新車試乗レポート
更新日:2019.06.20 / 掲載日:2019.06.20

人気爆発TOYOTA RAV4アドベンチャーで富士箱根150kmテストドライブ

TOYOTA RAV4 Adventure 価格:313万7400円

発売1か月で2万4000台を超える受注を集めるなど好スタートを切った新型RAV4。事前の予想通り、これからのSUV選びでは外せない1台になったのは間違いがない。その魅力を改めて紐解いて、人気の理由を確認してみたい。
●文:川島茂夫●写真:編集部

2Lクラスとは思えぬほど余力感十分の走りに驚き

テストドライブ用に準備したRAV4のアドベンチャーは2LのNA仕様。1.6tを超える車重に対して、最高出力が171PS、最大トルクは21.1kg・mと、スペックの数字的には、十分とまでは言い難い。

だが、一旦走り出すと、そのパワーフィールは2LガソリンのNA仕様とは思えない余力感を感じさせてくれる。一般道での巡航回転数は低く、加速時を除けば大半が1500回転以下でカバーしてくれる。10段に刻まれる変速ギヤはかなり高いギヤ比が維持され続けており、しかも、少しの無理も感じさせない。一般的なガソリンのNAモデルならば、アクセルを踏み増しする度にダウンシフトを行うため、エンジン回転の変化も頻繁で、回転数の変化幅が大きくなるほど、非力感も強くなる傾向がある。

しかし、RAV4は違っていた。緩加速や多少の勾配程度では踏み増した瞬間から力強い反応をみせ、目立ったダウンシフトも行わず回転上昇も緩やかに推移する。流れに乗せて走らせていれば1500回転前後を維持し、CVTにしては回転変化が少ない。その余力感は、大トルクに任せて車速をのせていくダウンサイジングターボ仕様かと錯覚するほどだ。

さらに僅かなアクセル操作に対しても、速やかに対応できることにも驚かされた。もちろん、急登坂や高速域での急加速時には、2L/NAなりの動力性能になってしまうが、無闇に高回転を使わずに抑制と抑揚の効いた変速制御が組み合わされることで、スペックの数字以上に心地いい加速を示す。

高速道路でもドライブフィールが大きく変わることはない。巡航回転数は高まるが、100km/h程度ならば2000回転を超えることはない。低中速域で見せた穏やかな力強さは失われない。

興味深いのは連続した勾配が続く山岳路である。今回走ったルートの平均車速は30km/h程度、しかも流れの速度変化も大きな箱根新道だ。大抵のモデルならば頻繁に変速し、回転も加速度も落ち着かない状況になりがちだ。ところがRAV4は速度なりに加減速で常用回転幅を拡げるものの、変速は穏やかであり、激しい回転変化もない。最新設計のCVTならではの緻密な変速制御のおかげもあって、平均5%弱の勾配もあまり意識させない。ここでも「本当に2Lエンジンなの?」である。

山岳路をまったく苦にしない燃費性能もなかなか優秀

ちなみに今回のテストドライブの燃費は、ルート全体の総合燃費が14.60km/L。最も燃費が悪化したのは、高低差が685mあった箱根口~芦ノ湖間ステージで、区間燃費は8.93km/L。車両車重が嵩むSUVにとって連続登坂は燃費の大敵なのだが、予想した以上に良い数字だ。勾配がさほどない状況では15km/Lを大きく超えるステージもあるなど、巡航中心では14~18km/Lの実用燃費は期待できそうだ。ハイブリッド車には及ばないにしても、ガソリン車も省燃費車と呼んでも良いほどに優秀だ。

ドライブフィールにしても、燃費特性にしても、自然に走らせていて馴染みがいい。ゆえにスペック以上の好感触となるのだが、これはフットワークも同じだ。

方向安定性がいい。直進時の据わりがよく、コーナーでも前後のグリップバランスが揺るがない。ロールのストロークは動き出しが滑らかであり、揺れ返しも少なく収まる。大径ホイールと低扁平タイヤゆえに、細かな路面の凹凸は感じやすい傾向があるが、総じて穏やかな味わいである。

