ハイブリッド車は、EV車やプラグインハイブリッド車のように外部からの充電は行えません。ハイブリッド車の充電方法は、車が減速する動きをする際に発せられる熱エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄えています。

この記事では、ハイブリッド車のバッテリー充電方法や、バッテリー上がりを起こしてしまった際の対処法について解説します。

また、バッテリー上がりを防ぐためのポイントも紹介しているため、ハイブリッド車の充電方法が気になっている方は参考にしてください。

ハイブリッド車のバッテリー充電方法などの仕組みについて知ろう!

ハイブリッド車のバッテリー充電方法などの仕組みについて知ろう!
ハイブリッド車はガソリン車よりも構造が複雑であり、ボンネットを開けてエンジンルームを触ることに抵抗がある方も多いでしょう。しかし、ハイブリッド車のバッテリーの仕組みやジャンピングスターターの使用方法を知っていると、出先での不具合にも迅速に対応できます。

この記事を最後まで読むことで、ハイブリッド車の充電方法やバッテリーが上がってしまったときの対処法を知り、もしもトラブルがあった際にも活かせるでしょう。

ハイブリッド車の仕組みと種類

ハイブリッド車の仕組みと種類
ハイブリッド車には、「HV車」と「PHEV車」があります。

HV車は、この記事で紹介している外部充電のないハイブリッド車のことを指しています。一方でPHEV車はプラグインハイブリッド車といい、車専用のコードを用いて外部から充電を行える車のことです。

EV車はエンジンを搭載していませんが、プラグインハイブリッド車はエンジンとモーターを搭載しており、HV車とPHEV車の違いは「外部充電ができるかどうか」です。

PHEV車のほうがより環境性能に優れており、減税率もハイブリッド車より高い傾向があります。しかし、車両価格もHV車よりも高額であり、どのタイプが自分に合っているか見極めが重要です。

ハイブリッド車のバッテリーの種類と役割

ハイブリッド車のバッテリーの種類と役割
ハイブリッド車にはガソリン車と異なり、モーター走行を行うためのバッテリーと、電装品に電力を供給するためのバッテリーがあります。どちらもとても重要であり、どちらか片方が不具合を起こしてしまうと車は動かせません。

ここからは、ハイブリッド車のバッテリーの種類とそれぞれの役割について、詳しく紹介します。

駆動用バッテリー

駆動用バッテリーは、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池が用いられている大容量のバッテリーです。モーター駆動が主な役割で、バッテリー本体は後部座席の下などに設置されており、これは重量があるため重心を下部に保つことを目的とされています。

バッテリーを交換する際は、座席を外したり関連する部品を取り除いたりする必要があることから、手間がかかり作業手数料も高額に設定されている傾向があります。

交換の目安は5年~8年、走行距離では10万km程度です。

純正品と交換する場合は、60万円以上の費用がかかり、あらゆるメンテナンスのなかでも群を抜いて高額です。

補機用バッテリー

補機用バッテリーは、ガソリン車と同じ12Vの鉛蓄電池が用いられています。鉛蓄電池は、素材が鉛で重量があることが欠点ですが、コスパが高いことが利点です。

補機用バッテリーの主な役割は、スマートキーやパワーウィンドウなどの電装品への電力供給で、ハイブリッドシステムの起動も行っています。そのため、駆動用バッテリーに異常がなくても、補機用バッテリーに不具合が生じてしまうと車は動かせません。

搭載位置は車種にもよりますが、ラゲージルームなどガソリン車のように見やすい位置にない場合はセルフでの交換が困難です。交換頻度は2年~3年、費用は数万円が目安です。

ハイブリッド車はどうやって充電するのですか?
ハイブリッド車は、減速時のエネルギーを使ってバッテリーに電力を蓄える「回生ブレーキ」という仕組みがあります。ガソリン車なら熱として放出されるだけのエネルギーを、電気エネルギーに変換して活用できることからこの名前が付けられました。
回生ブレーキを行うには、なるべく早めのアクセルオフを意識することがポイントです。
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バッテリーの充電方法

