輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2019.10.04

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント/気になる中古車【試乗判定】

2017年モデル フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TSIコンフォートライン

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年11月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

実用車の基準をさらに引き上げた、世界のスタンダード

VWの基幹モデルとして最新の技術を搭載

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、フォルクスワーゲンのゴルフ ヴァリアントの登場です。お借りした車両は2017年モデルで、グレードは「TSIコンフォートライン」、走行距離は3万kmです。
九島●僕はゴルフ好きだよ。
竹岡●それってスポーツの方のゴルフでしょ(笑)。
九島●バレたか(笑)。でも、本当にこっちのゴルフも好きだよ。昔ほどマニアックな魅力はなくなったけど、クセがなくて、実用車としていまでも世界的なベンチマークでしょ。自動車メーカーがいちばん気にしているクルマでもある。ある意味プロっぽい存在なんだよね。
竹岡●ゴルフは名前を知らないひとがいないほどの存在だし、いわゆる間違いのない選択。あと、嫌味にならないのに、ちゃんとクルマを選んで買っているんだなっていう印象があるのよ。たとえばお医者さんとか、学校の先生とか、そういう対外的なイメージが大切なひとにも密かに人気だったりする(笑)。
編集部●今回試乗していただくのは、2014年から日本で販売開始し、現在も販売中の現行型ゴルフヴァリアントです。ベースとなったハッチバックが2013年にフルモデルチェンジして第7世代となり、約半年ほど遅れてワゴンボディのヴァリアントが登場しました。
九島●SUV人気のいまだからこそ、ヴァリアントに乗るのが逆に玄人っぽくていいよ。
竹岡●立体駐車場に入るし、荷物を載せるのにもじつはワゴンの方が楽だからね。SUVで思い出したけど、ヴァリアントの最低地上高を上げてSUV風に仕立てた「オールトラック」もゴルフVIIからだね。
九島●「R」っていうのもあるよね。
編集部●310馬力の2L直4ターボを搭載する4輪駆動モデルで、ハッチバックとヴァリアントそれぞれに設定があります。
竹岡●海外試乗会でサーキット走ったけど速かったよ~。
九島●でも、「GTI」(2L直4ターボ・220馬力)はハッチバックにしかないんだよね。
編集部●ハッチバックだけといえばプラグインHVの「GTE」や電気自動車の「eゴルフ」もそうです。
九島●ゴルフVIIが採用したMQBプラットフォームは、多様なパワートレインを見込んで開発されている。ユーザーが最適なパワートレインを選んでくださいっていう考え方だ。
編集部●そんなゴルフVIIですが、グレードによってエンジンの排気量に違いがあります。「TSIトレンドライン」と「TSIコンフォートライン」が1.2L直4ターボ(105馬力)で、「TSIハイライン」が1.4L直4ターボ(140馬力)。ヴァリアントには、トレンドラインがない代わりにスポーティな仕立ての「TSI Rライン」が存在。こちらも1.4L直4ターボです。
竹岡●そして2019年夏に2Lディーゼルターボの「TDI」(150馬力)を追加しましたよと。
九島●トランスミッションは全部7速DSGで統一なんだね。賢い。
編集部●それではそろそろ、試乗の方をお願いします。


九島「SUV全盛だからこそヴァリアントは通っぽい」

竹岡「いつの時代でもゴルフは間違いのない選択です」

DETAIL CHECK

ワゴンとしての利便性を考えると1.4Lエンジンを選びたい

編集部●さて、試乗から戻ってきたお二人に感想を聞きましょう。
九島●悪くないよ。握りの細いステアリングにもインテリジェンスを感じるし、ハンドリングも軽快。
竹岡●クルマ全体の仕上がりはゴルフだけあって文句なしなんだけど、ヴァリアントだからひとと荷物を積んで長距離も走りたいじゃない。だとすると、1.2Lエンジンはちょっと力不足かもしれない。アイドリングストップからの再発進も排気量が小さいからか、余計に気になった。
九島●たしかにパワーはないけど、そういうものだって理解して乗ればいいし、慣れる部分はあると思うよ。竹岡●ハッチバックならキャラクター的にもありだと思うんだけどさ。
九島●そうだね。ヴァリアントということを考えれば、1.4Lの方がいいだろうね。それに、中古車になると価格差も圧縮されるだろうし。
編集部●中古車市場を調べますと、本日試乗したマイナーチェンジ前の3年落ち走行3万kmのトレンドラインで150万円くらいというのが相場です。グレードの割合としては、トレンドラインが全体の60%以上、ハイラインが30%、Rラインは5%ほどといった状況です。
九島●ハイラインとトレンドラインの中古車の価格差は? 新車だと50万円くらいあったはずだけど。
編集部●価格差はおおよそ25万から30万円でした。それから、100万円程度で買える低価格車は、ほとんどがコンフォートラインですね。
九島●だったらハイラインがいいね。
竹岡●うん。それにしてもVWは中古車相場が高値安定。
九島●とくにヴァリアントね。価値も下がりにくいし、いい選択だよ。

