ハイブリッド車の寿命はバッテリーの寿命を表していることから、バッテリーの交換頻度や費用面が気になっている方も多いでしょう。

近年販売されているバッテリーは耐久性が向上しており、メーカー保証も手厚いことから安心して乗れるハイブリッド車が多いです。

この記事では、ハイブリッド車に搭載されている2つのバッテリー、それぞれの特徴や交換頻度、交換するための費用などについて詳しく解説します。

節約方法も紹介しているため、交換頻度でお悩みの方は参考にしてください。

ハイブリッド車に搭載される2つのバッテリーの交換頻度をチェック

ハイブリッド車に搭載される2つのバッテリーの交換頻度をチェック
ハイブリッド車のバッテリーは耐久性が高く作られていますが、経年劣化が進むと交換が必要になります。交換するには費用がかかってしまうことから、交換頻度や金額の目安が気になっている方も多いでしょう。

ハイブリッド車のバッテリー交換を怠ってしまうと、出先で寿命がきてしまったときに車が動かせず、ロードサービスや自動車保険に頼らなくてはいけなくなります。

この記事を最後まで読むことで、駆動用バッテリーと補機用バッテリーのそれぞれの交換頻度の目安を知り、メンテナンスの頻度・費用面を事前に把握できます。

ハイブリッド車には2つのバッテリーが搭載されている

ハイブリッド車には「駆動用バッテリー」と「補機用バッテリー」の2つのバッテリーが搭載されており、それぞれに役割があります。その役割と交換時期の目安を把握しておくことで、よりハイブリッド車の仕組みを理解できるでしょう。

ここからは、バッテリーの特徴や役割、交換時期の目安など基本的な情報について紹介します。

駆動用バッテリー

駆動用バッテリーは高電圧の大容量バッテリーで、モーター走行に必要な電気エネルギーの蓄電・放電を行っています。サイズも大きく、重量で車体に負担をかけないように、素材はニッケル水素電池やリチウムイオン電池が用いられていることが特徴です。

搭載位置は車種によってもさまざまですが、基本的には重心を下げるために車体下部に内蔵されています。そのため、交換が必要になった際には、座席や関連部品を取り除く必要があり、個人での取り扱いはできません。

交換するための工程が多く、高電圧のバッテリーを取り扱うことから作業できるのは専門の知識を持った者に限られており、交換手数料も高額です。

補機用バッテリー

補機用バッテリーは、12Vの鉛蓄電池が用いられており、ガソリン車のバッテリーと同じ素材でできています。鉛蓄電池は重量がありますが、コストパフォーマンスが高いことが特徴です。

補機用バッテリーは、スマートキーやパワーウィンドウなどの電装品に電力を供給することや、ハイブリッドシステムの始動が役割です。そのため、もし駆動用バッテリーが良好な状態であっても補機用バッテリーの充電が切れてしまうと、ハイブリッドシステムを起動させられず、車を動かせなくなってしまいます。

補機用バッテリーであればセルフで交換を行う方もいらっしゃいますが、ガソリン車よりも構造が複雑で難易度が高いことには変わりありません。

バッテリーの交換時期

バッテリーの交換時期
駆動用バッテリーと補機用バッテリーで、それぞれ交換時期の目安は異なります。駆動用バッテリーの交換時期は5年~8年程度、補機用バッテリーは3年~5年が目安です。

バッテリーが長持ちするよう、負担をなるべく軽減して運転している場合と、何も気にせず過放電を繰り返してバッテリーに過度な負担をかけている場合とでは、バッテリーの寿命にも大きな違いが出てくるでしょう。

なお、ハイブリッド車の補機用バッテリーが、ガソリン車と同じ12Vの鉛蓄電池なのに、ガソリン車のバッテリーの寿命(2~3年)よりも長持ちするのは、エンジンを始動させるために必要なエネルギーが、ハイブリッド車のほうが少なくて済むことが要因です。

バッテリーそれぞれの交換目安の時期を把握して、点検・メンテナンスを受けることが重要です。

ハイブリッド車のバッテリーは何年で交換しますか?
駆動用バッテリーの交換目安は5年~8年、補機用バッテリーの交換目安は3年~5年です。駆動用バッテリーにはメーカー保証が付いているケースも多く、条件を満たしていれば無料で交換ができます。
また、これはあくまでも目安であるため、バッテリーに負担の少ない使用方法を徹底していれば、駆動用・補機用問わずより長持ちさせられるでしょう。
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バッテリーの寿命が近付いているサイン

