中古車購入チェックポイント
更新日:2018.07.02 / 掲載日:2009.03.18

トヨタ セルシオ 中古車購入チェックポイント(2009年03月)

  • トヨタ セルシオ 中古車購入チェックポイント

    トヨタ セルシオ

    参考車両 :C仕様Fパッケージ
    初年度登録2003年6月

  • トヨタ セルシオ

■全体のチェックポイント

高級車の中でも比較的クルマ好きのユーザーが多いといえるが、仕様グレードによって走り方や扱い方が異なることも考慮してチェックしよう。外装は、小さな損傷よりも大きな修理跡に注意しよう。室内は、汚れや傷などを探るだけでなく、装備機器類の動作確認も忘れずに。エンジンやオートマチック、サスペンションなど、走りの機能に不具合がないかも確かめたい。

  • 1.車両の雰囲気から探る

    トヨタ セルシオ (正面)

  • 1.車両の雰囲気から探る

     少し遠目の位置から全体の様子を観察しよう。車両の周囲を回って、外板パネルの立て付けや塗装の状態などをチェック。
     正面は、ボンネット(グリルと一体)/バンパー/ヘッドライトなどが並んでいるバランスと、左右対称になっていることを確かめよう。
     左右ヘッドライトの片方だけが新しい場合は、交換している疑いがある。単なるライト破損か、周辺部の修理によるものなのか詳しく探る必要がある。また、ナンバープレートの傷や変形、文字修正ペイントなども、車体前部を修理している疑いがある。

  • 2.車体の表面を観察する

    車体の表面を観察する

  • 2.車体の表面を観察する

     外装の傷や凹みなどを探る時は、見る角度も変えてみよう。斜め方向から透かして見ると、波跡(波打って見える板金修理跡)や見落としやすい広くて浅い凹みなども見つけやすい。
     また、部分的に艶や色調が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっているなど、塗装面が不自然な箇所も、傷などを補修している程度の場合もあるが、板金修理跡の疑いもある。

  • 3.整備状態を確かめる

    トヨタ セルシオ (エンジンルーム)

  • 3.整備状態を確かめる

     定期点検整備記録簿とつき合わせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺をチェック。オイルのにじみや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
     また、周囲と比べて新しく見える部品は交換の疑いがある。消耗部品か、不具合か、それとも事故などでダメージを受けたのか。交換した理由を探ってみよう。

4.車体内側に重要ポイント

 エンジンルーム内は、インナーパネルなど、車体内側の鉄板に歪みや修理跡などがないかをチェックしたいが、樹脂カバーで覆われているために、内部の状態を確認するのは難しい。
 カバーが新品に交換されている。外装部品にずれや修理跡、あるいは不自然な部分があるなど、何らかの異常がある場合は、カバーを外して内部を確かめる必要があるかもしれない。

  • 5.ボンネットのチェック

    トヨタ セルシオ (ボンネット)

  • 5.ボンネットのチェック

     外面だけではなく、裏面に修理跡などがないかも確かめよう。特に、鉄板の接合部の状態をチェック。
     ダメージを受けると、外して修理、あるいは交換することもある。ヒンジ部の固定ネジを脱着した形跡がないかも確認しよう。ボンネットを修理/交換していれば、車体前部に大きなダメージを受けている可能性もある。

6.車体前部の必須チェック

 エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体前部に大きな衝撃を受けるとダメージを負いやすく、修理あるいは交換する確率が高い。
 修理や交換の形跡がないかをチェックすると同時に、ヘッドライトなど、ラジエターサポートに固定部がある関連部品の取り付け状態や、周辺の修理/交換などにも気を付けよう。

  • トヨタ セルシオ (前部1)

  • トヨタ セルシオ (前部2)

  • 7.取り付け状態を確認

    トヨタ セルシオ (フロントフェンダー)

  • 7.取り付け状態を確認

     フロントフェンダーの立て付けの狂いは、ダメージを受けているか、修理/交換の疑いがある。
     大きな損傷を負うと、外して修理したり、交換することがあるので、固定ネジを脱着している形跡がないかチェックしよう。
     フロントフェンダーは、重要な車体補強部材ではないので、修理しても修復歴車にはならないが、外して修理/交換していれば、大きな衝撃で車体骨格部にダメージが及んでいる可能性もある。

  • 8.縁の部分も慎重に調べる

    トヨタ セルシオ (ホイールアーチ)

