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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.17

車のスピードメーターの誤差と許容範囲について

車のスピードメーターの誤差と許容範囲について

グーネット編集チーム

車を運転する際、多くの方が安全運転のために、常にスピードメーターを確認しているのではないでしょうか。
しかし、実際にはスピードメーターに表示される速度と実速度には、ある程度の誤差があることはご存知でしょうか?

ただ、誤差があるからといって車の不具合と直結するわけではありません。どちらかといえば、すべての車に誤差があってしかるべきなのです。なぜなら、車は作られた時すでに、実際のスピードより高い数値が表示されるようになっているからです。

では、この誤差はどれくらいあるのでしょうか。また、その許容範囲はどれくらいなのでしょうか。
ここでは、スピードメーターの誤差と許容範囲、そして誤差がある理由などについて解説していきます。

スピードメーターの誤差

スピードメーターと速度と実速度の誤差は、メーカー、車種、タイヤの摩耗具合や空気圧などその車の状況によって異なるため、一概にこの程度あるということはできません。

しかし、スピードメーターの表示は50km/hでも実速度は40km/hだったなど、多くの場合メーターに表示される速度は、実速度より高く出る傾向にあるようです。これは、安全運転のためで、表示されている速度より実速度が遅い方が、当たり前ですが安全といえます。

ただし、タイヤの外寸が大きくなった場合、実速度よりスピードメーターの速度が低く表示されることもあるので注意が必要です。

スピードメーターの誤差は法律で規定されている

スピードメーターに表示される速度と実際の速度との誤差には、許容範囲があり、法律により規定されています。

その法律とは、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条の第2項において、「速度計の速度表示は平たんな舗装路面での走行において、著しい誤差のないものであること」と明記されています。
そして、著しい誤差とされる基準は、平成19年以降に製造された車と、平成18年以前の車とで異なります。

スピードメーターに表示される数値をV1(km/h)、実際の速度をV2(km/h)とした場合の、
それぞれの誤差範囲を表す数式は以下になります。

・平成19年1月1日以降製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1

・平成18年12月31日以前製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1

このように、基準の違いにより最大値に若干の違いがでてくるようです。

スピードメーターの誤差の許容範囲

車検時には必ず、スピードメーターの検査があるはずです。この検査では、スピードメーターに表示される速度と実速度が、許容範囲内に収まっているかを確かめるものです。この検査でその許容範囲に収まっていれば問題ありません。
車検ではスピードメーターが40km/hの時の実速度との誤差を確かめます。実速度とスピードメーターに表示される数値との差が、許容範囲を超えると車検に合格できないということです。

実際にスピードメーターが40km/hを表示した場合の、誤差の範囲を上記数式に当てはめて計算してみます。V1=40 として算出した結果が以下となります。

・平成19年1月1日以降に製造された車の場合(軽自動車・二輪車等を除く)、
10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷94)×40
30.9090…≦V2≦42.5531…

という数値が算出されます。つまり、30.90~42.55km/hが許容範囲ということになります。

・平成18年12月31日以前に製造された車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10×(40-6)÷11≦V2≦(100÷90)×40
30.9090…≦V2≦44.4444…

という数値が算出されます。つまり、30.90~44.44km/hが許容範囲ということになります。

この時の許容範囲は、平成19年1月1日以降製造された車の場合は、
スピードメーターが40km/hに対して、実速度は30.9km/hから42.55km/h、
平成18年12月31日以前製造の車の場合は、30.9km/hから44.4km/hまでとなっています。

この数値を見ると、誤差の許容範囲は10km/h程度で、ある程度の大きさの誤差は許されていることがわかります。自分の誤差がどの程度あるかは車検時に調べてもらえますが、近年ではスマートフォンなどで速度計測アプリをダウンロードし、それを使って自分で調べること可能です。

スピードメーターの誤差の原因

スピードメーターの誤差の原因

グーネット編集チーム

実測値ではなく車速センサーから速度を算出しているので誤差が生まれる

スピードメーターはどうやって速度を測っているのでしょうか。速度というのは、距離÷時間で計算できますよ。つまり一定の時間にどの位の距離を進むかによって計算できるので、車の場合、タイヤの外寸と回転数がわかれば速度がわかることになります。

これらの要素を基に、車の速度を推定するのが車速センサーです。車速センサーはトランスミッションの回転に連動し、回転速度に比例したパルス(電気信号)をスピードメーターの表示回路に送信します。これによって、数値化されたデータが車の速度としてスピードメーターに表示されるのです。

メーターがアナログの場合は、パルスの数を電流信号に変換しその大きさに対応、交差コイルによって針を動かし表示します。デジタル表示のメーターは、パルスをカウントして数値化します。

この回転数を測るセンサーがタイヤの車軸に付いていて、センサーから信号を送ることにより、メーターと連動して速度を表示しています。

車の速度を算出する要素はドリブンギアの歯数とデフ減速比、パルスをカウントする演算割り込み時間やタイヤの外周長などです。このうち、タイヤの外周長はさまざまなケースにより数値が変わり、その影響は実際のスピードに現れます。

ところが、センサーは車軸に付いているためその変化に反応することができません。これが速度誤差の主な原因となっています。

タイヤの外寸が変わるとスピードメーターの誤差が生まれる

つまり、タイヤの外寸が変わると誤差が生じることになります。摩耗によってタイヤがすり減ったり、空気圧の変化やタイヤの履き替えによって誤差が生じたりするのはこのためです。

タイヤの外周の長さは、実際の速度に大きく影響します。センサーはタイヤの外径に関係なく車軸の回転数のみをカウントし、速度計に送信するからです。したがって、タイヤの外径が小さければ実際のスピードは遅くなり、逆に大きければメーター表示より速いということになります。

初めから実速度より高めの誤差に設定されている

ただし、すべての車種においてスピードメーターには、実際の速度より高い数値が表示されるように設定されています。なぜならば、その方が圧倒的に安全だからです。

たとえば、実際の速度よりもスピードメーターが遅く表示される場合、スピードメーターに表示される数値を信じて、スピードを出していないつもりでもカーブで曲がり切れなかったり、雪道でスリップしたりすることが考えられます。

また、事故が起こった際、ドライバーが法定速度を守っていたと主張しても、実際はそうでなかったということでメーカーとトラブルになることもあります。
さまざまなトラブルの回避と、なにより安全性を重視しスピードメーターは高めに設定されています。

こういったこともふまえ、予めスピードメーターの表示速度には許容範囲が設けられているのです。スピードメーターに表示される速度と実速度に誤差があるのは気持ちが悪い気もしますが、誤差があることで安全運転に繋がっている部分もあるといえます。

まとめ

車のスピードメーター表示と実際の速度誤差には法定上の許容範囲があり、車検基準が設けられています。誤差がないに越したことはないのですが、メーター表示は予めメーカーによって高めに設定され、タイヤの摩耗具合や空気圧によっても変わってきます。

メーカーが表示を高めに設定するのは事故やトラブルの回避、なにより安全性を考慮してのことです。メーター表示をしっかり確認することは安全運転の大前提です。
車の運転をする際には、制限速度を守るべく、スピードメーターを確認しながら運転するようにしましょう。

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グーネットマガジン編集部

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