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更新日:2019.03.04 / 掲載日:2019.03.04
ポルシェ、新型911の予約受注を開始
ポルシェジャパンは、新型911カレラSカブリオレ/カレラ4Sカブリオレの予約受注を、2月12日(火)から日本全国のポルシェ正規販売店で開始することを発表した。これにより、2018年11月28日にロサンゼルスでワールドプレミアされた新型911の国内での予約受注は、1月30日(水)発表の911カレラS/カレラ4Sと合わせ、4タイプで開始されたことになる。なお、国内発売日は決定次第発表となる。
電脳化を進めた第8世代=992型
タイプ992となる新型911は、伝統を継承する911らしいデザインやRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトはそのままに、電脳化技術を駆使した運転支援機能などを搭載。デジタル化する時代の流れを捉えたリアエンジンのピュア・スポーツカーとして刷新されている。
カブリオレの予約受注開始によって、新型911は後輪駆動のカレラSと4輪駆動のカレラ4Sのそれぞれにクーペとオープンが揃い、全4タイプが選べることとなった。
新型911が搭載する新世代の水平対向6気筒ターボは、歴代Sモデル最強の450PSを発生。ミッションは新開発の8速DCTだ。環境性能を向上させながらよりパワフルになったエンジンにより、最高速度は308km/h(S)/306km/h(4S)を誇り、0-100km/h加速は先代からマイナス0.4秒(S=3.7秒/4S=3.6秒)、ニュルブルクリンクのラップタイムは先代の記録を5秒縮める(S=7分25秒)を記録。
そのほか、濡れた路面での走行安定性を高めるポルシェウェットモードや赤外線カメラによるナイトビジョンアシスト、そしてコネクティビティ機能など、ポルシェ初の現代的な機能を多数搭載しているのもポイントだ。
PORSHE 911 カレラ S
PORSHE 911 カレラ 4S カブリオレ
フラットサーフェス化を進めたワイドボディ
PORSHE 911 カレラ 4S カブリオレ
PORSHE 911 カレラ 4S カブリオレ
PORSHE 911 カレラ 4S カブリオレ
PORSHE 911 カレラ S
PORSHE 911 カレラ S
タイプ992の先陣を切って予約受注が始まっているのは、標準のクーペボディとソフトトップのカブリオレで、後輪駆動モデルはブラックのフィン、4輪駆動モデルはエンジンフードのクロムインサートが特徴となっている。
フロントおよびリアセクションを除く外板パネル全体がアルミ二ウム製となった第8世代の911は、従来よりもさらにワイド化され、カレラSのボディ幅は従来のカレラ4Sと同じとなり、リアアクスルの幅が44mm拡大している。
911らしい起き上がった丸型ヘッドライトは新開発のLEDヘッドライトを採用し、ほぼシームレスにフェンダーにつながっている。フロントセクションも幅を45mm拡大され、ボンネットのウインドシールド前には特徴的な傾斜が設けられている。
ボディサイドでは電動オープンのドアグリップがドアと同一面上に一体化され、滑らかなラインを強調している。ドアミラーも新設計で、風切り音が最も低減されるように最適化されている。
自動展開式のポイラーを備えるリアまわりもよりワイドになり、ワンピースのLEDライトアーチを採用。垂直配置のエアインテークフィンとハイマウントストップランプの方向を一致させるなど、視覚的なアクセントを巧みに配置することにより、新デザインの灯火とともに印象的なリアビューを形成している。
なお、外板パネルは完全にアルミ製だが、オプションのスライディング・チルトルーフは例外的にスチール製で、ほかにブラインドを備えたガラスルーフも選択できる。
クーリングエアフラップとリアスポイラーの作動制御が最適化されるなど、空力性能も高められている。また、可変空力パーツの制御ロジックはエアロダイナミクスのみならず、冷却の最適化も考慮したものとなっている。
完全新設計のインテリア
インテリアのモチーフは1970年代の911だ。
埋め込みメーターを備えたダッシュボードのクリアで直線的なラインが特徴的で、2つの水平ブレード面の幅全体にわたって広がるダッシュボードが初代911を想起させる。
中央のレブカウンターの横に2つのフレームレスの薄型自由形状ディスプレイを備え、ドライバーに必要な情報を提供する。
