試乗記[2017.11.24 UP]

【試乗レポート】乗り心地やルックスもスマート。セレナNISMOは「爽やかなスポーツマン」

  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

文●ユニット・コンパス 写真●川崎泰輝

 日産にはNISMOがある。これはとても大きな財産だ。これまでNISMOが培ってきた歴史、伝統、実績、そしてユーザーが抱えているポジティブなイメージは、かけがえのないものと言える。

 日産は、そんなNISMOブランドを積極的に活用するべく2017年4月に大きな組織変更を実施した。日産グループとして特装車などを手がけてきたオーテックのなかに、日産の各組織からスペシャリストを集めた「ニスモ・カーズ事業部」を設立し、いままで以上のエネルギーとスピード感をもって、NISMOの名を冠するモデルを開発していくことにしたのだ。今後は、日産車の各モデルにNISMOモデルが追加されていくことになる。
 NISMOロードカーのユニークなところは、ベースとなるクルマによって商品のキャラクター性を作り分けることにある。もちろん、スタイルや乗り味にブランドとしての共通性はしっかりと備わっているものの、たとえばGT-RとフェアレディZのような本格スポーツカーと、ノートやマーチとでは同じ「スポーツ」でも強度が異なる。そして、その塩梅が絶妙であるがゆえに、従来のファン以外にも広まっているのだ。例えばコンパクトカーのノートでは、NISMOは販売台数の10%近くを占める人気モデルとなっているが、そのなかの少なくないユーザーが、スタイルのよさやカラーリングといったスポーツ性能以外を購入理由に挙げているという。
 モータースポーツをブランドの根源としながらも、汗臭さやマニアック路線に陥らないバランス感覚がユーザー獲得の秘密といえるだろう。

「競技」ではなく「スポーティ」なデザインテイスト

 さて、前置きが長くなってしまったが、人気のミニバンであるセレナに追加された「セレナNISMO」の紹介に移ろう。
 月間8000台を販売するセレナは日産にとっての主力モデルであり、拡大を目指すNISMOにとっても絶対に失敗できないチャレンジ。つまり、その開発には非常に力が入っている。おもな専用装備だけでも25を超える数で、エクステリアからインテリア、そしてメカニズムに至るまで専用パーツが備えられている。
 まずエクステリアでは、NISMOのアイデンティティであるレッドラインを配置したエアロパーツ、ブリヂストンのポテンザと組み合わせた17インチホイールが精悍な印象を作り上げる。このエアロパーツは機能的にもダウンフォースを生み出し、ステアリングのしっかり感や高速での安定性に寄与しているという。ノートNISMOにも通じるスタイリッシュなテイストで、スポーティさとカジュアルさのバランスは流石だ。

アルカンターラの質感が特別なクルマであることを感じさせる

 室内に乗り込むと、まず目に入るのがステアリング。アルカンターラと本革のコンビネーションで12時の位置にはレッドのアクセントが入るレーシーなスタイル。インパネにもアルカンターラ調のフィニッシュが施されているため、標準モデルとは一見して違いを感じさせてくれる。それでいながら色合いやフィニッシュが落ち着いているのは好印象。もちろん、プロパイロットなどの先進安全装備はしっかりと備わっており、快適系や便利系の装備も充実している。また、メーカーオプションであるものの、レカロ製のスポーツシートも用意されている。レカロシートは腰掛けてみると身体をほどよくホールドしてくれるし、ルックスもいい。試乗すると確実にほしくなるオプションだろう。

走りの実力はメーカーチューンならではの完成度

 走り出しの印象はスムーズ。ハイブリッドシステムは通常モデルと同様だが、コンピューターとマフラーが専用品となっており、アクセルを深く踏み込むことなく車体がスッと前に出て、そのまま加速していくと心地いい排気音が車内に入ってきた。ステアリングの手応えも軽すぎず重すぎずで、これなら女性が運転しても問題なし。
 タウンスピードで少々硬質なタッチを伝えてきた足まわりは、切り返しを含むコーナーでは路面に吸い付くような走りを披露。まるでクルマの重心が低くなったかのような変わりようだ。高速道路を模したテストコースのストレートではクルマの姿勢はフラットさが保たれていて、前席だけでなく2列目でも快適に過ごすことができるのは嬉しい発見だった。段差のショックを正直に伝えるタイプではあるが、こういう足まわりのほうが車酔いしにくいからだ。
 また、高速走行時の横風に対してもクルマは進路をしっかりとキープ。高力性能、ボディ剛性、タイヤを含めたサスペンションセッティングが調和しているため、ハンドルやアクセル操作に対してクルマが正確に反応してくれるので、自信を持って意のままに操れる。テスト環境の関係で、タイヤを鳴らすような走りはしなかったが、郊外など平均スピードの高い環境で運転するなら、断然NISMOだ。

 セレナNISMOの価格は341万9280円、人気のハイウェイスターGが301万1040円と比べると約40万円のエクストラとなる。その差額は少なくないものの、専用装備の量と質から考えれば納得のいく範囲であるし、車体剛性アップといったユーザー側で手当ての難しい部分に手が入れられ、トータルでのチューニングが施されているという価値も理解できる。なにより、キャラクター的にライバル不在であることを考えれば、NISMOのチャレンジは成功を収めそうな予感はひしひしと感じられる。

日産 セレナNISMO(CVT)
全長×全幅×全高 4805×1740×1850mm
ホイールベース 2860mm
トレッド前/後 1470/1475mm
車両重量 1720kg
エンジン 直列4気筒DOHC+モーター
総排気量 1997cc
エンジン最高出力 150ps/6000rpm
エンジン最大トルク 20.4kgm/4400rpm
モーター最高出力 2.6ps
モーター最大トルク 4.9kgm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 205/50R17

販売価格 341万9280円(NISMOのみ)

  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

グーネット SNS公式アカウント