バッテリーの充電方法
ハイブリッド車は外部充電の設備がなく、基本的には「回生ブレーキ」という仕組みによって充電が行われています。

しかし、十分に充電を行う機会が少ない場合は、回生ブレーキ以外にもディーラーやカー用品店で、バッテリー専用充電器を用いて充電してもらうことが可能です。

ここからは、バッテリーの充電方法について紹介します。

回生ブレーキを活用する

ハイブリッド車は外部からの充電手段はなく、回生ブレーキという減速時に発生する熱エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに充電する方法がとられています。

バッテリーの残量が不足してくると、モーター走行ができずエンジンが駆動することになるため、燃費性能をより高めようとするなら回生ブレーキをいかに効率的に行えるかが重要です。

回生ブレーキを効率的に行うには、急ブレーキを踏むのではなく、先の状況をいち早く確認して早めにアクセルから足を離すことがポイントです。ハイブリッド車の充電方法は、主に回生ブレーキと覚えておきましょう。

ディーラーやカー用品店で充電する

バッテリー専用充電器があり、充電の依頼に対応しているガソリンスタンドやカー用品店であれば、料金を支払うことで充電を行ってくれる可能性があります。

料金は依頼する業者によって異なりますが、2,000円~3,000円程度が相場です。

過放電の状態からフル充電まで行うには、半日以上時間がかかってしまうため、予定のない日に依頼することをおすすめします。

料金はかかってしまいますが、プロがバッテリーの状態を確認しながら充電を行ってくれるため安心かつ確実であり、手間をかけずにすべて任せられることが特徴です。

携帯用充電器を使用する

カー用品店では車用のバッテリー充電器が販売されており、車に乗る頻度が少ない方など過放電が心配な場合は購入して常備しておくことがおすすめです。

販売されている充電器には対応電圧や電流など、さまざまな種類があるため、自分の車に適応して充電器を選ぶことがポイントです。

適応外の充電器を使用した場合、正しく充電ができなかったり、車が不具合を起こしてしまう原因になったりします。

また、充電のし過ぎは「過充電」になってしまい、これもバッテリーにとって良くありません。充電器によっては、この過充電を防ぐ自動充電停止機能が搭載されているタイプもあるため、自分自身が使いやすいものを選びましょう。

ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまう原因

ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまう原因
ハイブリッド車のバッテリーは耐久性が高く造られていますが、劣化や使用状況によってはバッテリー上がりを起こしてしまいます。

ここからは、ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまう原因について解説します。

バッテリーの寿命

バッテリーは数ある部品のなかでも耐久性に優れていますが、消耗品であることに変わりはなく、経年劣化でバッテリー上がりが起きやすくなってしまいます。

バッテリーの寿命は、普段の運転方法や走行環境など、どれだけバッテリーに負担がかかっているかによっても異なります。急発進や急ブレーキを繰り返しているような運転の仕方は、バッテリーにとっても良くありません。

バッテリーの寿命がきてしまうと、交換を行わなければいけないため、いくらかの出費が必要になります。経年劣化は仕方ありませんが、なるべくバッテリーに負担の少ない扱い方を意識すると良いでしょう。

アイドリング状態での電装品の使用

アイドリング状態でエアコンやオーディオを付けていると、充電はできていないのに消費電力が大きいことから、バッテリー上がりを起こしやすくなってしまいます。

車にはさまざまな電装品が搭載されていますが、なかでも消費電力が大きいのがエアコンです。夏場にバッテリー上がりが多くなってしまうのには、このエアコンの使用も影響しています。

走りながらの使用なら、バッテリーの充電もできていますが、アイドリング状態での使用はただ電力を消費するだけになってしまうため、注意が必要です。コンビニや待ち合わせなどの短時間の休憩でも、こまめにエンジンを停止するようにしましょう。

