自動車保険の中断証明書とは？発行条件と発行方法

クルマを保有している方は、任意の自動車保険にも加入している方がほとんどかと思われますが、通常、任意の自動車保険は1年ごとに更新をしていきます。しかし、転勤などでクルマが不要になった場合や、駐在や留学などで海外に渡航する場合など、一定期間クルマを保有しなくなる場合も考えられます。そこで、自動車保険には自動車保険を中断できる仕組みがあります。自動車保険を中断する際に発行してもらう証明書を「中断証明書」と言います。

自動車保険には、等級制度があります。初めて自動車保険を契約すると低い等級からスタートしますが、事故を起こさなければ翌年は等級が上がっていき、保険料の割引率も大きくなります。しかし、等級は自動車保険を解約してしまうとリセットされてしまいます。

このデメリットを解消するためにあるのが「中断証明書」です。自動車保険の中断時に中断証明書を取得しておけば、再度クルマを保有して自動車保険を契約する際、保険会社の条件を満たしていれば、中断前の自動車保険の等級が適用され、保険料が割引されるのです。

中断証明書の有効期間は最長で10年ですが、廃車や転勤などの場合と、海外への渡航が理由の場合で細かい取り扱いが異なります。国内の場合は旧契約の満期日（解約日）と新契約の保険始期日が10年以内、海外の場合は記名被保険者の出国日翌日から起算して10年以内などとなっていることがあり、保険会社によってもルールが異なるため、事前に保険会社へ確認することが重要です。

中断証明書を発行するためには、いくつかの条件があります。まず、中断後の新契約が7等級以上になる必要があります。中断証明書の発行手続き時に等級が7等級以上である場合も、事故などによって次の契約の等級が1～6等級になるケースでは、中断証明書の発行をしてもらえません。

次に、売却する際にクルマの保有がなくなり、一時的に自動車保険の契約を中断する場合には中断証明書を発行するのですが、発行の際にも細かい条件があります。廃車・譲渡などの場合は、契約の満期日または解約日までに契約のクルマが廃車、譲渡、リース業者へ返還されていることや、車検切れの場合は、契約の満期日または解約日において契約のクルマの自動車検査証が効力を失っていることなどが条件となっています。

海外赴任や留学などの長期的な海外渡航により、自動車保険の契約を中断する場合には「海外特則」が適用されます。「海外特則」が適応された場合は、記名被保険者が海外へ出国した日が、中断する契約の満期日または解約日から6ヶ月以内の日である必要があります。

なお、中断証明書の発行の細かい条件は、保険会社によっても異なるため、事前に保険会社へ確認をするようにしましょう。

中断証明書を発行するためには、ホームページや電話などで保険会社へ申請を行う必要があります。
なお、国内特則の中断証明書を発行する場合には、中断日時点で発行条件を満たしていることを証明するための公的書類のコピーが必要です。

この公的書類には、廃車・譲渡などの場合には登録事項等証明書や登録識別情報等通知書、車検切れの場合には自動車検査証、登録事項等証明書、盗難の場合には盗難届出証明書などが必要になりますが、必ず必要な書類を事前に保険会社へ確認するようにしましょう。

保険会社によっても異なりますが、こうした手続きが完了すると、1週間～10日ほどで中断証明書が送られてきます。

中断証明書は、クルマを一時的に保有しない方や使用しない方にとって、再度、クルマを利用したときに中断前の等級を引き継げる大変便利な仕組みです。有効期間も最長で10年間と大変長いため、自動車を再度保有するかわからなくても、まずは発行を依頼しておくべき書類です。

中断証明書の発行には様々な条件がありますので、中断証明書の発行条件を保険会社に事前に確認しておくと、スムーズな手続きができるでしょう。