新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.03.03 / 掲載日:2024.02.28

スバル注目モデル購入ガイド〜走りの実力/おすすめグレード他〜

国産屈指の個性派を美味しく狙え!

ほかにはない個性的なクルマがそろうスバル。
ここでは現行モデルの魅力を分かりやすく解説していこう

●文:川島 茂夫

SUBARU注目モデル購入ガイド

SUBARU クロストレック

価格:266万2000〜328万9000円

《プロフィール》乗用車系ボディだが、アウトドア適性も優秀

 インプレッサをベースに、悪路対応力を高めたコンパクトSUV。専用デザインのバンパーやクラッディングを採用することで、SUVらしい外観を手に入れているが、ボディシェルはインプレッサと共通。後席や荷室のパッケージはショートワゴンに近い。最低地上高は200㎜を確保し、4WDシステムにはX-MODEを採用するなど、踏破性の高さはクラストップ級。アウトドアで便利に使い倒せるレジャーワゴンとしても優秀だ。

《走りの実力は?》動力性能は排気量相応だがフットワークはとても優秀

 パワートレーンは2ℓ+モーターのe-BOXERのみ。動力性能はマイルドHV相応で、アクセルコントロール性は優れているものの、加速性能や余力感は2ℓNAモデルと大差ない。フットワークはスバルの新世代モデルらしく、神経質な操作や頻繁な操舵を必要としない運転ストレスが少ないタイプ。乗り心地に関しても同様で、横Gの変化は少なく、乗り疲れしない。オンロードでも走りの質の良さを実感できる。

《オススメグレードは?》Limited(AWD)

 グレードはベーシックな「Touring」と上級設定の「Limited」の2つを設定。ともにパワートレーンは共通で、グレード選びのポイントは装備差が中心。約40万円の価格差があるが、上級のLimitedには情報表示システムを備えた大型タッチディスプレイやパワーシート、後側方警戒システムなどが標準装着される。これらはTouringでもOPで選べるが少し割高。駆動方式は軽快さが増すFF仕様も悪くないが、キャラ的にはAWDを選びたい。

SUBARU インプレッサ

価格:229万9000〜321万2000円

《プロフィール》スバルのエントリーも、新世代モデルに進化

 先代まではセダンの設定もあったが、現行型は2BOXのみの設定。車体寸法やプロポーションは先代と大きく変わっていないが、フルインナーフレーム構造のSGPや最新アイサイトが採用されるなど、新世代モデルらしい内容が盛り込まれている。パワートレーンは2ℓNAと、2ℓ+モーターのe-BOXERの2つを設定。全グレードでFF仕様とAWD仕様を選択することができる。4WDシステムはSUV系と共通だが、X-MODEは用意されていない。

《走りの実力は?》ロングドライブ適性に優れる万能タイプ

 歴代モデルほどスポーティな味付けではなく、最近のスバル車に共通するドライバーや同乗者が疲れにくい穏やかな走りが特徴。乗り疲れしにくいタイプで、街中からロングドライブまで、幅広い用途に高い適性を示す。動力性能はモーターアシストが加わるe-BOXER車でも、負荷がかかる山岳路などでは少し物足りない。優れたシャシー性能と新世代アイサイトがもたらす安心感は心強いが、加速性能や燃費は2ℓ級としては平凡だ。

《オススメグレードは?》ST-H(AWD)

 2ℓNAの内燃機車にもアイサイトコアテクノロジーが標準装備となるため、コスパ優先の実用モデル狙いならば悪くない選択といえるが、e-BOXERを搭載する上位グレードと比べると、選べない装備機能が少し多い。装備のバランスを重視するならば、少し価格は高くなるがe-BOXER車を選ぶのがいい。中間グレードのST-Gでも相応の装備が備わるが、パワーシートなども標準になるST-Hの方が、価格と装備のバランスに優れている。

SUBARU レヴォーグ

価格:363万〜502万7000円

《プロフィール》高性能ターボと最新メカニズムを採用

 レガシィの上級移行が進むなか、初期のレガシィ ツーリングワゴンのコンセプトやサイズを継承したモデルとして誕生。現行型(2代目)は、オンロード4WDをスポーツ&ツーリングに活かした走りを特徴とする。パワートレーンは1.8ℓターボと2.4ℓターボの2つで、AWD仕様を基本にしている。なお4WDシステムはエンジンによって仕様が異なり、2.4ℓ車は電子制御のセンターデフ方式を採用。STIスポーツ系はスバル初となる電子制御ダンパーも採用する。

《走りの実力は?》快適性とスポーツ性を併せ持つ上質なツアラー

 セダンボディのWRX系と比較すると、フットワークが多少マイルドになっているとはいえ、最高水準のスポーツ性能を楽しむことができる。だからといって走り優先というわけではなく、普段使いにも対応できることが強味。特に電子制御サスを装着するSTIスポーツ系は、標準系サスのグレードよりも、走りの多様性が高くツアラーとしても優秀だ。ディーラーOPで提供される「e-TUNE」をプラスすれば、1ランク上のモデルに負けない上質感も楽しめる。

