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更新日:2019.03.07 / 掲載日:2019.03.07

次期アクセラ先取り対決

海外発表や東京オートサロンでの展示で大注目の新型MAZDA3=次期アクセラ。アメリカで開催されたグローバル試乗会でわかった、その乗り味とは!? 現行アクセラと何がどう違うのか、速攻チェック!

●文:山本シンヤ

【海外試乗】マツダの思想が具現化! スカイアクティブXにも期待大

MAZDA3 ハッチバック スカイアクティブ-G 2.0(マイルドハイブリッド)+6速MT【EU】

  • MAZDA3 セダン スカイアクティブ-G 2.5+6速AT【US】

  • MAZDA3 セダン スカイアクティブ-G 2.5+6速AT【US】

デザインも質感も走りも、プレミアム感が明確だ

次世代マツダのトップバッターとなる新型マツダ3、ひと足お先にアメリカ・ロサンゼルス近郊で試乗することができた。試乗したのはハッチバックが欧州仕様のガソリン2L・NAにISG(モーター機能付発電機)がプラスされたMハイブリッド+6速MT仕様、セダンが北米仕様のガソリン2.5L・NA+6速AT仕様だ。

エクステリアは、ショー会場でバッチリ決まったライティングで見るよりもリアルワールドの光の下で見た時のほうが、造形を線ではなく面で表現する深化した魂動デザインが活きる。インテリアは静的な質感だけでなく、スイッチ/ダイヤルのタッチや操作感、カップホルダーリッド/グローブボックスの開閉速度といった動的な質感にもこだわっているのが分かる。実際に運転席に座ると、上半身は動きやすいのに下半身はしっかりフィットするシートと、断面形状や触感にもこだわったステアリングが、よりクルマとの一体感を高めてくれる。

走り始めるとさらにビックリ!!駐車場から道路に出るアプローチ路でもクルマの動きが非常に滑らかなのが分かる。一般道に出てもその印象は変わらない。LAの一般道は路面の凹凸が厳しいが、そんな中でも国産車離れしたボディのシッカリ感と吸収性の高いサスペンションの相乗効果で、体は揺られることはなく視点もブレない。

フリーウェイでは落ち着きの良さとシットリとした脚の動きで、動的質感はプレミアムカテゴリーと言ってもいいくらい。ただ、直進安定性は、ハッチバックこそ悪くないがセダンはやや落ち着きがないのが気になった。これは装着タイヤ(ハッチバック:サマータイヤ、セダン:オールシーズンタイヤ)の差によるものだろう。

ワインディングでは、ドライバーの操作に忠実かつ滑らかに反応するため、一体感が非常に高いのはもちろんだが、アドレナリンが湧き出るような熱血系ではなく、手に汗握ることなくサラッとこなすクール系の味付け。リヤの安定感も非常に高いレベルを実現しているものの、いわゆる欧州プレミアムのようなビターッと路面に貼り付くようなドシッとした印象ではなく、「剛」の中に「柔」を感じるような、ヒラヒラと舞うような軽快な動き。駆動方式もパッケージも異なるが、どこかロードスターに通じる”何か“を感じた。

そんなフットワークに対してパワートレーンは従来の延長……と言った印象で、実用上は問題ないがシャシーの実力を考えるとちょっともの足りない。ATもエンジンの旨みを全て引き出しているとは言いがたく、多段化の必要性も感じた。やはりディーゼル/スカイアクティブXが本命なのか!?

気になる所もあったが、総合的には絶対的基準車のゴルフとガチで戦えるポテンシャルが確認できた。従来のマツダ車は「進むべき道はこれ!!」という思想先行の印象もあったが、新型マツダ3は「思想」と「商品」がシッカリとリンクし始めたと思う。

icon 新型MAZDA3

MAZDA3 ハッチバック

MAZDA3は’03年のデビューのコンパクトモデル。日本ではアクセラとして販売され、グローバル販売600万台以上を達成している。4代目となる新型は「誰もが羨望するクルマ」をコンセプトに、マツダが誇るデザイン力と最新のスカイアクティブテクノロジーが注がれる。ガソリン1.5/2.0/2.5、ディーゼル1.8、そして次世代エンジンのスカイアクティブXの搭載が公表されている。