長期間の車の放置

車はエンジンを切っている状態でも微弱な電力が流れており、長期的に車を使用しないでいると過放電によりバッテリーが上がってしまう恐れがあります。

例えば、2台持ちをしているご家庭で、1台は日常的に使用していても、もう1台は遠出用だったり趣味専用だったりする使い分けの仕方をしている方も多いでしょう。日常的に使用している車は走らせることで放電と充電が繰り返されていますが、放置気味の車は充電ができません。

週末にしか車を使用しないという方は、数週間に1度は1時間以上のロングドライブを意識して取り入れることでバッテリー上がりを予防できます。

ハイブリッド車のバッテリーが切れたらどうすれば良いですか?
もしバッテリーが上がってしまい、車を動かせなくなった場合は、ガソリン車と同様にジャンピングスターターを利用して対処することが可能です。ブースターケーブルやジャンピングスターターを積んでおくと、もしもの際にも安心です。
ジャンピングスターターのバッテリー残量が少ないと、正常に使用できない恐れがあるため、気をつけましょう。

ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまった際の対処法

ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまった際の対処法
ハイブリッド車もガソリン車と同じように、ジャンプスターターを使ってバッテリー上がりの対処が可能です。また、救援車がなかったりジャンプスターターの使い方が分からなかったりする場合は、ロードサービスに依頼するのもひとつの手段です。

ここからは、ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こしてしまった際の対処法を紹介します。

ジャンプスターターを使用する

救援車がいたり、ジャンピングスターターを所持していたりする場合には、ロードサービスを呼ばなくても自力で解決できます。

救援車(ガソリン車に限る)が居る場合はブースターケーブルをつないで電気を分けてもらいましょう。もし救援車が居なくても、小型のバッテリーであるジャンピングスターターを所持していればバッテリーに電気を送れます。

ジャンピングスターターやブースターケーブルは、カー用品店で数千円~数万円で購入できるため、もしもに備えて車に積んでおくと安心です。

ジャンピングスタートは応急処置であり、エンジンが無事始動したら整備工場などで点検してもらうことをおすすめします。

ロードサービスに依頼する

救援車がいない場合や、ジャンプスタートの方法が分からない場合は、ロードサービスや加入している自動車保険に連絡して助けてもらいましょう。費用は発生してしまいますが、分からない状態で無理に自分で対処しようとすると、手順を誤って故障させてしまうリスクもあります。

ロードサービスによっては数十分で駆け付けてくれたり、夜間でも対応してくれたりします。

いざというときに慌ててしまわないよう、連絡先をメモしておくと安心です。なかには利用条件や追加料金がかかる場合もあるため、あらかじめ調べておきましょう。

ハイブリッド車のバッテリー上がりに関する注意点

ハイブリッド車のバッテリー上がりをセルフで対処する際には、いくつかの注意点があります。

例えば、ハイブリッド車はガソリン車に救援車になってもらって助けてもらうことはできますが、ハイブリッド車が救援車になることはできません。

ここからは、ハイブリッド車のバッテリー上がりに関する注意点を紹介します。

ハイブリッド車は救援車にはなれない

ハイブリッド車は救援車にはなれない
ハイブリッド車はバッテリーが上がった際に「助けてもらう」ことはできても、「助けてあげる」ことはできません。

ハイブリッド車は複雑な電気システムを搭載しており、ガソリン車に電気を送り、復活したガソリン車の電力がケーブルからハイブリッド車に流れてくることで故障してしまう恐れがあることが理由です。

なお、ハイブリッド車同士であっても助けた側が故障してしまうリスクがあるため、救援車になることは避けましょう。

エンジンルーム内にある救援用端子を使って助けてもらうことはできますが、助けてあげることはできないため、注意が必要です。

駆動用バッテリーには触れない

そもそも駆動用バッテリーは車体下部に設置されており、簡単に触ることはできませんが、仮に触れる状況であっても触れてはいけません。

駆動用バッテリーには高圧電流が流れており、専門知識がない者が触ることは大変危険であることが理由です。駆動用バッテリーの交換を行う整備士も、特別な講習を受け専門的な知識を身につけた者だけに限定されています。

