輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2019.06.05

【試乗レポート アウディ A6】ジェントルにもスポーティにも走れる大人の高級車

A6 アバント 55 TFSI クワトロ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 1968年の誕生以来8世代目となるアウディA6が姿を現した。といっても誕生当初の名はアウディ100だ。思い起こせば、1980年代にアウディ80のユーザーだった私の憧れの存在であった。まだメルセデスのセダン系にEクラスとSクラスしかない時代の話である。

最上級モデルのイメージを受け継ぐスタイリング

 新型はこれまでのカタチをよりシャープにモダンに仕上げた。薄眼のヘッドライトとシングルフレームグリルの存在は変わらず、クオリティを高めながらイメージを崩さずにラインアップ全体の統一を図っている。その中で特徴的なのはリヤコンビネーションランプ。A7スポーツバックと同様の個性的な光り方をする。起動時の有機的な動きはまるで生き物が目覚めたかのようだ。ここら辺はアウディの新しいアイコンになりそうな気がする。

キャビンを前進させ居住空間を広げたパッケージング

 プロポーションの特徴は、短いオーバーハングととロングホイールベース、前進したキャビンスペースだろう。これは先にリリースされているアウディA8、A7スポーツバックに共通するデザインだ。まぁ、このところの高級セダンのトレンドでもあるようだ。プラットフォームもそう。基本骨格を兄たちと共有する。設計はアウディが中心となって手がけたMLB evoが採用される。

まずは3L V6ターボから導入。ディーゼルエンジンの予定も

 エンジンは3L V6TFSIユニットが搭載される。最高出力は340馬力、最大トルクは51kgmとなる。いずれ2LのガソリンとディーゼルのTDIが追加されるだろうが、まずはこれ一本で勝負。日本の排ガス規制をひとつひとつクリアしていく算段だ。
 そのV6にはMHEVシステムが組み込まれるのも忘れてはならない。これは昨今マイルドハイブリッドと呼ばれるもので、48Vの電圧で最低限必要な機能を動かす。構成はベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)とリチウムイオン電池。リスタートはベルト駆動なので、スムーズな走り出しを実現する。また、これと並行してコースティング機能とアイドリングストップで好燃費も期待できるというから嬉しい。このクラスのセダンでも燃費はシビアに問われる時代である。
 細かい話だが、この日本仕様のV6はクワトロのみとなるが、前輪だけを駆動する場合プロペラシャフトをクラッチで切り離し回転させなくしている。これまでリヤデフで切り離していたクルマが多いことを鑑みると、この方がエネルギーロスが少ないのは明らか。エンジニアたちは細かい積み重ねで高効率を具現化していると言えそうだ。

クルマのサイズを感じさせないハンドリング

 さて、能書きはともかく、走りのテイストに言及したい。
 試乗車はA6アバント 55 TFSIクワトロだった。V6ユニットに7速Sトロニックを組み合わせる。走り出してまず感じたのはクルマの大きさ。全長4950×全幅1885mmはそれなりのボリュームだ。しかも、見た目に車高が低く感じるので、ワイド&ローなイメージを持つ。もはやフルサイズに近い印象だ。

A6 セダン 55 TFSI クワトロ

 だが、走り出して交差点を曲がったり、いくつか曲がりくねった道をとおり過ぎると、クルマは徐々に小さく感じ始める。ステアリングに対する俊敏な足さばきと追従するボディが、操作に対する一体感をドライバーに伝えるからだろう。が、それだけではない。リヤステアが効果を発揮する。時速60km/h以下の低速では5度逆位相し、高速では最大1.5度同位相することで、回転半径などを小さくする。しかも限りなく自然に。乗り始めは幾度か切りすぎてステアリングを微調整したが、徐々にそれも必要なくなるくらいナチュラルであった。
 次にキャビンの静かさもこのクルマの美点に挙げたい。エンジンからの振動や音、路面からのロードノイズはかなり高いレベルで消される。強いて挙げれば聞こえるのは高速道路での風切り音くらい。キャビンが静かな分ドアミラーあたりのその音が耳に届いた。
 この静かなキャビンが創り出す高級感は乗り心地でも言える。ロールはしっかり抑えられキャビンはつねにフラットに保たれる。しかもその抑え方が上品。フロントのダンパーが突っ張ったり、スタビライザーが強引にボディを並行に保とうというのではない。ここも極々自然に行われている。

数値以上の速さを感じさせるパワートレイン

 といったのがファーストインプレッション。当然だがアバントだからって極端にボディがやわくなることはなく、アウディらしいスポーティな走りを見せた。340馬力のエンジンパワーをしっかり許容する。それにしてもこのエンジンは数値以上の速さを感じる。他のモデルにも積まれるユニットだが、A6との相性がいいのかもしれない。いずれにせよ、ジェントルにもスポーティにも走れるのが新型A6の個性。かなり大人な仕上がりになっている1台と言いたい。


アウディ A6 アバント 55 TFSI クワトロ(4WD・7速AT・Sトロニック)

全長×全幅×全高 4950×1885×1465mm
ホイールベース 2925mm
トレッド前/後 1625/1610mm
車両重量 1930kg
エンジン V6DOHCターボ
総排気量 2994cc
最高出力 340ps/5200-6400rpm
最大トルク 51kgm/1370-4500rpm
サスペンション前後 ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 245/45R19





 

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グーネットマガジン編集部

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