《オススメグレードは?》STI Sport EX

 WRXと共通のパワートレーンと4WDシステムを採用している2.4ℓモデルがトップモデルになるが、価格的にも高価でキャラもスポーツ方向に振りすぎ。ツーリング&レジャーを主目的として選ぶなら、実用域の扱いやすさや燃費のバランスも良好な1.8ℓモデルがいい。コスパ視点ではGT-Hが買い得だが、走りの質にこだわるならSTI Sportを狙いたい。GT-Hより55万円高となるのは痛いが、スポーツ性も、快適性も、走りの質もランクアップできる。

SUBARU レガシィ アウトバック

価格:425万7000〜451万円

《プロフィール》スバルが誇るフラッグシップSUV

 レガシィをベースに開発されたミドルSUV。現行型(6代目)の北米デビューは2020年だが、国内仕様車は2021年に投入されている。ツーリングワゴンが整理されたこともあって、歴代アウトバックとしては最もSUVらしいプロポーションが与えられていることが特徴だ。上質な内装加飾に加えて、アイサイトXも標準装備されるなど、上級SUVらしい装備機能の充実ぶりも魅力のひとつ。WRXと並ぶ、スバルのフラッグシップモデルとして人気を集めている。

《走りの実力は?》走る場所を選ばない万能モデル

 国内で展開するスバル車の中では最大級の車体寸法と車両重量になるが、1.8ℓターボがもたらす豊かなトルクや、収まりや据わりのいい車体挙動もあって、ボディサイズをあまり意識しないで運転できる。プレミアムSUVとしてはもう少し重質な味わいとさらなる余力感が欲しくなるが、出来の良い4WDシステムがもたらす走破性能の高さは国産屈指の実力がある。スバルが誇るツーリング性能の高さを実感できる一台だ。

《オススメグレードは?》X-BREAK EX

 上級設定のLimited EXをベースとした特別仕様車「Active×Black」も含めると、3つのグレードを選ぶことが可能。価格的にはX-BREAK EXがベーシック仕様だが、ハンズフリー機能付パワーテールゲートを除けば、機能装備設定はLimited EXと共通。もちろんアイサイトXも標準装備だ。アウトドアテイストが気にならないならX-BREAK EXが買い得。上位グレードよりも価格と装備のバランスの良さが秀でている。

SUBARU フォレスター

価格:306万9000〜374万円

《プロフィール》モデル末期だが、その実力に色褪せなし

 車格面ではアウトバックの下のモデルだが、室内高に余裕を持たせたパッケージングを採用することで、抜群のユーティリティを武器にしているミドルSUV。X-MODEの搭載や最低地上高220㎜を確保した車体設計もあって、悪路走破性もスバル車トップレベルだ。北米で次期型が発表されたこともあってモデル末期になるがその魅力はまだまだ色褪せていない。パワートレーンは2ℓのe-BOXERと1.8ℓターボの2つを用意。駆動方式は4WD仕様のみとなる。

《走りの実力は?》1.8ℓターボ車が明らかに格上

 モーターアシストが加わるe-BOXER車は、自然なパワーフィールで良好なドライバビリティを示すが、急加速や登坂時の余力が少なめ。2ℓ級ミドルSUVとしては平均的な動力性能だが、1.8ℓターボ車の方が明らかに秀でる部分が多い。特に低中速域からの豊かなトルクがもたらす悠々としたドライブフィールが魅力だ。フットワークは操安と乗り心地のバランスは良好だが、操舵追従と収束性は最新スバル車には少し及ばない印象も。

《オススメグレードは?》XT-EDITION(特別仕様車)

 パワートレーンがモデル選びの要点。標準仕様はe-BOXER車になるが、マイルドハイブリッド相当のHEVであり、動力性能は2ℓNA相応だ。高速や山岳路での余裕や扱いやすさを考えれば1.8ℓターボ車が一歩リードしている。オススメはレジャー用途に軸足を向けた特別仕様車「XT-EDITION」。「Sport」をベースに撥水シート表皮やアイサイトセーフティプラスなどを装備してこなれた価格を実現しているお買い得な一台だ。

SUBARU BRZ

価格:330万〜381万7000円

《プロフィール》サスまわりの専用設計で、走りを差別化

 トヨタとの協業から生まれたFRのライトウェイトスポーツカー。水平対向エンジンやコンパクトな2ドアクーペボディは先代から継承しているが、現行型からNAエンジンの排気量が2.4ℓに拡大しており、さらに車体にも大幅改良が加えられている。姉妹車となるGR86とは基本設計を共用しているが、リヤサスフレーム周りの構造とサスチューニングはBRZ専用設計とすることで、トラクションとラインコントロール性を重視したフットワークを手に入れている。

