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更新日:2024.03.05 / 掲載日:2024.03.01
10年ぶりに登場の新型MINIは「体験」がキーワード
文と写真●ユニット・コンパス
10年ぶりに新世代へと生まれ変わったMINIの実車をみて、2002年の初代MINIに近い驚きとインパクトを感じた。3月1日にお披露目された新型MINIクーパー 3ドアは、シンプルでありながらこだわりが詰まっているし、これまでになかった新しい試みがたくさんある。新型はデザインや素材づかいはもちろんのこと、視覚や聴覚にうったえかける、「体験」が新しい。
新しい「体験」を与えてくれる新世代MINIのコックピット
新型MINIはモデルのネーミングのルールも変わった。3ドアハッチバックを「MINIクーパー」、コンパクトSUVを「MINIカントリーマン」と呼ぶようになった。従来はグレード名称だった「クーパー」が、MINIのアイコンである3ドアハッチバック専用のものとなったわけだ。そして、それぞれに電気自動車版が選べるようになったのもニュース。
新しくなったMINIを象徴するのが、円形のセンターディスプレイ。有機ELパネルを採用しており、色は鮮やかだし、どの角度からみても表示がくっきり。操作はスマホのように指でも行え、レスポンスもなかなか良好だった。ここにはナビや各種メディア、車両の情報などが映し出される。表示はカラフルかつアニメーションを多用していることもあって、見ているだけでも楽しい。これはMINIクーパーだけでなくMINIカントリーマンにも装備される。新世代MINIを象徴する装備だ。
新しい体験を演出するのが「MINIエクスペリエンス・モード」で、走行モード&車内空間の演出がトグルスイッチの操作で切り替わる。ユニークなのが、モードを切り替えると画面表示とともにアンビエント・イルミネーションが変化。さらに音も各モードごとに作り込まれているので、雰囲気がガラリと変化する。MINIクーパーでは7種類、MINIカントリーマンでは8種類のパターンが用意されている。そのなかのひとつである「パーソナルモード」では、自分で用意した写真を壁紙やアイコンとしても利用可能。会社の机やパーティションに写真を貼り付けるような感覚で自分だけのMINIにできる。「ビビッド・モード」では、流れている音楽のカバーアートに合わせ、ダッシュボードのイルミネーションが25色のなかから自動的に変化するという。洗練された遊び心が嬉しい。
カスタマイズといえば、LEDを使ったフロントとリアのシグニチャー・ライト(いわゆるポジションランプ)も変更可能。ちょっとしたアイデアなのだが、実際に試してみるとクルマのイメージが結構大きく変わる。また、前後のシグニチャー・ライトはドアロックなどに連動してアニメーションする。MINIがウインクしているような表情になって、見ていて思わず顔がほころんだ。
環境に対する配慮とデザイン性を両立
環境負荷を減らすべく、レザーを人工皮革にしたりメッキパーツを使わなくなったMINI。しかし、実車をみるとむしろ新しい素材使いやデザイン力の高さに感心しきり。とくにニットのような素材を使ったダッシュボードやドアパネルのしつらえは他のブランドと比べてもハイセンスで先進性がある。見た目や風合いは繊維のような温かみがあるが、じつは素材はポリエステル樹脂で、耐久性とリサイクル性を両立させたハイテク素材なのだという。
MINIカントリーマンに電気自動車を追加。一充電で400km以上走行可能
なお、2023年11月に日本で発表されたMINIカントリーマンにもBEV(電気自動車)が追加された。これでMINIカントリーマンのラインアップは、ガソリン(FWD、AWD)、ディーゼル(FWD)、BEV(FWD、AWD)とさらに強力なものになった。
「MINIカントリーマン E」(FWD)の一充電走行可能距離は462kmで、「MINIカントリーマン SE ALL4」(AWD)の一充電走行可能距離は433km。いずれもヨーロッパ仕様のデータ。BEVモデルの価格は593万円から667万円で、車両からの外部給電も可能なため、補助金を考えるとガソリンやディーゼルモデルに近い価格設定になっている。納車は2024年第二四半期以降を予定。