  • MAZDA3 ハッチバック

  • MAZDA3 ハッチバック

元をたどれば’17年の東京モーターショーで公開された「マツダ 魁(KAI)コンセプト」。ハッチバックは「自由人」、セダンは「紳士淑女」のイメージを具現化している。

  • 横基調で操作スイッチ等を最適配置したシンプルなデザインを採用。各部の質感が高く、プレミアム感が大きく向上している。静粛性の向上にも重点的に取り組んだという。

国内モデル早耳情報

去る1月の東京オートサロンで国内初公開されて注目を集めた新型MAZDA3。展示車は海外仕様に用品装着やローダウン化を施したカスタム仕様だった。

【新旧比較】現行アクセラとどう違う?

ここからはより具体的に、各部を現行アクセラ(3代目)と比較して、新型MAZDA3=次期アクセラ(4代目)の進化ぶりに迫ってみよう。

思想はキープしながら“激変”と言える大幅進化

旧型も単体で乗れば悪くないが、新型の進化は「クラスが上がった?」と思うくらいの差を感じる。

エクステリアは写真で見るとキープコンセプトに見えるかもしれないが、実車を見ると実用車とプレミアムカーくらい異なる。インテリアも同様に基本的なレイアウトこそ変わらないが、デザイン/質感を含めて激変レベルだ……。

走りはどうか? マツダの考える「人間中心」の思想は不変なので、新型の走りは基本的には現行の延長線上と言えるのだが、その実現度合いと洗練度のレベルが全然違う。例えるなら、「滑らかな走り」は現行モデルでは”曲がる“に注力していたが、新型は”走る/曲がる/止まる“の全ての領域で実現されている、という具合だ。

ただ、パワートレーンに関しては、ガソリン車に乗った限りは、既存のエンジンから大きく刷新はされていない。ただ、今回未試乗のディーゼル/スカイアクティブXの仕上がり次第で評価は変わる。

また、これは性能差の話ではないが、新型は価格を含めてプレミアム方向に大きく舵を切ったため、逆にカジュアルさが残っている現行モデルの方が「親しみやすさ」があると感じる人もいるかも!? それほどのキャラ変を感じた。

現行アクセラ ショートインプレッション

アクセラスポーツ

次期型には搭載されない2.2Dとハイブリッドが実は印象深い
走りは他のマツダ車同様に連続的で滑らかなクルマの動きを目指す「統一感ハンドリング」だが、キャラクターを踏まえて味付けはややスポーティな方向性だ。

パワートレーンは、新型には設定されないユニットにこそ特徴が……。2.2Lディーゼルターボはオーバースペックと思えるパフォーマンスを発揮。トヨタからシステム供給を受けるハイブリッドは、燃費を意識しながらも「走る喜び」を犠牲にしないマツダらしさが魅力である。

icon MAZDA アクセラスポーツ/セダン【現行モデル】

アクセラセダン

●価格:182万5200~331万200円

【新旧比較】エクステリア

2タイプの個性を明確化。サイドの滑らかな面構成が印象的

4代目のハッチバックはノーズが長くキャビンは小さく、Cピラーは太い上にリヤゲートはクーペのように深く寝ており、情熱的で凝縮感があるスタイル。対するセダンは、ハイデッキでハッチバックの延長線上のようなスタイルのモデルが多い中、伝統的な3BOX形式を思わせる「ザ・セダン」というフォーマルで伸びやかなスタイルを採用。一見、キープコンセプトのようにも見えるが、実際に目にした時の印象は大きく異なる。線ではなく面で抑揚を表現する深化した魂動デザインは様々な表情を見せるが、サイドはフロントからリヤまで一枚モノのような造形のため、ドアパンチされるとかなり目立ちそう(笑)。鈑金修理の際にこの微妙なラインを出すのは至難の業かも!?