バッテリーの寿命が近付いているサイン
バッテリーは、突然寿命がきて車が動かせなくなるのではなく、徐々に燃費が悪くなったり、メーター内の警告灯が点灯していたりと症状が現れます。

しかし、補機用バッテリーは駆動用バッテリーが電力を供給することから、劣化に気付きにくいのも事実です。

ここからは、バッテリーの寿命が近付いているサインについて解説します。

警告灯の点灯

ハイブリッドシステムに異常が生じた際には、メーターパネル内のハイブリッド警告灯が点灯します。

警告灯は緊急なものとそうで無いものを色で分別しており、赤色は緊急性が高く、黄色は注意を促しています。

ハイブリッド警告灯は赤色で表示されますが、バッテリーのほかにもモーターやコンバーターなど、あらゆる部品の異常のサインとして使用されていることがポイントです。

つまり、バッテリーの劣化によって異常があった場合はハイブリッド警告灯が点灯しますが、ハイブリッド警告灯が点灯したからといってバッテリーに不具合が生じているとは限らないということです。

しかし、ハイブリッド警告灯の点灯は緊急性が高いため、もし点灯したら早期に点検を受けましょう。

燃費が悪くなってきた

自宅の周辺など普段から走り慣れた道で、本来ならモーター走行できていた場所でもエンジンが稼働するようになってきたら、バッテリーの劣化のサインです。

これは、バッテリーが劣化することでモーター走行するにはパワーが足りなくなってしまい、エンジンが動いている状態です。エンジンの稼働率が上がってくることで、以前よりも燃料を多く消耗することになり、結果的に燃費が悪くなっています。

また、車種によってはモニターに平均燃費が表示されるモデルもあります。数字で燃費を確認できると、実際の燃費性能の傾向がより具体的に分かるでしょう。

補機用バッテリーは劣化に気付きにくい

補機用バッテリーは電装品への電力供給とハイブリッドシステムの起動が役割であることから、燃費性能などに症状が出るわけでもなく劣化に気付きにくいです。

補機用バッテリーの劣化に気付けず、ある時寿命を迎えてしまうと、その時点からハイブリッドシステムが起動できず、車を動かせなくなります。

スマートキーの反応が悪くなったり、パワーウィンドウの動きが鈍くなったりしますが、全く効かなくなるわけではないため、見極めが難しいでしょう。

症状で補機用バッテリーの劣化のサインを見つけることは困難であるため、交換頻度の目安の時期になったら、点検を受けて状態を確認しておくと安心です。

ハイブリッド車のバッテリー交換費用は、いくらですか?
新品の駆動用バッテリーと交換するとなると、15万~40万円程度の費用が必要です。しかし、リビルド品(中古品)を用いることで10万~15万円程度まで節約ができます。
40万円にもなると、中古の軽自動車が買えてしまうくらいの金額であり、躊躇する方も多いでしょう。中古品に抵抗のない方は、リビルド品の使用がおすすめです。

バッテリーを長持ちさせるためのポイント

バッテリーを長持ちさせるためのポイント
ハイブリッド車のバッテリーは耐久性が高く作られていますが、使用環境や運転方法がバッテリーにとって悪い状態だと短命になってしまう恐れがあります。

これから紹介するバッテリーを長持ちさせるためのポイントは、どれも難しいことではなく少しの意識で実践できるものばかりです。

バッテリーの良い状態を長く続けられるよう、参考にしてみてください。

夏は暑さ対策を行う

バッテリーは暑さに弱く、夏場は暑さ対策が欠かせません。外気温35度を超えてしまうような暑さは、バッテリーを劣化される恐れがあります。

夏場は走行中だけでなく、駐車している際にも対策が必要です。直射日光が長時間当たるような場所で駐車する場合は、サンシェードを使ったり、直射日光は当たらなくても熱がこもるような場所ではなるべく風通しの良いところに駐車したり、換気するようにしましょう。

