輸入車
更新日:2019.08.20 / 掲載日:2019.01.24
輸入車の最新運転サポート装備GUIDE vol.1
写真●グーワールド
(掲載されている内容はグーワールド本誌2018年11月号の内容です)
クルマの良し悪しを判断する基準とはなんだろう? 0-100km/h加速のタイム? 燃費? それとも静粛性? カーライフを安心かつ快適なものにしてくれる「差」。いま、ドライバーを助けるサポート装備に注目が集まっています。
クルマ選びのポイントが10年前と大きく変わった
スタイリッシュなデザインや卓越した走行性能で、我々の気持ちをワクワクさせてくれる輸入車。
ひと昔前は、左ハンドル車が多かったことも手伝って、運転に自信のあるひと向けというイメージが少なからずあったが、いまや右ハンドル車の設定や日本語表示は当たり前になり、より多くのユーザーが楽しめるようになってきた。
そして、テクノロジーの進化が、輸入車をさらに安全で快適なものへと導いている。
近年の輸入車は、先進技術によってドライバーの操作を肩代わりし、運転中の負担や不安を減らすだけでなく、同乗者や他車、歩行者までをもアクシデントから遠ざけてくれる。「先進運転支援システム」や「ADAS(エイダス、Advanced driver-assistance systems)」と呼ばれているサポート装備だ。
これらサポート装備の歴史は、基本的には安全装備のそれと重なっている。事故による損失を最小限に抑えることは、持続可能なモビリティ社会の形成に欠かせないからだ。一方で、安全装備による販売価格の上昇をユーザーが納得できるようにと、快適・便利といったユーザーベネフィットも急速に進化してきた。このように、「安全・安心」と「快適・便利」が両輪となって、現在のサポート装備は形成されている。
そんなサポート装備の代表例といえば、前方の障害物を検知して警告や自動ブレーキ操作を行う「衝突被害軽減ブレーキ」だろう。レーダーやカメラで障害物を検知し、状況に応じてブレーキを作動させるこのシステムは、2009年にボルボXC60に初搭載され大きな話題になった。システムは年々改良が加えられ、現在ではシステムが作動する範囲は全車速域にまで発展。対象物も車両、人間だけでなく、自転車や大型動物までカバーできるようになっている。
下にはサポート装備の歴史をまとめたもの。2010年代から急激に装備が充実しているのがわかるだろう。自動ブレーキがユーザーから絶大な支持を集めたこと、そして来るべき自動運転時代に向けて開発した技術の一部が先駆けて採用されていることがその要因だ。
嬉しいのは、現在流通している中古輸入車で、比較的買いやすい年式のクルマでも、これらサポート装備を採用しているということ。最新モデルに比べて多少見劣りすれども、よりリーズナブルに、安心と快適なカーライフを楽しむことができる。
次号より、各ブランド毎のサポート装備について掘り下げて紹介していくので、楽しみにして頂きたい。
ボルボXC40に搭載される自動ブレーキは、夜間の歩行者まで検知できる高度なタイプ。新しいモデルほど、サポート装備の内容も充実している。
pick-up:「うっかり」による重大事故を未然に防いでくれる安心の装備
ちょっとした脇見や走行中のエアコン操作などで、うっかり走行車線からはみ出してしまいそうなときに、車両が警告を発し、危険が増した場合には車線に戻す制御を行う。写真はメルセデスのCLAに備わっているもので、ステアリングを振動させ警告、ブレーキ操作で車線を維持する。
サポート装備の歴史:2000年まで
急ブレーキ・低摩擦路でのブレーキ操作を助ける[ABS]
発進や加速時に起きるタイヤの空転を抑える[トラクションコントロール]
コーナリング時の横滑りを防止する[スタビリティコントロール]
サポート装備の歴史:2000年から2009年まで
車両後方の様子を画面に映し出す[バックガイドモニター]
ルームミラーの死角にいる車両をしらせる[後方死角検知機能]
夜間の視認性を向上させる[自動車用ナイトビジョン]
車両が横転した際に乗員を守る[横転保護システム]
サポート装備の歴史:2009年から2018年まで
注目のサポート装備を解説!
同じ名称のサポート装備であっても、メーカーや車種、年式により、搭載されている機能、能力には違いがある。とくに機能的な差が大きな代表例を下に5つ紹介する。
障害物を感知して衝突に備え警報や自動ブレーキを作動[衝突被害軽減ブレーキ]
ドライバーの不注意による衝突事故を防ぐ装備。現在では改良が進み、夜間や自転車などにも対応、またハンドルを制御し事故を回避するシステムまで登場している。一般的には30km/h程度までの車速差であれば事故を未然に防いでくれる。天候によって作動しないケースもあり注意。
段階1.低速域のみ対応
段階2.全車速域に対応
段階3.ハンドル操作も支援
前走車との距離を一定に保ち一定速度で走行する[アダプティブクルーズコントロール]
従来のクルーズコントロール(CC)がつねに一定の速度で走行し、車間距離はドライバーが調整する必要があったのに対して、アダプティブクルーズコントロール(ACC)は前走車との距離を自動的に調整。前走車がいなくなった場合、設定速度まで自動的に加速する。
段階1.高速域のみに対応
段階2.全車速域に対応
段階3.ストップ&ゴーにも対応
スマートフォンとの連携や通信によるリアルタイム情報[カーナビゲーション]
最近はフラッシュメモリー型が増えており、大容量とモニターの大型化(8~9型)がトレンド。またスマホと連携可能な「CarPlay」や「Android Auto」の採用車両も増えた。インターネットを介したコネクテッドサービスと連携し、リアルタム情報の享受など、今後さらに進化するはずだ。
段階1.大容量&大型モニター
段階2.スマートフォンとの連携
段階3.コネクテッドサービス
車線から逸脱しそうなると警告、ハンドル操作をアシスト[レーンキープアシストシステム]
白線を認識することで、車両の車線外へのはみ出し、飛び出しを抑制する装備。ブレーキやステアリング制御によって車線内に引き戻す機能を持つものが主流になってきている。最新のものは、高速道路での同一車線をキープし続ける自動運転に近い内容にまで進化している。
段階1.音や振動で警告
段階2.車両を車線内に戻す
段階3.同一車線をキープする
駐車時のハンドルやペダル操作を自動で行う[駐車支援システム]
カメラの映像を解析し、駐車をサポートする装備。高度なものになると、ほとんど指一本で駐車できる。また、車外からスマートフォンなどのアプリを利用して、リモコン操作できるタイプも登場。この機能を活用すれば、ドアが開けられないような狭い場所への駐車も簡単になる。
段階1.ハンドル操作のみ自動
段階2.シフト操作以外自動化
段階3.車外から自動駐車可能
道路標識をメーター内に表示し見落としを防ぐ[道路標識認識]
ハイビームとロービームの切り替えを自動で行う[インテリジェントヘッドライトコントロール]
走行中の横風によるふらつきを制御する[横風安定処理]
急な下り坂で速度を一定に制御してくれる[ヒルディセントコントロール]
ウインカーを操作すると自動で車線変更する[車線変更支援]
急ブレーキをした際にハザードランプが点滅する[エマージェンシーストップシグナル]
走行中の視線移動を最小限に抑える[ヘッドアップディスプレイ]