  • 8.縁の部分も慎重に調べる

     フェンダーは、ホイールアーチ部(縁の部分)に修理跡などがないかチェックしよう。樹脂部品でカバーされているが、鉄板を折り曲げた角部分の状態とカバーの取り付け状態を調べよう。
     下部にあるサイドガーニッシュ(サイドステップ)の取り付け部のネジを脱着した形跡(修理/交換の可能性がある)にも注意しよう。

9.側面のチェックポイント

 ドアに大きな損傷を受けると、外して修理したり、交換してしまうこともある。ドアヒンジのネジを脱着している形跡がないかチェックしよう。ただし、ドアの立て付け調整でネジを回すこともあるので、ネジだけ見てドアを修理/交換しているとは断定できない。疑いがあれば、ピラー(柱)やサイドシル(ドア下の梁)など、周辺の状態も探って判断する必要がある。

  • トヨタ セルシオ (側面1)

  • トヨタ bB (側面2)

10.リアフェンダーのチェック

 リアドアを開けて開口部を見てみよう。リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理していれば、マスキング跡が残っていることもある。
 フューエルリッド(給油口の蓋)も開けて、修理跡などがないかを確認。設置されているカバーの中までチェックできないが、カバーの取り付け状態やフューエルリッドを取り外した形跡など、不自然な様子に注意しよう。

  • トヨタ セルシオ (リアフェンダー)

  • トヨタ セルシオ (フューエルリッド)

11.トランクリッドで推察

 後面も全面と同様に、バンパー/トランクリッド(トランクの蓋)/コンビネーションランプ(テールライト)のバランスをチェック。
 トランクリッドを閉めた状態の立て付けを見て、全体に狂っていれば、リッドがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。左右片方だけの隙間に異常があれば、その側の車体部を修理している。開閉して、スムーズに閉まらない場合も、リッドのずれか、車体の歪みが疑える。
 また、後部ナンバープレートは、封印を剥がした傷が修理や交換を推察するヒントになる。

  • トヨタ セルシオ (トランクリッド1)

  • トヨタ セルシオ (トランクリッド2)

  • 12.後部の修理跡に注意

    トヨタ セルシオ (トランクリッドヒンジ)

  • 12.後部の修理跡に注意

     車体後部は、トランクの開口部にある鉄板接合部の溶接やシーラー、塗装などの状態が重要なチェックポイントだが、樹脂カバーで覆われているので確認できない。フェンダーをはじめ、周辺に修理/交換の形跡などがないか、後部一帯をしっかりチェックしよう。
     トランクリッドヒンジのフェンダー側取り付け部のネジを脱着している形跡があれば、フェンダーを修理している可能性がある。もちろん、トランクリッドを修理/交換していないかも必ず確かめよう。

  • 13.床下を覗いて確認

    トヨタ セルシオ (床下)

  • 13.床下を覗いて確認

     フレーム(骨格部)やメンバー(補強部)などの鉄板部をチェック。特に車体側部は、サイドシル(サイドガーニッシュで覆われた内側にあるドア下の車体前後方向に通っている梁)の下部に損傷や歪み、修理跡などがないか確かめよう。サスペンションやマフラー、ステー、アームなど、部品類に損傷や修理跡などがないかもチェック。各部に設置しているカバーの状態にも注意しよう。 オイルやグリスの漏れ、ゴム部品の破損などにも気を付けよう。

  • 14.減り具合と減り方を見る

    トヨタ セルシオ (タイヤ)

  • 14.減り具合と減り方を見る

     タイヤは、残り溝の深さをまず点検。スリップサインを目安にするが、1.6mm以上が合格基準。傷や異物の刺さりなどにも注意。
     溝が十分に残っていても、減り方も調べよう。接地面の一部が極端に減っている偏摩耗を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけか、あるいはダメージを受けて車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。偏摩耗は、車体前部インナーパネルの変形やサスペンションに受けたダメージなどで起こることがある。

  • 15.エンジンをかけてみる

    エンジンをかけてみる

  • 15.エンジンをかけてみる

     始動時の状態やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
     容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーが弱っている例も多いが、充電系統をはじめ、他の部分に不具合があることも考えられる。また、不安定なアイドリング回転やエンジン回転中の振動や異音の発生なども、何らかのトラブルを抱えている兆候だ。

  • 16.オートマチックをチェック

    オートマチックをチェック

  • 16.オートマチックをチェック

     エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへと、各ポジションにセレクトレバーを操作して、切り替え時に大きなショックがあるなどの異常がないか試してみよう。
     できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激し過ぎる、繋がるタイミングが長過ぎる、異音が発生しているなど、走行中に不具合の兆候が出ていないかも確かめたい。