切れ味とか据わりの按配や、挙動の伝わり方も巧みなこともあり、高性能という印象はないが、湖畔のタイトなワインディングでも、車体サイズや車重を意識しないで操れる。ドライバーや乗員に優しい運転感覚や乗り味も含め、レジャービークルとしても高い適性を持っていることを実感できる。

今回の試乗では悪路に入れなかったのは残念だが、踏破性についてはクラストップレベル。センター/リヤデフロックに近い制御まで可能とした新4WDシステムは、本格オフローダーに迫る踏破性を確保している。

すでにRAV4のガソリンモデルは侮りがたしと感じていたが、多くのRAV4オーナーが体験するであろう実践的な状況で走らせてみると、その際立った性能を改めて実感することができた。

RAV4 アドベンチャー ドライブテスト

ガソリンモデルの「アドベンチャー」は、性能と価格のバランスが絶妙なこともあり、大きな注目を集めているグレード。RAV4選びの一番手として考えているユーザーも多いはずだ。だが、その判断は本当に正しいのか?150kmのロングテストドライブで、その疑問にお答えしよう。

テストルートは、 箱根~富士五湖エリア約150km リアルワールドでの実力を徹底チェック!

実際に行楽地に向かうことを想定して選んだテストルートは、高速道路から山岳路、郊外路まで体感できる実践的なコース。走りのインプレのみならず、燃費性能などもチェックして、RAV4の実力しっかり確認したい。

【9:15】東名高速・海老名SA

東名高速の海老名SAは、GW直前ということもあってなかなかの混雑ぶり。道中のクルマも多めで実践的なテストができそうだ。

【9:55】箱根新道

ここから一気に勾配度が強くなることもあり、燃費の悪化が予想されたが、RAV4はそれほどでもなかった。

【10:20】芦ノ湖

箱根駅伝ゴール地点近くの駐車場で小休止。登り坂ばかりだった割には燃費の落ち込みは想定よりも少ない。最新ガソリン車の実力を改めて実感することができた。

【12:15】国道138号線須走付近

御殿場から山中湖にかけては、また登り坂が続く。国道138号線はタイトコーナーも多いが、終始安定した走りを披露。アクセルを踏み込んだ際の反応の良さも印象的だった。

【14:10】西湖・北岸エリア

1時間ほどの休憩ののち、山中湖から河口湖、西湖にかけては郊外路を走る。途中で軽い渋滞に巻き込まれたこともあり、思ったほど燃費が伸びない。

【15:10】本栖湖付近

西湖での記念撮影ののち、最終目的地の本栖湖へ。クルマもグッと減ったこともあり速度も安定。それに伴い燃費も伸びてきた。郊外路はかなり得意のようだ。

icon 主要諸元(Adventure)

●全長×全幅×全高(mm):4610×1865×1690 ●ホイールベース(mm):2690 ●車両重量(kg):1630 ●パワーユニット:1986cc直4DOHC(171PS/21.1 kg・m) ●ミッション:ダイレクトシフトCVT ●WLTCモード総合燃費:15.2km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●タイヤ:235/55R19

RAV4 150kmテストドライブ燃費結果

【最終結論】乗れば乗るほど明確になる素性の良さ 普段乗りのパートナーとしても悪くない

全開性能とか限界旋回性能ギリギリのフットワークを楽しむようなモデルではない。RAV4の走りの魅力は、最も使う領域を使いやすく、効率良く使えるところにある。全開加速は2Lクラス相応の性能しかなくても、そんな全開で加速を楽しむモデルではないだろう。日常生活やレジャーで共に過ごす時間の9割のシーンで「とても2L車とは思えない走り」を楽しめるはずだ。やや大柄なサイズに関しても、車体設計でそれをさほど意識しない車両感覚に仕上げている。アウトドア系SUVには興味はあるが、普段使いが心配……、というユーザーにとっても面白い選択肢になるはずだ。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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