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更新日:2018.11.26 / 掲載日:2018.06.28

TOYOTA 新型センチュリー

国産車随一の品格を誇るセンチュリーが21年ぶりにフルモデルチェンジされた。超上級ショーファードリブンゆえに、誰しもが狙えるモデルでは無いが、どこまで進化したかは大いに気になるところ。トヨタの最新が注がれた最高峰モデルの実力は如何に?

●発表 : 2018年6月22日
●価格 : 1960万円
●販売店 : トヨタ店(東京地区は東京トヨペットならびに東京トヨタ)

日本流の手厚いもてなしは新型にも濃密に継承される

リヤキャビンを贅沢に取ったパッケージは、歴代センチュリーに受け継がれるアイデンティティの一つ。

 先代が登場した当時、開発者の話の中で「センチュリーはトヨタ車ではありません。センチュリーはセンチュリーなんです」という発言があった。その言葉どおり、クルマ造りの基準がまったくの別物であり、トヨタのエンブレムさえない。別格中の別格なのである。
 3代目となる新型は張り出しの少ないボディシェルと一体感を高めたバンパーデザインに、「今」を感じさせるものが注がれる。しかしながら、どの角度から見てもセンチュリー以外の何物でもない。ロングノーズ&ロングデッキかつ、前後ピラーとも傾斜を深く立ち気味にしたキャビン側面形は、均整のとれた台形を構成する。リヤドアとホイールハウスの張り出しを避けた位置に設けられた後席は、開放的な居心地だけでなく、優雅な乗降所作まで配慮された設計である。なお、後席スカッフプレートと床面の段差を従来型から15mm低く設計。専用フロアマット装着時は段差なく乗降できる。
 つまり、この外観やプロポーションは「もてなし」を極めた結果であり、理性的かつ論理的でもある。機能美と換言してもいい。
 歴代センチュリーがそうであったように、新型の車体塗装品質も際立つ。新開発塗色「神威(黒)」は3回の水研ぎを含む7層コートで、なおかつ鏡面仕上げを行う。センチュリーを象徴するグリル中央の鳳凰エンブレムは翼や羽毛の緻密な表現のため工匠の手彫り型から起こされる。
 室内は65mm延長したホイールベースにより後席スペースを拡大。贅の上に贅を重ねたような居住性を実現する。さらに中央を一段高くした織り上げ天井様式の採用など、造形や素材等に日本の伝統文化を汲み入れているのもセンチュリーらしさ。高級であるだけでなく、「和」を象徴した存在でもある。
 新型で最も変化が大きかったのはパワートレーンである。先代はセンチュリー専用の5LのV12を搭載していたが、新型車では5LのV8ハイブリッドとなった。このパワートレーンは先代のレクサスLSに搭載されていたものと同型。LSはすでに新開発ハイブリッドに変更されているので、1世代古いタイプとなる。ハイブリッド用バッテリーもニッケル水素を用いる。エコ性能を考えればハイブリッドは必須だが、信頼性も同等に重要視されるのがセンチュリー。実践の場で鍛え上げられたパワートレーンを選択したわけだ。
 なお、これら内容に比べると、価格設定はかなり抑えたと思う。これは税金によって運営される公的機関の需要が多いことを配慮した結果でもあるだろう。

面処理の技法で描かれるデザインは、一目でセンチュリーと分かる存在感を感じる。

主要諸元
●全長×全幅×全高(mm):5335 × 1930 × 1505 ●ホイールベース(mm):3090 ●車両重量(kg):2370 ●エンジン:5LV8DOHC(381PS/52.0kg・m)+モーター(165kW/300N・m) ●JC08モード燃費:13.6km/L ●燃料タンク容量(L):82[プレミアム] ●最小回転半径(m):5.9

  • フロントグリル奥のデザインは「七宝文様」柄が配置される。細かな部分にも普通とは異なる、匠の技術が注がれる。

  • 細かいフィンスポークが伸びる18インチ専用ホイール。225/55R18のタイヤも、乗り心地最優先で設計された専用品となる。

T字型のインパネは、木目がしっかり使われるなどコストをかけた上質素材が使われるが、普通のラグジュアリーモデルとは異なり、華美な演出は控えめ。

  • 動く応接室とも言える快適なリヤキャビン。本革や本杢パネルを惜しみなく使われた寛ぎの空間は、センチュリーの格を雄弁に物語る。

  • 標準装備はウールファブリックシートだが、実際にはメーカーOPで設定される本革シート(写真はフロマージュ)が選ばれるだろう。

  • 後席のアームレストには、電動シートやAVシステム、空調をコントロールする機能スイッチが備わる。

  • キャビンの前方には無段階調整式の電動オットマンを装着。リヤシート左座席は、リラックス機能付き電動シートと快適性も申し分なし。

  • ファブリックシート+グレー内装。

  • 本革シート+ブラック内装。

  • 本革シート+フロマージュ(ベージュ)内装。この3つに加えて、ファブリックはブラウンとベージュ内装も選べる。

パワートレーンは、5LV8エンジン+THS2ハイブリッドシステムを採用。電子制御式エアサスペンションは制御系に加え、ゴム素材の見直しも図られ、より静粛な走りを実現。

  • T-Connect対応のSDナビ+プレミアムサウンドシステムが標準装備。音源は12chアンプで増幅され、車内周辺に配置される20個のスピーカーから出力される、豪奢な構成だ。

  • 照度コントロール機能付きのオプティトロンメーターの中央部には、車輌情報を発信するインフォメーションディスプレイを配置。

  • 外装や内装の仕立ては高い技術を持つ専門スタッフが手作業で進めることも特徴。例えば、新規開発色のエターナルブラック「神威」は、水研ぎを3回実施し、鏡面仕上げで仕上げられる。

  • 例えば、新規開発色のエターナルブラック「神威」は、水研ぎを3回実施し、鏡面仕上げで仕上げられる。

  • センチュリーの象徴である、グリル中央に配置する「鳳凰」エンブレムも、熟練職人が手で彫り込むアイテム。これ単体でも作品と言えるものだ。




提供元:月刊自家用車



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