《走りの実力は?》操る手応え十分の、良質なFRスポーツ

 操舵に軽く反応する鼻先の動きや、アクセルの踏み込み応じて後輪に掛かるトラクションのかかり具合など、操る手応えが強く実感できる良質なスポーツカーに仕立てられている。特に回頭反応とトラクションのバランスでコーナリングをアレンジする能力が高い。乗りこなす醍醐味感は、挙動が少しオーバーアクション気味なGR86に分があるが、コントロールの正確さなどはBRZが勝る。AT仕様やアイサイトが用意されるなど、ツーリング用途でも悪くない選択だ。

《オススメグレードは?》STI Sport

 カスタマイズやモータースポーツ参加に適した「R」と、快適装備などのパーソナルカーとしての実用性やプレミアム感を高めた「S」、そしてスポーツプレミアム性を兼ね備えた「STI Sport」の3つのグレードを選択可能。いずれも6速のMTとATが設定されている。約28万円高くなるが、走行ハードのグレードアップが狙えるSTI Sportが選択肢の一番手。装備が簡素なRは明らかに実力不足なので、価格は安くともオススメできない。

SUBARU WRX S4

価格:447万7000~502万7000円

《プロフィール》速さ最優先で造られたもう一つのフラッグシップ

 レヴォーグのセダン仕様ともいえるが、モータースポーツ視線で開発された経緯もあって、構成メカニズムはかなり豪華。パワーユニットは275PSを発揮する2.4ℓターボのみで、トランスミッションは8速ステップ変速を基本とする上級仕様のスバルパフォーマンストランスミッション、4WDシステムも不等トルク配分の電子制御センターデフ方式を採用するなど、贅沢な駆動システムが与えられていることも特徴。走り路線の頂点に君臨するフラッグシップも兼ねている。

《走りの実力は?》スポーツ走行から快適ツーリングまで自由自在

 走行ハードウェアの構成はレヴォーグ2.4ℓターボに準じているが、車体形状による重量バランスの違いやサスチューニングを変更することで、コントロール精度や追従性を向上。走りの限界性能のさらなる上乗せが図られている。さらに電子制御ダンパーを装備するSTI Sport R EXは、コンフォートモードも備えており、快適な高速ツアラーとしての走りを楽しむことができる。本質的にはハードコアスポーツ派のためのモデルだが、走りの汎用性にも優れている。

《オススメグレードは?》STI Sport R EX

 STI Sport R EXをベースにフレームの強化等で走りのグレードアップを狙った特別仕様車「STI Sport♯」が魅力的だが、価格が約120万円高な上に期間限定という制限も痛い。標準設定の2グレードを比べると、STI Sport R EXの方が55万円高。コスパも考慮するならばGT-H EXでも良さそうだが、電子制御ダンパーを装備するSTI Sport R EXを狙いたい。スポーツ性能のレベルが上がるだけでなく、ツアラーとしても魅力的だ。

SUBARU ソルテラ

価格:627万〜715万円

《プロフィール》bZ4Xの姉妹車だがチューニングは専用仕立て

 トヨタとの協業関係により開発されたBEV。bZ4Xとは姉妹車になる。ボディサイズはレイバックとフォレスターの中間くらいの車体寸法で、カテゴリーとしてはミドルSUVに分類される。駆動方式はFFと前後に独立したモーターを備える4WDの2タイプを用意。システム最高出力はFFが150kW、4WDが前後合計で160kWとなる。走行ハードウェアはbZ4Xと共通するが、サスチューンを専用仕立てにするほか、AWD仕様には悪路走破性を高めるX-MODEを採用し、差別化が図られている。

《走りの実力は?》力強さと繊細さが両立する走りが魅力

 聞こえる騒音はロードノイズくらいで、力感あふれる加速性能を持ちながら、ゆったりと運転すれば悠々とした扱いやすさもある。電動の持ち味と扱いやすさを上手に融合させたドライバビリティだ。フットワークは挙動収束や据わりのいい操縦感覚を重視した特性。ちょっと硬めだが、信頼感も安心感もある長距離ツーリングに適したタイプだ。軽快な味付けのbZ4Xと異なることもソルテラのこだわり。スバルらしいBEVを楽しめる。

《オススメグレードは?》ET-SS

 BEVとして選ぶなら、標準グレード相当のET-SSのFF仕様だ。20インチタイヤ装着で車両重量が重く、最も航続距離の短いET-HSとはWLTC総合モード航続距離で約14%減となる80kmもの差がある。ET-HSには太陽光発電のOPを追加できるが、航続距離を気にするなら避けた方が無難だろう。悪路踏破性を求める場合は4WD+航続距離の点からET-SSの4WD仕様が有力候補。ET-HSに比べると88万円安と、コスパが優れている。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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