様と言える内容だ。

LEXUS RX
●価格:513万~796万円

デザインや居住性、走りや先進装備など各部を最新化

 L字モチーフのブロックメッシュパターンとなったスピンドルグリルをはじめ、「エレガントかつダイナミック」を追求した内外装を採用。3列シート車はサードシートが2ポジション設定となり、RX450hLにセカンドキャプテンシートをOP設定するなど、居住性も改善。安全&運転支援機能もアップデートされ、最新のレクサスを体現する存在となった。

■主要諸元(RX450h “Fスポーツ”・FF)
●全長×全幅×全高(mm):4890×1895×1710●ホイールベース(mm):2790●車両重量(kg):2060●パワートレーン:3456ccV6DOHC直噴(262PS/34.2kg・m)+モーター(123kW/335Nm)●トランスミッション:電気式無段変速●JC08モード燃費(km/L):18.8●燃料タンク(L):65(プレミアム)●最小回転半径(m):5.9●タイヤサイズ:235/65R18

上質な仕立てを継承しながらデザインを変更。ナビのタッチディスプレイ化やUSBソケット増設、スマホ収納箇所追加なども実施。

Fスポーツはフロントが専用スポーツシート。リヤはスライド&リクライニング可能な4:2:4分割シートが標準だ。

熟成の妙味!

最新仕様の走りが楽しめ、2列目キャプテンで選択肢拡大

 レクサス車全般がスポーツから質感主導の快適性という走りの志向へと舵を取った。動力性能面での大きな変化は感じられなかったが、フットワークは間違いなくレクサスの最新仕様。また、セカンドキャプテンシート仕様でVIPカー的な要素も加わった。

アップデート希望…

せっかくのキャプテンシートだからリヤエンタメが欲しい

 最も高級感溢れる仕様となるセカンドキャプテンシート仕様が大型モニターを用いたリヤシートエンターテイメントシステムを選択できないのは不可解。ちなみにこのシステムを採用しているのはRX以外ではLSとLX。車格差を示す装備でもある。

VOLVO V40

●文:川島茂夫 ●写真:佐藤正巳

ボルボのコンパクトツアラーを求めるならラストチャンス

新世代ボルボと異なるキャラは試す価値あり

 欧州車はイヤーモデルの変更で、走りが改良されることもよくある。ボルボ車はその代表的存在である。V40はボルボ車のエントリーに位置するコンパクトなショートワゴン。その最終仕様が’19年型である。しかも次期モデルの予定はなく、24年続いたV40の歴史はこのモデルをもって終了。また、これによりボルボ車はすべて新世代プラットフォームとなる。
 旧世代だから古臭いかと問われれば半々だ。今やプレミアムもハイパフォーマンスも快適性の高めるのがトレンド。操安のために乗り心地を犠牲にしないというのが正しいかもしれないが、そのモノサシで量ればV40は古臭い。ただ、志向的には最新でなくとも、性能的にはまだまだ一線級である。高速安定性重視の高減衰サスの典型であり、速度あるいは負荷が大きく連続するほどに落ち着きが増す。収まりのいい操縦感覚が格別な安心感をもたらし、高速安定性は現在でもトップクラスである。
 登場当初に比べると高減衰特有の突き上げ感は減っているが、それでも新世代ボルボ車と比べると硬さが目立つ。乗り心地とのバランスを考えればハイパフォーマンス車趣味のドライバー向けとなるのは仕方ないだろう。
 試乗モデルは1.5LダウンサイジングターボのT3。1.5Lと言っても最大トルクは25.5kg‐mに達し、大トルクを活かして高速域でも悠々とした巡航性能を示す。これも高速ツアラーとしてのV40の魅力のひとつだ。
 改めて試乗してみれば廃番にするのが惜しい。ツーリングコンパクトとして継続生産を望みたいものだが、設計や構造の互換性を考えればそれも非効率的だろう。もし、ピシッと締まった乗り味の良質な高速ツアラーを望むなら売り切れる前にV40に試乗してみることを勧める。

VOLVO V40
●価格:304万5371~452万2222円

ファイナルエディションも設定

 ボルボのエントリークラスを担うスポーティなショートワゴン。現行唯一のフォードとの共通プラットフォームに1.5L直4ターボ/2L直4ディーゼルターボを搭載。駆動はすべてFF、右ハンドル仕様のみ。販売終了を前に、限定50台ながらシリーズ最強の245PS・T5 R‐デザイン ファイナル エディション(477万6852円)も設定されている。

■主要諸元(T3インスクリプション)
●全長×全幅×全高(mm):4370×1800×1440●ホイールベース(mm):2645●車両重量(kg):1480●パワートレーン:1497cc直4DOHC直噴ターボ(152PS/25.5kg・m)●トランスミッション:6速AT●JC08モード燃費(km/L):16.5●燃料タンク(L):62(プレミアム)●最小回転半径(m):5.5●タイヤサイズ:225/45R17

インスクリプションのコックピット。新世代ボルボのような先進感は薄いが、シンプルモダンなスカンジナビアンデザインは共通だ。

上級グレード・インスクリプションのみ本革シートを採用。最新仕様ではないが、ボルボらしく充実した安全機能を搭載する。

熟成の妙味!

改良を重ねて洗練された、高速志向のフットワーク

 洗練感を増しても高減衰の高速志向のフットワークに変わりなし。高速安定性を第一に雑味を取り除いてきたような熟成なのだ。一世代前のボルボ・スタンダードなのだが、今のトレンドを背景にするとGT志向の趣味性の高いモデルとして評価できる。

アップデート希望…

デジタル関連の装備は世代の違いを感じさせる

 廃番が決定した後で要求を出しても詮ないが、ナビ/オーディオの液晶ディスプレイが7インチなのが古さを感じさせる。しかも、デジタル機器の進化過程の設計のせいか、操作系の使い勝手も煩雑である。これも他のボルボ車との世代間ギャップのひとつだ。

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