暑さ対策を行うことは、バッテリーに限らずドライブレコーダーやカーナビなど、車載しているほかの電装品にも良い影響を与えます。

数週間に1回は長距離ドライブをする

数週間に1回は長距離ドライブをする
ハイブリッド車は、エンジンを切っている間にも少しずつ放電されているため、長期間放置していると充電不足になってしまいます。

過放電の状態は、硫酸鉛が電流板に付着する「サルフェーション」を引き起こしてしまう恐れがあり注意が必要です。一度、サルフェーションが発生してしまうと、後から充電を行っても以前の性能には戻せなくなります。

適切に充電と放電を繰り返すことと、長期間の放置を避けることでサルフェーションは避けられます。

このようなことから、使用頻度が低く、近所の買い物や家族の送迎などでしか使用していない方も、数週間に1度は1時間以上のドライブがおすすめです。

エアフィルターを掃除する

ハイブリッド車にはバッテリーを冷却するために空気を取り込み、その空気をろ過するためのフィルターが設けられています。このフィルターが目詰まりを起こしてしまうと、適切に空気が送られずバッテリーの冷却が行えません。

スマホやゲームでも、使い過ぎてバッテリーが熱を持った状態になった経験のある方は多いでしょう。ハイブリッド車のバッテリーも同様に、熱を持ち、冷却が十分に行えないと性能が低下してしまいます。

定期的にメンテナンスを受け、フィルターをキレイな状態で保つことがバッテリーを長持ちさせるポイントのひとつです。

ハイブリッド車のバッテリー交換の費用と節約方法

ハイブリッド車のバッテリー交換の費用と節約方法
駆動用バッテリーと補機用バッテリーでは、交換時期の目安だけでなく費用も大きく異なります。

バッテリー交換は数あるメンテナンス項目のなかでも高額であり、少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。新品でなくリビルド品を使用したり、業者の相見積もりをとったりすることで多少の節約ができます。

ここからは、ハイブリッド車のバッテリー交換費用と節約方法について紹介します。

駆動用バッテリーの交換費用

駆動用バッテリーは、高電圧で大容量のバッテリーです。そのため、交換するとなるとメーカーやハイブリッドシステムの種類にもよりますが、15万~60万円程度の費用が必要になります。

バッテリー本体が高価であることはもちろん、駆動用バッテリーの取り扱いは専門の知識を持ったプロでないとできないため、作業手数料も高めです。

リビルド品(中古品)に抵抗のない方は、これを用いることで数十万円の節約が可能になります。リビルド品を使用する際は、保証が付かなかったり保証期間が短かったりするため、信頼できる整備工場を選びましょう。

補機用バッテリーの交換費用

補機用バッテリーを交換する際、メーカー純正品を用いるなら3万円程度見ておく必要があります。純正品と交換するなら、基本的にディーラーで整備を受けることになるため、相場よりも少し料金は高めです。

なるべく費用を抑えたいのであれば、カー用品店や自動車整備工場にて適合品のバッテリーを使用することがおすすめです。適合品であれば、交換費用は1万~2万円程度で収まるでしょう。

ハイブリッド車の場合、補機用バッテリーでもセルフでの交換は困難ですが、駆動用バッテリーに比べると作業内容も軽く、作業手数料も比較的安価です。

ハイブリッド車は車両下部にバッテリーが設置されている

ガソリン車のバッテリーは、エンジンルーム内に設置されているため、手順をよく確認すればセルフでの交換も可能です。しかし、ハイブリッド車のバッテリーはとても大きく重量があるため、重心を下げる目的で後部座席の下や床下に設置されています。

このようなことから、バッテリーを点検・交換するとなると、フロアボードや座席などを取り外す必要があり、作業手数料が高額になる要因のひとつとなっています。

また、補機用バッテリーがエンジンルーム内にある車種も存在しますが、ハイブリッド車のバッテリー交換は専門の知識がないと交換作業は危険です。ハイブリッド車の場合、「バッテリー交換はプロに依頼する」と認識しておきましょう。

ハイブリッド車でもバッテリー上がりは起きますか?
ハイブリッド車も消費電力が大き過ぎるとバッテリーが上がってしまう恐れがあります。バッテリーが上がってしまった際には、ガソリン車と同じようにブースターケーブルを使用しての対処が可能です。
しかし、ガソリン車に救援車になってもらうことはできますが、ハイブリッド車が救援車になることはできないため、くれぐれも気を付けましょう。