第7世代ゴルフの特徴はパサートに迫る充実した装備

 第7世代ゴルフの特徴は、装備の充実化。従来高級車にしか備わらなかったような先進安全装備やインフォテインメントシステムをいち早く導入。デビュー当時からACCを採用していた。さらに2017年のマイチェン以降は渋滞時追従支援システムやレーンキープアシストも搭載する。

MQBプラットフォームの採用で空間効率がさらにアップ

 小型乗用車としてまさに模範的なパッケージングと言える室内空間。MQBプラットフォームを採用し、先代モデルに比べてホイールベースを60mm拡大したことも空間のゆとりに繋がっている。また、安全装備も充実、エアバッグは全部で9つを標準装備している。

最大で1620Lにも達する広大なラゲッジルーム

 進化したパッケージングの効果は荷室にも現れており、荷室容量は標準状態で605L。リヤシートを畳んだ状態で1620Lとデビュー当時クラス最大を誇った。また、後席は4対6の分割可倒式で、中央には長尺物を搭載するときに便利なトンネルも用意されている。

ガソリンは1.2Lと1.4Lの2種類待望のTDIを2019年8月に追加

 ゴルフ ヴァリアントのパワートレインは3種類。ガソリンエンジンが1.2L直4ターボ(105馬力)または1.4L直4ターボ(140馬力)で、ディーゼルが2L直ディーゼルターボ(150馬力)。トランスミッションはいずれも7速DSGで前輪駆動のみとなっている。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。 ※ナンバープレートは、はめ込み合成です。

竹岡 圭

  • 【9点】機能的には文句ナシの1台だと思うんです。でもね、ちょっと地味なんですよねぇ。ゴルフと言うとみなさん思い浮かべるのはハッチバック。さらにデザインがおとなしいので、余計に地味なんです。オールトラックはメッキ使いでもう少し華やかさがあるんですけどね。でもそこがこのクルマの魅力。噛めば噛むほど味が出るスルメカーなんですよね。

  • 【10点】マイナーチェンジ後のモデルは、先進安全装備がちゃんと装着されました。だからもの足りなさ、古さともにまったくないと言っていいでしょうね。ただ華やかさはないですけど(笑)。とにかくこのクルマは渋さが魅力なんです。でもスイッチ類を含めて、すべてがカチッとちゃんとできてます。そしてビックリするほど荷物が入ります! 積みやすいし。

  • 【8点】正直もう少しパワーが欲しいというのが本音です。だってね、荷物もひとも積んで遠くへ出かけたくなるクルマじゃないですか。これがハッチバックだったらこの排気量でもいいんですけど、ヴァリアントはやはり余裕がほしくなります。とくにアイドリングストップからの再開時の違和感が気になりますね。でも足まわりやハンドリングは文句ナシです。

九島辰也

  • 【9点】ゴルフの実力が世界的にみてハイレベルであることはよく知られているとおり。モデル末期のいま見ても商品力は十分にある。なによりVWの中心的な存在だけあって、ボディタイプやグレードが豊富なのがいい。個人的には辛口モデルの「Rヴァリアント」が大いに気になる。見た目は渋いのに走りはとびきり。これを選べるのはクルマ通だろう。

  • 【8点】歴代のゴルフはシンプルなデザインや欧州車ならではの質実剛健なつくりが評価を受けてきた。もちろんそれは時代によって変化してきて、現在のゴルフは表情に豊富な装備を誇る。ナビゲーションも使いやすいし、エアコンはデュアルでオート。かつてのゴルフからは考えられないほどの贅沢ぶり。それはまさにユーザーが求めているものだ。

  • 【8点】普段、もっと排気量の小さいクルマを足代わりにしている僕にとって、1.2Lエンジンと7速DSGは十分な性能を発揮する。わざと負荷をかけるような走りもしてみたが、そこはゴルフ。まったく問題ない。とはいえ、ヴァリアントというキャラクターを考えれば、もう少し余裕があってもいい。ファミリーで乗るなら「TSIハイライン」がオススメ。

グーワールド 編集部

  • 【10点】ゴルフといえば王道中の王道ですが、ヴァリアントということで、ライフスタイルを感じさせる雰囲気となっているのが嬉しいところ。VW車全体に言えることですが、ベーシックでシンプルなスタイリングはモデル末期となったいまでも魅力的です。中古車としては、3年落ちで新車価格の半値程度と平均より少し高めで推移しています。

  • 【8点】ゴルフVIIとなったことで、先進安全装備についても充実しました。とくに嬉しいのが高速などで先行車を追従するACCの採用。グレードによってはオプション扱いですが、装着車は比較的多い傾向にあります。これは8インチの純正ナビも同様。いずれにせよ、中古車を選ぶ際にはオプション装備がどれだけ装着されているかも大事なチェック項目です。

  • 【9点】試乗車は1.2Lエンジンを搭載する「TSIコンフォートライン」でした。結論から言えば、よりゆとりのある1.4Lエンジンを選びたいのですが、ひと一人と機材という状況では必要にして十分な性能でした。アクセルを踏み込んでもエンジン音が煩くなるようなこともなかったのは加点要素。タイヤが16インチということで乗り心地も快適でした。

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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