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車のカスタマイズで考えるときに浮かぶものとして、マフラーの交換をあげる方は多いかと思います。

マフラーを変えることでノーマルなものと比べ、重低音で心地よくドライブを楽しむことができます。そのため、交換してみたいと考えている方もいるでしょう。

しかし、車の所有者は3年又は2年で車検を通さなければなりません。その際、どのぐらいまで改造をしても大丈夫なのか、分からないこともあるはずです。

今回は車検を通すためのマフラーの音量がどれくらいなのかということを騒音規制の概要と対処法も含め、詳しく解説していきます。

車検を通す騒音規制に関する現状は?

車検を通す騒音規制に関する現状は?
年々厳しさを増している騒音規制は、昭和50年に制定されている「自動車騒音の大きさの許容限度」があります。その後、平成14年には「道路運送車両の保安基準の細目を定める告知」にも制定され、これによって自動車騒音の上限が決まっています。

それでは、どのぐらいの音までよいのでしょうか?

乗用車に関しては、車体の大きさに関係なくリアにエンジンを積んでいる乗用車で96db以下、それ以外の乗用車で91db以下と決まっています。

それでもかなり大きな音であることは間違いありませんが、現状そこまでエンジンを回す機会は少ないので、そこまで大きな音を聞くことはあまりないかもしれません。

車検証には騒音に関しての記載があり、基準がどのようになっているかが分かるようになっています。自分の車の状況を確認しておくとよいでしょう。

加えてマフラー交換を行った場合、新車時の近接排気騒音に5dbを足した値以下であることが義務付けられているということも知っておけば、交換したときに困らずに済みます。

厳しい保安基準値に変わっている背景

イメージとしてマフラーを改造している乗用車はうるさい、不快であると感じる方も多いかもしれません。騒音を撒き散らして走行することは、社会問題になっています。

国土交通省は「近接排気騒音規制」を制定し、マフラーの規制を強化している背景があります。その上、環境も加味して順次見直しをかけていくことを掲げています。

なぜかと言うと、日本が「車両等の型式認定相互承認協定」に加盟していることがあげられます。これは世界基準で公害対策や安全性を確保するため、基準を統一する目的で作成されているものです。

世界の動向に合わせて、日本も騒音規制を強化していることが見えてきます。そのため、今後の動向にも気を付けていく必要があると言えるでしょう。

マフラーの音を数値化する3つの指標

マフラーの音を数値化する3つの指標
マフラー音を数値化するものには何があるのでしょう?

排気騒音には3つの指標があります。

  • 近接排気騒音
  • 加速走行騒音
  • 定常走行騒音

車検のときに行われるのは「近接排気騒音」のみで、他の2つについては事前にメーカーが測定を行います。

車検対応の公認マフラーに認定されなければ、販売することも難しくなるため、メーカーとしても騒音を低減できるように技術開発を続けています。

次に、3つの指標について詳しく解説していきましょう。

近接排気騒音

まずは、先程もお伝えした近接排気騒音です。車検時の測定はこの方法を用います。

測定のやり方は、音量の計測器をマフラーの出口から50cm離し、45度の角度に設置します。そこで車の最高出力の75%までエンジンを回した状態で維持をさせ、一気にアクセルを離し、その音量を測定します。

加速走行騒音

加速走行騒音は、車検対応のマフラー認定を受ける際に行います。

車の最高出力時回転数の75%の回転数で走行した場合の速度、又は時速50kmで走行し、20mの区間でアクセルを全開に踏み込み加速した状況で測定します。

騒音を測定するのは、走行方向に直角に車両中心線から左側7.5mに離れているところに、地上1.5mの高さの位置です。

しかし、近年のエンジンの高出力化などによって、実際の市街地における走行の利用頻度の高い運転条件は、TRIAS(日本における新型自動車の試験方法で、交通安全環境研究所の自動車審査部が作成している基準認定制度)の条件である全開加速とは異なっているここともあり、環境省では新加速騒音試験法を検討しています。

マイクは走行する道路の横に設置して行うため、近接排気騒音よりは音量も低く設定されており、76db以下です。

定常走行騒音

こちらも車検対応のマフラー認定の際に計測します。定常走行なので、一定の速度で走行しているときの音量です。

加速しているときよりも回転数が上がることなく音も小さくなり、定常走行騒音は72db以下の基準になっています。これをクリアさせることで公認マフラーとして販売することができるため、メーカーも研究を重ねて適合品の商品開発を進めています。

車検を通すにはどのぐらいの音量まで大丈夫なのか?