中古のハイブリッド車を選ぶ際の注意点

中古のハイブリッド車を選ぶ際の注意点
中古車は、前のユーザーの運転方法や使用環境などによって1台1台状態が異なり、同じ車種・グレードであっても全く同じ車は2つとしてありません。

状態の悪い車を引いてしまうと、後のメンテナンス費用が高くついてしまう恐れがあるため、注意が必要です。

ここからは、中古のハイブリッド車を選ぶ際の注意点について解説します。

中古車は1台1台状態が異なる

同じ車種・グレードであっても、走行距離や年式、前ユーザーの車の使い方などによって車の状態は1台1台異なります。

状態の良い車を見極めるには、年式と走行距離のバランスが良く、定期的にメンテナンスが行われていたかどうかをチェックしましょう。

1年間の走行距離の目安は8,000km~10,000km程度とされており、「年式×8,000km」程度の走行距離が基準です。算出された数値よりも極端に多い車も少ない車もシビアコンディションの使用環境であった可能性があります。

走行距離の少ない車は座席シートのへたりもなく、状態が良く感じられますが、使わなさ過ぎによるエンジン・バッテリーへのダメージがあることから慎重に選ぶことが重要です。

過去のメンテナンス状況は整備記録簿にて確認しておきましょう。

保証の有無をチェック

安く車を購入しても、目に見えないトラブルを抱えていて、購入して間もない頃に不具合が生じ、修理するとなると、損をした気持ちになってしまいます。このようなときに保証が受けられるよう、中古車を購入する際は、保証の有無をよく確認しておくことが重要です。

保証には販売店が独自に設けている保証と、メーカー保証があります。条件を満たしていれば中古車でもメーカー保証を受けられる可能性があるため、整備記録簿をチェックしたり、販売店スタッフに保証の確認をしたりしておきましょう。

保証がなければ、購入直後であっても不具合があった場合は実費で修理を行うことになってしまいます。比較的キレイな中古車であっても、保証は付けておきましょう。

修復歴が無いか確認しておく

修復歴のある車は、市場価格よりも大きく下回った金額で販売されています。

例えば、「ドアを開ける際に壁にぶつけてしまった」「縁石にぶつけてボディを擦ってしまった」というようなキズを修復した程度では修復歴としてカウントされません。

中古車市場でいう修復歴のある車とは、車のフレーム(骨組み)に損傷が生じ、修復を行った車のことを意味しています。そのため、通常の車と比べて耐久性が脆くなっている可能性があります。

修復歴のある車は買い手が見つからず相場よりも安く販売されていますが、なるべく避けておくのが無難です。

急なトラブルを防ぐためには定期的な点検が重要!

急なトラブルを防ぐためには定期的な点検が重要!
バッテリーの劣化に気付かず、寿命がきてしまうまで交換をせずにいると、出先でバッテリーの寿命がきてしまい、車が動かせない事態になります。

車が動かせないとなると、その場に車を残して帰るわけにもいかないため、ロードサービスや加入している自動車保険に連絡しなくてはいけません。スムーズに物事が進んでも、半日は要してしまうでしょう。

このような急なトラブルを防ぐためには、普段から定期的に点検を行っておくことが重要です。

なお、法定点検を怠っていると、メーカー保証の対象から外れてしまう可能性が高いです。バッテリーに限らず、車のあらゆる部品において良好な状態を保てるよう、点検・メンテナンスはこまめに行うことをおすすめします。

まとめ

①ハイブリッド車には「駆動用バッテリー」と「補機用バッテリー」が搭載されており、それぞれ交換頻度が異なる
②駆動用バッテリーは5年~8年、補機用バッテリーは3年~5年を目安に交換を行う
③警告灯が点灯したり、燃費が悪くなってきたと感じる場合はバッテリーの劣化が疑われる
④バッテリーの弱点である熱から守り、過放電を避けることがバッテリーを長持ちさせるためのポイント
⑤駆動用バッテリーは15万~60万円、補機用バッテリーは3万円程度の交換費用がかかる

※本記事は公開時点の情報になります。
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