10.9インチのポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)のセンタースクリーンの下には、5つのクラシックなトグルスイッチが並ぶコントロールパネルを置き、これがタッチパッド一体型センターコンソールに結合している。
なお、新型911にはポルシェ初となるパーシャルレザーインテリア(ブラックまたはスレートグレイ)がオプション設定されている。
シートも根本的な改良を実施し、約3kgの車両重量軽量化を実現。
新設計で形状を変更、ショルダーエリアでのサイドサポートが大幅に改善しているほか、シート位置が従来より5mm低くなり、シート面が薄くなったにもかかわらず、快適性が全体的に向上している。
また、リアシートはバックレストの高さとシート面の幅がそれぞれ20 mm拡大された。
Bose サラウンド サウンド システム
Burmester ハイエンド サラウンド サウンド システム
パフォーマンスを高めたエンジン&シャシー
エンジンマウント
新型911は、リアに搭載されるフラット6による後輪駆動という伝統のレイアウトはそのままに、新しい時代に向けたパフォーマンスアップ。
ハード/ソフト両マウントの利点を兼ね備えるダイナミックエンジンマウントによって、エンジンの重心と位置関係が最適化し、一新された電子制御システムと相まって、走行快適性および走行安定性を向上させている。
個別に切換可能なPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)のスポーツモードは、安全を確保しながらさらなる限界領域を体験することができる。
4輪駆動のカレラ4Sはフロントアクスルを改良し、クラッチおよびディファレンシャルユニットを水冷化するとともに、クラッチディスクはさらに高い負荷容量と耐摩耗性を実現し、制御精度が高められ、駆動性能が向上。このように進化したフロントアクスルは、PTM(ポルシェトラクションマネージメント)との組み合わせにより、雪だけでなくドライ/ウェット路面でもさらに優れたトラクションを得ることができ、サーキット走行においても精確さやパフォーマンスが最適化されている。
次世代の水平対向6気筒
エンジンは排気ガス規制への適合とパフォーマンスの向上を目指した新世代の水平対向6気筒ボクサーだ。
ガソリン微粒子フィルター(GPF)の採用で環境規制をクリアするとともに、電子制御式バイパスバルブを持つ大型ターボチャージャー、インタークーラーをリアフェンダー内からエンジン真上に移動した完全新設計のインタークーリング、初採用のピエゾインジェクションバルブにより、エンジンのレスポンス、パフォーマンス、トルク特性、安定性および回転特性を改善している。
911カレラSでは、6,500/rpmでの出力が22kW(30PS)向上して331kW(450PS)となり、2,300/rpm~5,000/rpmでのトルクも30Nm増加して530Nmを達成している。
新世代の3リッター6気筒ボクサーエンジン。ツインターボでガソリン微粒子フィルター(OPF)も装着。
ポルシェの2ドアスポーツカー初採用の8速ポルシェドッペルクップルング(PDK)。先代の7速トランスミッションから多くの点が改善している。
左右対称配置のタービンは、左右で逆回転。タービンの直径は3mm拡大の48 mm、コンプレッサーホイールの直径は4 mm拡大の55mmとなった。新型ピエゾ式インジェクターは200barを維持する。
ターボチャージャーは電子制御式のバイパスバルブを備える。ウエストゲートバルブの制御は負圧ではなくステップモーターで行われ、給気圧力制御がより迅速かつ正確に。カレラSの最大過給圧は約1.2barだ。
吸排気のカムタイミングと吸気バルブのリフト量切替えを各バルブごとに行うバリオカムプラス。バルブリフトの最小値は3.6mm固定から2.0 / 4.5mmの可変式となった。
可変式排気フラップを搭載したツインフローエグゾーストシステムは、騒音規制を遵守するためにガソリン微粒子フィルター(GPF)を装備した。
標準装備のエグゾーストシステムは2本のツインテールパイプを備える。
オプションのスポーツエグゾーストシステムはオーバルテールパイプとなる。
アルミ比率を高めた新設計シャシー
先代のボディはスチールが63%だったが、新型911は30%。外板パネルは完全にアルミ製となり、ドアをアルミプレートのみからなる新構造にすることで、ボディシェルの重量軽減に成功した。また、軽量化とともに高剛性化も達成しており、911カレラ4Sの例では、先代と比較してねじれ率および曲げ特性において5パーセント強固になっている。