乗用車に関しては、サイズに関わりなく、リアにエンジンを搭載した車は95db以下、それ以外の車では91dbと決められています。

参考:https://www.mlit.go.jp/common/001263315.pdf

車検で音量検査をするのは近接排気騒音

車検で音量検査をするのは近接排気騒音
車検では3つの指標のうち、近接排気騒音が車検でチェックされます。残り2種類の検査に関しては、メーカー側で行います。

車検を通す際には音量チェックの他に「取付位置」についても基準があります。1999年1月1日以降に作られた車は、地上高が9cm以上であること、マフラーがフロア・ラインから10㎜以上突出していないよう定められています。

しかし、仮に10㎜をオーバーしていたとしても、排気管の端部に丸みが付いた2.5㎜以上の曲率半径を有している場合は問題ないとされています。

車検時に近接排気騒音の測定方法とは?

車検時の測定方法は、音量の計測器をマフラーの出口から50cm離し、45度の角度に設置します。そこで車の最高出力の75%までエンジンを回した状態で5秒間維持をさせ、一気にアクセルを離し、その音量の最大値を測定する方法です。

測定値については、先程お伝えした騒音規定に違反しない数値であれば車検を通すことができます。なお、測定は3回行い、測定した騒音の値の小数第1位(小数第2位を四捨五入)までの数値を測定値とします。

適合しない場合の音量を具体的に表すとどのぐらい?

実際に95dbはどのくらいの音なのでしょうか。95dbといっても、イメージしにくいと思います。

具体的に言えば、70dbで高速走行中の自動車の中やセミの鳴き声、80dbで走行中の電車の車内や救急車のサイレン、90dbで吠えている犬の鳴き声やカラオケの店内、100dbでは地下鉄の構内や電車が通るガード下の音量に匹敵します。自動車のクラクションが110dbなので、それだと想像しやすいかもしれません。

90dbを超えると会話がほとんど不可能な状態になりますので、かなり大きな音量であることが理解できるかと思います。これ以上の音が出るマフラーを装着して走行すると、かなりの音になることが分かるでしょう。

交換用マフラーに対する規制

2018年11月より、マフラーの騒音規制が見直されました。交換用マフラーに純正品以外を装着するとき、新車時の音から悪化しないことを確認する「相対値規制」が導入されています。

マフラーを交換した後の音の大きさは、新車時の近接排気騒音に対して5dbをプラスした値以下で無ければ車検は通りません。

例えば、車検証に記載されている近接排気騒音が80dbであった場合、ブラス5dbで85db以下になります。新車時の音の大きさにより判断されているので、マフラーを交換する際は注意しておきましょう。

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車検で騒音規制で適合しなかったときの音量を下げる対処法は?

車検で騒音規制で適合しなかったときの音量を下げる対処法は?
現状問題なく車を使用してきたときには、近接排気騒音で車検が通らないことはそれ程ありません。社外マフラーを使用しているときでも、先程お伝えした5dbの範囲内で収まっていれば問題ないとされています。

しかし、必ずしも通るとは限りません。年々厳しい基準になっていく騒音規制に基づいて車検を行っていくため、それに合わせていく必要はあります。

ここからは、車検の際に近接排気騒音で適合しない要因と対処法について詳しく解説をしていきます。

1.劣化によるマフラーの損傷・破損のケース

音量が上がってしまう原因として一番多いケースが、マフラーの損傷と破損です。錆による腐食や歩道に乗り上げたときに車体の下をこすったり障害物にぶつかったりした場合に、破損することがあります。

錆に関しては、最近のマフラーの素材としてステンレス製に変化してきているので、長持ちするようになってきています。そのため、数年でマフラーが駄目になってしまうことは少なくなりました。

錆による腐食が原因でマフラーに穴が開いた状態で音量が上がっているときは、軽く異音がする程度なので修繕するのも比較的容易にできます。

それ以外には地域性にもよりますが、排気ガス中の水分排出が上手くできない寒冷地や、降水量が多い地域で長年車を使用する環境だと、錆による破損の発生が高まりますので注意が必要です。日々の点検で車体の下を確認することをおすすめします。

ちなみに、直径1㎝位の小さな穴であれば、市販されているマフラー用の補修材でも修繕することも可能ですので利用してみると良いでしょう。ホームセンターやカー用品店などで販売されています。

2.交換したマフラーの取り付け不良のケース

マフラーに大きな損傷や破損してしまったり脱落してしまったりしたときには、直ぐにマフラーを交換することが必要となります。しかし、一度マフラーを交換したときには気を付けるポイントがあります。

それは、新車時の近接排気騒音の基準に対して、適合しているか確認することです。基準内に収まっている状態であれば良いのですが、車検対応のマフラーを取り付けても、新車時の基準から大きく外れてしまっているときは車検は通りません。

また、マフラーは数多くのパーツで構成されています。それを数か所で車体と接続していることもあり、わずかでも取り付けに不具合があると、走行中の振動で破損することもあります。