知識のないままハイブリッドシステムをいじることは、車の故障のリスクがあるだけでなく、人体に影響を及ぼす危険性もあることから、決して触れないようにしましょう。

バッテリー本体につなぐのは避ける

ジャンプスタートを行う際には、救援用端子を使用し、バッテリー本体につながないよう気をつけましょう。バッテリー本体は取り扱いのしにくい場所に設置されているため、基本的には間違いも少ないですが、万が一本体につないでしまうと故障の原因にもなりかねません。

多くの救援用端子はボンネットを開けて右側の方に設置されています。もし、設置場所が分からない場合は、あらかじめ取扱説明書などで確認しておくと、いざというときにも慌てずに対応できるでしょう。

メーカーが安全のために設けた装置であるため、必ずジャンプスタートをするときには救援用端子を使用することがポイントです。

ハイブリッド車は充電しなくても走行できるのですか?
ハイブリッド車には回生ブレーキという原則時のエネルギーで充電できる機能が備わっているため、定期的に車を走らせることで充電をしなくても走行が可能です。
回生ブレーキによる充電の機会が少なく、充電が不足している場合にはエンジンを使って走行できることがハイブリッド車ならではの強みです。数週間に1度は1時間程度のドライブに出かけるなどして、回生ブレーキの頻度を増やしましょう。

バッテリー上がりを防ぐためのポイント

カーライフを送るなかで、急なバッテリー上がりは誰しもが避けたいトラブルのひとつです。

たまにの頻度でロングドライブを行ってバッテリーをしっかり充電することや、定期的に点検・メンテナンスを受けてバッテリーの状態を見極めることがポイントです。

ここからは、バッテリー上がりを防ぐためのポイントを紹介します。

ロングドライブでしっかり充電する

ロングドライブでしっかり充電する
短距離走行が多かったり長期間放置していたりすると、バッテリー上がりの原因になってしまいます。充電不足によるバッテリー上がりを防ぐには、適度に車を走らせて充電を行うことがポイントです。

車を走らせて充電を行う際には、回生ブレーキを意識して運転するとなお良いでしょう。回生ブレーキは減速時に働くため、前方の車との車間距離を適度に保ち、先の状況を確認して早めにアクセルオフを意識することがおすすめです。

長期的に車を動かさないでいると、バッテリー以外にもあらゆる部品に劣化が生じてしまいます。ドライブがてら、車を動かすようにしましょう。

定期的にメンテナンスを受ける

定期的にメンテナンスを受ける
ディーラーや近所の自動車整備工場などで定期的にプロに車の状態を見てもらうことが重要です。

素人の目では見落としてしまうような症状も、プロの目で見てもらうことで早期に発見できる可能性もあります。不具合を起こしてからだと修理・交換費用が高くついてしまうようなことも、早期発見につながるでしょう。

また、法定点検はきっちりと行っていないと、万が一のときにメーカー保証が使えません。メーカー保証の多くは、対象の条件に法定点検の実施を設定していることが多いため、あらゆる保証を受けるためにも法定点検は欠かせません。

定期的な点検は、安全なカーライフを送るための大切なポイントです。

まとめ

①ハイブリッド車は外部充電ができず、回生ブレーキを用いて充電を行っている
②過放電によって充電不足になってしまった場合は、カー用品店やガソリンスタンドで充電を依頼することも可能
③カー用品店で販売されている家庭用バッテリー充電器を購入しておけば、万が一の際にも自分で対処できる
④バッテリーの経年劣化や負荷のかかる使用状況によって、バッテリーが上がってしまった際にはガソリン車と同じように対処できる
⑤ジャンプスタートを行う際はハイブリッド車は助けてもらうことはできても、救援車にはなれないため注意が必要

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