17.装備機器の機能を確認

 電装機器や電動機構などが正常に機能していることを確かめよう。ウインカー、ヘッドライト、ブレーキ/バック/テールランプ、ハザードなど、保安機器類の作動をまず確認。警告モニターの表示にも注意。さらに、エアコンの効きを試してみる他、オーディオやカーナビなども操作してみよう。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯なども忘れずにチェックしよう。

  • トヨタ セルシオ (装備機器1)

  • トヨタ セルシオ (装備機器2)

  • 18.多数の装備を把握する

    多数の装備を把握する

  • 18.多数の装備を把握する

     高級車ならではの充実した装備もポイントだが、後部座席アームレストにある操作スイッチ類なども見落とさないようにしよう。車両取扱説明書などにも目を通しておくといいだろう。

  • 19.インテリアのチェック

    トヨタ セルシオ (室内)

  • 19.インテリアのチェック

     シートや内装材に汚れや傷、穴あき、破損などがないか。フロアカーペットの状態にも注意して、運転席の周辺だけでなく、後席の隅まで念入りにチェックしよう。
     染みや傷などがあれば、クリーニングや簡単な補修で目立たなくできるかどうかの見極めが必要だ。穴や破れなどの修復は難しいと考えたほうがいい。また、タバコの臭いなどは、ドアを開けた瞬間に嗅ぎ取るのが目利き技だ。

  • 20.シートの注意ポイント

    トヨタ セルシオ (シート)

  • 20.シートの注意ポイント

     シートは、乗り降りが多い運転席がいちばんダメージを受けやすい。特にドア側のサポート部(盛り上がった部分)の表皮の状態とへたりに気を付けよう。レザーならひび割れにも注意したい。

■備え付けの書類をチェック

  • 書類

     「車検証」で初度登録年月日と型式、「保証書」で保証期間と保証内容を確認。他に「車両取扱説明書」をはじめ、オプションや後付け機器などの使用説明書などが揃っていることも確かめよう。また、車両をチェックする時には、車両がどのように使用され、整備されているかが記録されている「定期点検整備記録簿」が必要だ。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、各部の状態を探る参考になる。

  • 書類

車両チェックの勘どころ

塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。

取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。

溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。

立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。

■今回の車両のプロフィール

●2000年8月にフルモデルチェンジした3代目。エンジンが従来の4.0から4.3リッターに変わり、エクステリアデザインと共にルームスペースを拡大するなど、車体デザインも変更。サスペンションの見直しともあわせて居住性や走行安定性などが大幅に向上。新時代の高級車として安全および環境に対する最新技術も投入されている。
 参考車両は、2003年8月マイナーチェンジ以前の「30系前期型」だが、2001年8月に一部改良(デュアルステージエアバッグを標準装備。オーディオや電動リアサンシェードの標準装備設定拡大)および特別仕様車「プレミアム」が設定された後のモデル。
●エンジンはV型8気筒4.3リッター(4292cc)で、トランスミッションは5速AT。駆動方式はFR(後輪駆動)。仕様グレードは、「A仕様」「B仕様」「C仕様」の順に上級となる3タイプを基本に、ユーロチューンドサスペンションなどを装着した「eRバージョン」、パワー&バイブレーター機能付きリアシートなどを装備した「Fパッケージ」、セミアニリンレザーで上質感を高めた「インテリアセレクション」などの設定がある。また、C仕様はエアサスペンションを装備している。
 特別仕様車「プレミアム」は、深みのある6コート塗装ボディカラー(ホワイトパールとシルバーメタリック)、白蝶貝螺鈿の「PREMIUM」ロゴ入り本木目インスツルメントパネルが採用され、キーケース、本革車検証入れ、スカッフプレートなどの専用アイテムの他、DVDボイスナビゲーション付エレクトロマルチビジョンやプレミアムサウンドシステムなども装備している。

■参考車両と同時期の仕様グレード設定

グレード型式シフト駆動
A仕様UA-UCF305ATFR
A仕様 eRバージョンUA-UCF305ATFR
B仕様UA-UCF305ATFR
B仕様 eRバージョンUA-UCF305ATFR
C仕様UA-UCF315ATFR
C仕様 インテリアセレクションUA-UCF315ATFR
C仕様 FパッケージUA-UCF315ATFR
C仕様 Fパッケージ インテリアセレクションUA-UCF315ATFR

特別仕様車

グレード型式シフト駆動
B仕様 eRバージョン プレミアムUA-UCF305ATFR
C仕様 プレミアムUA-UCF315ATFR

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