フロントとリアのサイドビーム、内側と外側のロッカーパネルやフロア補強材などのシェルには、アルミ製押出形成部材を使用。その使用箇所は先代から3パーセント増えて25パーセントとなった。また、フロントスプリングのストラットマウント、リアのトンネルハウジング、リアサポート、そしてリアショックアブソーバーにアルミ製ダイカスト部品を組み入れて補強している。
911の進化したボディコンセプトはホワイトボディの高い剛性によって乗員の安全にも寄与している。衝突安全基準を満たす上で主な負荷を受け止める役割を果たすAピラーやBピラーなど、乗員を包み込む構造部品とルーフフレームは、高強度熱間成形スチールで構成。これは、同程度の強度をアルミ製パーツで実現すると容量が大きくなり、重くなってしまうため、スチールを採用したものだ。
新しい911のシャシーの基盤になっているのは、フロント20インチ/リア21インチの新しい前後異形タイヤで、リアタイヤはフロントよりも大幅に幅広になった結果、フロントのトレッドがカレラS/カレラ4Sともに46mm拡大し、カレラSではリアトレッドが39mm拡大した。この組み合わせがリアのスタビリティ増大とトラクション向上をもたらすとともに、車両バランスに大きく作用している。
ハンドリングはさらにニュートラルかつコントローラブルとなり、アンダーステアまたはオーバーステア傾向になる頻度を減らしたため、より安全性を確保しながらダイナミックなドライビングが可能になった。
洗練されたシャシー設計の極めつけとも言えるのが、次世代のポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)だ。
ショックアブソーバーとの組み合わせによる標準仕様のPASMでは、車高が10mm低くなるPASMスポーツサスペンションも選択できる。
また、オプションのリアアクスルステアリングと組み合わせて、同じくオプションのポルシェ ダイナミック シャシー コントロール(PDCC)も選択可能だ。このシステムはアクティブスタビライザーによりコーナリングでのボディの揺れをほぼ完全に補整してくれる。
ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(セラミックブレーキディスク+6ピストンキャリパー)
鋳鉄製ディスク+6ピストンキャリパー
リア アクスル ステアリング(オプション)
PDCC(Porsche Dynamic Chassis Control)
電気油圧式フロントリフトシステム(オプション・40mmリフト)
ポルシェ最新の電子装備を搭載
先進装備関連で特徴的なものとしては、濡れた路面での走行安定性をさらに高めるポルシェウェットモード、赤外線カメラを用いたナイトビジョンアシスト、ビッグデータを利用する包括的なコネクティビティなどが挙げられる。
また、充実した機能と装備のデジタルサービスには、3つの特別なサービスが新たに加わり、またとないドライブ体験を提供してくれる。「Porsche Road Trip」アプリケーション、パーソナルアシスタントの「Porsche 360+」、個人のCO2排出量を中和させるウェブベースの排出量計算機能「Porsche Impact」がそれだ。
世界初の路面感知システムによるウェットモードプログラム
新型911は、ポルシェが世界初の新機能として開発したウェットモードが標準装備する。ウェットモードは路面の水を認識し、制御システムを予め状況に合わせて調整し、ドライバーに警告するというもの。ドライバーは押しボタンまたはステアリングホイールのモードスイッチ(スポーツクロノパッケージ/オプション)により、特に安全重視の調整ができる。
安全&運転支援装備に新機能を追加
センサーイメージ図
先述のウェットモードや自動緊急ブレーキは標準装備だが、アダプティブクルーズコントロールやナイトビジョンアシストなどはオプションで用意される。
オプションで選択可能な、PDLSプラスを備える新型LEDマトリックスヘッドライトもまた新しい安全支援支援システムのひとつだ。
マトリックスヘッドライトは84個のLEDと、より遠くを照射するための連動式ハイパワーLEDのハイビームで構成され、光線の到達距離と強度がレーザーライトに匹敵する。光は分散されるため、つねに最大限の道路照明を利用でき、他のドライバーの視界を邪魔することもない。複合的なヘッドライトモジュールは複数のコンポーネントから構成されており、カメラデータやナビゲーションデータ、車両状態に基づいて、それぞれ独立して制御が可能となっている。
