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更新日:2024.04.10 / 掲載日:2024.04.04

新型MINI特集!フルモデルチェンジでどう変わった?【2024】

文●九島辰也 写真●MINI
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年5月号「MINI特集/うれしい! たのしい! 新しいMINI」記事の内容です)

生まれ変わったMINI 3ドアとカントリーマンは、新たにMINI初となる電気自動車をラインアップ!同時に多くの先進安全機能を搭載するなど、見どころ満載で登場した。今号は、そんなMINIを全方位的にチェックします!

全車「クーパー」化で生まれ変わった新世代のMINI3ドア

全車クーパーに統一した新しいMINI 3ドア

 去る3月1日、新型MINIが発表された。ご存じのようにBMWグループになってからのMINIの躍進はものすごく、販売は好調だ。もちろん、5ドアやクラブマン、クロスオーバーなんてモデルでファミリーが構築されたことも関係する。選択肢が増え、さらにファン層は広がった。

 その足跡を辿ると、初代デビューは2002年。それから2007年に2代目となり、2014年に3代目にバトンタッチした。つまり、今度の新型は4代目。今回もプレミアムコンパクトセグメントを席巻することは間違いない。

 ではどう進化したのかだが、エクステリアを見る限り、大きな変更はない。イメージはまんまMINIで、どこからどう見ても間違えることはないはず。ボディパネルの造形やディテールは、ミニマルさをテーマにしただけありかなりシンプル。洗練されたアーバンテイストといった感じだ。

 大きく変わったのはインテリアだろう。なんたってステアリングホイールの向こう側にあったメータークラスターがなくなり、デジタル表示は大型センターモニターとヘッドアップディスプレイのみとなった。フルカラーのヘッドアップディスプレイはトレンドだが、ここまで潔いのはめずらしい。時代を先取るMINIらしいチャレンジともいえる。

 パワーソースは大きく分けてガソリンエンジンとバッテリー&モーターの2種類で、その中身がそのままグレード名となる。MINI クーパー Cが1.5L直3ターボで、MINI クーパー Sが2L直4ターボ。でもってMINI クーパー EがBEVの135kW、MINI クーパー SEがBEVの160kWバージョンとなる。つまり、ディーゼルエンジンは設定なし。

 ここで気づいた方もいらっしゃるだろうが、新型3ドアハッチバックはすべて“MINI クーパー”の呼称となる。エントリーグレードにあったMINI ワンは無くなったのだ。そもそも日本ではMINIをMINI クーパーと呼ぶ習慣があるからこれで間違いは無くなった。ジョン・クーパーさんの影響力恐るべし。

 このほかのトピックスに、MINIエクスペリエンスモードがある。モニターに映し出される画像とアンビエントライトのエフェクト、それとサウンドによってインテリアの雰囲気を変えることができるシステムだ。これは機能的なものではなくあくまでも装飾となるが、こんな遊び心がMINIらしい。ディーラー展示が始まったらぜひチェックしてみてもらいたい装備である。

 これ以外にも、安全装備となるドライビングアシストや、全方位を網羅するドライブレコーダー、AIとの会話による操作などニュースは多い。特にこのところのインターフェースの進化は目まぐるしい。どんどんアップデートされるから、買うタイミングが難しい気がする。

 それはともかく、走って楽しいのがMINIであり、この新型にもそれを期待したい。いわゆるゴーカートフィーリングがあってこそMINIだからね。それを鑑みると乗りたいのはMINIクーパーSかな。でもこのところのBEVに対するBMWテクノロジーは相当よいから、MINIクーパーSEにも期待していいはずだ。

MINI クーパー 3ドア

 フロントマスクは八角形のグリルとLEDが際立つ丸型ヘッドライトが特徴。どこからみてもMINI。ヘッドライトにはコーナリングライト機能も内蔵する。リアにはミニマークの下にCOOPERの文字が入るとともに、まったく新しいデザインのテールライトが備わる。上下に2つの三角形が浮かぶそれは英国国旗ユニオンジャックを連想させる。この辺は見るからに新鮮なイメージだ。

MINI クーパー SE ●全長×全幅×全高:3860×1755×1460mm ●ホイールベース:2525mm ●最高出力:160kW/7000rpm ●最大トルク:33.7kgm/1000-4500rpm ●新車価格:396万円〜531万円(MINI3ドア全グレード)
伝統の丸型センターメーターを継承しつつも、ダッシュボードは新たに設計された。カタチ、素材すべてが新しい。スイッチ類を減らすのはトレンド的デザイン。カラフルなアンビエントライトも備わる。

