新車試乗レポート
更新日:2024.03.27 / 掲載日:2024.03.27

レクサスGX海外先行試乗!

デビュー間近の注目SUV、その実力は如何に?

アウトドアスタイルとの融合を目指した、レクサスが目指す新たなアプローチ「OVERTRAIL PROJECT」の中核モデル「レクサスGX」の北米仕様車に、先んじて試乗する機会に恵まれた。レクサスが本気で造った本格クロカン4WDは、どんなクルマに仕上がっていたのだろうか?

文:山本シンヤ 写真:LEXUS INTERNATIONAL

LEXUS GX 海外試乗インプレッション(北米仕様)

新型 GX 主要諸元(プロトタイプの数値) ●全長:4950mm ●全幅:1980mm ●全高:1870mm ●ホイールベース:2850mm ●パワートレーン:3.5ℓ V6ツインターボ[フルタイム4WD]/2.4ℓ直4ターボハイブリッドシステム[フルタイム4WD] ●ホイールサイズ:18/20/22インチ

レクサスが本気で造った
プレミアム・オフローダー

 次世代レクサスの3つの柱は「電動化」、「知能化」、「多様化」である。その中でも多様化は2023年に登場したモデルで表現した。それは小さな高級車「LBX」、ラグジュアリームーバー「LM」、そして今回紹介する本格オフローダーの「GX」だ。
 チーフエンジニアの塚崎公治氏は「レクサス本格オフローダーの”ど真ん中“を開発した」と語るが、日本への導入は2024年度中と発表済み。それに先駆け、左ハンドルの北米仕様にアメリカ・アリゾナで試乗することができた。今回はイメージリーダーとなるオフロード性能をより高めた「オーバートレイル」を中心に紹介していきたい。
 エクステリアは兄貴分の「LX」とは異なり、スクエアなフォルムにレクサスの品を損なうことなく「ワイルド」、「ゴツさ」を強調したデザインを採用。オーバートレイルは通常モデルに対し、20㎜ワイド化されたトレッド&フェンダーエクステンション、18インチの専用タイヤ(TOYOオープンカントリー)の装着で、よりワイルドな印象を受ける。
 パワートレーンは、LX/ランクル300にも採用のV6・3.5ℓ直噴ツインターボ(415PS/650Nm)+10速ATだが、小型タービン&専用制御と、GX用に最適化されている。シャシー系は基本素性に優れるGA-Fプラットフォーム+強化されたボディの組み合わせに加えて、専用セットされたAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)や、LX譲りのEPS、ランクルGRスポーツ譲りのE-KDSS(キネティック・ダイナミック・サスペンションシステム)と、トヨタ/レクサスに採用済みの、本格オフローダー用アイテムをフル採用する。

快適にオフを堪能できる
最新技術の凄みを実感

 まずはオーバートレイルの檜舞台であるオフロードだ。コースはモーグルや急斜面、ぬかるみなどを設けられた”意地悪“ステージ。どれもドライバーの技量が求められる過酷なシーンだが、結論から言うと「僕って、運転上手?」と錯覚するくらい、「安心」、「楽」、「快適」に走行できてしまった。この辺りは基本素性と巧みな制御技術の合わせ技に加えて、さらに胸部の左右の揺れをいなす専用シート、視界の良さなどの相乗効果によるものだ。逆を言えば、GXに乗ると過酷な道が過酷に感じられない事が、最大のウイークポイントと言えるかもしれない(笑)。
 そんなオフロード性能から、「オンロードでレクサスらしい走りは可能なのか?」と心配をしたが、それは杞憂に過ぎなかった。
 雑味のない滑らかでスッキリとしたステア系、ボディオンフレームとは思えない下屋と上屋の一体感と正確な応答、クルマが軽く/小さく感じるロールが抑えられた軽やかな身のこなし、オフロードタイヤとは思えない乗り心地の良さと静粛性の高さなど、いわゆる都会派クロスオーバーよりも”都会派“の走りに思える。パワートレーンも発進時のみトーイングを考慮したルーズな制御だが、それ以外ではどの回転域でもドライバーの意思に忠実な加速を楽しませてくれる。
 このようにオフロードでは「驚きの走破性」、オンロードでは「ボディオンフレーム構造を忘れる走り」というように、レクサスが掲げる「二律創生」「YETの思想」を直感的かつ解りやすく表現されている。
 ちなみにオンロードでは他のグレードにも試乗した。AVS+22インチタイヤ(ダンロップ)仕様の「ラグジュアリー」は、レスポンシブでシャキッとしたハンドリングが特徴で、都市部メインのユーザーならベストに思う。
 メカニカルダンパー+20インチタイヤ(ヨコハマ)仕様の「プレミアム」は、肩肘張らずにGXを味わう事が可能で、廉価版ではなく素をピュアに味わえる存在だ。
 GXを総じて言うと、泥んこからホテルエントランスまでカバーできるマルチパフォーマンスなモデルで、これまでのレクサスとは違う世界感や個性がプラスされた一台と言っていい。現時点で日本仕様の価格やグレード展開は未定だが、すでにディーラーには数多くの問い合わせが来ていると聞く。気になる人は早めに動いたほうが良さそうだ。

試乗モデルのパワートレーンは、3.5ℓV6ガソリンツインターボ(V35A-ATS型)+10速ATの組み合わせ。415PS/650Nmを発揮する。低中速域から優れた優れたトルク特性を発揮するレクサスの最新ユニットだ。
コンソール中央部に14インチのタッチディスプレイを配置。ダッシュボードは低く、フラットな形状を採用することで、十分な視認性も確保。道具車としての使いやすさも追求している。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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