例えば強く反射する交通標識をカメラが認識すればその部分を減光し、いわゆるブースト機能では、対向車に当たるライトを減光すると同時に自車の走行車線をさらに強く照射、コーナリングライトは緩やかに照射方向を変更するなど、快適性と安全性の向上をもたらしてくれる。
PDLS Plus付きLEDマトリックスヘッドライト
パークアシスト付きサラウンドビュー
死角アシスト
レーンディパーチャーウォーニングアシスタント
ナイトビジョンアシスト
PTV+(Porsche Torque Vectoring Plus)
デジタル化&コネクティビティ機能を強化
デジタル化の面においても、911は持続的なコネクティビティや新機能、新サービスによっての次のステップに進んでおり、標準装備のPCMには大量のデータに基づくオンラインナビゲーションとポルシェコネクトプラスが含まれている。
モータースポーツからインスピレーションを受けたスポーツレスポンスボタンは、エンジンとトランスミッションのパフォーマンスを20秒間最大限発揮。
ポルシェ トラック プレシジョン アプリは、サーキットでのラップタイムや走行データを測定し、スマートフォンを介して記録、処理を行い、他のドライバーとのシェアや比較ができる。
車両本体価格
■2019年1月30日付
車種 / トランスミッション / ハンドル / 希望小売価格(消費税込)
新型 911 カレラ S / 8 速 PDK / 右 / 16,660,000
新型 911 カレラ 4S / 8 速 PDK / 右 / 17,720,000
■2019年2月12日付
車種 / トランスミッション / ハンドル / 希望小売価格(消費税込)
新型 911 カレラ S カブリオレ / 8 速 PDK / 右 / 18,910,000
新型 911 カレラ 4S カブリオレ / 8 速 PDK / 右 / 19,970,000
主要諸元(海外仕様)
歴代911まとめ/第1世代~第7世代
ポルシェの歴代スーパースポーツカー(左から959、918スパイダー、カレラGT)。911はこうしたモデルの技術を取り込みながら進化してきた。
伝説が生まれたのは1963年のフランクフルトモーターショー(IAA)。356の後継車として初代911が発表され、当初901と呼ばれたこのモデルは生産終了までに111,995台が製造された。
10年後の1973年、Gシリーズ(930型)がデビュー。重要な米国市場の安全基準に合わせ、多くの変更が実施された。ターボを頂点に、タルガ、カブリオレ、スピードスターも投入。1989年までに198,496台が生産された。
1988年にはポルシェ社内でタイプ964と呼ばれた後継車を発売。一体化バンパーを採用したタイプ964は、ボディ以外の85パーセントのパーツが新設計だった。デビューはまずハイパフォーマンススポーツカー・959向けに設計された4輪駆動システムを搭載した911カレラ4から。翌1989年には後輪駆動の911カレラ2が追加され、カブリオレやタルガモデルもデビュー。6年間で63,762台を生産した。
1993年10月には最後の空冷エンジンモデルとなったタイプ993が誕生。当初はクーペとカブリオレのみだったが、1995年、脱着ルーフから電動格納式ガラスルーフに生まれ変わったタルガが登場。68,881台が生産された。
1997年のタイプ996ではついに空冷エンジンに別れを告げ、水冷エンジンを搭載。ボクスターなどとの共通部品を多く採用するなどコストの削減も進められた。2005年までに175,262台を生産。
2004年のタイプ997はクーペ、タルガ、カブリオレ、スピードスターの4タイプを揃え、後輪駆動と4輪駆動、ナローボディとワイドボディ、NAとターボが用意された。さらに、GTS、GT2、GT2RS、GT3および2つのGT3RSも加わり、特別仕様車を含めると24モデルという多車種展開となった。生産台数は史上最多を更新する213,004台を数えた。
2011年のタイプ991は、先鋭化されたデザインを始め、あらゆる面に効率性の追求というポルシェの中心思想を反映。ハイブリッドスポーツカー・918スパイダー譲りのアダブティブエアロダイナミクスも採用した。2018年10月31日時点の生産台数は217,930台。これで911シリーズの生産台数は総計1,049,330台となった。
ポルシェ 356[1954]
第1世代/1963-1973【901型】
第2世代/1973-1989【930型】
第3世代/1988-1994【964型】
第4世代/1993-1998【993型】
第5世代/1997-2005【996型】
第6世代/2004-2012【997型】
第7世代/2011-2018【991型】