より洗練された内外装で魅力を増した新型MINIカントリーマン

キープコンセプトだが全方位で進化した新型

 先述のMINI クーパー 3ドアよりもひと足早く昨年11月に発表されたのがカントリーマン。これまでクロスオーバーと呼ばれていたモデルもまたフルモデルチェンジされた。名称変更の理由は日本での商標登録問題。カントリーマンがすでに登録されていたことでその名前を使えなかったが、今回はそれがクリアになり、世界共通のネーミングとなった。

 特徴はMINI クーパー同様キープコンセプトとなったエクステリアと、新しいインターフェースを強調するインテリア。メータークラスターを廃し、センターの大型モニターとヘッドアップディスプレイがドライバーに情報を与える新たな装いだ。

 パワーソースはガソリンエンジンとバッテリー&モーターのほか、ディーゼルエンジンも用意される。SUVという性格上相性はいいと判断されたようだ。

 で、こちらもパワーソースがグレード名に反映されている。MINI カントリーマン Cが1.5L直3ターボで、MINI カントリーマン Dが2L直4ディーゼルターボ、MINI カントリーマン S ALL4が2L直4ターボとなる。さらに言えば、そのハイパフォーマンス版がMINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン。最高出力233kW、最大トルク400Nmは発揮する。もちろん四駆だ。BEVはMINIカントリーマン Eとその上のMINIカントリーマン SE ALL4。システムトータル最高出力225kWはジョン・クーパー・ワークスに肉薄する。

 そんなラインアップだが、じつはこのなかのMINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマンとMINI カントリーマン SE ALL4にはすでに乗っている。日本上陸目前のタイミングでポルトガルで行われた国際試乗会に参加したからだ。

 その印象をお知らせすると、パワーソースを問わずクルマの仕上がりは恐ろしくいい。加速、ハンドリング、乗り心地、全方向的にドライバーの要求を満たす。時にパワフルで、時に快適といったところだ。

 その源はプラットフォームにある。BMWが昨年リリースしたX1/iX1と共通で、バランスがすこぶるいい。連続するコーナーの切り返しは自然で、ステアリング操作に対し気持ちよく向きを変える。それがより際立ったのはBEVで、「本当に床下にバッテリーを敷き詰めているのか?」と思うくらい軽快だった。BEVにありがちな足もとの重々しさが一切感じられないのはすごい。

 というように高く評価したいのがこの新型MINI カントリーマン。ヒットの予感のするSUVである。

MINI カントリーマン

 日本ではクロスオーバーという名称で売られていたモデルの新型がこのカントリーマン。ミニにとっては伝統的な名前で、クラシックミニの時代にあった。オースチンミニのホイールベースをストレッチし、後部サイドパネルにウッドのモールを配したモデルだ。その意味では今回から世界共通のその名前を日本で使えるようになったのは朗報といえる。デザインもまたモダンクラシックな装いだ。

MINI カントリーマン SE ALL4 ●全長×全幅×全高:4445×1845×1640mm ●ホイールベース:2640mm ●最高出力:225kW ●最大トルク:50.4kgm ●新車価格:489万円〜662万円(MINI カントリーマン JCWを除く)

カントリーマンのデザインもMINI クーパー同様ミニマムで行われている。とはいえ、シンプルななかにおしゃれさ満載。スイッチ類からモニター階層内ビジュアルまで手が込んでいる。
充電はボディ右サイド後方のポートで行う。普通充電と急速充電が可能。アプリをダウンロードしておけば、公共ステーションが容易に見つかる。
MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン

 2L直4ターボエンジンをスープアップさせたのがこのMINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン。お馴染みMINIファミリーのハイパフォーマンスモデルである。エンジン出力同様足まわりも専用のセッティングにすることで、スポーティな走りを味わせてくれる。よって乗り心地は若干硬め。タイヤは前後245/40R20で、メーカーはピレリP ZEROを履いていた。

MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン ALL4 ●全長×全幅×全高:4445×1845×1645mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:1680kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●最高出力:316ps /5750rpm ●最大トルク:40.8kgm/2000-4500rpm ●新車価格:667万円(MINI ジョン・クーパー・ワークス カントリーマン ALL4)

ダッシュボードを見るとわかるようにインテリアも専用デザインが施される。モニターに表示される画面もそう。スポーティなテイストで統一される。
ボディ各所に赤いパーツを取り入れるのもジョン・クーパー・ワークスの証。新型はCピラーにアクセントが付いたのでそれが際立つ。ホイールも専用だ。
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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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