特に接触事故を起こしてしまった車の場合は、車に歪みが生じてしまうことで取付部分が微妙にズレを生じることもあるかもしれません。そのような場合は、排気騒音の基準に合致しないことも知っておきましょう。

また、「サイレンサー」をマフラーに取り付ける方もいるかもしれません。

サイレンサーとは?
マフラーの音量を引き下げる役割を果たしてくれるものです。

もし騒音基準を超えていたとしても、サイレンサーを取り付けることによって、測定値を引き下げることが可能になります。しかし、サイレンサーを取り付けて車検を通す場合には、注意が必要です。

保安基準によって「消音器の騒音低減機構を容易に除去できる構造でないこと」とされています。つまり、簡単に取り外せる状態では車検が通らないことを意味しています。

溶接している場合には問題ないようですが、ボルトで固定しているものに関しては、車検の検査官による判断によるところが大きく関係してくるようです。また法改正に伴って、平成22年4月以降に作られた車は、サイレンサー設置をして消音させることが禁止になっているので、気を付けましょう。

3.社外マフラーが適合していないケース

平成22年4月1日以降に生産された車は、従来の近接排気騒音の基準だけでなく、「加速走行騒音を防止する規制」も適用されています。つまり、社外マフラーが基準をクリアしていることが必要になったということです。

メーカーが事前に加速排出騒音の検査を行い、保安基準をクリアすることを団体が証明する「事前承認制度」を導入しています。具体的には、JQA・JATA・JARIのいずれかの確認機関名と、識別番号・エンジンの型式が刻まれた「認証プレート付き社外マフラー」を使わないと、車検を通すことができない可能性があります。

その点を考慮したうえで、適合しているか確認することが必要です。

車検を通すマフラーの選び方

車検を通すマフラーの選び方
マフラーは車をカスタマイズすることが多いパーツです。より重低音なサウンドは、運転していて気持ちが高まるという方も多いでしょう。車を「愛車」というように、大事に乗っているからこそ、ドレスアップの1つとして楽しめるものでもあります。

しかし、マフラーが原因で車検に通すことができなくなってしまえば、公道で運転することができなくなってしまいます。そのようにならないためにも、マフラー選びは慎重に行ってください。

取付位置をしっかり確認して正しい場所に設置すれば問題はありませんが、概ね音の大きさについてはマフラーを選ぶ段階でほぼ決まってしまいます。

次からは、改造する前にどのようなマフラーを選ぶべきかを車検を通すことを視野に含めて解説していきます。

純正品を選ぶ

車検を通すことを前提に考える際には、純正品を選ぶことをおすすめします。なぜなら、純正品のマフラーは車検に必ず通るように設計されているからです。

もし、破損や損傷をしてしまい交換することになった場合は、純正品を選べば基本的に問題はありません。もちろん純正品なので音量の変化を望むのは難しいところですが、車検を通すことをメインとして考えるのであれば、確実に通るマフラーを装着することで困ることはないでしょう。

社外マフラーならJASMAが認定しているか

純正品よりも社外品のマフラーを選びたいと考えている方もいるかと思います。そのときは「車検対応品」「保安基準適合品」「JASMA認定品」と記載されているマフラーを選びましょう。

JASMAは、「日本自動車スポーツマフラー協会」のことです。この機関は国が定めている道路運送車両の保安基準より更に厳しい基準を自主的に採用し、それを通過して認定したマフラーを取り扱っています。

基準に適合した製品に対しては、車両型式とエンジン型式ごとに個別に登録番号を付与し、定期的に運輸支局・自動車検査独立行政法人各事務所、軽自動車検査協会各事務所に概要も送付しています。安心の証として認知されていて、プレートもマフラーに取り付けられています。

より安心して社外品マフラーのカスタマイズをご検討するときには、基準が厳しいJASMAの認定している製品を選ぶとよいでしょう。

交換することのメリットとして、好みの排気音に変えられること、エンジンの排気効率が向上するため、エンジンのパワーアップに繋がることがあげられます。その上、社外品マフラーはチタンなどの素材を使用していることが多いので、軽量化を図ることも可能です。排気効率の上昇と軽量化によって、燃費効率も高くなります。

しかし、エンジン効率を高めるにはバランスも大事ですので、専門業者と相談しながら進めていくことをおすすめします。

まとめ

①自動車の騒音の上限はリアにエンジンを搭載した車で95db、それ以外の車で91dbが基準
②車検では近接排気騒音のみ音量はチェックする
③交換用マフラーは新車時の近接排気騒音に5dbを加えた値以下でないと車検に通らない
④マフラーが破損したりしたときは修理を早急に行う
⑤サイレンサーは脱着可能であれば車検に通らないため、溶接等で完全に固定することが必要
⑥車検を通すマフラーは純正品が良いが、社外品を選ぶときはJASMAの認定されたものが良い

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