icon MAZDA3【4代目】

icon アクセラスポーツ【3代目】

【新旧比較】インテリア

デザインと質感がレベルアップ。上位クラスに優るとも劣らない

基本的な操作レイアウトは現行モデルと変わっていないが、全てが大きくレべルアップしている。横基調かつ要素をシンプルにしたデザインに加えて、スイッチ類やレジスターを最適に配置。そのスイッチやコマンダーなどのパーツもそれぞれ刷新。さらにRXヴィジョン/ヴィジョンクーペと共通モチーフのステアリングなどの採用も相まって、上級モデルをも超えるクオリティを備える。

icon MAZDA3【4代目】

icon アクセラスポーツ【3代目】

【新旧比較】パワートレーン

試乗した範囲では従来の延長上。期待はやはりスカイアクティブX

ガソリン/ディーゼルに関しては現行モデルから劇的な変化はないと思うが、期待はスカイアクティブXだろう。試験車両での印象は、アクセルを踏んだ際の初期応答性の良さはディーゼル、低中速の自然なトルク感の盛り上がりはライトプレッシャーターボ、そして高回転まできれいに吹け上がる伸びの良さはガソリンNAと、内燃機関のいい所取りと言える性格だった。

icon MAZDA3【4代目】エンジンラインナップ(グローバル)

  • スカイアクティブ-G 2.0【国内あり】

  • スカイアクティブ-G 2.5

  • スカイアクティブ-G 1.5

  • スカイアクティブ-D 1.8【国内あり】

4代目のエンジンは、グローバルではガソリン×3、ディーゼル×1、そしてXの5タイプ。このうち日本導入が見込まれるのはガソリン2.0/ディーゼル1.8/Xの3タイプだ。なお現行国内アクセラはガソリン1.5とディーゼル1.5/2.2の3タイプとなっている。

スカイアクティブX【国内あり】

スカイアクティブXは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を世界初採用する次世代ガソリンエンジン。プラグ点火によりディーゼルのような圧縮点火を起こす。希薄燃焼による環境性能向上とトルクアップを両立できるとされる。

【新旧比較】先進安全・運転支援

従来装備をベースに運転者監視や低速域の操舵アシスト等を追加

現行同様に新型も先進安全技術「i-ACTIVESENCE」を採用。新たに運転中のドライバーの瞼の開き具合や頻度、口や顔の向きを監視する「ドライバーモニタリング機構」や、0→60km/hの間、前車両追従時に操舵アシストを行なう「CTS(クルージング・トラフィック・サポート)などを追加。既存機能もシステムの制御や精度のレベルアップが行なわれているのは間違いない。

icon MAZDA3【4代目】

  • 現行アクセラの’17年8月の改良から採用された360度モニターも継続設定される。

  • コネクティビティシステム「マツダ コネクト」はApple CarPlay対応の最新版だ。

icon アクセラスポーツ【3代目】

マツダでは安心・安全な運転環境をサポートする先進技術を「i-アクティブセンス」と総称し、既に現行車の多くに装備している。

Others

より低くワイドになったが、利便性や快適性はしっかり確保

サンルーフ装着車も設定。本革シートやパワーシート、オートエアコンといった快適装備も当然用意されている。

  • 新型MAZDA3 ハッチバック

  • 新型MAZDA3 セダン

3代目と同様、4代目も6:4分割可倒リヤシートを採用。容量も十分確保されている。

無二の個性を確立した4代目は「比べる」から「惚れる」対象へ

どうなる? コンパクト勢力図

ゴルフの牙城に日本車が迫る構図。マツダ3は指名買いさせる魅力あり

これまでCセグメントは絶対王者VWゴルフを中心に回っていたが、マツダ3はもちろん、カローラ スポーツ、シビック、インプレッサと日本勢の飛躍的なレベルアップで面白い状況になっている。もちろん、性能的な“追い付き追い越せ”も大事だが、それだけでなく独自の個性もシッカリと備えてきた。中でもマツダ3は比較して選ぶ……ではなく「指名買い」したくなる魅力を備えた一台となるだろう。

icon 次期アクセラを待ち受ける強力ライバル

  • VOLKSWAGEN ゴルフ
    ●価格帯:253万9000~569万9000円

  • TOYOTA カローラスポーツ
    ●価格帯:210万6000~268万9200円

HONDA シビックハッチバック/セダン/タイプR
●価格:280万440円/265万320円/450万360円

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グーネットマガジン編集部

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